メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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メガネがガオーン 11

 有里彩達がボーダー本部に連行された次の日。ボーダーとの対談の正式な日取りが決まっていない。

 こういう時は船長か船長代理が動いてくれればいいんだが、あの2人は今向こうの世界の何処かの国で色々と遊んでいる……トジルギアに閉じ込めたり色々とやっているんだろうな。ホントに厄介な事になってしまったと思いつつも渡せる事が出来る情報なんかをピックアップしておく。こういうのオレの専門外なんだけどな……。

 

「よぅ、来たか」

 

 パソコンをカタカタと弄り、渡す事が出来る情報等を纏めているとアパートのインターホンが鳴った。

 アパートの玄関のドアを開けば修と遊真と……なんだかんだでコレが初顔合わせになる雨取千佳が居た。取り敢えずは上がってくれと上がってもらおうとするのだが違和感を感じる…………。

 

「有里彩」

 

「はい」

 

「え!?」

 

「ちょっと気になるから見てこい」

 

「了解しました」

 

 何処からともなく現れる有里彩に千佳は驚く。

 こういうことになるのは当然かと言われれば当然かもしれねえけど……一歩間違えたらストーカーだぞ。

 

「あ、あのっ……有里彩さん、何処から現れたんですか?」

 

「お前が見えないだけで有里彩は割と直ぐ側に居るんだよ……にしてもまぁ、面倒な事を持ち込みやがって」

 

「あいつらの事か?」

 

「あいつら……空閑、なんの事だ?」

 

「今朝からおれの事をずっと監視してるボーダーの隊員が居るんだよ」

 

「なっ!?」

 

「昨日、紅き界賊団と話し合いの場を設ける約束はしたけどもおれの処遇についてはなんも話し合わなかったからな……要注意人物として見られてるんだろ」

 

「そんな、空閑は悪い奴じゃ」

 

「修、空閑が悪い奴云々じゃない。向こうの世界からやって来た人間だから敵だと……人種差別レベルでの敵意を向こうは抱いている……全ては戦争の憎しみの連鎖によってな」

 

 修は遊真が悪い奴じゃないと主張するが、向こうの世界の住人だから斬り倒すと殺意を抱いている。

 家族を殺され家を破壊された人にとって近界民は敵、例え話し合いが通じる相手だろうとも敵認定する。憎悪を抱いている奴は復讐を果たさないとなにも変わらない。最初にあんな世界に転生していたからそれは痛いほど分かる。

 

「向こうは遊真がなにか行動を起こさない限りはアクションを起こすつもりは無い……仮に動いたとしても遊真、お前なら問題無いだろう」

 

「うん……ジンさん辺りならヤバいかもしんないけど、その辺のトリガー使いだったら余裕だよ……アオミネさんは……全然戦ってないから分かんないや」

 

「オレは早々に戦わねえよ。オレが動くって事は話し合いとか交渉が一切通じない暴力で物事を解決しないといけねえ案件だからな」

 

 暴力で物事を解決する事は基本的には良くねえことだ。話し合って和解したりしねえと物事は円滑に進んだりしねえ。

 赤司の奴もアカレッドの奴もそれを承知した上でオレに残ってくれって頼んでいる……めんどくせえな、ホントに。

 

「遊真、お前が保護を求めるならば紅き界賊団の一員って事にしてこっちの世界を生きやすくしてやるよ」

 

「……いいの?おれ、こっちの世界じゃ厄介者扱いだよ」

 

「厄介な事に巻き込まれるのは慣れてる……それに厄介な事を起こしてくれてこっちは感謝してるんだ」

 

「どういうこと?」

 

「オレは……暇人だ。やりたい事とか特になくてなんとなくで惰性に生きている。夢中になる様な事も特にねえ……強い力を持っているだけでそれだけの人間なんだよ」

 

 意外と退屈しているんだ。

 友人が言っていた事をふと思い出す。オレは暇人、生きる事に対して意味を持たず何となくで生きている現代社会の人間らしくやりたい事は特に無い。だから巻き込んでくれる人は意外と気分は悪くはない……まぁ、それと同じぐらいにめんどくさがり屋でもあるんだけどな。

 

「やりたい事が無い、か……」

 

「……まぁ、紅き界賊団の一員になれば色々と守ってやる事が出来る……やる事が無くてこっちの世界に滞在したいって言うならそれが1番だろう」

 

 ボーダーに所属するという手段もないわけではないが、修は既にボーダーに入っていない。

 主にオレが居ることが原因で生まれてしまった弊害だが、転生者は原作をブレイクしてなんぼなところがあるが……やりすぎな気もする。

 

「まぁ、ここに居る面々はお前を敵とは思っていないメンツだ。ゆっくりと考えればいい」

 

 少なくともお前を歓迎してくれるメンツなんだ。

 遊真はやりたい事が無かったりし、惰性に生きている。空っぽに近い状態だが、それでも生きている。何時死ぬか分からない体でだ。遊真は無言になり色々と考えている。考える事は大事なこと、考える事を止めれば……う〜ん……ま、いいか。

 

「青兄、近いうちに……迅さんって人が言うには年が明けてから大規模な侵攻があるって言ってたんだ」

 

「それで?」

 

「……僕達もなにか出来ないかなって……」

 

「街を守るのはボーダーの仕事だ。街を戦場に変えてんだ……被害を0にして食い止めなければならない義務がある」

 

 紅き界賊団はこっちの世界を守ることを仕事としてねえ。

 ボーダーと紅き界賊団が手を取り合うことになれば……まぁ、多少はボーダーの防衛に力を貸しておかなきゃならねえよな。

 

「秘密の組織だから目立っちゃいけないから勝手な行動を慎まないといけないのは分かってるよ。でも、目の前で手を伸ばせば助ける事が出来るのにそれが出来ないのは……」

 

 救おうと思えば救える筈の命を見捨てる事は出来ない、修はそう主張する。

 何処までいっても秩序を持った善人なんだな。秩序を持った悪人であるオレとは正反対だ。

 

「……ホントに危ないと思ったのならば使えばいい……けどな、修。お前は弱っちい。センタイギアとギアトリンガーという強力なトリガーを持っていてもオレが片手間で倒せるぐらいだ」

 

「う……」

 

「だから強くなってくれよ……そうじゃねえと向こうの世界に連れてく事は出来ねえんだから」

 

 修の目当ては千佳を守る力と向こうの世界の遠征である。その2つを手にするには強くなるしかねえ……強くなるしか道はねえ。

 

「うん……だから、今日も特訓をお願い」

 

「いいぞ……じゃ、移動する……前にだ」

 

 こっちのもう1つの問題について解決をしておかなきゃいけねえ。

 修達と一緒になってやってきた雨取千佳を見つめる……有里彩の奴、色々と言ったらしいからな……この世界線にはいねえけど深雪ほど酷い事は言っていないからまだいいんだけど。あの女、ホントにロクな真似をしねえからな。

 

「お前、向こうの世界に行きたいんだな」

 

「……はい……」

 

「昨日、有里彩が色々と言ってたが腹を括る事は出来たか?」

 

「それは……」

 

 千佳の気持ちの整理が追いついていない。まともな訓練も受けてねえ人間に1日2日で覚悟を決めろというのは無茶だろう。

 千佳の顔色は悪くなっており、修がなにか言いたそうな顔をしている。

 

「戦う事が出来ねえ奴はガレオンに乗せるわけにはいかねえ」

 

 人を傷つける事が出来ない的なのを受け入れるほど紅き界賊団は優しくはない。

 規格外のトリオンを持っているのならばそれを活かすしかない。

 

「……戦う事が出来るようになれば、船に乗せてくれますか?」

 

「それを決めるのは船長代理の赤司と船長であるアカレッドが決めることだ……お前の規格外のトリオン能力ならば乗ってくれと言うが……向こうの世界は危険だからな、自衛の手段を手に入れねえと」

 

「そうなるとトリガーが必要になるけど……」

 

「ギアトリンガーは修の分しかねえぞ……残り4つのギアトリンガーは紅き界賊達が持っている」

 

 故にギアトリンガーを与える事は出来ない。

 既にギアトリンガーは修の物で、千佳に与える事は出来なくもねえけど……それをやれば修がゼンカイガオーンになれなくなる。さて……

 

「ギアトリンガーはねえけどギアダリンガーはあるんだよな」

 

 一応はオレの支給品だとアカレッドから託されているギアダリンガー。

 ゴーカイセルラーのツイカーユニットがあるのでギアダリンガーを使わずにツーカイザーに変身する事が出来るんだよな。

 

「ギアダリンガー?」

 

「修の持っているギアダリンガーの亜種みたいなもんだが……千佳に合うのはどっちかと言えばギアトジンガーなんだよな」

 

 どちらかといえば近距離主体で戦うツーカイザーは千佳には合わない。

 偽の戦隊を出現させる事が出来るギアトジンガーは規格外のトリオン能力を持つ千佳とある意味相性が良い……。

 

「紅き界賊団が帰ってきた時にギアトジンガーをくれねえか交渉してみっからそれまでの間はギアダリンガーで我慢してくれ」

 

「は、はい……」

 

 取り敢えずはとギアダリンガーを千佳に渡す。

 ボーダーのトリガーとは大分異なる物でマジマジと見ており、修のギアトリンガーと見比べる。ギアダリンガーと似ている部分は……一応はあるけどもな。有里彩が遊真についている監視のボーダー隊員に取り憑いてくれているので、オレ達は実際に使ってみようと修行に使っている山に向かった。

 

「んじゃ、修。ゼンカイガオーンに変身しろ」

 

「うん」

 

『25番!』

 

「チェンジゼンカイ!」

 

 ギアトリンガーにセンタイギアをセットした修はギアトリンガーを回して自身も回り、ギアトリンガーを発砲する

 

『ババン ババン ババン ババン ババババーン!ゼーンカイガオーン!!』

 

「百獣パワー!ゼンカイガオーン!」

 

「あ、あの時のライオン…………ホントに修くんだったんだ」

 

 ゼンカイガオーンに人前でチェンジするのはある意味これが初なのか千佳は驚く。

 

「さぁ、今度は千佳の番だぞ」

 

「えっと……」

 

「ちょっと貸してみろ……1回しかやらないから覚えとけよ」

 

 ギアダリンガーをどう使えばいいのか分からない千佳。

 ボーダーのトリガーと違いトリガー起動(オン)といえば勝手に起動する物ではない。一先ずはとギアダリンガーを千佳から返してもらい、千佳の目の前で変身講座を行う。

 

「ツーカイザーの変身方法は至ってシンプルだ。ツーカイザーに変身する用のセンタイギアをギアダリンガーにセット」

 

『ヨーソロー!ツーカイに回せ!』

 

「そしてギアダリンガーのギアを回し踊る。ヨホホイヨホホイ、ヨホホイホイ……そして弾を撃つ!」

 

『ツーカイにレボリューション!!』

 

 コレで無事にツーカイザーに変身をする事が……おっと、大事な事を忘れちまってたな。

 

「海賊のパワー、ツーカイザー!!……とまぁ、こんな感じでツーカイザーに変身する事が出来る。お前もやってみろ」

 

「は、はい……ギアダリンガーにセンタイギアをセット」

 

『ツーカイザー!』

 

「チェンジツーカイ!でええっと」

 

「踊りに自信がねえなら別に踊らなくてもいいぞ。踊りはギアダリンガーでの変身に慣れてきてから覚えればいいし」

 

 あの時どんな踊りをしていたんだっけと頭を引き絞る千佳。

 無理にツーカイザーの変身を完コピしていなくても後でゆっくりと覚えておけばいい。ギアダリンガーのギアをグルリグルリと回転させた千佳は空に向かって発砲すると光が千佳に向かっていき、千佳をツーカイザーに変身させた

 

「か、海賊のパワー!ツーカイザー!」

 

「そこは恥ずかしがるんじゃない!王道的なお約束で修も恥ずかしがらずになんやかんやと上手い具合にやってくれたんだからよ……まぁ、なにはともあれツーカイザーには変身したな……豪快チェンジ!」

 

『ツーカイザー!』

 

「えっ!?」

 

「海賊のパワー、ツーカイザー……んじゃ、センタイギアについて説明を……なんだ?」

 

「あの踊り、しないんですか?」

 

「豪快チェンジだといらねえんだよ……」

 

 そっちの方がいいという視線を向けてくる千佳。悪いがゴーカイセルラーは他人に貸し出すことは出来ない代物だからな。

 オレも千佳も無事にツーカイザーに変身する事が出来たのでツーカイザーでの戦い方を教える。

 

「ツーカイザーの戦い方はゼンカイガオーンと大して変わらない。センタイギアを使って戦うんだ」

 

「センタイギア……この歯車の事ですか?」

 

「そうだ。スーパー戦隊の力が込められた歯車で状況に応じて使い分ける……1回の使用でかなりのトリオンを消費するけども、規格外のトリオンを持っているなら使いたい放題だ。例えばそうだなこのハリケンジャーのセンタイギアを使ってみよう」

 

『センタイジャー!ヨーソロー センタイにレボリューション!』

 

 ギアダリンガーにハリケンジャーのセンタイギアにセットし、ギアダリンガーを回す。

 ハリケンジャーのセンタイギアを回すと出てきたのは野球のボール。千佳はなんで野球のボールと首を傾げるのでオレは野球のボールを握る

 

「超忍法!分身魔球!ストォラィイイク!!」

 

 投げた野球のボールは見る見る内に分身をして木に命中する。

 ハリケンジャーのシュリケンジャーの力を模した物であり、必殺の分身魔球を投げることが出来た。

 

「こんな感じにセンタイギアをセットするとその戦隊の力の一部を使う事が出来る……20個ぐらいあるからどれがなにに適しているのかその時その時に応じて戦隊の力を使わねえとめんどうな事になる」

 

「……あれ?2つだけ違うセンタイギアがありますよ?」

 

「それはフォームチェンジ用のセンタイギアだ」

 

『シーンケンジャー!ヨーソロー!シンケンにレボリューション!』

 

「クールな侍!シンケンフォーム!」

 

 2つだけ違うセンタイギアの存在に千佳は気付いたのでシンケンフォームにチェンジツーカイする。

 ギアダリンガーの降ろしていた刃を立ててカッコよく決める……

 

「見ての通り、近距離主体の刀を使ったフォームだ……お前には向いてないから使う機会は早々に無い。もう一個のオーレンジャーのセンタイギアを使えばオーレンフォームになるがオーレンフォームは徒手空拳で戦うからコレもまたお前には向いてねえ」

 

 近距離戦主体のシンケンフォームもオーレンフォームも千佳には向いてねえ。

 ゼンカイジュウギアを使えばスーパーツーカイザーになる事が出来るがそもそもで戦いに向いてなかったりする子だからな……戦い方を教える為だから心は鬼にしておかねえとな。

 

「千佳、お前の武器は圧倒的なまでの規格外のトリオンだ。修は最大で5回までしか使うことが出来ねえが、お前にはその上限が無いと思えばいい。1つのセンタイギアに固執した戦い方をするんじゃなくて連続でセンタイギアを使って相手を翻弄する戦い方がいい……が、先ずは動ける様にならないといけねえ」

 

 センタイギアを使った戦い方を仕込むのは今すぐにしなくても良いことじゃない。

 千佳には先ずは逃げる事を覚えてもらう。オレは取り敢えずはと木の上にジャンプした。

 

「今から立体的な移動をする。修、遊真、木の上を飛び移る手本になってくれ」

 

「うん、分かったよ」

 

「了解」

 

 遊真も自身のトリガーを起動し、木の上に飛び乗る。さて……ここからはパルクールの時間だ。

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