IS 篠ノ之束討伐any%RTA レギュ:キャラシ固定、ソロ、バグ技あり【完結】 作:九時誤字くじら
「敵襲?」
「……ああ。なんでも、腕を片方ずつ折られたらしいぜ」
アジトの中。
恋人・オータムの口から不穏な発言を聞いて、私は思わず眉根を寄せた。
片方ずつ腕を折る、という犯行の残虐さもそうだ。
だが、襲われたのが闇社会の人間である、というのもおかしい。
……裏社会にいる誰かを呼び出そうとでもしているのか。
だが、複数人の移動なんかは見えなかったのも奇妙な話だ。
「単独犯……って事はねえよな」
「いえ……あり得るわ。織斑千冬が敵に回った場合なら……」
「今回は違う」
まず最初に考えた、最悪の可能性。
だが、その考えは真っ先に否定されることになった。
──ウチで一番の若輩、マドカによって。
「織斑千冬なら無駄に相手を傷つけるようなマネはしない。少なくとも、無抵抗の
「……だ、そうだな。じゃあ何が原因だ?」
「今報告があったわ。ウチを嗅ぎ回っているらしいわね、
「……ッ!」
その言葉を聞いたマドカの目の色が変わる。
……情に心揺れた兵士は、いとも容易く
悪いが今回は、彼女には待機してもらう他ないだろう。
経験からわかる。
おそらく今回はマドカを敵にぶつけない方がいい。
「マドカ。アジトに不審な事態があったら、直ちに連絡しなさい」
「なっ……待て!今回は……うぐっ!」
「……動くんじゃねえぞ。今回は危険だ」
彼女の体内に入れたナノマシンを操作して、動きを止める。
そのままアジトを後にして、しばらくIS反応の残滓を追い続けてみた。
だが、捜査は思わぬところで行き詰まる。
……現場はあまりにも
「ここで途切れている……か。しかし、ヒデエ有様だな……炎を使うタイプのISか?」
「だとしたら『第三世代機』か『
組長らしき男も、口からも下からもただ液体を垂れ流して痙攣するのみ。
……何を見たのか、なんて聞き出せる相手は一人もいない。
そんな状況に迷いながら外を見上げて、私はふと真っ黒い雲があることに気が付いた。
「……黒い、雲?」
真っ黒く立ち上る、不完全燃焼の黒い煙。
それを見てようやく、私は状況を理解した。
「オータム!アジトに戻るわよ!」
「おい、まさか……!」
危惧はしていたが、『男性操縦者』という言葉で甘く見ていた。
ここまでのことをする奴では、絶対にないはずだったから。
しかし、確かに今、『爆煙』という形で彼の所業は語られた。
「──アジトが吹っ飛ばされたわ」
◆
アジトの中。
私はただ、絶望していた。
「ぐぅ……!」
「今から、君を殴る」
織斑千冬を呼び出すエサにしようと男性操縦者を狙った。
しかし、相手は
だから適当に仕留めようとした。
──しかし、実力差はあまりにも大きかった。
その結果が、これだ。
今の武器を奪われ、無様にも瓦礫と化したアジトの上に転がされている状態だ。
「ISは使わない。キミも使えないんだよね」
「ハァ、ハァ……!」
「立て。手心は加えたよ」
絶望のままに立ち上がり、男の顔目掛けて拳を振るう。
だが、その一撃は右腕のみで切り払われ、反対にこっちの顔を3発も殴られる。
「呻け。呼び寄せるんだ、
「ぐっ……ナメるな!」
拳を振り上げた瞬間、再び顔を殴り飛ばされた。
上体が動いたかと思えば、今度は馬乗りになられ、何度も殴られる。
──死ぬ。
重く、速く、硬い拳の雨が死を予感させる。
思わず歯を食いしばり、目を瞑った……その時だった。
「──譲ってもらうよ」
聞き慣れない女性の声。
思わず目を開ければ、そこには
うさぎの耳に、エプロンドレス。
女王様を思わせるステッキに、眠りこけたような目。
「来た……来た来たっ、キターっ!」
「やっぱり……束さんを探してたみたいだね」
少年の歓喜の声と、呆れたような冷たく、低い声が響く。
──人類と天災の戦争の火蓋が、切られた瞬間だった。