音速の妹のヒーローアカデミア   作:えきねこ

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カラーズ編です。と言いつつストーリーは結構端折ってます。


金色のウィスプ

 エッグマンが作った宇宙遊園地、エッグプラネットパーク。そこは、遊園地と銘打ちつつ、その実態はプラネットウィスプという別惑星に住むエイリアン、ウィスプの力に目を付けたエッグマンによる、ウィスプのエキス抽出工場のようなものであった。

 

 ウィスプは自らが体内に蓄えたエネルギーを他者に与え、『カラーパワー』という能力を付与させることができる。エッグマンはこの能力に目を付け、侵略計画の役に立てようとしたのだろう。

 

 要するに、いつものやつである。

 

 ソニック、テイルス、そしてアンジェラはエッグプラントパークに乗り込み、エッグマンの悪巧みを阻止しようとしていた。半ば、遊んでいるだけのような気もするが。

 

 アンジェラはソニック達とは基本別行動を取り、怪しい場所や気になる場所を虱潰しに探索していたが、その道中、妙なものを発見した。

 

《ー! ー! ー!》

「……何やってるんだ、こいつは?」

 

 それは、地面に頭を突っ込んだ、金色のウィスプだった。見た感じでは、ソニック達と一緒に行動している白いウィスプ、ヤッカーよりも一回り小さい。どうやら抜けなくなってしまったようで、モゴモゴともがいている。

 

「……しゃーねーな」

 

 アンジェラはそのウィスプの胴体を掴むと、思いっきり引っ張った。地面からウィスプがスポーン、と抜ける。アンジェラは思いの外そのウィスプが軽かったせいで、思いっきり尻もちをついてしまった。

 

 そのウィスプは、やはりヤッカー達よりも一回り小さいサイズで、丸っこい2つのくりくりした目、猫の耳のような触覚を持っていた。こんな見た目のウィスプは先程までの道筋で見なかったので、何か特別なウィスプなのだろうか。

 

「ててて……大丈夫か?」

《────!》

『《助けてくれてありがとう》、と言っております』

「うん、大丈夫そうだな」

 

 アンジェラにウィスプの言葉は分からない。しかし、ソルフェジオに通訳してもらうことはできる。その通訳は完璧とはいかないまでも、ある程度の精度は保ったものだった。

 

 そのウィスプは人懐っこい性格のようで、助けてくれたアンジェラに早速懐いたのか、撫でてくれと言わんばかりに頭部をアンジェラの手に押し付けている。アンジェラが促されるままそのウィスプの頭を撫でると、そのウィスプは目に見えて上機嫌になった。

 

「人懐っこいやつだな。まだ子供か?」

《ー! ー!》

『我が主のことを“お姉ちゃん”と呼んでますね』

「お姉ちゃん……」

 

 悪くない。

 

 アンジェラは純粋にそう思った。

 

 基本、アンジェラの周囲の人物は、アンジェラよりも年上ばかりだ。テイルスやクリーム、チャーミーはアンジェラよりも年下だが、テイルスは精神年齢がかなり高く、クリームとチャーミーも同年代の子供と比べても遥かにしっかりしている。それも手伝って、アンジェラはこのウィスプに対して何やらムズムズしたものを感じた。守ってあげたいような、構ってあげたいような。

 

 それは、一般に言う擁護欲や母性というものと同じものであったが、アンジェラがこのことに気付くことはない。

 

「お前、名前は?」

《ー! ー!》

『《ケテル》、だそうです』

「ケテルな。オレはアンジェラ。アンジェラ・フーディルハイン。よろしく」

《ー! ──!》

『《よろしく、お姉ちゃん》……だそうで』

「……おう」

 

 そんなこんなで、アンジェラはケテルと一緒にエッグプラネットパークを周ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

「んー……これは、あれだな。見事に囲まれたな」

 

 悪趣味生卵ことエッグマンのロボットに、ものの見事に囲まれてしまったアンジェラとケテル。エッグマンのロボットはアンジェラと対等に渡り合えるものも少なからずおり、そうでない雑兵でもそれなりに強い。

 

 ソルフェジオを杖の形に変え、臨戦態勢を取る。ロボットの内の一体が、アンジェラに向かって突貫してきた。

 

「ま、いくら来ようと関係ないさ」

 

 アンジェラは余裕な表情を見せ、突貫してきたロボットをソルフェジオで殴る。金属同士が擦れ、火花が散る。アンジェラは魔力を腕に集約させ身体強化魔法を施すと、力づくでロボットを弾き飛ばした。

 

 本来、ソルフェジオは魔法の杖のような用途で使うものなのだが、細かいことを気にしてはいけない。

 

『……』

 

 ソルフェジオが何か言いたげにしていても、気にしてはいけない。いけないったらいけないのだ。

 

「……まぁ、折角のお誘いだ。魔法の練習用のサンドバックになってくれよっ!」

 

 そんな物騒な事を言いつつ、ソルフェジオを構えて8個の野球ボールくらいの大きさの魔力弾を生成し、狙いを定める。アンジェラの足元に空色の五芒星の魔法陣が広がる。

 

 魔法陣は魔法の発動をアシストする役目を持つものだ。射撃系魔法の場合、ロックオンそのものは術者であるアンジェラと杖であるソルフェジオの手によって行われるが、そのアシストは魔法陣によるものである。

 

 周囲に障害物はない。そのことをしっかりと確認したアンジェラは、ソルフェジオを振るい、その魔法を発動させるコマンドワードを叫んだ。

 

星の弾丸(ストライトベガ)っ!」

 

 星の弾丸(ストライトベガ)。魔力弾を飛ばす基本射撃魔法である。

 

 8つの魔力弾がそれぞれロボットに降りかかる。それらは的確にロボットの弱点となる部位を捉え、破壊した。

 

 と、アンジェラの背後から人型のロボットが飛びかかろうと迫る。そのロボットがジャンプした瞬間、

 

「まだまだぁ! 流星砲(スターストリングス)っ!」

 

 アンジェラは振り向きざまに砲撃魔法を放った。空色の砲撃が、一直線に至近距離からロボットに襲いかかる。

 

 流星砲(スターストリングス)は、即座に放つことができる高速砲撃魔法。威力は抑えめだが、砲撃魔法にありがちな長い溜め時間が必要ないという利点を持つ。

 

 ロボットの腹に大きな穴が空き、そのまま地面にガラン、と沈む。そして、もう起き上がってくることはなかった。

 

 その様子を、ケテルじーっと見つめていた。杖を翻し、戦う姿を。そして何を思ったのか、ケテルはアンジェラの身体に入り込んだ。

 

「……ん?」

 

 アンジェラは身体に違和感を覚える。何かが湧き上がってくるような、そんな違和感を。ふと、向かってくるロボットを身体強化を施した状態で軽く殴ってみると、メシャァ、と音を立てて潰れてしまった。呆然としているアンジェラの視界に、アンジェラの身体から出てきたケテルが映り込む。

 

「……ケテルの、カラーパワーか……?」

 

 このときのアンジェラは知らなかったが、ケテルのカラーパワーは「マジック・ブースト」。魔法を強化してくれるカラーパワーだ。魔法に限定されたその力は、現状ではアンジェラにしか扱うことができない。

 

「……へぇ。やるじゃん」

《────》

 

 ケテルはえへへ、とでも言いたげに頭をかいた。その様子は、褒められて嬉しそうだ。

 

「さて、お客さんはまだまだ居るぜ?」

 

 二人の周囲には、エッグマンのロボットの増援。その数、およそ30。一体一体がそんじょそこらのプロヒーローを凌駕する力を持っている。

 

 エッグマンがソニックに対抗するために改造を重ねた結果、こんな状態になってしまった……というわけではなく、確かにソニックに対抗してかロボットの性能も上がってきてはいるのだが、エッグマンのロボットが並のプロヒーローよりも強力なのは、エッグマンが地球侵略を始めた当初からであるらしい。

 

 その才能、もっと他に活かせばいいのに……。

 

 アンジェラは純粋にそう思った。

 

 しかし、ここは戦場(遊び場)。余計な言葉など不必要。

 

 アンジェラはソルフェジオをガトリングガンに変形させ、構える。このガトリングガン形態は魔力弾しか撃てない仕様だが、広範囲攻撃ができるスグレモノだ。

 

 ケテルはアンジェラの頭の上に乗った。どうやらそこからこの戦いを見物するつもりらしい。ケテルのカラーパワーはそう短時間に何度も使えないものであるようだ。

 

 アンジェラはにやりと笑う。だって、こんな状況でこそ、楽しむものだから! 心の奥底から何かが湧き上がる。全く、あのヒゲたまごはいつも楽しませてくれるな! 

 

「Haha…………Hey,guys! Let's party!」

 

 容赦のない弾幕の嵐が、ロボット達に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プラネットウィスプを引き寄せていたジェネレーターはソニックによって全て破壊され、捕まっていたウィスプ達はソニックとアンジェラによって全員開放された。

 

 しかし、そんなことで諦めるエッグマンではない。

 

 地上に戻ろうとスペースエレベーターのプラットフォームに来たソニック達を、エッグマンは待ち伏せしていた。しかも、ありったけのウィスプのエキスを搭載したメカを引っさげて。

 

「今度のは本当にヤバそうだね……」

「ってか、色毒々しすぎるだろ……」

 

 毒々しいものはあの重油野郎だけで十分だとは、アンジェラの心の声である。

 

 色はともかく、そのメカは本当にヤバそうな雰囲気を醸し出していた。ありったけのウィスプのエキスを注ぎ込んだということは、その分強力になっているということ。

 

 アンジェラは臨戦態勢を取るが、直後にテイルスとケテルと共に、ソニックにスペースエレベーターに押し込まれた。

 

「っ、おい!!」

 

 アンジェラはいきなり突き飛ばされたことに抗議の声を上げるが、ソニックは涼しい顔でエレベーターのスイッチを入れた。

 

「地上で会おうぜ。やり残したことがあるんでね」

 

 アンジェラは、こうなったらソニックは梃子でも動かないことを知っていた。なんだかんだで、似たもの兄妹である。

 

 ソニックの楽しみ(……)をみすみす奪ってしまうような野暮なこと、アンジェラにはできなかった。

 

「……しゃあねえな。しくったりすんじゃねぇぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソニックがエッグマンのロボットを倒し、ウィスプ達の力によって無事に帰ってきた。調子が悪かったテイルスの機械も無事に直り、ヤッカーの言うことを正確に翻訳できるようになったが、ヤッカーはもう帰らなければならないと言う。

 

「機械が上手く動いたと思ったら……」

「まぁ、間に合ってよかったじゃないか」

 

 残念そうに言うテイルスに、カラカラと笑うソニック。アンジェラはもうお別れか、と少し名残惜しそうにしていた。

 

「お前も帰るんだろ、ケテル」

《────》

 

 ケテルはヤッカーの居る方とアンジェラの居る方を交互に見つめ、ヤッカーに何やら話している。テイルスは翻訳機で、アンジェラはソルフェジオの力で、その内容を聞く。

 

「ええっと……ケテルは、《この星で暮らしたい、お姉ちゃんと一緒に居たい》って」

「……!」

『《この星のことが気に入った》、と』

「よかったじゃないか、アンジェラ」

 

 ケテルはまたもやアンジェラの手に、まるで撫でろと言わんばかりに頭を擦り付ける。アンジェラは満更でもなさそうに撫でてやった。

 

「……なら、一緒に住むか?」

《──ー!》

 

 ケテルは、両手を上げて嬉しそうにくるくると回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤッカーはあの後、帰ってやらなければならないことがあると言って、ソニック達といつか再会することを約束してプラネットウィスプへ帰っていった。きっと今頃、ウィスプの仲間たちにソニック達の武勇伝でも聞かせていることだろう。

 

 ケテルはアンジェラ達と共に暮らしている。ケテルは最初、仏頂面なシャドウのことを怖がっていたが、アンジェラとソニックの、

 

「Don't worry.シャドウは素直じゃないだけだから」

 

 という言葉に態度を180°回転させて、すっかり気を許した。チョロイにも程がある。シャドウはケテルの態度の急変っぷりに物凄く困惑していた。

 

 一応言っておくと、ケテルはシャドウの仏頂面を怖がっていただけで、シャドウ自身に何かを思っていたわけではない。アンジェラにそのことを教えられたシャドウは、そういうことか、と納得したような表情をした。

 

「……仏頂面っての、自覚あったのか?」

「周囲に何度も言われていれば嫌でも自覚する。それに、表情筋が動かないのだから仕方ないだろう」

 

 人それを、開き直りと言う。

 

 アンジェラはシャドウに気付かれないように、そうそっと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリキャラその2、ケテルが仲間になった!
カラーズ及びソニックシリーズ原作には存在しないオリジナルのウィスプです。この作品のマスコット的立ち位置になるかな?色々とストーリーにも関わってきます。

ヤッカー可愛いよヤッカー。あのマスコット感が堪らぬのよ。
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