音速の妹のヒーローアカデミア   作:えきねこ

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ソニックサイドの年齢設定はあることを除いて基本原作通りなんですが、エミーの年齢だけはこの話の時点で14歳とさせていただきます。アンジェラは現時点で大体13歳くらい。それ以外のキャラは軒並みこの時点では原作通りで、雄英編が始まるまでに年齢重ねるんだなぁと思ってください。

この話から暫くソニックシリーズ原作の話になります。一応説明はしていますが、ソニアド2、シャドゲ、カラーズのストーリーは序章で触れるので一通り確認しておくとより楽しめるかと。

あと、暫くは話の流れでソニックオンステージになります。ヒロアカ要素は毛ほどしかありません。ご了承ください。


ブラック彗星

 5年後。

 

 

 

 この日は五十年に一度の天体ショー、ブラック彗星の大接近が四日後に迫っているだけあって、街はお祭り騒ぎ状態。学校の話題も、街中で聞く噂話もブラック彗星の話題でもちきりだった。

 

 しかし、そんな平穏は長くは続かなかった。

 

 空が、急に赤い霧に包まれ、異形の者たちが現れたのだ。その数は、100、200を有に超えている。

 

 プロヒーローやGUNはこの異常事態にすぐさま行動を起こした。しかし、相手は手強かった。最低でも、時折侵略活動を行う傍迷惑な卵オヤジ……もとい、Dr.エッグマンのロボットやメカと同程度の戦闘力を持っていたのだ。エッグマンのロボットやメカは、並のプロヒーローでは太刀打ちできない。トッププロでようやく相手になるほどには強力だった。

 

 街は異形の者たちに侵略され、人々は平穏を求め逃げ惑い、情報は錯綜し、何が真実で、何が虚構なのかが分からない。人々の顔には怯えがはっきりと映し出されていた。

 

 そして、ちょうどその頃。ウエストポリスを駆け抜ける一陣の空色の風があった。

 

「……ったく、パーフェクトカオスにアーク、メタルソニックときて今度はエイリアンか? ……何処の誰かは知らないが……ご苦労なこった」

 

 その風は、一人の少女だった。

 

 背格好はかなり小柄で華奢だが、シュッと伸びたきれいな脚と豊かな胸のグラマラスな体型をしていて、もう少し背が高ければモデルと見間違うほどだ。病的なまでに白い肌とビスクドールのような美貌、すべてを引き込むような金色の瞳を持ち、空色の長い美しい髪をポニーテールにして、少し解れた黒いリボンで結んでおり、青いノースリーブのパーカーとミニスカート、黒いスパッツに白い手袋、赤いグラインドシューズ、そして青いひし形の宝石のペンダントを身に着けている。

 

 彼女は、アンジェラ。アンジェラ・フーディルハイン。数年前、ソニックに拾われて新しい名前を与えられられた、あの記憶を失った子供である。

 

 怪我が治った後、アンジェラはソニックにあっちこっちに連れ回されて各地を旅したり、ヒゲたまごもといエッグマンの野望を暇潰しがてらに阻止してみたりと割と自由に暮らしていく内に、いつの間にかソニックとほぼ同等のスピードと戦闘力を得ていた。ソニックに勝てた試しは一度もないが。

 

 一応言っておくが、アンジェラ自身は“個性”を持っていない。いわゆる無個性である。

 

 そんなアンジェラが、何故ウエストポリスに来ているのか。それは、数週間前にあったメタルソニックの暴走事件以降、眠るたびにある夢を見ていたことに起因する。

 

 その夢は、空から黒い異形のエイリアンが降ってくるという内容だった。ちょうど、今のウエストポリスのように。

 

 これが予知夢だったのかは分からない。しかし、毎日同じ夢を見るのだから、きっと何かしらの理由や因果関係があるはずだと、アンジェラはウエストポリスを駆け回ってエイリアンをしばき倒しつつ、情報を集めていた。

 

「こいつら、やっぱりあのブラック彗星に関わってんのか……?」

 

 アンジェラの頭によぎったのは、ソニックと似たシルエットをもつ究極生命体。黒に赤いメッシュが入った、先の方が上に上がった髪を持ち、黒いパーカーと黒いズボン、両手に手袋、手首には金のリングを着け、メカニックなデザインの靴を履いた、ハリネズミの耳と尻尾、赤い瞳を持つ彼。アークの事件で死んだと思われていたが、その数日後にひょっこりと姿を表し、しかし記憶を失っていた彼は、今どこで何をしているのだろうか。

 

「……何で今あいつのことを思い出したんだ、オレは……。夢のせいか?」

 

 エイリアン共と彼の間には、黒い以外の共通点が見られない。もしかしたら知らないだけで何らかの共通点があるのかもしれないが、それは今のアンジェラの知るところではない。

 

 とにかく、今は何が起こっているのかを突き止めるのが先決だ。アンジェラは気合を入れるかのように頬をベシっ、と叩き、ウエストポリスの街を再び駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はー、なるほどねぇ……」

 

 エイリアンの本拠地であるブラック彗星内部。

 

 エイリアンの侵略活動が始まって3日。西へ東へ駆け回り情報を集め、この彗星内部で見聞きした情報とかけ合わせたアンジェラは、ある仮説を立てていた。そして、自分の最初のふとした考えがあながち間違いでもないことに苦笑する。

 

 結論から言ってしまえば、シャドウと侵略エイリアン共……ブラックドゥームが親戚かなにかなのではないかという考えは、間違っていなかった。

 

 シャドウはブラックドゥームの細胞を用いて造られた存在だったのだ。

 

 シャドウが人工の生命体であることは、以前のアーク事件の時にもう既に知っていた。その時は一体何の細胞を使えば、奇跡の石、カオスエメラルドの力を引き出す能力を与えられるのか疑問だったが、ブラックドゥームもカオスコントロールの行使が可能であったという事実を知ったとき、合点がいった。

 

 しかし、疑問も残る。

 

 カオスコントロール……時空間を操る能力。正確に言えばカオスエメラルドの力の一部だが、そんな能力を人工的に与えられるとあれば、危険視されるのは目に見えている。実際、50年前にシャドウの産まれた場所であるアークは、バイオリザードの暴走が直接的な要因ではあるもののGUNによって閉鎖され、シャドウは50年もの長い間、GUNの最重要機密としてコールドスリープ状態で封印されていた。

 

 そんなリスクを犯してまで、ジェラルド・ロボットニックは、何故シャドウを産み出したのだろうか。

 

 アンジェラが頭の中でグルグルとそんなことを考えていると、いつの間にか周囲をブラックドゥームの尖兵達、ブラックアームズに囲まれていた。その数は、およそ数十体。黒いスライムのような姿をしたものから、3メートルほどの巨体を持つものまで、その姿は様々だ。

 

「……っち、人が考え事してるってときに」

 

 アンジェラは舌打ちこそすれ、騒ぐようなことはしない。この程度の尖兵、アンジェラにとっては雑魚も同然だった。軽くストレッチしながら、ブラックアームズを睨みつけて言い放つ。

 

「随分とまあ、勝手なことしてくれやがって。Come on,ちょっくら遊んでやるよ」

 

 瞬間、アンジェラの姿が消えた。ブラックアームズはキョロキョロと辺りを見渡すが、尖兵ごときにアンジェラの速度を目で捉えられるはずがない。

 

 アンジェラは音速に近い速度で地を駆け抜けることができる。ソニックと過ごす内に、いつの間にか身につけた能力だ。最初は“個性”かなにかかと疑ったこともあったが、検査でそれは違うことが分かった。

 

 “個性”という生まれ持ったものではない。アンジェラが、成長の過程で手に入れた武器だ。

 

 未だアンジェラを捉えられない尖兵共の後ろに回り、一体一体に確実に打撃を与えてゆく。速度を殺さないままの一撃は、尖兵共を一撃でノックダウンしてゆく。その身のこなしは洗練されており、普通の速度でも並大抵の格闘家を一蹴できてしまうだろう。重々しい打撃音が周囲に響く。空色の風が吹き荒れ、尖兵共を蹴散らしてゆく。

 

 アンジェラは、格闘技の基礎はマスターエメラルドの守護者でありトレジャーハンターであるナックルズに教わってはいるものの、それ以上の格闘技は独学である。それなのにここまできれいな動きを出来るのは、アンジェラ自身の才能とヒゲたまごもといエッグマン相手の暇潰しの数々その他諸々の数多の実戦のお陰だろう。

 

 風切り音や着地音など、聴覚でそこにいることに気付くことができても、既にアンジェラはそこにはいない。ブラックアームズ達の思考は混乱してゆく。そして、その隙を見逃すアンジェラではない。

 

「後ろがガラ空きだぜ?」

 

 流れるような動きで拳を巨人のような体躯のブラックアームズの一体に撃ち込む。拳を撃ち込まれたブラックアームズはふっ飛ばされて壁に激突した。

 

「もう少しスタイリッシュになってから出直してこいよ」

 

 そんなことを言いながら最後のブラックアームズにサマーソルトキックをおみまいすると、アンジェラは周囲を見渡して、一言呟いた。

 

「そういや……ここ、どこだ?」

 

 ……どうやら、調査に夢中になるあまりに道に迷ってしまったらしい。アンジェラは騒がしい方に行けば誰か居るだろ、と思考を切り替えて走り去って行った。

 

 

 

 

 騒がしい方、騒がしい方へと足を進めていたアンジェラであったが、しばらく走っていると、ソニックと、黄色い髪にソニックと似た黄色い服を身に着け、狐の耳と二本の尻尾を持つ少年……テイルスこと、マイルス・パウアーの姿を見つけた。

 

「あ! ソニック!」

「アンジェラ! 今まで何処に行ってたんだよ!」

「悪い悪い。道に迷ってた」

 

 全く……と言いながらソニックはアンジェラの頭を撫でる。傍から見たら、二人は兄妹のように見えるだろう。実際、二人は義兄妹関係である。

 

「シャドウは?」

「多分、この先だ」

 

 ソニックが指さした先から、なんとなく嫌な気配を感じる。おそらく、親玉がこの先に居るのだろう。

 

「にしても、ここって気味が悪いよね……。これならエッグマンの基地の方がまだ幾分かマシだよ」

「本当にそれな」

「ここの家主は辛気臭い奴なんだろうな。暗い色ばっかで目が疲れるぜ」

 

 三人は軽口を叩き合いながら進む。

 

 その途中、赤い髪に黒いタンクトップとその上に赤いジャケット、黒いダメージジーンズ、手には白い手袋を、足には赤く丸みを帯びた特徴的な靴を履き、ハリモグラの尻尾を持つ濃い紫色の瞳の少年……ナックルズ・ザ・エキドゥナ、

 

 裾が白く縁取られ、スカートの部分がふんわりとした赤いノースリーブのワンピースに、手には白い手袋、腕には金のリング、縦に一本白い線が大きく入った赤いブーツを身に着けている、綺麗なピンク色で、肩辺りまで伸び、旋毛からは3本の短いアホ毛のある髪を持ち、小さなハリネズミの耳に尻尾、エメラルドグリーンの瞳を持つ少女……エミー・ローズ、

 

 黒く、胸元にピンクの胸当てがあるタイツスーツに白いブーツ、白い手袋を身に着け、白い髪とコウモリの耳、背中にはコウモリの黒い羽に、青い瞳を持つ女性……ルージュ・ザ・バット、

 

 そして丸っこいフォルムに赤いスーツを身に着けたたまごオヤジことドクター・エッグマンが合流した。

 

 シャドウは何故かわからないがカオスエメラルドを集めていた。ブラックドゥームはシャドウがカオスエメラルドを7つすべて集めた時に横から掻っ攫うつもりなのだろう。ブラックドゥームの目的が恐らくとはいえ地球侵略である以上、見てみぬふりをすることはできない。ちなみにエッグマンがブラックドゥームの本拠地に乗り込んでいるのは、侵略する土地が減ってしまうのを防ぐためという、ありがたいんだかありがたくないのかよく分からない理由からだった。なんだそれ、とアンジェラは思わず吹き出してしまった。

 

 

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