音速の妹のヒーローアカデミア   作:えきねこ

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第十章 What I'm made of
ビッグ3


 始業式から数日後、慌ただしくも平和な日常が過ぎていたある日のこと。

 

 この日は朝から少しアンジェラの様子がおかしかった。朝から浮ついたような顔ばかりしていたのだ。朝食の時に麗日がその理由を聞いてもアンジェラは「まだ内緒」と言って笑うだけ。ただ、その笑みが本当に嬉しそうな笑みだったので、麗日達もなにかいいことがあったのかな、程度に考えていた。

 

 朝食後、クラスメイト達が登校の準備をする中、アンジェラは一足早く校舎へと向かって行った。だが、ホームルームが始まる直前になっても、教室にアンジェラの姿はない。麗日達は何故だろうと首を傾げていた。

 

 その時……

 

 

 

 

 

 

 

 タッタッタッタ……

 

 ガラッ

 

「Good morning,everybody!」

 

 走りはしていないが、勢いよく。いつもよりもテンションが高いアンジェラが教室に飛び込んできた。彼女の手は、両手共フリー。脚もしっかり床についている。

 

 それに、いの一番に反応したのは麗日だった。

 

「アンジェラちゃん、もう大丈夫なん!?」

「まだ元通りとはいかないけど、さっきリカバリーガールが、もう松葉杖は必要ないってさ!」

「そっか……よかった!」

 

 嬉しそうな満面の笑みを浮かべる麗日に、アンジェラは楽しそうな笑みで返す。元の身体能力に戻すには今暫く時間がかかるだろうが、アンジェラはようやく松葉杖が要らないくらいに身体を掌握してみせたのだ。身体を動かすことが好きな彼女のテンションが上がらないわけがない。

 

 後で霊沌装束(フェクト・ミディル)に取り付けた補助具の術式を外しておかなければと頭の片隅で考えながら、アンジェラはスキップでもしているんじゃないかというような軽い足取りで席についた。相澤先生は呆れたように口を開く。

 

「……フーディルハイン、足が使えるようになってはしゃぐのはいいが、はしゃぎすぎて怪我したりすんなよ」

「No problemです相澤先生、そこら辺は弁えてます。廊下も走ってません」

「ならいいが……

 

 じゃあフーディルハインも無事に歩けるようになったところで、本格的にインターンの話をしていこう。

 入っておいで」

 

 相澤先生に呼ばれて教室に現れたのは、同じ雄英高校の制服に身を纏った3人の生徒。男子が二人に女子が一人だ。相澤先生の口振りから察するに、インターンを行っている上級生なのだろう。

 

「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらおう。心して聞くように。

 

 現雄英生の中でも、トップに君臨する三年生三名、通称、ビッグ3の皆だ」

 

 なんと、上級生は上級生でも、雄英生のトップのお出ましである。なんというビッグなサプライズ。

 

「じゃ、手短に自己紹介よろしいか。まず、天喰から」

 

 相澤先生に自己紹介を頼まれた天喰という人物は、返事をする代わりに鋭い眼光でアンジェラ達を睨み付けた。クラスメイト達は冷や汗をかくほどの緊張感に包まれるが、アンジェラはなんとなく気付いていた。天喰が、震えていることに。

 

「……ダメだ。ミリオ、波動さん。ジャガイモだと思って臨んでも、頭部以外が人間のまま、依然人間にしか見えない……どうしたらいい……言葉が出てこない……頭が真っ白だ、辛い……帰りたい!」

 

 ついに、天喰は背を向けてしまった。流石にここまでのあがり症だとは予想していなかったアンジェラも困惑してしまう。クラスメイト達が困惑しているのは言わずもがな。

 

 アンジェラ達が困惑していると、ビッグ3の紅一点の女子が無邪気な顔で口を開いた。

 

「あっ、聞いて天喰君! そういうのを「ノミの心臓」っていうんだって。ねー、人間なのにねー、ふっしぎ〜。

 彼はノミの天喰環。そして私は波動ねじれ。今日はインターンについて、皆にお話して欲しいと頼まれて来ました」

 

 ちょっと子供っぽいが、あがってしまった天喰の分も含めて自己紹介はしっかり行った波動。

 

 が。

 

 

 

「けどしかし……ねぇねぇ、ところで君は何でマスクを? 風邪? おしゃれ? 

 

 あら、あとあなた轟君だよね? ねえ、何でそんなところを火傷したの? 

 

 芦戸さんはその角、折れちゃったら生えてくる? 動くの? ねぇ! 

 

 あっ、峰田君のボールみたいなのは髪の毛? 散髪はどうやるの? 

 

 蛙吹さんはアマガエル? ヒキガエルじゃないよね? 

 

 んー、どの子も皆気になる所ばっかり、ふっしぎ〜!」

 

 答える隙すら与えないマシンガントーク。目についたもの全てに疑問を抱くその様はまるで幼稚園児のようだ。波動はどうやら、言動がかなり幼いらしい。刺さる人にはぶっ刺さるだろう、多分。

 

 後ろの席で峰田が何やら騒いでいたが、アンジェラは気付かないフリをした。

 

「ねぇねぇ、尾白君は尻尾で身体を支えられる? ねぇねぇ答えて、気になるの!」

「……合理性に欠くね……」

 

 波動の止まらない質問攻めに、相澤先生は我慢の限界になってしまったらしい。最後の一人である男子は慌てながら大トリは自分だとアピールする。

 

「前途〜?」

 

 その言葉の指す所は、アンジェラ達には分からなかった。

 

「……ゼント?」

「多難! っつってね! よーし、掴みは大失敗だ!」

 

 その掴み、一瞬で理解出来る人居るのか? 

 アンジェラは、5秒くらいそう思った。

 

 それはそれとして、クラスメイト達の中にはビッグ3の実力に懐疑的な声を洩らす者も居た。まぁ、先程までの流れで彼らから風格が感じられないと思うのは無理のない話だ。

 

 だが……アンジェラは、風格はともかく、彼らから醸し出される雰囲気が、実力者のそれであることを見抜いていた。流石に“個性”周りのことは分からないが、あれは結構な場数を踏んでいる者の雰囲気だ。

 

「俺は通形ミリオ、今日は皆にインターンの説明会をしに来たんだよね。

 

 まぁ……皆何が何やらって顔してるよね。必修ってわけでもないインターンの説明に、突如現れた三年生だ、そりゃわけもないよね。

 

 ……一年から仮免取得だよね……今年の一年って凄く……元気があるよね。そうだね、何やら滑り倒してしまったようだし……」

 

 と、通形が何やら思いついたように言う。それにいち早く気付いた波動と天喰が反応を見せた。

 

「君たちまとめて俺と戦ってみようよ!」

『えっ……えええええええ!?』

 

 突発的に放たれた通形の提案は、相澤先生の承認を経て実行に移される運びとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体操服に着替え、体育館γで通形とA組の面々が対峙している。

 

「あの……マジっすか?」

「マジだよね!」

 

 一部を除いて困惑気味のA組の面々とは対照に、通形は準備運動をしている。どこからどう見てもやる気満々である。

 

「ミリオ……止めたほうがいい。インターンについては形式的に、こういう具合でとても有意義ですと、語るだけで十分だ……皆が皆、上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない……」

 

 天喰の言葉は決してA組の面々を舐めているから出た言葉ではない。寧ろ彼は、A組の面々が一年生から仮免を取得したことを凄いことだと純粋に思っているようだが、それも加味した上で、通形が戦うことで自信を失ってしまう人が出るのでは、と考えての発言である。

 

 それはそれとして、壁に向かって話しては聞き取りにくいと、アンジェラは思った。

 

「立ち直れなくなる……って……?」

「あー、聞いて知ってる〜。昔挫折しちゃってヒーロー諦めちゃって、問題起こしちゃった子がいたんだよ、知ってた? 大変だよね通形……ちゃんと考えないと、辛いよ〜、これは辛いよ〜」

「おやめください〜……」

 

 芦戸の角を弄り回しながらそう言う波動の無邪気さは、少しだけ鳴りを潜めていた。波動のこの発言も、一年生を心配してのもの。

 

 

 

 

 だが。

 

「待ってください、我々はハンデありとはいえ、プロとも戦っている」

「そして、敵との戦闘も経験しています! そんな心配されるほど、俺ら雑魚に見えますか!?」

「そんなら、あんたの目は節穴だなぁ、センパイ! 雄英トップとの手合わせなんてチャンス、棒に振る方が心配されるべきだっつーの!」

 

 常闇、切島、そして爆豪は力強く言葉を紡ぐ。通形は少し楽しそうに笑いながら、「いつどっから来てもいいよね!」と返した。

 

「一番手は誰だ?」

「当然、俺だ!」

 

 爆豪は掌で爆発を起こしながら、好戦的な笑みを浮かべて構えを取る。他のクラスメイト達も戦闘の構えを取る中、アンジェラは通形をじっと見ていた。

 

「お前ら、いい機会だ。しっかりもんでもらえ」

「おお、君いいな、元気があるね!」

「近接隊は一斉に囲んだろうぜ!」

「よっしゃ、そいじゃ先輩、折角のご厚意ですんでご指導、よろしくお願いしまーす!」

 

 切島の掛け声に合わせるように、爆豪が真っ先に飛び出して右手の大振りを仕掛ける。

 

 

 

 ……が、次の瞬間、通形の服が地面に向かって落ちた。

 

「うわああああああっ!!」

 

 耳郎は顔を真っ赤にして叫ぶ。耳郎は存外、乙女なところがあるのだ。

 

「今服が落ちたぞ!?」

「ああ、失礼。調整が難しくてね」

 

 まごまごとズボンを履き直そうとする通形の顔面に、爆豪は容赦なく爆撃を浴びせた。黒い煙幕が周囲に飛び散る。

 

 

 が、煙が晴れた時、そこに通形の姿はなかった。

 

「まずは遠距離持ちからだよね!」

「いやあああああっ!!」

 

 と思ったら、全裸の通形が耳郎の真後ろから現れた。クラスメイト達は通形の“個性”の強さに戸惑いつつも、各々攻撃を仕掛ける。

 

 が、通形は向けられた攻撃をことごとくすり抜けさせ、挙げ句にはワープのような移動を使って、クラスメイト達の腹を殴りつける。

 

 瞬く間に、クラスメイトの半数以上、アンジェラ以外の遠距離攻撃を得意とする者達は腹パンで無力化させられていた。

 

「あとは……一人を除いて、近接主体ばかりだよね!」

「何したのかさっぱり分かんねぇ!」

「すり抜けるだけでも強いのに、ワープとか……!」

「それってもう、無敵じゃないですか!」

「よせやい!」

 

 通形のあまりの強さにそんな感想を呟いた尾白。他の残った者達も、大半がそんな感想を抱く。

 

 が、アンジェラはもう気が付いていた。

 だが、言うつもりはなかった。

 これは先輩のご厚意による模擬戦。なれば、せめてこの模擬戦中は、自分で気が付かなければ意味がないのだ。

 

 だから、アンジェラはヒントを出すに留める。

 

「からくりがあるもんだ、こういうのは。直接攻撃されんなら、カウンター狙いで動けば、こっちも触れる」

「わぁってんだよ、余計なこと言うなフーディルハイン!」

「爆豪、そんな事言うなって! サンキューなフーディルハイン!」

「だったらやってみなよ!」

 

 通形はアンジェラ達の方へと駆けていき、その途中、ズボンを置き去りに地中に沈んでいった。

 

「はっ、簡単なんだよ。来るとしたらここだ!」

 

 爆豪は、通形が現れるであろう場所へ爆破を向けた。それは反応ではなく、通形がそこへ現れるであろうことを予測した動き。

 

 しかし、それは通形の予測の範囲だった。

 

「必殺、ブラインドタッチ目潰し!」

「なっ!?」

 

 通形は爆豪の攻撃をすり抜けさせ、目潰しをする、と見せかけそれをすり抜けさせて腹に重い一撃を食らわせる。

 

「殆どがそうやってカウンターを画策するよね! ならば当然、そいつを狩る訓練、するさ!」

 

 通形はその勢いのまま他のクラスメイト達にも重い腹パンを食らわせ、無力化する。

 

 そしてとうとう、残ったのはアンジェラだけとなった。

 通形は先の勢いのままアンジェラにも腹パンを仕掛けようとするが、アンジェラはまるでその手が分かっているかのようにバク宙で躱し、空中に魔法陣を出してそこに降り立つ。

 

「残ったのは、君だけだよね! 

 分かるよ……君は、他の一年生はおろか、三年生とも訳が違うよね! 君とは是非、一対一で戦いたいと思ってたんだ」

「へぇ、やっぱりさっき狙われなかったのはそういう……面白い」

 

 アンジェラはニヤリと好戦的な笑みを浮かべ、魔法陣の上で軽くストレッチをする。通形は武者震いしながら、楽しそうに笑った。

 

「今の俺が君に勝てるとは思わない……君の空気は、かなりの場数を踏んできた者のそれだ。その顔を見るに、俺の戦法のからくりも、君はもうとっくに見抜いてるんだろ?」

「どうだかな」

 

 アンジェラは素っ気なくそう言いつつも、好戦的な笑みで通形を睨むその顔は、どう足掻いても図星だった。別にソルフェジオが何かをしたわけではない。アンジェラ自身が見抜いたのだ。どちらも結果としては同じようなことだが。

 

 それが分かったところで、通形にはそれを頭に入れることしか出来ない。先の攻撃だって易々と躱された。

 

 だが、その程度で諦めるようなこと、通形の選択肢にはそもそも存在すらしない。勝てるヴィジョンは見えないが、それならそれで精一杯をぶつけるだけだ。

 

「折角だ、存分に君の胸を貸してもらうことにするよ!」

「Come on boy,let's dance together!」

 

 通形はニヤリと笑い、再びズボンを置き去りに地中に落ちる。アンジェラは一切慌てることなどなく、床に降り立つと、首だけを後ろに向けた。

 

 アンジェラの予測通り、通形はアンジェラの背後に飛び上がったような状態で現れる。

 

 

 

 

 

 その瞬間。

 

 

「がっ!?」

 

 通形は、自身の腹部に鈍器で殴られたような鋭い痛みを感じ、地面に落ちてその場で蹲った。

 

 単純な話だ。アンジェラが、今出せる最大速度で通形の腹に蹴りを入れただけのこと。

 

「ミリオ!?」

「通形が……負けた……あの子、すっご~い!」

「通形ミリオ……プロも含め、俺の知る限り最もナンバーワンに近い男……だが、やはり近接戦闘だとフーディルハインの方が上手か……あれでまだ調子を戻し始めたばかりだというんだから……本当に、末恐ろしい」

 

 天喰と波動が驚愕に包まれ、相澤先生が一周回って呆れ返っていると、アンジェラはふとしたふらつきに襲われ、なんとか立ったままの状態を維持する。

 

「おっとっと……なんか、最高速度上がったか……?」

 

 そんな疑問を感じながらも、アンジェラはクラスメイト達と通形へ回復魔法を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギリギリ見えないよう努めたけど、すみませんね、女性陣! 

 ……とまぁ、こんな感じなんだよね」

「……訳わからず、アンジェラちゃん以外の全員が腹パンされただけなんですが……」

 

 アンジェラの回復魔法のおかげで痛みこそないものの、違和感は残っているのか腹を手で抑えながら麗日が言う。

 

「俺の“個性”、強かった?」

「強すぎっす!」

「ズルいや、私のことも考えて!」

「すり抜けるしワープだし、轟みたいなハイブリッドですか!?」

「いや、一つ!」

 

 通形の言葉に、アンジェラは「やっぱりか」、と声を洩らす。アンジェラがそのまま答え合わせをしようとすると、波動が元気よく手を挙げた。

 

「はーい、私知ってるよ、“個性”! ねぇねぇ言っていい? 言っていい? 

 

「透過」!」

「波動さん……今はミリオの時間だ」

「そう、俺の“個性”は「透過」なんだよね。君たちがワープというあの移動は、その応用さ! 

 ……ごめんて」

 

 波動に体操服を引っ張られながら、通形は自身の“個性”、「透過」とその応用であるワープのような移動の原理を説明した。

 

 通形が全身に“個性”を発動すると、彼の身体は地面を含むあらゆるものをすり抜ける。地面をすり抜けるので、通形はそのまま地中に落っこちる。そして、そのまま“個性”を解除すると、地上へと弾かれてしまうのだとか。

 これがワープの原理。落ちる際の身体の向きやポーズで角度を調整し、弾かれた先を狙っていたのだ。

 

「……ゲームのバグみたい」

「イーエテミョー!」

 

 芦戸の呟きに通形はそう言いながら吹き出す。笑いのツボにでも引っかかったのだろうか。

 

「攻撃は全て透かせて自由に瞬時に動けるのね……やっぱりとても強い“個性”」

「いいや、強い“個性”にしたんだよね」

 

 通形はそう言うと、自分の“個性”のデメリットを話し出す。

 

 “個性”発動中は肺が酸素を取り込めず、鼓膜は振動を、網膜は光を透過する。あらゆるものを透過するとは、それ即ち何も感じることが出来ずに落下の感覚だけがある、ということ。ゆえに、簡単な行動にもいくつか工程が必要とされる。

 

「……それに、これはあくまでも発動型の“個性”。発動するのは自分の意志だ。つまり、認識外や予測外の攻撃は透過させられないし、仮に予測出来ていたとしても、発動するまでのほんの僅かなタイムラグを突かれてしまえば、俺は何も出来ない。

 

 その、ほんの僅かなタイムラグを突かれるのはすごいレアケースだけど……君はそれを突いてきた、ある種の確信を持ってね」

 

 通形の視線がアンジェラへと向けられる。アンジェラ自身は大したことをしたつもりはないのだが、彼にとっては違ったらしい。

 

「まぁ……スピードそのものは常人の域をギリギリ出てはいませんでしたし。

 

 音速以上で動き回ってこっちを狙ってくる人の攻撃を躱しながら反撃するのと、どっちが難易度高いと思います?」

「はははっ! その口振り、君はそっちも出来るってことだね! そりゃ、俺じゃあ負けるよね!」

「そっちに勝てた試しはないですけどね。それに、あれはある種の博打でしたから」

 

 アンジェラの言葉は紛れもない本心だ。通形の“個性”発動が少しでも早ければ、アンジェラの蹴りは透かされていただろう。

 その後、アンジェラが易々通形の攻撃を受けるとも、考え難いのだが。

 

「……そんな使いづらい“個性”だった俺は案の定遅れた。ビリッけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた。

 この“個性”で上に行くには、遅れだけは取っちゃ駄目だった。

 

 予測! 周囲よりも早く、時に欺く! 何より予測が必要だった! そして、その予測を可能にするのは経験。経験則から予測を立てる! 

 

 長くなったけど、これが手合わせの理由。言葉よりも経験で伝えたかった。インターンにおいて我々は、お客ではなく一人の相棒……プロとして扱われるんだよね。それはとても恐ろしいよ。プロの現場では、時に人の死にも立ち会う。けれども、怖い思いも辛い思いも、全てが学校じゃ手に入らない一線級の経験! 

 

 俺はインターンで得た経験を力に変えた! 

 ので! 怖くてもやるべきだと思うよ、一年生!」

 

 通形の話に、アンジェラ達は拍手を贈る。通形達はインターンという実戦の場で力を積んだ。そういう意味では、アンジェラは通形達と似ているのかもしれない。

 

 その後、教室に戻ったアンジェラ達は、相澤先生から一年生はインターンに行けるかどうかまだ分からないと告げられた。職員会議で是非を決めたりする必要があるそうだ。

 

 全寮制になった経緯から考えて、アンジェラは一年生がインターンに行ける可能性は低く、もし行けたとしても条件付きだろうな、と頭の片隅で思っていた。

 そもそも、アンジェラは自分からインターンに行くつもりは無いのだが。

 

 

 








というわけで、アンジェラさんが杖なしで歩けるようになりました。ついでに通形先輩をKOしました。以上、解散。
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