IS 篠ノ之束討伐any%RTA レギュ:キャラシ固定、ソロ、バグ技あり【完結】   作:九時誤字くじら

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セシリアはちょろくないので初投稿です。


裏1話:変なヤツ

私の友達は、とても変わり者の男だ。

見た目は普通、能力も普通。

……そんな奴のくせに国に睨まれながら図太く私の友達を続けているのだから、なんだか変な奴だと思う。

 

「ね、ねぇ……箒ちゃん、髪、変じゃないかな……高校、髪型が変だと虐められるって聞いてて……」

「流行りの事には疎い。お前が決めたらどうだ?」

「……うう、やっぱりマッシュ、それかツーブロにしてきたらよかったかも……どうしよう、どうしよう……」

 

そして、国を敵に回すのは恐れないのにこの男、妙に小心者っぽい一面を覗かせることがあるのだ。

……例えば、この前……偶然にも(・・・・)置いてあったISを動かしたときもそうだった。

 

ISを動かした事で目をつけられるよりも、身内がいない空間に放り込まれる事の方にビビってたのだから筋金入りだろう。

 

それで私の名前を聞いてあっさりと落ち着いたらしく、そのせいで私はこうして彼に同行しているのだ。

 

「いいか、(モリ)。男ならしゃんとしろ……精神鍛錬は散々やったはずだろう」

「うん……それも……そうかもッ!」

「全く……剣道男子一位の名が泣くぞ」

「で、でも……箒ちゃんに言われた通りにやったら勝てただけだし……!」

 

そう、彼は私が求めただけの鍛錬を、実際に遂行できるくらいの精神力はあった。

それでも体質のせいなのかあまり体力は付かなかったが、篠ノ之流の『流麗な剣』と合わせれば彼の剣技は、″化けた″のだから驚きだ。

 

「……守は結構動ける方だろう?アレを見せた上でいじめられるなんて事はまずないのではないか?」

「あのくらい……結構簡単だよ。じゃあ、先に教室行ってるね……」

 

先に。

……少し嫌な予感がした私が視界を少し上に逸らしたが、しかしその頃には既に彼は教室まで入っており。

 

一夏(いちか)ッ……⁉︎」

 

そして、彼の奇行をサポートしたのは、またしても意外な人物。

私のよく知る、織斑一夏だった。

 

それを見て、私は気がついたら駆け出していた、ような気がする。

気弱なくせに暴走しまくる友人を、放っておけなかったのだ。

……放っておくとみんなに迷惑かけそうだった、というのも本音だが。

 

「ハァ、ハァ……一夏!(モリ)はどこだ!」

「お?箒。じゃあアイツは箒の友達か。あいつなら教室の後ろで女の子と話してたぞ」

 

慌ててそちらの方を見ると、既に彼は目的を達成し終わったかのような表情でこちらの席に近づいてきていた。

……つまり、目的は達成済み。手遅れだ。

 

「ありがとうございます!まさか、同学年にスター選手がいるなんて……」

「いえいえ。周りに比べて随分と見る目のある方がいらっしゃるようで、こちらとしても安心しましたわ」

 

放っておけば迷惑をかける男、星守。

彼が初日から目をつけた女がいるのだ。

 

──はっきり言って、同情に値する。

 

そんな狂犬のような男の着席と同時に鳴り響いたチャイムに紛れ込ませるようにして、私はそっとため息を吐いたのだった。

 

 

この日本も、意外と捨てたものではない。

極東の島国なんかに、と最初こそ思っていたが、しかし随分と詳しい人間というのはいるものだ。

 

──あの男なんかに時間を割かずにこっちに目をかけているのだから、その見る目は確かだ、と認めざるを得ない。

 

「あの……U.K.(イギリス)の、セシリア・オルコット選手ですか?ファンなんです!」

「──あら。目立つつもりはありませんでしたが……ご存知でしたの?」

 

そこにいたのは、整ってはいるがあまり特徴のない顔をした、中肉中背の少年だった。

背中に背負っているのは″シナイ″とやらだろうか、どことなく『忍者』を思わせる少年だ。

 

「ぞっ、存じてます……!代表候補生で、専用機持ちって……とびっきりの有名人ですから……!」

「いかにも、わたくしは代表候補生のセシリア・オルコットですわ。……あなたの名前も存じておりましてよ、星守(ホシモリ)さん」

「こっ……光栄です!……あの、握手してもらってもいいですか⁉︎」

 

すっ、と彼の手が差し出される。

シームレスで周りの目を憚らない行動に、わたくしは思わず苦笑してしまった。

 

握手。

意外とすぐにファンサービスを求められた気もするが、彼がしっかり事前にウェットティッシュを使って手を拭いているのを見てしまっては、あまりその期待を無碍にするのも酷というもの。

 

わたくしがそっと手を握り返してみると、彼は整った顔に心底満足したような笑みを浮かべ、そのまま片手でガッツポーズを取っていた。

 

「ありがとう……ございます!」

「いえ。わたくしはエリートにして、スターですので。このくらいはいつでもお受け致しますわ!」

「……!はいっ!」

 

授業の開始、他の生徒の自己紹介までを聞き流しながら、わたくしはそっと自国以来のスター扱い、その余韻に酔いしれる。

 

──これはとても、いいものだ。

 

これからほんの一週間後に訪れるまさかの出来事を微塵も考える事なく、私は疑いもなしに彼に手を振るのだった。

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