メカ丸に転生した……   作:SK-ピズム

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前に感想の返信で、「帳があるから、メカ丸の操作が〜」と書いたのですが、よくよく考えてみたら、任務行うには帷の外からの操作が必須条件なわけで、「帷内でも別にメカ丸の操作は問題ないのか」という結論に至りました、作者です。

遅くなりました。諸事情が色々と重なったこともあり、筆が進みませんでした……。それに伴って、不定期更新タグをつけました。
こんな作者ですが、今後ともよろしくお願いします。

第五話、オリキャラ注意です。





第伍話:初陣(前)

 

 

 

2011年 ◯月◯日 曇り

 

今日の出来事。

 

 特級術師になれるかもしれないと気づいてから1日が経った。

 

 1日経つと、「自分ならなっちゃうかも」から「そんな訳ないか」に変化した。ニヒリズム気質があるのかな、俺は。

 

 

 ていうか、そもそも俺は()()()()()()

 俺の場合、なったところで技術を根こそぎ奪われて処刑されるか、俺自身が技術生産の傀儡になるだけだ。俺はニヒリズムではあるかもしれないが、マゾヒズムの気質はないので、そんなF○teの封印指定紛いな状態になるのは御免だ。

 

 とりあえず、現状はあちら側が把握するまでは放置、ということにして置こうと思う。

 

 夜蛾さんに関しては、少しでもマシな吉報を待つしかないだろう。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

2011年 ◯月◯日 晴れ

 

今日の出来事。

 

 夜蛾さんが普通に解放された。マジかよ。

 

 概要を聞いたところ元々は無期限拘束のはずだったが、聞き取り調査の結果、釈放する事態に至ったのだという。

 夜蛾さんの言い分曰く、「完全自立型呪骸が生まれたのは全くの偶然であり、製造法は不明である」とのこと。聞き取りを担当した楽巌寺さんがそれを上層部に報告し、上層部は協議の結果、生まれた完全自立型呪骸を『突然変異呪骸』と定め、夜蛾さんは不問となったそうな。

 

 正直かなり驚いた。楽巌寺さんの言い方から処刑される、もしくは生きてても二度と日の目を見れないんじゃないかと思ってた。

 

 ……しかし、良いことを知った。

 俺はてっきり特級になったら問答無用で拘束&処刑だと思っていたが、どうやらある程度は言い分を聞いてもらえるらしい。

 

 上層部に協力する姿勢を見せるor特級に認定された理由を否認する、か。

 メカ丸の量産が万一にでもバレた場合は後者を取るしかないだろうけど、一つ逃げ道ができたと考えれば良い方だろう。

 

 ありがとう、夜蛾さん。貴方はいつも道を示してくれる……。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

2011年 ◯月◯日 晴れ

 

今日の出来事。

 

 明日は初任務だ。そう、初任務である。

 ついにやってきたんだよ! 初任務が!!

 

 ……緊張してるのかな、俺。いつにも増してテンションが高い気がする……。

 

 

 今までは修練との名の下に、2〜3級の飼い慣らされた呪霊相手にメカ丸を運用するだけだった。勿論、それだけでも十分に得難い体験だった。

 だけど、どうせならもっと実戦での経験を積めるだけ積んでおきたい。呪術師の死亡率が高いこの呪術界において、経験を積む、というのは天性の才能と同等かそれ以上に価値のあることだと思っている。「早めに始める、というのはそれだけで一つの大きなアドバンテージを得られる」って、前世に読んだ本に書いてあった気がする。

 

 という訳で、楽巌寺さんに直談判を(メカ丸で)しに行ったところ、以外にも簡単にOKをもらえた。俺、意外と説得の才能が高い!?

 

 ……ってそんな訳ないか。単純にあちら方も同じように、そろそろ経験を積ませよう、とでも思っていたのだろう。

 後継者問題が話題に上がるくらいだ。早期からの育成は間違いなく上層部も考えているだろう。

 

 傀儡操術は「術師が死ぬリスクがない」という、とても呪術師初心者にも優しい仕様なので、危険性は殆ど無いが……結構緊張する。いきなりミスかましたりしないかなぁ……。

 

 

 平常心。平常心だ、幸吉。メカ丸の性能は楽巖寺さんのお墨付きだ。余程のことがなければ大丈夫。

 

 落ち着くんだ。素数を数えて落ち着くんだ……。

 「素数」は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……俺に勇気を(きっと)与えてくれる。どっかの神父様もそう言ってた。

 1…3…5…7…9…11…13…17…19…23…28、いや違う29だ。29…31…37……41…………

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

「今日はえらく無口だの、与」

 

『まア、初任務だからナ。多少は緊張もすル』

 

 

 事前に定められた場所、集合時間に現れたのは楽巖寺さんだった。

 

 呪術師は特級以外に、呪霊と同じく1級〜4級までの等級に区分されている。各等級ごとに昇級のための条件があり、その条件を満たせば昇級が可能で、2級術師からは単独での任務が許可されるようになる。

 俺はまだ高専に入学してすらいないので、等級を得ていない状態での任務だ。つまり、最下級の4級として扱われている。同行者が必要だ。

 

 だが、こういうのを行うのは楽巖寺さんの役目ではない。

 

 

(こういうのはOBか高専の担任が行うものだと聞いた。つまり、他に同行者がいるということだが、周囲にはだれも……)

 

「すいませ〜ん、遅れました〜!!」

 

 

 傀儡越しに楽巖寺さんを見ていると、画角の外から声がした。

 

 声の方に視線を向けると、こちらに走って来るスーツ姿の茶色の短髪が印象的な女性が見えた。

 

 

「遅いぞ、藤井! 相変わらずお前は時間が守れんな……」

 

「すいませんって、学長………あ。あなたが資料にあった…………えーっと、究極(アルティメット)メカ丸、さんですね?」

 

『あア、そうダ。今日はよろしク』

 

「2級術師の藤井(ふじい) (つぐみ)です! よろしく、です!」

 

 

 藤井さんに手を差し伸べられて、俺も傀儡の手を差し伸べる。

 

 

 第一印象として思ったのは、随分と軽い女性(ひと)だな、ということ。

 楽巖寺さんと親しくしていることから、高専のOBなのだろうが……呪術師とは思えない気楽さだ。

 

 いや、ブラックな職業環境だからな……あれくらい気楽じゃ無いとやっていけないのかもしれない……。

 

 

「与、お前は藤井(こやつ)の任務に同行する。体験版、というやつだ。藤井は実力()()は上位のものだ。……呪術師のなんたるかを学んで来るがいい」

 

「え〜酷いな〜。しっかり先輩として人間的にも良いとこ見せますよ!」

 

 

 「えいえいおー」とポーズを気合をかけている藤井を見て、「少なくとも性格に関しては、一般的な呪術師とかけ離れ過ぎているのでは……」と心配になった幸吉であった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「え〜!! じゃあ、メカ丸は自立型のロボットとかじゃなくて、傀儡だったんですね!?」

 

『いヤ、逆になんでロボットだと思ったんダ……』

 

 

 楽巖寺さんと離れてから目的地までの補助監督の車の中で、藤井さんと雑談を交わしていた。

 

 

「だって、最近話題になったじゃないですか、東京の夜蛾さんが作った自立型呪骸!! あれに感銘を受けて、『自分も作ってみるぞー!!』なんて思って、自立型の傀儡を作った呪術師がいてもおかしくないと思いません!? ロボットの軍隊なんて、ロマンありますし!」

 

『……それは確かに、そうだナ』

 

「ですよね!? ……それにしても天与呪縛ですか……十年もそんな……。私は話に聞くだけだったのですが、大変ですね……。何か私に手伝えることがあれば、いくらでも言ってください。こう見えて私、お金持ちなんですよ!!」

 

 

 ……話してて分かったことだが、藤井さんは距離感がバグってる。俺が傀儡でよかった。本当に。

 乗る前は「メカ丸さん」だったのに、今は「メカ丸」呼びだ。

 しかも、この人、時折こっちに、その筆舌に尽くしがたい行為を行なってきてる気がする。主に胸を押し付ける的な意味で。

 

 こんなの男子には刺激が強過ぎます!! いけません! ご禁制です!!

 

 …………ちくしょう……これが生身だったら…………ちくしょう…………。

 

 

「着きましたよ」

 

「どもです! さあメカ丸!! 行きますよ!!」

 

『あア』

 

 

 そうこうしている内に目的地についたようだ。

 

 今回の目的は、小学校に蔓延る呪霊の一掃。「窓」の報告では二級相当も確認されているとのこと。

 俺の仕事は「4級以下の蝿頭(ようとう)の殲滅。及び2級術師・藤井鶫のバックアップ」だ。

 

 

「 闇より出でて闇より黒く、その汚れを禊ぎ祓え 」

 

 

 俺たちが正門に入ると、後ろでここまで送ってくれた補助監督の方が「帳」を降ろす。

 降り始めると共に、周囲が暗くなり、降り切ると同時に、昼間の学校は夜の学校へと早変わり。

 

 「帳」というのは結界術の一種で、外から見えなくし、呪いを炙り出す効果を持つ。

 非術師には呪霊は見えない。目に見えないものへの脅威というのは、必然的に恐怖になり得る。一般人が抱く恐怖はそれだけで呪いの糧になる。それを防ぐために、呪霊退治には「帳」を卸すことが必須事項なのだ。

 

 

「さっそくお出ましですね。行けますか?」

 

 

 藤井の言葉に前を見ると、魚の集団の様な大量の蝿頭がこちらへ向かってくるのが見えた。

 

 

『問題なイ。少し離れていてくレ』

 

 

 メカ丸の左手に意識を向け、目標へ掌を突き出す。

 余った手で腕を固定し、衝撃用の体勢を取る。

 

 

大祓砲(ウルトラキャノン)!!』

 

 

 瞬間、左掌から放たれたビーム砲が広範囲を光に包んだ。







藤井 鶫(ふじい つぐみ)
 2級術師。焦茶色の長髪と黄白色の肌、前髪が特徴的な女性。スレンダーで胸はそこそこ。この時点で高専は卒業済み。
 自他と認める一般人的な感性を持つ術師だが、一般人上りの術師ではなく、呪術師の家系の出身。術式アリ。
 趣味は「読書(サブカルが中心)」と「貯金」。好きな食べ物は「甘いもの(洋菓子)」。嫌いな食べ物は「酒」。最近のストレスは「先輩の酒癖の悪さ」。
 実力自体は準一級レベルだが、本人の「死にたくないから」という理由で推薦を悉く断っている。


基本情報はこんな感じです。明るい感じの人を作りたかったんです……。
ヒロインではないです。女性要素を少しでも入れたかった作者の願望の結果と思っておいてください。


次回は作者の最も苦手とする戦闘シーンです。
できるだけ頑張りますが、「なんかこうした方がいいんじゃない」とかアドバイスがあれば、是非感想に書いていただけるとありがたいです。(次回がいつになるかは分かりませんが……)


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