機動戦士ガンダム RIZE of the EARTH   作:Ryu-Gun

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第十章

第十章 新たなるシュバルツ

 

 

 

 

20XX年7月13日─ロシア中央 山岳地帯 地下

 

 

極秘官邸 会議室

 

 

「これで、あの地を奴らから開放できる。」

 

1人の中年太りした男が発言した。

 

「ついにこの時がくる、長かった…」

 

先程の男性よりかは若々しい男が続いて言った。

 

「待ちすぎたのかもな、もっと早く、行動しておけば─」

 

40代後半の女性の声がした。

 

「いざとなれば、核を─」

50代前半の男が文を途中で終わらせた。

 

その極秘官邸の上空では数え切れないほどのモビルスーツを載せたゲタと輸送機が飛んでいた。輸送機の中は恐らく、モビルスーツの補充部品等であろう。地上ではICBMを搭載した車両や戦車、輸送車が車列を成して走行していた。

 

 

 

 

その頃、ゼネラル・コンバットの本部がある島には3本の仮滑走路が建設され、本部の移転作業を行っていた。

移転する先は、日本本島よりもさらに離れた巨大なゼネラル・コンバット最後の砦として作られた施設であり、ドイツ語の「雷鳴」を意味する

 

『ブリッツシュラーク』

 

という名が冠せられている。ブリッツシュラークは全てが島の内部に造られたという訳ではなく、滑走路が2本造られているごく一般的な軍事施設が外観から見ることができる。そもそも、ブリッツシュラークが造られる以前の島が大型であったため、巨大な基地を造ることに成功したのだ。島の内部には兵員収容棟が設けられ、最大で1,000人の兵士の寝泊まりを支えることができる。

 

「この猛暑で移転作業とはな…」

 

仮滑走路に隣接するエプロンで積荷の整理をしていた作業員・三居 修三伍長が言った。

 

「気温は41℃、湿度は30%、上は戦ってもないのに俺らを殺すつもりか。」

 

と続けて話した。

 

「それほど深刻なのだろう、東アジア共同体─共和国軍の事は。」

 

その場の指揮をしていたリシェル・ヨルン軍曹が語った。

すると、リシェル軍曹の髪がフワッと靡いた。軍曹が上を見上げると、そこには空中でホバリングしているベテルギウスがいた。翼からは赤色の粒子を勢いよく噴出し、何かを待っているような感じだ。

 

「あの少年が、あんな殺戮マシーンに乗っているとはな…」

 

武内とリシェル軍曹は既に面識があり、武内が伍長だった時代に軍曹が世話を焼いていた過去がある。武内がモビルスーツパイロットになったのは軍曹が武内の才能に気づき、上層部に報告したからだ。結果は軍曹の思っていた以上で、異例の二階級特進となりそこからさらに功績を残して大尉にまで上り詰めたのだった。

 

「この生き方の選択肢を彼に与えたのは私だ…」

 

リシェル軍曹は武内にモビルスーツパイロットとという道を与えたのを後悔していた。

ベテルギウスは着陸し、モビルスーツ運搬用戦闘輸送機 F/C-301 フリューゲルに載せられた。武内はフリューゲルのすぐ隣で待っていたオスプレイバスターに乗り込み、本部がある島を後にした。

 

 

武内を乗せたオスプレイバスターはブリッツシュラークに到着後、旧・在日米軍基地 横田基地に向かった。既に全在日米軍基地のゼネラル・コンバットへの管轄の移行が終わっており、新たにモビルスーツ部隊が駐留し始めていた。

 

「何か月ぶりだろうか…学校に行くのは…」

 

武内が学校に行くごく普通な生活をするのは久しぶりだった。ごく普通な生活をするのもある意味任務の1つである。

 

『大尉、着陸態勢に入ります。』

 

パイロットからの通信が入った。

武内が窓を見るとそこには基地のメインゲートの目の前でデモ隊が抗議していた。

オスプレイバスターは着陸し、後部のハッチが開いた。武内は後部ハッチから外に出るとそこには複数の隊員が待機しており、横田基地の新任司令官 ジョン・ブライト大佐も混ざっていた。

 

「大佐がお出迎えなんて」

 

「君に手伝ってもらいたいことがある。」

 

大佐は武内の肩に手をかけながら言った。

 

「内容によりますけどね」

 

「言い方は悪いが、デモ隊の排除だ。」

 

「彼らは自らの意見を述べているだけで悪事ではないですよ?」

 

「デモ隊がいることにより資材の搬入は空からしかできなくなっている。」

 

「はぁ…分かりました」

 

ため息をついて武内は結論に出た。

すると大佐に向かって1人の隊員が猛ダッシュで来た。

 

「大佐、ゲートがデモ隊に破られました。」

 

デモ隊が基地内部に迫ってきたのだ。

 

「大尉…なにか良い案はないか?」

 

武内の方を振り返った。

武内は数秒間考え込んだ末、1つの答えが出た。

 

「モビルスーツ隊をデモ隊の目の前に配置。武装はマシンガン。使用弾は煙幕弾のみ。モビルスーツ隊の後方に歩兵隊を配置し、モビルスーツ隊の煙幕弾による威嚇後、デモ隊に突撃させる。」

 

武内は最後にひと言付け加えた。

 

「被害は最小限に。」

 

「各員に通達、直ちに任務実行だ。」

 

大佐は武内の出した案が最善だと納得し命令した。

すると、列を成して基地内部に侵入してくるデモ隊の目の前にARM-02 ウェズンが3機現れ、デモ隊の行く手を塞いだ。

ウェズンはアース・リデュー・マシーンズ社製の重モビルスーツであり、見た目はゴツいがリゲルよりも性能はよく、リゲルの後継機としてアース・リデュー・マシーンズ社内のコンペティションで優勝した。そのため、ゼネラル・コンバットは主力機をリゲルからウェズンへ切り替えが着々と進んでいた。

 

«煙幕弾の使用を許可。当てるなよ»

 

3機のウェズンは横田基地に駐留している第16MS小隊機で、部隊長のエレス・デブィー中尉が他の2機に命令した。3機のウェズンがマシンガンを片手で構えた。

 

ボォン!ボォン!ボォン!

 

とマシンガンから筒状の物体が発射された。

その筒状の物体は弧を画くように地面に落下し、その直後大量の煙が噴出した。

デモ隊は混乱し、周りを見渡した。

煙の中に多数の影が見え、誰かが近づいてきた。その影の正体は歩兵隊だった。歩兵隊はデモ隊を押し倒し、次々と手錠をかけた。煙が風に流され、周囲を目視できるようになるとデモ隊は全員抑えられうめく人が多くいた。

武内はその様子をタブレット端末で目の当たりにした。画面にはウェズンから送られてきたLIVE映像が映されていた。

 

「では私はこれで。」

 

と言い、タブレットを目の前にいた大佐に手渡した。

 

「迎えの車をすぐ用意しろ!」

 

大佐がすぐ側にいた隊員に命令した。数分後、黒い車が到着した。見た目はごく一般的な物だ。

 

「護衛の車は─」

 

「いや、大丈夫だ。」

 

武内は車に乗り込み、基地を出た。

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