お久しぶりです。アクレンです。
どうにか2話書き上げました。
前置きが長いと嫌われるのでね、どうぞ。
──これで、終わりだ!」
ストライクノワールベースの改造ガンプラ、アークストライクがビームサーベルを振り下ろし、目の前の量産型MS、リーオーを真っ二つにした。
Battle Ended !!
音声と共に、ホログラムが消えていき、フィールドの上にはアークストライクが残される。
「ふぅ…終わった…」
初バトルの日から、カイトはオーヤ模型店でのバトルを繰り返し、ゆっくりと、しかし着実にバトルの腕前を上げていた。
…ただしバトルはNPC戦のみで、対人戦は未だ未経験なのだが。
「NPC相手にイキるコミュ障…惨めだ…」
つぶやきつつ、カイトはフィールドのアークストライクを回収、ケースにしまいバトルスペースを後にしようとした、その時。
「なぁ、お前!」
「っ、はっ、はい!」
突然後ろから肩を叩かれ、カイトはビクッとしながら緊張で上ずった声で返事をし振り向く。
声をかけたのはカイトと同年代に見える少年。
短く整えられた髪は正直そうな印象を与え、表情は明るく爽やかで服装もしゃれている。初対面であろうカイトに話しかけるということはコミュ力も高いのだろう。
自分とは対照的な「陽」の人間だな、とカイトは心の中で思った。
「お前、あのアークストライクってガンプラの使い手だろ?」
「あっ、はっ、はい、そうです…」
「俺はハヤマ・ソウタ。早速だが、俺とバトルしようぜ!」
ハヤマ・ソウタと名乗った少年はビシッ、とカイトを指差し、宣言する。
「…へぇ、バトル?」
カイトがそう言った瞬間、ソウタは背中にゾワッ、としたものを感じた。
(な、なんだ…?雰囲気が…)
「いいぜ、やろう」
そこにいたのは先ほどまでのオドオドしていたカイトではなく、獰猛に笑う、全く別人のようなカイトだった。
(あの時と同じだ…)
一週間ほど前に、ソウタはオーヤ模型店のバトルスペースでカイトを見かけた。
その時も最初はオドオドしていたが、バトルが始まると別人のようになった。
そんなカイトを見て、ソウタはカイトとバトルしてみたい、そう思ったのだ。
そんなソウタをよそに、カイトはしまったガンプラとスマホを取り出し再び筐体にセット。
ソウタもそれに続いてガンプラをセットする。
六角形の筐体から粒子が散布され、フィールドが形成されていく。
Battle Start !!
「トウマ・カイト!アークストライク出る!」
「ハヤマ・ソウタ!アストレイで行くぜ!」
「さて…敵は…」
フィールドの市街地で、高層ビルの陰に隠れつつレーダーでの索敵を行うアークストライク。
(それにしてもなんなんだろうなぁ、性格が変わるの)
レーダーやモニターに目をやりつつカイトは自分の性格の変化について考えていた。
(なんでバトルになると性格が変わるんだろう…まさか、二重人格だったとか!?)
などと思っていた、その時。
CAUTION!
画面に赤字が表示され、
「バトル中に考え事か!?」
緑色のビームがアークストライクを貫かんとしているではないか。
「うおっ、あぶねぇ!」
カイトはとっさにガントレットからビームシールドを展開、どうにかアークストライクは無傷で済んだ。
(そうだ、今はバトル中だ)
思い直し、カイトはモニターを睨む。
「アストレイか…」
アークストライクの目の前にいたソウタのガンプラは、紅白の機体、ガンダムアストレイレッドフレーム。
目立った改造はされていないものの、徹底された基本工作、そこからの丹念な作り込みにより高いレベルの性能、完成度をほこっている。
それに先ほどはなんとか受けたものの、ライフルでの射撃精度は高いものだった。
ガンプラの出来、高精度の射撃。それらの事実から、カイトは相手が高レベルのファイターだと予想する。
「初めての対人戦が上級者か…面白い!」
アークストライクはライフルをアストレイに向けると、いつも通り乱射。放たれた光線がアストレイを襲う。
「へっ、そんなハッタリじゃ…っ、!?」
ソウタはアームレイカーを操作。スイスイとビームをかわそうとするが。
一見デタラメで、当たらないと思われていたカイトの射撃は、なんとアストレイのシールドに見事命中したではないか。
「ちゃんと機能してるみたいだな」
カイトはニヤリと笑う。
NPC相手のバトルを繰り返し、カイトは自分の射撃の腕の低さを実感していた。
天性の才能はない。かといって練習しても成果はすぐには出ない。
そこでカイトはアークストライクの腕に補助センサーをつけることにした。
射撃をする時ほんの少しだけだがセンサーが補正することにより命中率が上がるというものだ。
効果は微々たるもの、しかし油断していたソウタのアストレイに射撃を命中させるには十分だった。
アークストライクのビームはアストレイのシールドに命中した後さらにフライトユニットに2発、3発と命中。ソウタはフライトユニットをパージすることを余儀なくされる。
「なるほど…そういうカラクリか…」
アストレイはフライトユニットをパージ、シールドを構えながら追撃のビームを受けつつ、アスファルトにドスン、と降り立った。
カチッ!カチッ!
「っ、弾切れ!」
アストレイの着地と同時に、アークストライクのライフルのエネルギーが切れてしまう。
アークストライクはそれを捨て、両腰に装備された銃剣、「バヨネット複合ビームライフルショーティー」を構える。
アストレイもそれに応じるかのようにライフルとシールドを捨て、腰の日本刀、ガーベラストレートを抜いた。
にらみあう両者。訪れるしばしの静寂。互いに動かず、相手の動きを読みあっている。
「行くぞ!!」
先に動いたのはアストレイ。驚異的なスピードでアークストライクに迫り、上段からガーベラストレートを振り下ろす。
「ッ、重い!」
銃剣をクロスさせなんとか受けるストライク。しかし性能差ゆえ徐々に押されていく。それどころか、
「ブレードが!?」
なんと銃剣のブレード部分にガーベラストレートがめり込んでいるではないか。
なんという切れ味。このままではブレードごと両断されてしまうだろう。
「!なら、こうしてやる!」
何かに気づいたカイトはアームレイカーを操作、なんと銃剣を自ら手放しスラスターをふかして後ろにスライド。
「自ら手放した…!?」
ソウタは直感で何かあると感じ、アストレイもガーベラストレートを手放す。
次の瞬間、アークストライクはリアアーマーからビームサーベルを抜き銃剣に投げつけたではないか。
ガーベラストレートつき銃剣にアークストライクが投げたサーベルが見事にヒット。
それらは爆発、煙が上がり二者の間にもう一度距離ができる。
「すげぇ、すげぇよお前!」
カイトの戦法に驚嘆するソウタ。だがその時。
「ッ!?」
煙の中から何かが高速で飛んでくる。それを察知したソウタはアストレイのボディをわずかに横に。
飛んできたものはアークストライクの掌から射出されたワイヤーアンカーだった。
意表をついて放たれたそれは、しかしアストレイを捉えることはかなわず。
「いい戦法だったが、惜しかったな」
意表をついてもかなわない、これが上級者か。
カイトはうつむく。
「さて、終わりにしてやる…!」
アストレイが背中のビームサーベルを抜き、アークストライクに迫ろうとする。
「いや、惜しくなんてないぜ?」
だが、カイトはニヤリと笑う。
「「本命」はこっちだ…!」
そして顔をあげ、スフィアを操作、思いっきり後ろに引っ張る!
CAUTION!
「なっ、後ろ!?ぐぁっ!!」
ズガン、と後ろから何かが当たり、アストレイがよろめく。
サブカメラを起動させたソウタはそれの正体に驚く。
「シールドだと!?」
それは先ほどアストレイがパージし、そのまま放置してあったシールドだった。
カイトはアストレイの後ろにパージされたシールドがあることに気付き、それを利用できないかと考えた。
そして爆煙の中に向かってワイヤーアンカーを射出。
向こう側が見えない中、正直それは賭けだった。しかし、
「当たったみたいだな!」
アークストライクはもう片方の手でリアアーマーから2本目のビームサーベルを抜き、煙を突っ切りアストレイに迫る。
そして、
「と、ど、め、だぁぁぁ!!」
よろめいたアストレイを、袈裟懸けに切り裂いた。
Battle Ended!
音声が告げ、フィールドが粒子となって散っていく。
後に残されたのは二人のガンプラ。アークストライクに目立った損傷はないが、アストレイは胴体を斜めに切り裂かれていて、痛々しい。
「ご、ごめん…ガンプラが…」
謝るカイトにいいんだよ、と笑うソウタ。
「壊れるのが怖くてガンプラバトルなんてやってるもんか。というかお前、強いな!本当に初心者か?」
「あ、うん…」
「オレたち友達になろうよ、カイト!よろしくな!」
「え、ええ…!?」
「まぶしいなぁ…」
二人のやり取りをバトルスペースの外から見ていたのは店長のオオヤマ・サトシ。彼の青春時代を思いだし、呟く。
(カイト君に同年代の友達ができてよかった。いいライバルになりそうだね)
フフッ、と笑いオオヤマはレジカウンターに戻る。
(期待の新人だね、カイト君)
模型店のバトルスペースから出たカイトとソウタは近所の公園にいた。
それぞれ自動販売機から買った飲み物を手にベンチに座る。
「えっ!?君もガンプラバトル始めたばかりなの!?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
なんとソウタもカイトと同じくガンプラバトルを始めたばかりだという。その上、
「ガンプラも始めたばっかなんだよな、オレ」
なんとあのレッドフレームも初めて作ったガンプラだというのだ。
(これが才能ってやつなのか…?)
心の隅で嫉妬しつつ、カイトはソウタに問う。
「ソウタ君、対人戦って結構やってるの?」
「ソウタでいいぜ、そうだなぁ…バトルスペースで仲良くなった人たちとやってる。結構いい人たちだぜ?」
これが陽キャ。コミュ力の暴力。カイトは軽く自己嫌悪になりかけた。
「で、でも僕、見ての通りあまりしゃべれないからさ、一生NPC戦やってるしかないのかな…」
「じゃあオレが相手を紹介してやるよ。」
「!?い、いいの…?」
「おう!二人で強くなろうぜ!」
そう言って手を差し出すソウタ。カイトはその手を握る。
夕陽が二人を照らしていた。
第二話、読んでいただきありがとうございました!
第三話は二話と並行で進めていますので早めに投稿できると思います!
それまでにもっと技術向上したい…(涙)
外伝的なやつも企画しているのでどうかお楽しみに!