しいていうなら井戸端会議のそいつがおまえ   作:魔物になりたい

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 はーれむは禁止

 し、知らなかった……


注意

今回の話はかなりテイストが変わっています。

今までみたいにありそうでなかった話風ではなく、こんなこともあるかもなぁ……あったらいいなぁ……みたいな話です。

あとオリジナルキャラが出ます。しいてを読みながらこの構想が頭から離れなかった……

全てを得るものは全てを失う……希望を捨てよ、つまり黒歴史になる、ということですね……




無機物の誰何

 

 

門番と傭兵───

 

 

 あるところに、何もかもを奪われた、とても愚かな傭兵が住んでいました。

 

 この傭兵は群れを成していましたが、同じ組織にいた傭兵たちに、薬草だと偽って道端の草を食わせて「これが本当の、道草を食うだな(笑)」とか言って煽ったせいで何もかもを失いました。

 

 

 傭兵は思いました。

 

 

傭兵「ちょっとふざけただけで追放とか……」

 

 

 信賞必罰とは言いますが、確かに少しやりすぎかもしれません。食べさせた草が毒草でなければ……

 

 この傭兵の住む国では、毒を他人の口に同意を得ずに入れることを『暗殺』と呼び、傭兵同士でも許されることではありませんでした。

 

 傭兵は国の偉い人に、「追放か、水棲生物になるかを選べ」と言われ、泣く泣く出て行くことになりました。

 

 

 トボトボと歩いて国を出て行くしかない傭兵の姿を見て、暇を持て余した門番が最後の情けに願いを叶えてやることにしました。

 

 

門番「傭兵よ、何を願う?」

 

 

傭兵「隣の国まで行くための足が欲しい」

 

門番「ならぬ、足なら三本付いているではないか」

 

 

傭兵「なら路銀を分けてくれないか?」

 

門番「ならぬ、この国の銀は毒物の有無を見分けるために全て使われている」

 

 

傭兵「強靭な武器が欲しい」

 

門番「ならぬ、片腕を失った貴様では強靭な武器が武器足り得ない」

 

 

傭兵「この腕を治して欲しい」

 

門番「ならぬ、腕なら数少ない荷物である背嚢に入っているではないか、存在するものを治すことはできない」

 

 

傭兵「絶対の盾を」

 

門番「ならぬ、そんなものこの世には存在しない」

 

 

傭兵「この世の真理」

 

門番「ならぬ、真理を理解するために必要な時間がお前には足りない」

 

 

傭兵「永遠の命」

 

門番「ならぬ、その傷ならお前の寿命はあと幾許かだろう?」

 

 

傭兵「明るい未来」

 

門番「ならぬ、闇しか映さない両眼を持つお前に、明るさなど不要だろう」

 

 

傭兵「安らかな最期の癒しに楽器を」

 

門番「ならぬ、片耳をなくしたお前に楽器は微笑まない」

 

 

 

 あーでもない、こーでもないと決められずにいると、あまりにも無意味なやり取りに痺れを切らし、男は苛立ち気味に告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

門番「次で最後だ」

 

 

 

 

 お前が言うのか……何も叶えてはくれない癖に、門限を示してきたカカシ風情は嗤う。

 

 全てを失った愚か者は、一矢報いるべく下策に打って出る。ならばできることをしてもらおうと………

 

 

 

 

 

門番「何を願う?」

 

 

 

 

 

傭兵「任せるよ」

 

門番「……何?」

 

傭兵「おれ、もうおまえとは他人な気がしないんだ」

 

 

 

 これは、悲劇の始まり

 

 

 全てを失った愚者が、全てを壊していく物語……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……などといった絵本が、落とし物として多くの国に行き渡った世界がある。

 

 どこかで聞いたことがあるような最後を飾るこの絵本は、「門番と傭兵」と呼ばれており、子どもを寝かしつける本として親しまれている。

 あえて別のタイトルをつけるとしたら、「まもののつくりかた」になるだろう……もしかしたら注釈に「非数世界の」とつくかもしれない。

 

 もし、意図的に非数世界の魔物を生み出すことができたのなら、列強国など足元にも及ばない力を手に入れることができる。

 

 そんな夢みがちな希望を胸に法典を落とした世界が……その世界は滅んだのだが……作った絵本は、些細なことで凋落した傭兵が、ちょっとした機転で成り上がっていく王道ファンタジーだ。

 

 

 まさか成功するとは思ってなかったから、変な設定を盛り込んでいく……

 

 

 

 道端に生えてる毒草……

 

 

 暗殺に異常に敏感な国……

 

 

 なぜか登場する松葉杖……

 

 

 あんころもち……

 

  あんころもち……?

 

 

 

 奇々怪々な物語の最後は、多少違いはあれど一貫しており……神様とやらの一番偉いひとを殺し、傭兵は五体満足となり息を引き取る。

 

 もはや言い訳できないほど謀反の詰まった英雄譚は、央樹をころすためのものだったったから、生まれてくる魔法生物はおそらく無事では済まないだろう……悲惨な結末など、無数にある世界の中ではありきたりn……

 

 

 

 

 

門番?「ひでぇ話だよな」

 

子狸「……」

 

王都「……」

 

 

 仮に、仮にだ……奇跡などというものがあれば……成功を疑って不確定要素をこれでもかと詰め込むという前提があれば……生まれたての魔物が「自分から攻撃する必要なくね?」と消極的な態度を取ることができる……

 

 

門番?「まず、何もできない相手なら何してもいいって考え方が意味わかんねぇよ……」

 

子狸「聞き覚えが……?」

 

王都「力では何も解決しないぞ」

 

 

 欺瞞に満ちた言葉だったが、謎の魔物(魔物?)はその通りだと首肯した。

 

 

門番?「だからね……同じ立場を味わってもらうことにしました」

 

子狸「おれだったら同じ舞台に立つね」

 

門番?「……?」

 

王都「話せばわかるということだ」

 

門番?「適当だなぁ……」

 

 

 この輪郭がぼんやりとした形のない魔物は「不形」と名乗っており、とても穏やかな性格をしている。

 

 

 人間の負の感情を好んで食べたりしないし……良い行いをしたものには善意を、悪い行いをしたものには悪意を返すという、至極真っ当な魔法生物さんである……例え法典を落とした世界を地獄に作り変えたとしても、その評価は覆らなかった……

 

 

 

王都「こいつが天布世界の負の遺産か……」

 

不形「信賞必罰は世の常だよね」

 

子狸「……まさか!?」

 

王都「そうだよ、こいつは人間で言うところの異母兄弟にあたる……」

 

子狸「新入りか?」

 

王都「おお……!」

 

不形「……本当にわかってる?こういう時は大抵、後からわかってないことが発覚するんじゃないの?」

 

王都「失礼だな!子狸さんはやればできるんだよ!ねっ!子狸さん!」

 

子狸「ああ、その生意気な話し方には覚えがある……」

 

不形「覚えが……?」

 

王都「子狸さん……?」

 

 

 子狸さんと王都のがここに来たのは五分ほど前のことである。突然現れた非数世界コンビに嫌な顔をせずお茶を淹れ、優雅なティータイムを始めたのは記憶に新しい。

 

 

 

 不安を覚えた王都のひとが思わず口を開く。

 

 

 

王都「おい、不形の。まさかと思うが、おれが来る前に勝手に接触したんじゃないだろうな?ちなみに不形さんとは、アンバーワールド在住の素敵な魔物さんのことだ!」

 

不形「そんなことするわけないでしょ……えーと、管理人さん?はじめまして、おれは不形のひとといいます。得意なことは片手と片足、両眼を奪って寿命を短くすることです……あ、あと片耳も取れます」

 

王都「なんて邪悪な生物なんだ……」

 

 

 不形さんの生まれた経緯には絵本が深く関わっていたため、門番が傭兵にしたように、願った先から叶えられない身体にすり替えることができる。

 

 

 そんな経緯がなくとも人間をテトリスみたいにできる王都のひとは、不形さんの善性に懐疑的だ。

 

 

 

王都「やはり消しておくべきだったか……?」

 

不形「王都のひとはおっかないな〜」

 

子狸「……」

 

 

 話が合わないと見るや子狸さんはこきゅーとすにinした

 

 

 

 

 

 

 

三三二五、管理人だよ

 

 おまえら、聞いてくれ

 

 なんかすれ違ってる感じがする……

 

三三二六、湖畔在住の今をときめくしかばねさん(出張中

 

 やっぱりわかってなかったんだね……

 

 

三三二七、海底在住のとるにたらない不定形生物さん

 

 どうしたの?子狸さん

 

 わかってたけど知らないひとだった?

 

 

三三二八、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん(出張中

 

 というか会ったこともないのに覚えがあるとか人違い確定だろ

 

 

三三二九、夢在住のどこにでもいるお馬さん

 

 子狸さんは自分で気付けるだけ偉いなぁ……

 

 

三三三〇、管理人だよ

 

 新入りなのにまるで初めてあったかのような話をされたんだが……

 

 おまえらには新入りの言いたいことがわかるか?

 

 

三三三一、アリア家在住の平穏に暮らしたい勇者さん

 

 あなたが言ってる事よりわかるわ

 

 

三三三二、湖畔在住の今をときめくしかばねさん(出張中

 

 あれ!アレイシアンさんが起きてる!?

 

 珍しい……

 

 

三三三三、アリア家在住の平穏に暮らしたい勇者さん

 

 マッコール……まるで人を寝坊助みたいに扱うのはやめてくれる?

 

 

三三三四、樹海在住の今をときめく亡霊さん(出張中

 

 でも勇者さん、寝起きでしょ?

 

 どうせ山腹のひとに緊急事態とか言って起こされたとかじゃないの?

 

 

三三三五、管理人だよ

 

 寝起きだと……?

 

 おい、新入り

 

 狸は寝正月だぞ

 

 

三三三六、沼地在住の平穏に暮らしたいトカゲさん(出張中

 

 親方さまは関係ないだろ!

 

 ん?あ!?

 

 もしかして……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子狸「気づかなかったぜ……」

 

不形「勇者さんではありません」

 

王都「えっ!?そっち!?」

 

子狸「うん?うん……」

 

不形「……まあ、何もない世界だけどゆっくりして行ってよ」

 

王都「……夜空が綺麗だなぁ」

 

 

 

 流れ星が流れる

 

 光源のないこの世界では星々がキラキラ光って見えた

 

 生憎とこの光景を堪能できる生物は、ほとんど滅ぼしてしまってけれど

 

 

 

 

 

 

 

 

 嫌われた伝承は問う

 

 

 何を願う?

 

 

 片腕だけの傭兵は吐き捨てた

 

 

 「勝手にしてくれ……」

 

 

 死に損ないの願いなど

 

 

 誰も叶えてはくれないのだから……

 

 

 

 

























アンバーワールド

 非数→un number→アンバーという安直なもの

 ちなみにun numberedには無数の、とか数えられないとかいう意味がある

不形のひと

 二度と出番はない可哀想なひと、書きたかったのは生まれた経緯であって、この人はおまけである
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