IS 篠ノ之束討伐any%RTA レギュ:キャラシ固定、ソロ、バグ技あり【完結】   作:九時誤字くじら

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おじさんは眼鏡っ娘が大好きなので初投稿です。


裏2話:危険(アブな)そうなヤツ

俺がソイツに抱いた第一印象は、「きちんとしたヤツ」だった。

自分が間違って捨てたマニュアルを貸してくれたし、本人はとっくに読み終えてクラスの著名人まで把握してるくらいだったから。

 

「あ、あの。僕はハンデ、いいですか……?」

(もり)……?」

「あら。わたくしは、初心者相手ならどんなハンデでも受けて立ちましてよ?」

 

だが、その言葉でイメージは「自信がないヤツ」に変わった。

……確かに相手は経験者だが、ハンデを懇願するなんて、まるでやる前から心が負けているみたいだ。

そう考えていたところで、彼は手を挙げて何かを提案する。

 

「──()()()()()()()()、使わないでください!」

「あなた……わたくしの懐中に潜り込めるとでも?」

「あんまり使わない武装なら、ハンデで捨ててくれるかなって……」

「消極的なハンデですわね……まぁ、よろしくてよ」

 

けれど、その不安げな表情の端に浮かべた()()を見て、俺は彼への評価を改めた。

 

自分はこういう戦い方が得意じゃないから、″見抜ける″だけ。

だけど、これは嘘に人を陥れた詐欺師がするような、「悪魔の笑顔」だ。

 

「……決まりだな。決定戦は1週間後、第3アリーナだ」

「いい機会ですわ。特にそちら、わたくしのファンボーイは特別に必殺技で葬って差しあげます!」

「1週間後……あっ、はい!3の、アリーナですね!」

 

俺が目の前の同級生の恐ろしい笑顔を前に顔を引き攣らせていると、しかしそれに気づかないセシリアさんと、あえてスルーした千冬姉は淡々と事を進めようとしている。

 

──ああ、なんて胡散臭いヤツだ!

 

俺は思わず立ち上がると、そのまま彼の隣に立ち、そっと不安な事について聞く事にした。

 

ただ一つの不安な事。

それは幼馴染が、この男に騙されたりなどしていないか……というもので。

 

そして、それを試すには、まず俺はコイツについて知る必要がある、なんて風にも思わされて。

 

「……なぁ、守。中学時代の箒について、話してくれないか?」

 

 

「あの……気まずくなっちゃって……誰かに泊めてもらえたらなって……」

「迷惑……」

 

私が彼に抱いた印象は、「図々しい人」。

それ以外の何者でもなく、第一印象は悪しき物だった。

 

幼馴染の本音の、クラスメイト。

ビクビクして周囲の顔色を伺う、小柄な……リスを思わせる男。

はっきり言ってタイプではないし、むしろ同族嫌悪のようなものがあって苦手な雰囲気。

 

男性操縦者、というのも最近の話のせいで、正直関わりたくなかった。

 

「あ……あの、勿論(もちろん)、その……本音さんの方で寝ます!安心してください!」

「いいよね、かんちゃん。ルームメイトの2人がケンカ中らしいし、先にお礼のお菓子貰っちゃったし!」

「色々、ズレてる……」

 

ひとまず1晩は泊まってもらってわかったのが、彼は意外と図太い方だという事だ。

……仮にも同級生の女子が隣で寝ているのに、気にもせず熟睡して朝練にまで行ったという話もそうだ。

 

そして、授業時間ギリギリになるまでこの部屋のシャワールームでくつろいでから1時間目に現れたらしいし、昼は整備室の中にどんぶりを持ち込んで現れ、偶然居合わせた本音と一緒に食べたらしい。

 

──そして、放課後にはついに整備科に現れた。

 

「……なんで、いるの?」

「あっ、はい!いるのはなんとなくです!……あっ、あと、ジュースとせんべいです。昨日のお礼として、来る前に……買いました!」

「っ……そこに、置いて」

 

返答にもなってない答えだが、しかし彼の持ってきたものが自分の好みだった事もあって私は一旦その辺を我慢する事にした。

 

この男は、絶妙な男だ。

かなり図々しい態度ではあったが、妙に礼儀正しい部分を覗かせて来るので、ギリギリで追い出そうと思えない。

 

計算ずくなのかは知らないが、もしそうだとしたら小賢しい男である。

 

「あの……そのスラスター、『ラファール』ですか?見た目は『打鉄』みたいですけど」

「……どっちでも、ない。関係、ないでしょ」

「もしかして、『打鉄弐式』ですか?」

 

だが、その言葉を聞いた私は、思わず作業の手を止めて立ち上がり、鯉のように口をぱくぱく、と動かすしかなかった。

 

──何故、この男がその名前を知っている。

 

2つの第二世代のいいとこ取り、そのコンセプトも確かに間違ってはいない。

だが、そこから逆算された。

どこか、不気味ですらあった。

 

「あっ、僕、ISオタなんです。新しい機体が倉持の事情で開発中止って聞いて、残念だったんですけど……まさか更識簪さんが開発してるんですか?」

「どこまで、知ってるの……」

なにも

 

──なにも、知らないわけがない。

 

平然と、表情を変えずに言い放たれた嘘に、私は絶句した。

同時に、目の前の男に対してどこか不気味さすら覚える。

 

「……あなたは」

「僕に、興味持ってくれたんですか?……じゃあ、今は少し早いけど、夕食一緒に食べませんか?」

「わかった、けど」

 

とにかく、目の前の男は怖い。

姉とは別ベクトルの恐ろしさを持つ男に、しかし私は確かに興味を持った。

 

まだがら空きの、17時前後の食堂。

そこで彼は迷わずに2つの食券を押すと、片方を私の方に渡してきたのだ。

 

それがまたしても一番食べたかったもので、私はますます面食らってしまう。

 

「あ、あの……どうぞ!『チキン南蛮定食』です!」

「……どうして、これを?」

「あっ、はい!公式SNS……ご飯の写真、上げてましたよね」

 

本音から、彼の話は聞いていた。

代表候補生に詳しい、という情報も。

 

──だが、これはいくらなんでも詳しすぎやしないだろうか。

 

日本出身の代表候補生といえば、山田真耶しかり更識楯無しかりスター揃い。

その中で私の好みまで把握しているのは、流石に()()()()()

 

まるでゲームのデータベースでも見ながら現実を生き(プレイし)てるような知識量。

私が抱いたのは、どちらかというと『敬意』に近いものだった。

 

「……すごいね、(ほし)さん」

「はいっ、ありがとうございます!……あの、『打鉄弐式』なんですけど、データ集まったら持ってきましょうか?僕、今週からラファールに乗るんです……使わないなら、捨ててもらっていいので」

 

本来なら、「1人でやる」と断っていそうなラインのこと。

だが、彼の提案は魅力的だった。

 

──できることなら、もう片方には関わりたくなかったから。

 

それに、彼のあり方を見て、「こんな考え方はできないな」と思い始めていたところ。

彼のデータがあるなら、それは1技術者の端くれとして、魅力的だ。

 

孤軍で戦果を挙げて姉と並ぶ事。

彼の知識量(データバンク)奇想天外(ファンタジスタ)さをISに採用する事。

 

その2つを並べられて、私は少し頭を抱えた。

そわそわしている彼の様子に急かされて、出した結論は一つ。

 

「……機会があったら」

「はいっ!」

 

──保留、だった。

 

この男の行動は、予測不能。

つまり私の死角を埋めてくれる、いい仲間になってくれそうで。

 

私はつい昨日知り合った男にそこまで期待する事に危険さは感じつつも、しかし切れるカードが増えた事に僅かな高揚を覚えていた。

 

そんな、気がする。

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