封印から開放されたら十年経ってたんっスけど……   作:テケテケ

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ラスボス(父親)封印して帰ってきたらなんか10年経ってるし、知り合いと先輩方に心配されたんですが、皆さん何か変なものでも食べました?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもどうも、先程推し姉妹から腕を引き千切られかけた藍染喜助です。

 

いやあ、「もう少しだけ二人の好きにさせようかと思うっスよ。」な〜んて言ってみたは良いものの、まさか肩と肘が抜けるまで引っ張られるとは思っても見なかったです。はい。思いっ切りゴキンッ!て音がしたし、何なら筋肉やら血管やらがプチプチ言い始めてました……いや本当マジ恵さん助けてくれてありがとう。

 

あっ、外れた肩と肘は直ぐに嵌めたし、千切れかけた筋肉やらは反転術式で治しましたよ?本当に反転術式って便利だよな!……まあ、その後に見た真希さんと真依さんの泣きそうな顔に罪悪感で死にそうになったけど……

 

……とまあ、再会早々両腕両断しかけた俺な訳だが、今何をしているのかというと。

 

「ひっぐ……ぐすっ……一体今まで何処に行ってたのよおお……心配したのよっ……急に貴方が死んだって……道連れになったってっ……うえええんっ!!」

 

「ええ……またっすか……?」

 

歌姫先輩に抱き着かれながら泣かれております……デジャブ。数日前も思ったけど、本当に貴方達……俺が死んでた十年で何があったの?

 

というか、全然離れてくれないな歌姫先輩……

 

「歌姫先輩?そろそろ離してくれませんか?」

 

「嫌よっ!離したらまた何処かへ行くんでしょう!!」

 

「いや行かないっスよ……現に今日、ここまで逃げずに来たじゃないスか。だから安心して下さいっス。」

 

そう言って歌姫先輩の背中をポンポンと叩くが、何故か逆に締める力が強まった……何で?あっ、もしかしてこれさば折りですか?もしかしてターゲットは俺の背骨?あれ?歌姫先輩、そんなに俺のこと嫌い?おかしいな?歌姫先輩とはそんなに関わりは無かった筈だけど......もしかしてあれか?歌姫先輩のふつくしい御尊顔に傷が入った時に言ったキザな台詞が気に入りませんでした?いやどう考えてもそれだな。すんません顔が浦原喜助だからって調子に乗りました。本当にすんません。

 

まあそんなことは置いといて、流石にそろそろ背骨がヤバい……さっきから骨がミシミシ鳴ってるし、内臓が圧迫されて口から色々なものがまろび出そう。

 

「う、歌姫さーん……そろそろ限界っス……死ぬ……このままじゃ本当に死んじゃう……」

 

「死ぬなんて軽々しく言うんじゃないわよこの馬鹿ああああ!!」ボキッ!!

 

「ぎゃああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に死ぬかと思ったっス……」

 

あの後、ちゃんと甚爾さんに救出されました。出来れば骨が逝く前に助けて欲しかったですチクショウ。

 

まあ何はともあれ、無事?に歌姫先輩から逃げ出せた俺は、弟子である順平さんと共に、甚爾さんに連れられ高専内の案内をされていたのだが……

 

「あの〜……甚爾さ〜ん?」

 

「………」

 

さっきから甚爾さんの機嫌がすこぶる悪い。今みたいに俺の言葉なんてずっと無視だし、目なんてさっき人殺した?って思うくらいには据わっている。というか殺したよね?だって身体から溢れんばかりに出て来てるもん。何がって?殺気だよ!!

 

甚爾さんは比較的口数が少ない方なのは知っていたが、ここまで喋らないのは見たことがない……というか、俺が死ぬまでは、結構恵さんや津美紀さん、奥さんの惚気話を聞かされたりもした。

 

そんな甚爾さんがここまでブチギレている理由……まさか

 

「まさか甚爾さん……アタシが死んだこと怒ってます?」

 

「…………チッ、やっと気付きやがったか。このガキ。」

 

……マジか。

 

いや本当に吃驚したわ。だって甚爾さんよ?家族以外の生死とかあんまし興味無さそうじゃん。まさか俺が死んだことに怒ってるとは思わないじゃん。どした?俺の居ない間に変な術式にあてられたか?

 

「どうした?呆けた面して……まさかお前、俺がキレてた理由、今の今まで分からなかった訳じゃねえよな?」

 

「す、すみません……だって甚爾さん、家族以外の人間とかあんまり興味持たなそうじゃないスか。ですから、アタシが何処で死のうが、「ああ死にやがったかあのガキ。」程度にしか思わないものかと。」

 

「…………お前、それ本気で言ってんのか?」

 

「ええ……まあ、少なくともアタシの存在は、呪術界では汚点扱いでしたからね。居なくなって清々する方が殆どだと思ってましたし。」

 

「成る程な……お前には俺がそんな奴に見えていた……と。」

 

「いえ、そういうことでは無いんスけど、少なくとも甚爾さんにとってアタシの死はそこまで大したものじゃないと思ってましたので……」

 

「…………」

 

「……あれ?どうしたんスか甚爾さん……ていうか、何で遊雲取り出してるんです?」

 

わあ〜すっごく速く振り回してますわ〜……ブルースリー顔負けのヌンチャクテクですわ〜……おそろしく速いヌンチャク捌き……俺でなきゃ見逃しちゃうね。

 

「安心しろクソガキ。よく言うだろ?調子の悪いもんは、叩けば直るって。」

 

「それで直るのは一昔前のテレビっス!アタシ人間っ!!それに甚爾さんに殴られたら脳天カチ割れ待ったなしっス!!」

 

駄目だこの人話通じねえ!!てか建人さん然り甚爾さん然り、何で俺の周りのゴリラはこうも会話が通じねえんだ!!さてはあれだな!?筋肉付ける過程で脳まで筋肉になったんだな!?

 

「流石に脳までは筋トレ出来ねえだろ。」

 

「普通に心を読まないで欲しいっス!!甚爾さんいつの間に術式覚えたんスか!?」

 

「覚えるもクソも、俺に呪力ねえの知ってんだろ?」

 

「知ってますけど!!」

 

「それじゃ会話は終わりだ。問答無用っ!!」

 

「いやさっきから会話になってな……ブベラッ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い目に遭ったっス……」

 

フィジカルギフテッドゴリラの遊雲は、本当に脳天カチ割れます……覚えて良かった反転術式。

 

まあそれはさておき、俺は今何処に居るでしょ〜か?

 

正解は……此処で〜っす!此処此処っ!!

 

正解は〜……

 

「あら〜……どうやら部屋を間違えちゃったみたいっスね……すみませんっス!」

 

京都校の控え室でした〜!!……て、あれ?何で皆さん固まってらっしゃるの?

 

「藍染喜助っ……!!」

 

「あっ、楽巌寺先生じゃないっスか。聞きましたよ〜。学長になられたんっスね。おめでとうございます。さっきは挨拶出来ず申し訳無いっス。」

 

「あ、ああ……お主も息災で何よりじゃ……」

 

「ありがとうございます。まあ、蘇ったのはつい最近のことなんスけどね。」

 

あれ?空気が凍ったぞ?今のは渾身のブラックジョークだったんだけどな〜?ブラック過ぎて笑えない?ハッハッハ、またまた〜……いやマジでごめんなさい。謝るから甚爾さんは遊雲しまって?今度それ食らったら本当に死んじゃうから……真依さんもそんなウルウルしないで?ほら、京都の人達殺気立ってますやん。

 

……それにしても、さっきから京都校の皆さん、えげつないくらい警戒してらっしゃる。俺なんかしたか?もしかして俺、東京校のスパイか何かだと思われてます?今ん所俺、東京校の生徒でも京都校の生徒でも無いよ?それとも俺に聞かれたら不味い話でもやってた?夏油さんも此処に居ないし……ああもしかしてあれか?いやもしかしてじゃなくて、原作通りで行ったら間違い無くあの話だろうな。

 

「それにしてもどうしました?皆さん畏まっちゃて。何か……アタシ達に聞かれたら不味い話でもしてました?」

 

「っ……」

 

おっ、やっぱ図星だったか。てか、隠すならもう少し上手く隠せよ。そんなに動揺しちゃ隠せるもんも隠せんて。

 

「あら、どうやら図星だったみたいっスね?」

 

「……そうだったとすれば、お主は儂等をどうするつもりじゃ?」

 

楽巌寺先生が俺を睨んだ。ウケる。敵意満々じゃん。

 

「心配しなくても、どうするつもりも無いっスよ。アタシにアナタ方をどうにかする程の力はもうありません。」

 

「特級呪術師がよく言う。」

 

「もう過去の話っスよ。評価も実力も、時間が経てば移り変わります。今のアタシは、特級呪術師だった男でも無く、藍染惣右介の息子であった男でも無く、只のしがない高専生っスよ。」

 

「…………そうであったな。お主は、そういう男だった。」

 

「アタシが言いたいのはそれだけっス。それじゃあ失礼するっスよ。」

 

「待て……藍染喜助。本当にお主が言いたいことはそれだけなのか?」

 

……は〜、折角見逃そうとしたのに、あんたがそれ聞いちゃう?もしかして死に急ぎ野郎です?楽巌寺先生の声優さん死に急ぎ野郎です?

 

そんなことする訳無いじゃん。あっ、勿論怒ってるよ?なんなら激おこだよ?だけどさ、大切な妹が居る前でキレ散らかす訳無いじゃん。もう泣かせたく無いの。俺のメンタル豆腐なんだよ。今度泣かれたりしたら俺まで泣いちゃうぞ?舐めんなよ?

 

……それに、俺は知ってるからな。虎杖悠仁(主人公)は、そんな簡単に殺られるような男じゃないって。

 

「勿論、アタシの言いたいことはこれだけです……ああ、でも楽巌寺先生、これだけは覚えておいて下さい。」

 

「あまり、彼を学生だからといって舐めない方が良い。器であろうが無かろうが、彼は強い。それはアタシが保証します。」

 

楽巌寺先生が顔を顰めた。そんな顔も出来るんだな爺ちゃん。さてと、言いたいことも言えたし、そろそろ戻りますか……あっ、忘れてた。

 

「そういえば真依さん。」

 

「えっ、な、何……兄さん。」

 

「言い忘れてましたが、その髪飾り付けててくれてたんスね……似合ってますよ。」

 

「っ……!!あっ、ありがとう。」

 

そう言って真依さんがフワリと笑った……やっぱり真依さんは自慢の妹だ……勿論真希さんもだけど。

 

言いたいことは言えた。見たいものも見れた。後は悠仁さんを信じるだけだ。大丈夫、彼は強い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、彼をあのまま行かせても良かったのですか?」

 

「しょうがないじゃろう。奴とやり合っても、被害を受けるのは此方側。何のメリットもありはせん。」

 

「しかし、此方には東堂と真依がいるのですよ?此方が負けることなんて……」

 

「あら?私に兄さんを殺せって言ってるのかしら?そんなこと可能であっても絶対にごめんだわ。」

 

「真依……お前何を言ってるのか分かっているのか。」

 

「貴方こそ、何を言ってるのか分かってる?私にとって、兄さんは恩人であって恩師であって家族よ。あんまり巫山戯たこと言ってると……潰すわよ。」

 

「っ……!!」

 

「そっ、そんなことよりっ!真依のお兄さんって藍染喜助だったんですね!!」

 

「ええ、言って無かったかしら?」

 

「言ってませんよ!教えてくれても良いじゃないですか〜!!」

 

「教えたとして、貴方一体何するつもりだったのよ。」

 

「当然、サインを貰いたいです。あわよくばツーショットも。」

 

「……は?」

 

「私、小さい頃から藍染喜助に憧れてて……さっきも突然の生藍染に緊張しちゃって何も話せなかったですし……」

 

「…………霞。」

 

「へ?何ですか?」

 

「貴方のこと……今度からソウルメイトって呼んでも良いかしら?」

 

「どうしたんですか急に!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京都校の控え室を後にしていると、順平くんが若干キレてますといった様子で、俺に質問を投げかけた。

 

「あの……喜助さん……」

 

「ん?どうしたっスか順平さん。」

 

「さっきの……大丈夫だったんですか?あの人達、悠仁を殺そうとしてたんですよね?」

 

「ええ、そうですね。」

 

「だったら、何故止めなかったんですか。」

 

……まあ、それを聞いて来るだろうな。吉野順平にとって、虎杖悠仁は親友であり理解者だ。そんな人間を理不尽に殺そう話し合っている場に遭遇し、それを放置したんだ。そりゃあキレるわ。

 

「……順平さんは、アタシに止めて欲しかったのですか?」

 

「…………はい。」

 

まあそうだろうな。俺も順平くんの立場だったらそう思うわ。

 

「……まあ確かに、あの時あの場で、アタシが彼等を止めることは容易でしたでしょう。」

 

「っ!だったら!!」

 

順平くんが声を荒げる。確かに(藍染喜助)がやろうと思えば、あの程度の浅知恵を止めるなんて訳ないだろう……だけどそれじゃあ

 

「ですが……それでは彼は成長しない。」

 

「なっ!?」

 

虎杖悠仁は主人公だ。こんな腐った世界に運悪く産まれ落ちた分不相応な主人公だ。きっと作品さえ違ければ、彼は真っ当な学生として天寿を全う出来た筈だ。

 

彼は産まれて来る世界を間違えた。生きるべき世を間違えた。だけど、彼はそんな残酷な世界で生きているんだ。生きなければならないんだ。

 

だからこそ彼は、強くならなければならない。

 

「良いですか順平さん、呪術師というものは、いつも死が隣合わせに立っています。両面宿儺の器となった彼は尚更です。今日護っても明日、明日護っても明後日……アタシも五条さんも夏油さんも、何時如何なる時も側に居ることなんて出来ない。だからこそ、悠仁さんには強くなって貰わないと困るんですよ。」

 

彼は言った。正しい死に方をしたいと。この世界において弱者には、そんな選択すらも許されない。

 

「でも……」

 

「分かってますよ順平さん。確かに、彼には死んで欲しく無いっスよね?」

 

「……はい。悠仁は善人だから……僕に出来た初めての友達だから。」

 

順平くんの言葉に、俺は頬を緩ませた。友達だから救う。善人だから救いたい。こんな腐った世界でも、そんな感情は眩しく暖かい。

 

「なら順平さん、強くなりなさい。強くなって悠仁さんを護り護られなさい。強者には、その選択が出来ます。」

 

「……はい。指導の程、宜しくお願いします。師匠。」

 

「……やっぱり順平さん、アタシのこと師匠って言うの止めません?」

 

「嫌です。これが今の僕が師匠に出来る唯一の嫌がらせなんで。」

 

「……そうっスか。」

 

やっぱてめえさっきのこと引き摺ってんな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ、それにしてもやっぱり嬉しいものですね〜。」

 

「?何がですか?」

 

「ん?いや、真依さんと真希さんのことっス。」

 

「だから何がです?」

 

「遺した物を使ってくれてたことっスよ。いやあ〜、これは交流戦も面白いことになりそうっスねえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの〜……五条さんに夏油さん?」

 

「ん?どうしたの喜助?」

 

「どうかしたのかな?」

 

「何でアタシが此処に座ってるんでしょう?」

 

どもども、さっきの一悶着が終わって交流戦を観るために戻って来たは良いんだけど最強'sの間に挟まれるように座らされた藍染喜助です。

 

正直な話、今すぐに此処から抜け出したい。もうね?圧が凄いのよ。圧が。お二人共、ご自分の顔面偏差値の高さ分かってる?国宝級よ?そんな二人の間に座るなんて前世インキャの俺からすると地獄なんだわ。

 

「別に良いじゃ〜ん!!僕達最強に挟まれるなんて滅多に無いことだよ?それに、特級三人が同じ画面に収まるなんて、それこそ滅多に無いことだよ。」

 

「悟の言う通りだよ喜助……それとも、やはり私達のことは許せないかい?」

 

おいこら、此処ぞとばかりにしょんぼりすんな似非僧侶。てめえさては自分の顔面偏差値の高さ理解してやってんな?本当にやめてくれ。じゃねえと俺がお前を推しとしている奴らに八つ裂きにされんだよ!!

 

「いや、そういう訳じゃ無いんスけど……」

 

あっ、勘違いしないで欲しいけど、俺は五条達を嫌ってる訳じゃないんだよ?だってこいつらも噂に振り回された被害者な訳だし。だけどさ、やっぱり気まずいじゃん?だって学生の時、五条達と喋ったことなんて殆ど無かったし、話し掛けても帰って来るのは舌打ちか冷たい視線だったし。だからまあ、嫌いというよりかは慣れないといった感じだ。

 

そんなことを考えていた俺だったが、そこでふと気が付いた。

 

あれ?何か空気重くね……と。

 

「あら?皆さん一体どうしたんスか?」

 

「「ちょっと今自分の罪の重さを悔い改めてるところ。」」

 

そう言って両手で顔を覆い下を向く五条に、同じく両手で顔を覆って天を見上げる夏油。

 

……まさか

 

「もしかして……アタシ口に出してました?」

 

「「もうバッチリと……」」

 

……マジか〜〜〜。出ちゃってたか〜〜〜。最近気が付いたけど、この身体は、偶に心の声というものが漏れてしまう。これも浦原喜助のせいですか?俺への嫌がらせのつもりですか?

 

「えーと……一応聞いておきますが、何処から聞いてました?」

 

「……学生の時、五条さん達と喋ったことなんて殆ど無かったですしから……」

 

最強らしく無いか細い声で、五条は答えた。良かった。一応話し方は喜助さんだったのね……いや良くねえわ。全くもって良くねえわ。どうすんだこの空気。重てえわとてつもなく重てえわ。

 

「ああいや……すみません。不快な思いをさせてしまって……」

 

「いや……気にしないでくれ……元はと言えばその原因を作った私達が悪いんだ。」

 

「いやいや、本当に気にしないで下さいっス。先程も言ったと思いますが、あの件の本当の元凶は、アタシの父親と噂を流した上層部にあるんスから。」

 

あっ、今度は楽巌寺先生が崩れ落ちた。

 

「あの頃の五条さん達はまだ学生っス。社会も汚い腹積りも知らない子供だったんっスよ?」

 

何時の世も、社会というものは噂によって回ってる。俺の前世だってそうだ。信憑性の無い噂を信じ、噂によって振り回され、そうやって社会や世論は成り立っていた。どれだけ捻くれた子供だって、大人がそうだと言えば少なからずとも信じてしまう。

 

噂とはそういうものだ。そして何時だって、そういう噂に惑わされる子供はいるものだ。

 

「それに、昔は険悪だったかもしれませんが、今はこうやって皆さんとお話しが出来てるんですから。アタシにはそれで充分っスよ。」

 

「「喜助……」」

 

我ながら小っ恥ずかしいこと言ったな……あれ?

 

「どうして五条さん達、蹲ってるんスか?」

 

「いや……僕達ってこんな良い子を蔑ろにしてたんだなと……」

 

「喜助って……こんなにも良い子だったのか……」

 

「ええ……本当どうしたんスか……」

 

「ほっとけそんな馬鹿共。」

 

「そうよ。そんなクズ二人、気にするだけ時間の無駄よ……そんなことより喜助、貴方京都校に来ない?」

 

項垂れる最強二人に、それを貶す甚爾さん。同じく二人を貶しながら俺を京都校に勧誘する歌姫さん。これをカオスと言わず何と言う。

 

「フフフ……全く、君は相変わらず面白い男だね。」

 

「冥さん、笑ってないで助けて欲しいっス……」

 

俺は愉快そうに笑っている冥冥さんに助けを求めたが、どうやらそれも叶いそうも無い。ついでに言うと俺と冥冥さんの仲は十年前から比較的良好だったりする。言ってしまえば商売関係ではあるものの、金銭至上主義な彼女の存在は俺からすると凄くありがたいものだった。

 

「いやすまない。こんな光景、前の君からは想像出来なかったのでね。遅れてしまったが、戻って来てくれて私も嬉しいよ。」

 

「ありがとうございます冥さん。アタシも、これから頼りにさせて貰うっスよ。」

 

「それは嬉しいね。折角誤解が解けて皆からの信頼を得たのに、まだ私を頼ってくれるのかい?」

 

「いえいえ、確かに皆さんへの誤解が解けたことは嬉しいっスけど……アタシとしてはやっぱり、冥さんに依頼するのが一番落ち着くので。」

 

「おや、もしかして口説いているのかい?」

 

「まさか、アタシにそんな度胸は無いっスよ。ただ事実を述べただけっス。」

 

「フフ、まあそういうことにしておこう。」

 

ん?何か揶揄われた気がするぞ?……てか、何で皆さんこっち見てんの?

 

「ねえ傑……喜助ってもしかしてたらしだったりすんの?」

 

「さあ……何せ私達は碌に喜助と会話していなかったからね……意外な発見だよ。」

 

「いや、あいつは昔からこうだったわよ?私の時だって……」

 

「皆さ〜ん、聞こえてるっスよ〜。」

 

皆して俺を女たらしみたいに言うんじゃない。こんな美人にナンパ出来るんだったら、前世の俺にだって彼女がいたかもだろうが。インキャ舐めんじゃねえぞ?

 

「あはは〜メンゴメンゴ。まあ、喜助がたらしなのは置いといて、そろそろ交流会始まるから皆席に着こうよ。」

 

「いやですから」

 

「それもそうだね。喜助がたらしなのは意外だったけど、今は教え子達の成長を見守るとしようか。」

 

「あの話を……」

 

「悔しいけど、クズ共の言う通りね。ほら喜助(たらし)も早く席に着きなさい。」

 

「歌姫先輩もアタシの名前にルビでたらしを入れないで欲しいっス……」

 

「こればかりは君が悪いよ。ほら可愛い弟子と試合を観戦するといい……金蔓。」

 

「冥さんは少しオブラートに包んで欲しいっス!!」

 

本当に呪術師って奴は碌な奴がいねえ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……とまあ、なんやかんやで時間は進み、気が付けば試合開始一分前、俺は先程と同じポジションに座らされ、隣で生徒達にアナウンスする五条の言葉を聞きつつ、これから起こるであろうことに備えていた。

 

『それじゃあ開始二分前でーす。ではここで喜助と歌姫先生からありがたーい激励のお言葉を頂きます。』

 

「はあ!?」

 

「はあ……やっぱりこうなったっスか……」

 

分かってたよ、こうなるってことは。此処に戻って来てから何かとイジられキャラ的なポジションに収まりつつあったからな。

 

「あれ?もしかして喜助、予想してたの?」

 

「まあ、此処に戻って来てからの五条さんを見てたら、こうなるってことは予想は出来てましたので。」

 

「さっすが喜助、じゃあそんな喜助から、皆に気合いの入る一言を!!」

 

「そんなにハードル上げないで欲しいっス……まあ、真剣勝負と言っても、これは学園行事……皆さん大怪我だけは気を付けて下さい。何事も身体が資本っス……それに、皆さんが怪我するとアタシも悲しいので。」

 

我ながら捻りの無い台詞だな……あれ?何で皆さんそんなにボルテージ上がってんの?

 

「……本当に、そういうところがたらしなんだよ喜助。」

 

「えっ!?何のことっスか!?」

 

「無自覚なのが余計タチが悪いよ。」

 

「えっ!?」

 

「さてっ!!たらしの喜助は置いといて、次は歌姫先生からのお言葉で〜すっ!!」

 

「はっ!?私この後に言うの!?え……えーっと……あー……ある程度の怪我は仕方が無いですが……そのぉ……時々は助け合い的なアレが……」

 

「時間でーす。」

 

「ちょっ五条っ!!アンタねえ!!」

 

「それでは姉妹校交流会スタァートォ!!」

 

「先輩を敬えっ!!」

 

「五条さん……アナタ少しは歌姫先輩に優しくしましょうよ……」

 

「喜助え……っ!!貴方はこんな人間になったらだめだからね!!」

 

「あー……頑張ってはみるっス……」

 

そう言って、俺は抱きついて来る歌姫先輩を撫でる。正直役得だと思ってますよ……はい。

 

「あっ、言い忘れてたけど、優勝チームのMVPには三日間喜助を好きに出来る権利をあげるから頑張ってね〜。」

 

「ちょっと待って下さい?」

 

チョットナニイッテルカワカンナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜一方その頃各チームのスタート地点〜

 

『あっ、言い忘れてたけど、優勝チームのMVPには三日間喜助を好きに出来る権利をあげるから頑張ってね〜。』

 

「よしお前ら事情が変わった。死ぬ気でやれ。特に悠仁、お前は絶対に東堂を潰せ。生死は問わねえ。負けたら殺す。いいな?」

 

「えっ!?真希先輩さっきと言ってること違うんですけど!?」

 

「ああ……やっぱりこうなったか……」

 

「しゃけ……」

 

「うるせえよ。おい恵、お前もだ。」

 

「分かってますよ……てか真希さん、相手譲って下さい。真依さん倒せば真希さんがMVP取るの確実じゃないですか。」

 

「はっ!嫌だね。言ったじゃねえか。真依を倒せるのは私だけだし、私を倒せるのも真依だけだってな。」

 

「まあ……それもそうですけど……」

 

「女々しいわよ伏黒。真希さんがこう言ってるんだから死ぬ気で殺るわよ。あーあ、真希さんと真依さんが戦ってるところ見たかったな〜。」

 

「あの〜釘崎?」

 

「あ?何よ虎杖。」

 

「その真依さんって、真希先輩の姉妹か何か?」

 

「何当たり前なこと聞いてんのよ。当然じゃない。」

 

「へ〜、強いの?」

 

「当然。それに良い人よ?前にこっち来た時だって、どっかの馬鹿が死んで落ち込んでる私達を励ましてくれたし。」

 

「それは本当にごめんなさい……」

 

「うっせえぞ野薔薇に悠仁。」

 

「「うっす!!すみません!!」」

 

「良い機会だ悠仁。お前にも教えといてやるよ。真依はな……」

 

 

 

 

 

 

「今の放送聞いたわね?死ぬ気で働きなさい貴方達。」

 

「えっ!?急にどうしたの真依!?さっきまで乗り気じゃ無かったのに!?」

 

「はあ……流石真依ちゃん。ブラコンここに極まれりって感じ……」

 

「だからそんなんじゃ無いっての。ただこの勝負、確実に真希が本気を出すわ。」

 

「真希って、真依のお姉さん?」

 

「ええ。」

 

「別に問題は無いだろう?彼女は四級、この中でも一番格下だ。」

 

「はあ……だから貴方は駄目なのよ加茂。」

 

「……何だと?」

 

「いい?よく聞きなさい貴方達。真希はね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今この場に居る誰よりも、特級に近い実力を持ってる奴だ。」

 

五条悟(最強)を一回殺した人間と同じ力を持った、間違い無く最強に最も近い奴よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「だからこそ、あいつを倒せるのは私しか居ねえんだよ。/居ないのよ。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて始まりましたよ交流会。やっぱり学園行事は心が踊るよね。特に娘みたいに可愛がってた妹達が活躍してると余計に。

 

ところで話が変わるが、皆さんは怪獣映画なるものを観たことはあるだろうか?怪獣vs怪獣然り、人間vs怪獣然り、あの派手な演出に胸を躍らせた人達も多いだろう。そして大人になるにつれ、派手な演出に派手な演出に胸を躍らせながらも、怪獣に壊された街やインフラの修繕費っていくら掛かるんだろうと疑問をまた始めた人達もまた少なく無い筈だ。

 

……ん?この話関係なくないってか?いや〜、関係あるんだなこれが。

 

「いや〜、真希さんも真依さんも張り切ってますねえ……ところで、これって修繕費いくら掛かるんでしょう?」

 

「やめろ喜助……考えるだけでも胃が痛くなる……」

 

「本当に……今回京都校が会場にならずに済んで良かったわい……」

 

「あー……ご愁傷様っス夜蛾先生……後で胃薬作りますね……」

 

「そうしてもらえると助かる……」

 

そう言ってお腹を摩る夜蛾先生に同情しながら画面に目を向ける。そこに映るのは、すっごく張り切っているのだろう真希さんと真依さんが辺りの木々を薙ぎ倒し焼き払う姿……これは酷い。

 

ついでに言うと、去年は乙骨さん家の里香さんが京都校の敷地の半分以上を焼き払い、それを見ていた楽巌寺先生は失神し、五条と夏油は腹を抱えて爆笑していたそうだ……だからアンタ等はもう少し年上に気を使いなさいよ……

 

……だけどまあ、

 

「やっぱり、身内の成長は嬉しいものっスねえ……」

 

「いや、成長するにも限度があるだろうこれ。喜助、一体彼女達に何をしたんだい?」

 

おいおい、何をしたとは失礼な。まるで人をマッドサイエンティストみたいに言うじゃあないか。

 

「別に、アタシは何もして無いですよ。」

 

「嘘だね。だって真希のあれは完全な天与呪縛だ。高専に入学してきた時は中途半端だったのにも関わらずに……だ。それに真依の呪力量にも疑問が残る。この呪力量、間違い無く一級……いや下手すれば特級レベルだよ。こんなこと出来るの、喜助しか居ないだろ。」

 

うわ、二人共めっちゃ睨んでくるじゃん。

 

「だから、アタシは何もしてませんよ。ただ遺しただけっス。」

 

そう、俺は何もしていない。俺はただ造り、遺しただけ……過程がどうであれ、それを実行したのは真希さんと真依さんだ。

 

「当時の真希さんと真依さんは、呪術師として生きて行くには実力不足でした。生まれながらにして厄介な縛りを付けられたせいで。」

 

同じ日に少し違う時間に産まれただけ……ただそれだけ。なのに彼女達は呪われた。強さを奪われ、家族を奪われ、生き場所を奪われた。

 

だけど彼女達は強かった。矛盾なのは分かってる。喜助らしく無いことを言ってることも分かってる。それでも、姉妹の為に強くあろうとするあの姉妹は、確かに強く尊い存在だった。

 

だから考えた。だからこそ造った。

 

遺伝子レベルが高い者限定で、呪力を譲渡することの出来る機械。

 

二人を護りたい一心で造り、遺した……二人の為だけの研究。

 

それが例え規定を犯す物であっても、それが原因で俺が命を落としたとしても……俺は、彼女達の呪いを少しでも和らげてあげたかった。

 

「双子だから忌み子だとか、双子だから弱者だとか、そんな理屈なんてクソ喰らえっス……まあ、あの時はまだ完成して無かったので、二人には場所も使い方も教えて無かったんスけど……どうやら成功したみたいっスね。良かったっス。まだ力の使い方は雑ですけど。」

 

「いや雑なんてもんじゃ無いでしょ。ちゃんと見えてる?焼け野原だよ東京校。」

 

「……まあ、それは申し訳なく思ってます。」

 

いやほんとスマンて。だから夜蛾先生も楽巌寺先生も、そんな顔すんのやめてくんない?書いてんのよ。「そういやこいつも特級だった……」……って。

 

「だってしょうがないじゃないっスか。こんな世界に身を置いてるんです。アタシの身に何かあった時に、最低限の自衛手段を遺しておきたいじゃないっスか。」

 

「これのどこが最低限なんだ……せめてもう少し控えめにも出来ただろう……」

 

「そういうものですかねえ……?」

 

「そういうものだ……」

 

「そうっスか……次からは気を付けるっス。」

 

まあ、あれは二人の為に造った物であって、これから先同じ物を造るつもりは無いけど。

 

「それにしても喜助って、本当に真希達のこと大好きだね。」

 

「そりゃあ勿論。大切な妹達ですから。」

 

「ふーん……大切な妹ねえ…………真希達かわいそ。」

 

「ん?五条さん何か言いました?」

 

俺がそう言うと、五条はふいと顔を背けた。

 

「いいや何でも。というか喜助、観なくていいの?真希達の活躍。」

 

「ああ、すみません。ちゃんと観なきゃっスね。」

 

なんか話を逸らされた気もするが、今聞くのはよそう。俺は見なければいけない。俺が居なくなった十年で、あの子達がどれだけ強くなったのかを……それがあの子達の兄であり、師匠でもある俺の役目なんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟、本当に喜助に気付かさなくても良いのかい?あの子達の気持ちを。」

 

「しょうがないじゃん。喜助の自己評価の低さは、間違いなく俺達も影響してるんだ。こればっかしは俺達が何か言う資格はないよ。」

 

「しかし……」

 

「それに面白そうじゃん?これまで初恋拗らせてきた二人が、喜助にどうやってアプローチするのか見るのも。」

 

「悟……君って奴は……」

 

「何だよ?傑だって同じだろ?」

 

「……まあ、それもそうだけど。」

 

「何かあったらすぐにアドバイスするさ。同級生だっとは言え、喜助はまだ学生で、俺達は教師だからね。」

 

「はあ……分かったよ。私も出来るだけサポートしよう。それにしても、ライバルは多そうだけど。」

 

「それも面白いじゃん。いや〜青春だねえ。」

 

「悟、君本当にそういうところが人でなしって言われるんだよ?」

 

「傑も似たようなもんだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜場面は変わり競技会場〜

 

「なあ伏黒……俺、今初めて怪獣同士の戦いで逃げ惑う人間の気持ちが分かった気がする。」

 

「お前それ真希さんの前で絶対言うなよ?」

 

まあ目の前で現在進行形で起こってる惨劇を見れば、そう思うのも無理無い……というか、口に出さないだけで俺も思ってるし……あ、また木が薙ぎ倒された。

 

こうなったのも全部五条先生のせいだ……サプライズで兄さんに激励の言葉を話させた所までは良かった。凄い良かった。そして五条先生からの無茶振りにも完璧に応える辺り流石は兄さんと思ったしやる気も出た。

 

……だけど問題はその後だ。

 

『あっ、言い忘れてたけど、優勝チームのMVPには三日間喜助を好きに出来る権利をあげるから頑張ってね〜。』

 

その放送を聞いた瞬間、真希さんの目の色が変わった。あれは捕食者の眼だった……肉食獣の眼だった……呪術師……いや人間がしていい顔じゃ無かった……多分、というか確実に真依さんも同じ顔をしてるだろう。兄さん、これ終わったら喰われるんじゃねえか……何がとは言わないが。

 

まあ何にせよ、ああなった双子を止められる奴は今この場に存在しない。つうか出来てもしない。学校の催し物で死んでたまるか。

 

俺は開始の合図が送られた瞬間、目の前の木々を木っ端微塵にしながら駆け出した真希さんを見て、改めて決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍染喜助 18歳

 

今回特に見せ場を作らなかった人であり、さらっととんでもないもん開発してくれやがった問題児。

 

元呪術高専東京校 三年生

 

階級 特級

 

術式 

鬼道呪法…破道・縛道を扱うことが出来る。詠唱を唱えることで威力や拘束力が上がる。

 

刀剣呪法…藍染家でのみ受け継がれている呪具「浅打」の能力。普段は只の日本刀の姿をしているが、解号を唱えることにより能力を発揮する。能力については持ち主の才能による。主人公の場合、これをバラして仕込み刀にした。

 

浅打…藍染家で代々受け継がれている呪具。刀は親と子に一振りずつ与えられる。何故親と子にのみ与えられるのか……それはこの家の風習によるもの。

 

さしす組の同期だったが、当時呪術師界隈で有名な、最悪の呪詛師の息子と言うことで嫌われていた。しかし、灰原の救済で後輩達からの好感度が爆アガリ。そんな矢先、最悪の呪詛師である父親が、ミミナナの件直後に襲撃、相討ち覚悟で自分諸共父親を封印した。

 

伏黒家とは、母親を呪霊から救ったことをきっかけに交流を深めた。そこから伏黒甚爾とは良く飲みに行く仲(この頃主人公中学生。)。星漿体任務の際には、甚爾に協力してもらい天内理子の死を偽装した。よく伏黒家にお邪魔しているので、伏黒恵や津美紀、ママ黒のことは親戚の様に思っている。(あながち間違ってない。)

 

視聴覚室で歌姫に泣かれた時には、あれ?もしかして心配してくれてる?と思ったが、その後に勢い余って鯖折極められ、やっぱり嫌われてるのかと見事に勘違い。この度、冥冥との会話から人誑しの称号を得た。尚、本人は解せないといった模様。

 

父親を倒す前に、これから遺してしまうだろう姉妹の為に研究し造り出した機械を置いて逝った。本人としては精一杯の善意だし、姉妹もそれに感謝しているが、周りとしてはたまったもんじゃない。今回見事に怪獣対戦が実現してしまった。本人は姉妹の成長にほっこり。周りはこれから行うであろう修理やら何やらを想像してげんなり。そういやこいつも五条と夏油と一緒(特級)だった。

 

 

 

禪院姉妹

 

今回校内を焼け野原にしたモンスターガールズ。

 

クソみたいな実家から連れ出してくれた主人公を救世主のように思っているし、主人公の実家は自分達の実家だと思っている。主人公のこと大好き。家族(意味深)として。

 

兄が見てくれているのでと気合いを入れていた所で、五条の優勝商品は兄さんだよ発言を受け、アクセル全開どころかニトロエンジン着火。この度姉妹共々仲良く肉食獣となる。

 

 

伏黒甚爾

 

妻の命を救ってくれた喜助のことは、家族の様に思っている。何なら津美紀の旦那になって欲しい。それぐらいには喜助のことを認めている。喜助が死んだことを夜蛾達に聞いた時、色んな感情がごちゃ混ぜになった。喜助が嫌われているのは知っていたが、本人からの強い希望で口は出さなかった。今となっては後悔している。喜助を嫌っていた五条達も悪いが、喜助に何もしてやれなかった自分も悪いと思っている。しかし、一番悪いのはあらぬ噂を流した上層部。理解はしているが、報告された時には殴りかかりそうになった。

交流会当日に、死んだと思ってた喜助がヘラヘラと何事も無かったように出てきたので切れた。

 

は?ああ死にやがったかあのガキ。程度にしか思わない?は?何言ってんだこのガキ?自分は呪術界の汚点?

ほー……そうかそうか。よし、取り敢えず面貸せクソガキ。

 

 

さしす組

 

うわあああああん!!喜助ごめんよおおおお!!!!

 

 

 

 

 




〜オマケ〜

五条「さあ始まりました〜!!喜助ってどんな人のコーナ〜!!」

「「「「イエーーーイ!!」」」」

喜助「まーたおかしなことを言い始めましたっスね五条さん……」

夏油「いいじゃないか喜助。皆喜助のことをよく知らないんだ。こういった場を設けるのも偶にはいいんじゃないかな?」

喜助「いえ、別に良いんですが……只、アタシのことでしたら真希さんや真依さんから聞いたんじゃ無いっスか?」

虎杖「真希さんにも聞いたけどさ、やっぱり本人に聞いた方が分かることもあんじゃん?それに俺、喜助さん?先輩?のこともっと知りたいし。ていうか、俺どっちで呼んだらいい?」

喜助「悠仁さんの呼びやすい方で良いっスよ。年齢も近いですし変に畏まれるのもむず痒いっス。」

虎杖「じゃあ喜助先輩で!!よろしくお願いします!!」

喜助「こちらこそ宜しくお願いします悠仁さん。」

虎杖「………」

喜助「あれ?どうしたっスか悠仁さん?」

虎杖「いや……喜助先輩って確か五条先生達の同級生だったっスよね?その割に常識人っていうか……」

喜助「最初の文は兎も角、そう言ってくれると嬉しいっスねえ……」

伏黒「何言ってんだ虎杖。兄さんが五条先生達みたいに幼稚なわけ無いだろ。」

真希「恵の言う通りだ悠仁。兄貴は確かに特級呪術師だが、その中でも断トツでまともな人種だぞ。」

真依「そうよ。あんまりふざけたこと言ってると……潰すわよ?」

虎杖「何を!?」

真依「ナニをよ。」

喜助「こら真依さん。女性がそんなこと言ったらいけませんよ。」

真依「………ごめんなさい。」

釘崎「真依さんがしゅんってなってる……本当にブラコンなのね……」

パンダ「まあ、真希も真依も喜助のこと大好きだからな。」

釘崎「あ〜……確かに真希さんも真依さんも、あの人の話する時すっごい乙女な顔してたわ……」

狗巻「しゃけしゃけ。」

ミミ「確かに、夏油様もカッコいいけど、喜助様も素敵だよね〜。」

ナナ「ウンウン」

五条「ちょっとちょっと〜っ!!僕達を置いて別の会話に花を咲かせないでよ〜!!」

喜助「あ、そうでした。」

五条「も〜っ!!喜助も酷いよっ!!確かに今の喜助は僕達よりも年下だけど、元は僕達の同級生でしょ?仲間外れは酷いでしょ。」

夏油「ちょっ……悟!?」

真希「は?元々兄貴をハブってたのはお前らだろ?」

真依「自分達のことは棚に上げて、よくもまあそんなこと言えたわね?」

伏黒「端的に言って……最低ですね。」

釘崎「本当にクズね。」

ミミ「死ね五条悟。」

ナナ「苦しんで死ね五条悟。」

パンダ「本当に学ばねえな……」

狗巻「しゃけ。」

虎杖「ごめん先生、こればっかしは俺もフォローし切れねえや……」

喜助「ちょ……皆さん……あんまりそういうことは……」

悟&夏油「ゴフッ……!!」

喜助「ああっ!?五条さん!?夏油さん!?大丈夫っスか!!?」

夏油「あ、ああ……大丈夫だよ……生きてて本当にごめん……」

五条「うん……僕最強だから大丈夫……ところで喜助、首くくれるくらいの紐ない?」

喜助「全然大丈夫じゃないじゃないっスか!!?」

五条「ゴフッ……という訳で、質問コーナー行ってみよう……どうぞ……」

喜助「えっ!?この状態でやるんすか!!?」

ということで質問コーナーどうぞ。







Q.朝は米派?パン派?

喜助「ん〜……基本和食好きなので、米派っスね。」

伏黒「流石に兄さんの見た目でパンはねえだろうな。」


Q.貴方は犬派?猫派?

喜助「それは勿論猫派っス。自由気ままなところが可愛いっスよね〜。」

釘崎「意外っ!真希さんの兄さんだから犬派だと思った!!」


Q.最近パンダが臭いらしいのですが、本当にそう思いますか?

喜助「何っスかこの質問?あー……パンダさん、ちょっと失礼しますね…………ん〜、別にそんなこと無いと思いますよ?天日干ししたお布団みたいな感じっス。」

パンダ「喜助〜っ!!俺お前大好きだ〜っ!!」


Q.それでは最後の質問です。

喜助「あれ?意外に少なかったっスね?」

Q.まあ文字数的に、もうあまり余裕無いんで。

喜助「急にメタっスね……」

Q.それに作者もこれ以上ネタ出ないって言ってるんで……

喜助「それ以上はいけない。」

Q.兎も角、最後の質問です。

喜助「分かりましたんで、早くしてほしいっス。」

Q.好きな女性のタイプは?

喜助「…………はい?」

Q.好きな女性のタイプは?

喜助「いや、2回も言わなくても良いですよ……そうっスねえ……まあ、強いて言えば、勝ち気で自分を曲げない人っスかねえ……あ、身長は高めが良いっスねえ。」

真希(私だな。)

真依(私のことね。)

伏黒(義兄さん……もしかして津美紀のことを?)

喜助「あれ?どうしたんっスか?ちょっと目が怖いっスよ?」








やめて!!

真依さんの術式で森林を焼き払われたら闇のゲーム(後々の請求される修繕費)で学園の懐事情と繋がってる夜蛾学長の胃に穴が空いちゃう!!

お願い負けないで夜蛾学長!!

貴方が今ここで倒れたら残された問題児達(五条、夏油)はどうすれば良いの!?

敷地はまだ残ってる!!

次の真希さんの出番を耐えれば修繕費を抑えることが出来るんだから!!

次回「夜蛾学長死す」



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