サムライアート・オンライン   作:龍拳

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今回は番外編というかエピソードオブシリーズです。
あの方と銀時の出会いの物語が内容ですが、過去編なので舞台はSAOアインクラッド内ではありません。
なのでそこんとこよろしくお願いいたします。


Episode of Argo
section1 常闇に出会いし鼠と銀色の侍


いつからだったのだろう、変わってしまったのは。

いつからだったのだろう、私がオイラになったのは。

いつからだったのだろう、何もかも全てが変わったのハ。

藤林という名を捨て缶けり親父に拾われたその日からオイラは変わった。

オイラの世界は変わった。

オイラはただの鼠として生きる。

この腐った世の中を汚れながらも這いずりながら生きていく。

例え一人になろうトモ……

 

 

 

ザアザアと雨が降る常闇が支配する森の中、天然パーマの男、銀時は着いた返り血が雨粒で洗い流されていくのを感じながら一人走っていた。

 

「はあ、はあ…… くそ! ヅラの野郎どこ行った!」

 

銀時は腕を苦悶の表情を浮かべながら腕を抑え木々に囲まれた森を駆け抜ける。

カチャカチャと音をたてる血まみれの鎧を見るに銀時は決して堅気の人間とは言えない。

攘夷戦争ーー 宇宙から現れた天人呼ばれる者達の身勝手な政権に業を煮やした侍達が起こした戦争。

銀時戦争に身を投じた男。

今現在こうして一人で森を走っている理由もその戦争からだ。

攘夷を振りかざす侍達をはいすべく天人達は軍隊を銀時達へと向かわせた。

兵力はあまりにも差があり、銀時は桂と共に仲間達を逃すため囮の役目を担ったのだ。

死を覚悟していたが銀時達は何とも天人の軍勢を駆け抜け、森へと逃げ込んだ。

しかしその途中、突然桂が、

 

「ぬおおお! 腹があぁぁぁ!! うんまい棒食いすぎたかぁ!?」

 

と喚きだし腹を抑えながら銀時の事なの忘れ何処かへと消えてしまった。

というわけで銀時は今一人なのである。

桂の強さをしる銀時はあまり心配はしていない。

むしろ今は自身の身の安全を確保しなければならない。

 

「とにかく雨を凌ぐ場所見つけねーとな」

 

銀時がそう呟いたからか、いやただの偶然ではあろうが木々を抜けた先に古びた寺が見えた。

これで雨を凌ぐと共に体力の回復も担えると思った銀時は、

 

「お邪魔しますよっーと」

 

と 一応は挨拶をして中へと入る。

すると寺の古びた空気が一気に鼻孔を擽ってきた。

雨と年代からか多大な湿り気を感じ、中は思っていた以上に暗い。

外の月明かりがましと思えるレベルだ。

ギジギシという響く音を足元から聞きながら奥へと歩いていく。

そういやこういうとこってかなり不吉だよな…… いや、全然怖くねーけどね!

銀時は白夜叉などと恐れられてはいるが幽霊と言った目で認識出来ないようなものは極端に怖がる。

あまりの恐怖から気を紛らわすため銀時は目を閉じ深く深呼吸をする。

そして目を開くと、

「おい、お前」

 

銀時の目の前にフードを着込んだ女が現れた。

 

「ぎゃあああ!!! ごめんなさい!ごめんなさい! 勝手に入ってまじすんません! 悪気はないんですぅ! だから成仏してください! なんなら俺が直ぐにでも消えますから!」

 

この暗がりと先程までの恐怖心が掛け合わさり銀時は女を完全に幽霊と勘違いし、土下座を始める。

すると女は突然謝りだした銀時に不思議に思いながら

口を開いた、

「なに、とんちんかんな事言ってんダ? 成仏もなにもオイラは人間ダ、人間」

 

「え……」

 

ゆっくりと顔を上げてよく見ると確かに足はある。

暗くてよく見えねーが。

銀時は自分が人間を相手にビビりまくって土下座をしたことを理解し咄嗟に訳の解らない言い訳を放った。

 

「な、なんだよ、驚かせやがって。いや、全然ビビってなかったけどねー。これはちょっとしたサプライズ的なやつだから、うん」

 

これも自尊心を守る防衛本能なのだろう。

しかし女はそんなこと気にもせず、

「何がサプライズだヨ。お前、幽霊とか怖いんだロ」

 

「あぁ!? 何言ってんの? 俺全然怖くねーし! 幽霊なんて俺のジャンボリックマグナムを一発……」

 

「お、幽霊」

 

「ひょほおおお!!! 南無阿弥陀仏! 悪霊退散!」

 

手を合わせながら土下座をすると、甲高い笑い声が寺内に響く。

 

「ニャハハハハ!! やっぱり怖いんじゃなイカ」

 

腹を抑えながら笑いだす女に銀時はようやく騙された事に気づき指を突きつけギャーギャーと喚きだした。

 

「おまっ! 人をおちょくってそんなに楽しいか! いっとくけどビビってねーから! 今のは驚いただけだ! 驚くとビビるは全然違うからね!」

 

 

それを見ると女はよりいっそう楽しそうにクスクスと笑う。

 

「そうカそうカ。驚いただけカ、いや、悪かったヨ。オイラは只お前が何者なのか聞きたくてサ」

 

女はそう言うと胡座をかいて床に座り込む。

とても女とは思えない話し方と行動から銀時はこいつ男か? と一瞬勘違いをしてしまう。

そんな事は霧知らず女は何処か楽しそうに銀時を見つめ何者なのかを問う。

 

「俺か? 俺はさむ…… サムです」

 

一瞬銀時は侍と言おうたしたが考えてみれば侍は今や天下の大罪人。

つまり侍と知られれば幕府軍に通報される、さらに言えば彼女が幕府側の人間という可能性もあるのだ。

銀時は苦しまぎれに咄嗟に浮かんだ、というか言いかけた、さむの部分から外人の名を言った。

 

「いや、嘘つくナ。お前侍だロ」

 

しかし女には通じなかっな。

当然だろう。

 

「げぇ!? なんでわかった!」

 

「そんなもん、お前から漂う多数の強者の血液の臭い、その格好、様子からだいだい検討ツク。オイラが知りたいのはお前がオイラに危害を加えないような奴かどうかダ」

 

「…… えーと、俺はまあ、襲う気はないけど……」

 

銀時は少々、いやかなりだらしない所があるかま決して人の道理から外れた事はしない。

その言葉は真実だ。

 

「ふーん、じゃあいいヤ。じばらくは二人でここで休んでようゼ」

 

女は気持ち良さそうに伸びをすると仰向けに寝そべる。

いくらなんでも出会ったばかりの男を目の前にして無防備すぎると銀時は思う。

それと同時に女がそれほどの余裕を持つ強者である可能性を感じた。

大体こんな所に女一人いること自体おかしい。

こいつは何者なんだと銀時が怪しく思っていると女は突然バッと起き上がり、暗闇の中を勢いよく後ろへと跳ねながら退いた。

「ど、どうした?」

 

「…… っち、来やがっタ」

 

女が睨む先の扉がギリギリと音をたて黒色の服に身を包み込んだ筋肉質な男が現れた。

筋肉質な男は女を見つけると懐から先端が尖った鉄の武器、クナイを取り出した。

「見つけたぞ…… 下手な真似はせず、さっさと降伏して俺と共に来い」

 

低くくぐもった声で忠告する男に女はべっーと舌を出し、

 

「いやだネ、バーカー」

 

と言った。その瞬間男からクナイガ放たれた。

女のいやだネというのが戦闘の合図と受け取ったのだろう。

クナイをひらりとかわした女に拳を振り上げ一気に間合いをつめてくる。

しかし女は臆することもなくその拳もかわすと男から再び距離を離した。

この時、銀時は、

え? なにこの状況? 俺一応主人公なのになんか置いてけぼりなんすけど?

と完全に混乱しきっている。

そんな銀時には目もくれず男は執拗に女を追いかける。

ただでさえ古びて壊れやすい寺の中は、所々からバキッなどという破壊音が響く。

最初はまるで兎のようにピョンピョン跳ね回り男の攻撃をかわしていたが床へと着地すると足を痛めているのか苦痛に顔を歪ませる。

「つっ……」

 

思わずよろけてしまう隙を男は見逃さない。

女の頭上へと飛び上がるとクナイを振りかざしそのまま突き刺さるーー

 

ガキンっ!

 

ことはなかった。

 

「危ね~」

 

銀時はたった今仕留められそうになった女を助けるため抜いた刀で受け止めたのだ。

「…… なんだお前は?」

 

女の事しか眼中になかった男は突然攻撃を妨害した銀時に驚き目を丸くした。

「ただのジャンプ愛好家だよ!」

 

銀時はそれだけ言うと足で男のみぞおちを足で蹴り飛ばした。

「ぐっ……」

 

仰向けに男が倒れると銀時は女の小さな手を握りしめ寺の扉をを刀で壊しながら無理矢理飛び出る。

 

「な、お、お前!」

 

女は突然の事に声を上げるが、銀時は構わず手を引っ張り今だ降り続ける雨の中を走っていく。

 

「なんだかよくわかわねーけど、女一人放っといてられねーだろ! さっさと逃げんぞ!」

 

「…… わかっタ」

 

女は肌寒さを感じながらも銀時が握しめる手の温もりに微かに酔いしれていた。

この出会いが新たな人生の始まりとなることに彼女はまだ知らない。




このシリーズは続きますが基本は本編の方を進めるのでこのエピソードオブアルゴの続きはたまに投稿します。
では次回もよろしくお願いいたします!
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