どうぞ読んでください。
この人は似ている。
木が生い茂る暗い森の中で私は銀髪の人と向かい合っていた。
この人を見て少し不思議な感覚を私は覚えていた。
銀髪の何と言うか気だるそうな目をした男の人はどうしてが師匠に似ている気がしたから。
でもはっきり言って見た目も年齢も違うんだけど…… 毛髪の数とか。
どうしてだろう?
「どうした? ボッーとして」
「わっ! な、なんでもありません!」
いけない、今はピナの為に出来る限りの事をしなきゃ。
銀髪の人、銀時さんはトレードウィンドウを開いた。
私の目の前にも同じく半透明の画面が映る。
トレード欄に表示されるアイテムはシルバースレッドアーマーにイーボン・ダガーと私の見たこともないものばかりだ。
あの、と私が聞く前に銀時さんは軽く言ってきた。
「この装備使えば、まぁ少しはレベルも底上げできんだろ。俺も一緒に行ってやっから、もう泣くんじゃーねーぞ」
どうして……
どうしてここまでこの人はしてくれるのだろう?
この世界に閉じ込められてから私はいろんな男の人に助けられてきた。
でもそれには、いつも必ず裏があって年上の人から言い寄られたり下心からの行動だった。
でも何故かこの人からはそういった下心が感じられない。
だから私は素直に聞いてみることにした。
「あの…… なんでそこまでしてくれるんですか? 会ったばかりで……こんな」
「そりゃあ泣いてる女放っとける程、俺も酷くはねーよ。それになんか似てんだよなー、俺の知り合いによ。性格は全然違うのに」
「え……」
今の言葉……
前にも一度言われたことがあった。
やましい気持ちも偽りの気持ちも一切ない。
どこか悲しそうな反面嬉しそうなその瞳の奧にある真っ直ぐな思いで。
「信じます……」
「え? あ、ああ。じゃあ行こうぜ」
「はい!」
私はこの人と一緒にピナを必ず助ける!
だから待ってて…… ピナ。
◇
無事、森を抜けた銀時とシリカは三十五層主街区へと来ていた。
白壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な街はさほど大きくはないが中層プレイヤーの主戦区となり、かなりの人数が特にSAOに存在する天人プレイヤーが多く行き交っている。
天人の多くは地球人とは違いあまり攻略には参加していない。
そのせいかほとんどの天人は中小レベルの強さしかなく、この三十五層に留まっているのだ。
原作ネタ的な意味でも久しぶりに多くの天人を一気に目にした銀時は物珍しそうに周囲を見渡す。
そんな銀時を連れシリカは大胆にも手をとって歩いていたがシリカ自身無意識にやっているせいが恥ずかしさを感じなかった。
普通ならばカップルか何かと勘違いされ話しかけづらいだろう。
だがお構いなしに近ぐ輩はいる。
これもシリカの人気からなるものだろう。
他のそれも銀時のような一見胡散臭い男に先を越されまいと動くのも無理はない。
「シリカちゃんじゃ~ん。この間のパーティメンバーはどうしたのぅ?」
顔見知りらしい語尾にぅとつける男にシリカは戸惑う。
「え、いやその……」
「もしかして解消した? だったら俺と組もうよぅ~」
「すいません…… お話はありがたいんですけど……」
シリカは相手を最低限傷つけまいと嫌味臭くなく丁重に断り、視線を傍らに立つ銀時へと向ける。
「……しばらくこの人とパーティを組むこととなったので」
「ええー、この男とぅ…… 何でよりにもよっとこんな天然パーマとぅ?」
男は銀時を訝しげに睨みつける。
するとコンプレックを言われた銀時は案の定悪口と言うなの武器で反論しだす。
「あぁ! なんだいきなり失礼な事、言い放ちやがって!テメェこそ一度しか登場しないモブキャラの癖になに無駄にキャラたった喋り方してんだ、こら!」
「なんだとぅ! モブキャラだからこそキャラ立ちしたいんだよ! モブキャラだから必死なんだよ!」
「お前、途中から語尾にぅつけるの忘れてんだろーが! キャラ作ってんじゃねーか!」
その後、泣きそうになったシリカに男も銀時も慌てて宥めケンカを止めたのは、また別の話。
◇
「あんの、銀髪天然パーマぁ……! 気になって来てみれば女の子とイチャイチャなにしてんのよ!」
行き交うプレイヤー達の中に憤怒の思いで銀時を、睨みつけるフードの女、アスナがいた。
普段はお目付け役として血盟騎士団の幹部がつくのだが隙を見て逃げ出したのである。
何時ものように説教を垂れるため銀時の所に言ったもののいきなり現れた少年に連れていかれた銀時が気になったアスナは三十五層まで来ていた。
のだが銀時は運が悪いことにシリカと手を繋いでいる瞬間を見られていた。
ちなみにアスナ自身、別に恋心を抱いているというわけではない。自分は攻略に参加もせず女とイチャイチャしているのが許せない。
と心に言い聞かせている。
SAOに怒りを表現するオーラがある訳ではないがその怒気に周りのプレイヤーが次々に離れていく
「絶対に許さないわよ……! 銀時さん」
アスナは静かにそう呟いた時だった。
肩をポンっと叩かれ振り返ると、そこにはアインクラッド解放軍。
元々は攻略組のギルドだが、とある事情から今では違反を起こすプレイヤーを捕縛する警察のような役割をしている。
その警察の役割を持つ厳つい男は、
「君…… その剣で何するき?」
「え、あいやその……」
アスナは怒りのあまり無意識の内に剣を抜いていたのだ。
勿論圏内で剣を抜きプレイヤーを刺そうが死にはしないがそれでも怪しげな雰囲気を漂わしていたアスナを見逃すはずもなく厳つい男は職務質問を続ける。
「だから私は血盟騎士団のアスナよ! ほら、知ってるでしょ!」
「なんであの閃光がこんなところに? 最近天人ばかりを狙った悪質なプレイヤーキルが流行ってるんでね。ちょっと来てくれるかな?」
「え、いやちょっと待って! あ、わかったフード脱ぐから! そしたらわかるからーー」
「はいはい、詳しい話はギルドでね」
「だからアスナだってばぁぁ!!」
アスナの悲痛の叫びが闇夜に響いた。
◇
私と銀時さんは食事をし、その後風見鶏亭というNPCの店の二階に上がった。
広い廊下の両脇に、客室のドアが並んでいる。
流石に部屋は別だけどすぐ隣だなんて…… ちょっと驚いた。
だけど銀時さんは全く気にした様子もなく、
「あー、疲れた。寝よ寝よ」
と欠伸をしながら部屋に入っていく。
少しは思うところないのかな…… と何故か不満気に思ってしまう。
私も部屋に入り武装解除すると下着姿でフカフカのベットに飛び乗った。
このまま明日に向けて体力を温存ーー
「と思ったけど…… 眠れないな」
いつもピナのふわふわの体を抱きながら寝ていたせいかベットがとても広く思えた。
それにしても現実じゃとてもじゃないけどあり得ないよね。
私が自分よりも小さな存在を、生きた生命を抱き締めて寝るなんて。
五歳の頃に可愛い猫ちゃんを飼っていた時、嬉しくて抱いて寝た時はあったけど……
「朝起きたら冷たくなってたんだよね……」
それ以来動物を飼うのが怖くて…… いや殺すのが怖くて近づくことすらできなかったけどSAOの世界に来て始めてたくさん触れ合うことができた。
ピナと出会って友達になって今まで感じられなかった経験を味わえた点においてはSAOに感謝…… してもいいのかな?
いや、いいわけないか…… 師匠だって心配してるだろうし。
「……」
なんだろう。
悲壮感に浸っていたら急に銀時さんと話をしたくなった。
どうしよう。いくらなんでも非常識かな……
でも会いたい……
脳内で悩みながらも体は勝手に動き一番お気に入りのチュニックを身にまとうと銀時さんの部屋の前まで足を運んでいた。
どうしよう。来たのはいいけど扉を叩く勇気が……
あ、そういえば師匠がこういう時は……
ーーいいか珪子? 迷った時は本心に従って進め。でないと後悔するぞ。いや、俺は別に頭の事は言ってないからな! 別にあの時増毛スプレー買いにいかなったことを言っているんじゃないからな!
「誰も聞いてませんし、自分で恥ずかしい話暴露してるじゃないですか!」
…… としまった。ついつい師匠の教えを思い出してツッコンでしまった……
いきなり一人でツッコミを入れて恥ずかしかったけど幸い周りに人はいないし部屋にいる人には音声遮蔽圏で聞こえてはいないはず。
私は師匠の教え通り本心に従うことにし、ドアを叩き銀時さんを呼ぶ。
すると中からお尻をかきながら銀時さんが出てきた。
す、少しは女性の前だということを気にしてほしいな。
「ふぁー、どうしたんだよ」
「あ、あの、えと……」
しまった理由を考えていなかった!
どうしよう。
「もしかして四十七層のことでも聞きてーのか?」
「え? あ、はい! 是非とも聞かせてください! せっかくなので部屋の中で!」
私は大胆にも部屋に入る宣言をしてしまう。
いきなりこんな事言って変に思われちゃう? と少し焦ったけれど銀時さんは鼻をほじりながら、いいぞーと言ってドアを大きく開けた。
…… なんだろう。負けた気分……
私は納得がいかないまま部屋に入った。
椅子に座り、銀時さんはベットの上に座ると小さな小箱を実体化させた。
箱を開けると中から小さな水晶球が出てきた。
「綺麗……。それはなんですか?」
「ミラージュ…… なんたらだ」
「名前忘れたんですね。まあいいです」
銀時さんは少し恥ずかしそうにしながらも器用に手早く操作する。
すると球体が青く発光し、その上に大きなホログラフィックが出現した。
凄い……!
アインクラッドの恐らく四十七層のマップが丸ごとそれも街や森、木の一本に至るまで微細に表示されている。
システムメニューから表示できる簡素なマップとは偉い違いだ。
「ここが主街区で、こっちが思いでの丘だ。んでこの道を通ると……」
銀時さんは説明しながら動かしていた指を止めた。
すると気だるそうな目から真剣な目にかわりドアを睨みつける。
「ど、どうしたんですか?」
「誰かいるな……」
銀時さんは呟くと凄いスピードで一気にドアの前まで行き引き開けた。
するとドタドタと駆けさる足音が聞こえた。
「今のなんですか!?」
「ちっ、誰だか知らねーが話を聞かれてたらしい」
「え? でもドア越しじゃ声は聞こえないはず……」
「聞き耳スキル高めりゃ聞こえるんだとよ。アルゴが自慢気に話してた」
アルゴってあの鼠のアルゴ? 銀時さん知り合いだったのか……
いや、それよりもどうして立ち聞きなんか。
「まあ、逃げられたんじゃ、しょうがねぇ」
銀時さんはそう言うとドアを閉めてしまった。
「ええ!? いいんですか?」
「いいんだよ。たいして聞かれてまずい話はしてねーだろ。それになんかあっても大抵は大丈夫だ」
そんな適当でいいのかな?
少し心配だったけど銀時さんは強いし、大丈夫…… かも?
「あー眠、けどやっとかなきゃダメか…… あーと今からメッセージ打つからよ、待っててくれや」
銀時さんは水晶地図を片付けウィンドウを開いた。
ホロキボードを表示させ微妙に慣れない手つきで指を走らせる。
私はその背後でベットに丸くなり銀時さんの背中を見つめる。
大きいな……
私みたいに小さくない大きな背中。
この背中を見て銀時さんが色んな物を背負って生きていると私は思った。
あー、そうか。
だから似てるんだあの人と……
普段はだらしなくて、でも芯の通った真っ直ぐな心の持ち主……
私は久しく忘れていた温もりを思い出し自然と目をゆっくりと閉じた。
銀魂のアニメが一話だけジャンプフェスタで復活!
超見に行きたくて目がギンギンです。 お祝いに他の銀魂クロス小説書いちゃおうかな?
感想待っています!