IS 篠ノ之束討伐any%RTA レギュ:キャラシ固定、ソロ、バグ技あり【完結】   作:九時誤字くじら

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裏7話「敵」

「敵襲?」

「……ああ。なんでも、腕を片方ずつ折られたらしいぜ」

 

アジトの中。

恋人・オータムの口から不穏な発言を聞いて、私は思わず眉根を寄せた。

 

片方ずつ腕を折る、という犯行の残虐さもそうだ。

だが、襲われたのが闇社会の人間である、というのもおかしい。

……裏社会にいる誰かを呼び出そうとでもしているのか。

 

だが、複数人の移動なんかは見えなかったのも奇妙な話だ。

 

「単独犯……って事はねえよな」

「いえ……あり得るわ。織斑千冬が敵に回った場合なら……」

 

「今回は違う」

 

まず最初に考えた、最悪の可能性。

だが、その考えは真っ先に否定されることになった。

 

──ウチで一番の若輩、マドカによって。

 

「織斑千冬なら無駄に相手を傷つけるようなマネはしない。少なくとも、無抵抗の小動物(ヤクザ)を甚振るようなマネはな……間違いなく別の奴によるものだ」

 

「……だ、そうだな。じゃあ何が原因だ?」

「今報告があったわ。ウチを嗅ぎ回っているらしいわね、()()()()()が──」

 

「……ッ!」

 

その言葉を聞いたマドカの目の色が変わる。

……情に心揺れた兵士は、いとも容易く誤断(ミス)って死ぬ。

 

悪いが今回は、彼女には待機してもらう他ないだろう。

経験からわかる。

おそらく今回はマドカを敵にぶつけない方がいい。

 

「マドカ。アジトに不審な事態があったら、直ちに連絡しなさい」

「なっ……待て!今回は……うぐっ!」

「……動くんじゃねえぞ。今回は危険だ」

 

彼女の体内に入れたナノマシンを操作して、動きを止める。

そのままアジトを後にして、しばらくIS反応の残滓を追い続けてみた。

 

だが、捜査は思わぬところで行き詰まる。

……現場はあまりにも()()()()()()()、ISの痕跡を読み取るのも困難なレベルだったのだ。

 

「ここで途切れている……か。しかし、ヒデエ有様だな……炎を使うタイプのISか?」

「だとしたら『第三世代機』か『単一仕様能力(ワンオフアビリティ)』ね。普通のIS用兵器ではこうならないわ、()()()()()()()()()みたいな痕跡よ……」

 

組長らしき男も、口からも下からもただ液体を垂れ流して痙攣するのみ。

……何を見たのか、なんて聞き出せる相手は一人もいない。

 

そんな状況に迷いながら外を見上げて、私はふと真っ黒い雲があることに気が付いた。

 

「……黒い、雲?」

 

真っ黒く立ち上る、不完全燃焼の黒い煙。

それを見てようやく、私は状況を理解した。

 

「オータム!アジトに戻るわよ!」

「おい、まさか……!」

 

危惧はしていたが、『男性操縦者』という言葉で甘く見ていた。

ここまでのことをする奴では、絶対にないはずだったから。

 

しかし、確かに今、『爆煙』という形で彼の所業は語られた。

 

「──アジトが吹っ飛ばされたわ」

 

 

アジトの中。

私はただ、絶望していた。

 

「ぐぅ……!」

「今から、君を殴る

 

織斑千冬を呼び出すエサにしようと男性操縦者を狙った。

 

しかし、相手は(じゃない方)だった。

だから適当に仕留めようとした。

 

──しかし、実力差はあまりにも大きかった。

 

その結果が、これだ。

今の武器を奪われ、無様にも瓦礫と化したアジトの上に転がされている状態だ。

 

「ISは使わない。キミも使えないんだよね」

「ハァ、ハァ……!」

立て。手心は加えたよ」

 

絶望のままに立ち上がり、男の顔目掛けて拳を振るう。

だが、その一撃は右腕のみで切り払われ、反対にこっちの顔を3発も殴られる。

 

呻け。呼び寄せるんだ、()()()を」

「ぐっ……ナメるな!」

 

拳を振り上げた瞬間、再び顔を殴り飛ばされた。

上体が動いたかと思えば、今度は馬乗りになられ、何度も殴られる。

 

──死ぬ。

 

重く、速く、硬い拳の雨が死を予感させる。

思わず歯を食いしばり、目を瞑った……その時だった。

 

「──譲ってもらうよ」

 

聞き慣れない女性の声。

思わず目を開ければ、そこには()()()()()()()がいた。

 

うさぎの耳に、エプロンドレス。

女王様を思わせるステッキに、眠りこけたような目。

 

「来た……来た来たっ、キターっ!」

「やっぱり……束さんを探してたみたいだね」

 

少年の歓喜の声と、呆れたような冷たく、低い声が響く。

 

──人類と天災の戦争の火蓋が、切られた瞬間だった。

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