Q. シリウスシンボリに弱みを握られるとどうなるのか 作:ルルザムート
というわけで1話です、どうぞ
シンボリ家のお屋敷にて…
「え、ええっ!!じゃ、じゃあその、卒業間近とはいえシリウス様とアイスさんは一線を越えて──」
「ません、いくら酔っていようとそこは絶対に踏みとどまります」
「で?感想は?」
「………なんのどの感想だ」
「アンタ昨日のこと、何も覚えていないのか?」
「昨日のこと、か」
落ち着け、これは誘導だ。ハッキリしない物言いの時は十中八九誘導尋問…下手に答え自爆するのを見てはしゃぐのがシリウスだ。
脳出力を低下させているアルコールを無理矢理押し殺して慎重に言葉を選ぶ
「どうだろうな、少なくともこの場所で何も無かったというのは理解できているが」
バーで飲んだ記憶から今までがすっぽり抜け落ちているが確証はあった
しかし私の記憶があるかどうか、シリウスに確認する術は無い
「…相変わらずムカつくぐらい冷静で面白くねぇな」
「お褒めに預かり光栄だ、だが介抱してくれたこと…その点はルドルフとシリウスに感謝する、ありがとう」
さっきルドルフが居たのは偶然じゃない、恐らく私がこの部屋に来た時から定期的に見回りに来ていたんだろう。シリウスが一緒にいるとなればなおのこと。
記憶が無いせいで日にちの感覚が薄いが彼女らがトレセン学園を卒業するまで10日かそこらだ、それまでは学生…子供であるシリウスと私との間で間違いが起きればシンボリ家もダメージを受ける、と考えればルドルフが見回るのは必然だろう
…悪いことをしたな
思ったんですけど
…なに?
いくらなんでもここまで慎重になるなんておかしくないですか?人間もウマ娘も弱みのひとつやふたつあるでしょう、仮にそれでシリウス様にからかわれたとしても聞いている限りアイスさんなら大丈夫のような…
………大丈夫ならここまでしない
え!じゃあ──
仕方ないでしょう、その…彼女、格好良くて──いえ格好良かったらしいですし
ですよね!!でもなんでルチアーニさんが照れてるんですか…汗
「まぁいいさ、今日の私はこの3年間の中で1番機嫌が良いからな」
「…?」
確かに上機嫌だが…彼女がここまで浮かれているのも珍し──いや
「こんなことは初めてだ、何かあったのか?」
「心配しなくても明日教えてやるよ、その様子じゃ体調はもう大丈夫なんだろ?URAファイナルは終わったとは言えアンタはまだトレセン学園に勤めるトレーナーだ、明日に備えて今日はもう帰れ」
それとも送ってってやろうか?と言う彼女の提案を必要無いと1発で跳ね返しルドルフと使用人へそれぞれお礼を言ってシンボリ家の屋敷から出た
というかやはりここはシンボリ家所有の屋敷だったのか、確かにバーからは近いな…
がしっ
?
門から一歩踏み出そうとして肩を掴まれた
「待ちたまえ」
「シンボリルドルフ…?」
「…言っておくと昨日から今日までキミとシリウスは何も無かった」
「いきなりどうしたんだ」
が、お構い無しにルドルフは話を続ける
「寝ずに見回りをしていたが本当にキミは寝ていただけだしシリウスも『様子を見ておくだけ』と言って添い寝をしていただけだった」
「何が言いたいかまるで分からない、聞きたいことや伝えたいことがあるなら真っ直ぐにソレを頼む」
「ならば聞こう、シリウスが昨日キミをここに連れ帰ってきた時何があった?
今のシリウスは目に見えて機嫌が良すぎる、URAファイナルを優勝した時よりもだ」
やっぱり私の勘違いじゃなかったか
「………ルドルフ、今の私には」
「ああ、記憶が無いのは知っている。だから思い出したら教えて欲しい」
引き留めて悪かったよと言うルドルフに改めてお礼を良い、その場を後にした、その時。
「……!シリウス…?」
2階の窓からこちらを見下ろすシリウスと目が合った
笑っている…?
ハルウララやトウカイテイオーのような笑みではもちろん無い、なんというか…担当ウマ娘に対して言うのも失礼だが『邪悪な笑み』という単語が1番しっくり来る
「………まだアルコールが抜けきっていない、早く寮に戻って休もう」
………
ははっ、3年間全く隙が無かったが…持つべきものは友人だな
え、アナタほんとにシリウス?だよね?
なんだその言い方は、私は友人を無下に扱ったことなんてないぞ
そうだけどそうやって言葉にするのは珍しいというからしくない感じがしてさ(マルゼーン、どう思う?)
(さ、流石にこれルチアーニさんが可哀想じゃないかしら…)
はっはっは!確かに私もヤキが回ったみたいだ
約束の車はガレージに送り届けさせた、シンボリ家どうこうじゃなく私のポケットマネーからだから安心していいぞ
え?うわホントだ!すごーい!マルゼーン!約束通り今度は私がアナタを乗せてドライブできるわ!早速行きましょ!
(ちょ、ちょっとトレーナーちゃん待ってってば!)
通話が切れたスマホをさっきまでルチアーニが寝ていたベッドへと投げ、この3年間を振り返ってみる
〜
ようトレーナー、探し物はこれか?
机に置いた資料が無いと思ったら…返せ
おいおい人に物を頼む態度じゃないだろ?それじゃこれは返せな──
ならいい、コピーがある。気が済んだらそっちのは処分しといてくれ
────
ッチ、気分が乗らないな
…そうか、ならこれを使え
ん?…遊園地のチケット?
〇〇パークのだ、リフレッシュするといい
へぇペアチケットか…見た目と違ってガキっぽいんだなアンタ
〜当日〜
ハチミーハチミーハチミー!ねーねー!シリウス!次はどこ行くのー?
《確かお前はトウカイテイオーと仲が良かっただろう、調整はこっちでやっておくから楽しめ、必要なら迎えに行ってやるがどうする?》
────
ここの飲食店、カップル限定のメニューがあるんだな?
…どうだ、試しに頼んでみ
《子供》が《大人》をからかうもんじゃない、それと好きなものを食べて良いがトレーニングに響かないようほど程に、あと食事の前にはちゃんと手を洗え
────
ルドルフに見送られて門から出て行こうとするトレーナーと目が合う
「──3年間好き放題言いやがって、覚悟はできてるんだろうな?」
左手の
「さて、私も明日に備えて休むか」
シリウスが実装されたら絶対引いて全冠取ろうと決めている作者のルルザムートです、ハイ。
3年間子供扱いされた鬱憤が今こそ爆発する時…!
というわけで次回から本格的にシリウストレがピンチになっていくのでお楽しみください