メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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メガネがガオーン 12

 千佳が新たに加わり、修達は修行に励む。

 取り敢えず立体的な移動が出来るようになれよと忍者の如く木の上を移動するパルクール的な特訓をしたりしている。変身した姿と生身の肉体とでは大きな運動能力の差に誤差を感じているのだが時期に慣れて自由に動き回る事が出来るようになるだろう。青峰がマンツーマンでレッスンをしているので徐々に徐々に強くなろうとしている。

 

「近界民ですか?」

 

 一方のボーダーでは向こうの世界に遠征に行っていたA級上位3部隊、A級1位の太刀川隊、2位の冬島隊、3位の風間隊が帰還した。

 無事に帰還した3部隊は健康診断等を受けており自分達が向こうの世界、近界(ネイバーフッド)に遠征している間になにか変わった事が起きていなかったかと太刀川隊の隊長である太刀川慶は城戸司令から話を聞く。

 

「空閑遊真……詳しい能力は不明だが(ブラック)トリガーを持っている」

 

「いいんですか、近界民を野放しにして?」

 

「詳しい事実は不明だがボーダー以外にもトリガーを扱う団体が、紅き界賊団という団体の保護を受けている」

 

「え……マジすか?」

 

 ボーダー以外にトリガーを扱っている組織は居ない、太刀川にとってそれが常識だった。

 ここに来てその常識を覆される事を伝えられると驚いた顔をしており、城戸司令はこめかみの傷を擦る。

 

「嘘という話では?」

 

「今その事実を調査しているところだ」

 

 突如として現れた謎の団体について怪しむ風間隊の隊長である風間。

 その一件についてホントかどうかは現在調査中であり、もし仮に嘘であるならばと色々と考えるがホントだった場合を考慮している。

 

「そいつ等からトリガーを奪うって事は出来ないんすか?」

 

 冬島隊に所属する狙撃手、当真は戦わない事を気にする。

 

「本当に政府公認の公安委員会の様な組織だった場合、我々に非があり罪を問われる可能性がある……」

 

 ボーダーはあくまでも政府公認の民間組織であり、隠している事は多くあれども民間組織である事には変わりはない。

 三門市の警察とか自治体と協力関係に当たっているのだが慎重になっている。

 

「嘘だった場合は……正面からやり合うのですか?」

 

「……ボーダー以外にトリガーを持っている団体は危険性が高い。なんとしてでもトリガーを奪取する」

 

「自分達以外にトリガーを扱っている組織が居るとややこしいからって強盗まがいの事をするなんてドン引きです!!」

 

「!?」

 

 何処からともなく有里彩は現れた。

 突如として現れた有里彩に対して直ぐに太刀川達は警戒心を剥き出しにしてトリガーを起動する。

 

「遅いですね。今の一瞬があれば全滅させる事が出来ましたよ」

 

 危険を察知してから行動に移るまでに間がありすぎると有里彩は呆れる。

 なんの用だと警戒心を強めていく太刀川達だが有里彩からはなにか仕掛けてくる気配は無い

 

「……何処から現れた?いや、どうやって本部に入った?」

 

 ボーダーの本部に入ってきたのならばなにかと目立つ筈の有里彩。

 今の今までどちらかといえばボーダーの奥にある会議室に気配すら無かったのに急に現れた有里彩に対して城戸司令は警戒心を向ける。

 

「普通に表口から入りましたよ……今日此処に来たのは厄介な事を起こさないかどうか見に来ただけです」

 

「厄介な事……君達にとってはなにが厄介だと言うのね?」

 

「派閥の垣根を越えてボーダー一同で攻め込んでこないか……まぁ、青峰さんが居るのでボーダーに負けるという事は無いんですが、貴方の命令に従順なA級上位3チームを派遣する……という世界線も存在していたので確認しに来たんです。別に倒せない相手じゃないのですが、チーキュの平和を守らずに内戦でドンパチするのは色々とお門違いだと思いますので」

 

 あくまでも確認の為に此処にやってきたと言うのだが、割と意味深な事を有里彩は言う。もしかしてと城戸司令は頭にある事を浮かべる。

 

「おいおい、俺達を相手に倒せないってナメんなよ」

 

「太刀川さん……貴方は迅さんを何度やっても確実に勝てる相手だと断定出来ますか?」

 

「いや……無理だけど」

 

「ならハッキリと言いましょう。私は風刃を持った全力の迅さんを相手に勝つことが出来ます……嘘ではないですよ?」

 

「おいおい、幾らなんでもそりゃねえだろ。迅には未来視のサイドエフェクトがある。全力でやってる迅を相手に確実に1人で勝てるってのは……」

 

「出来るんですよ。私も青峰さんもやろうと思えば少し先の未来を見ることが出来るんです」

 

「なに?」

 

「おっと、すみません。今のは忘れてください」

 

 不適切な発言だったと有里彩は口を閉じる。

 しかし既に太刀川達は聞いてしまっており、もしかしてとなる。

 

「お前も予知のサイドエフェクトを持ってるのか?」

 

「さぁて、なんの事でしょうか」

 

「惚けんなよ。さっき俺達が動いていた世界線があるとかどうとか言ってただろう」

 

「案外嘘かもしれないですよ?敵とも味方とも分からない相手の言葉を鵜呑みにするのは愚策です」

 

 何処からともなく現れたと思えば未来を見たとも言うが有里彩の怪しさは半端ではない。

 もしかしたらと色々と考えてしまうのだがそれら全てが嘘なのかもしれない。太刀川達はより警戒心を強める。

 

「大事な交渉をする前にボーダーが私達のトリガーを剥奪しようものならば、こっちもラッパラッターを使ってボーダーが白旗を上げるまで徹底的に戦っていました……未知の相手に対して暴力で挑みのならばこちらも暴力で答えないといけません。暴力で訴えて来ないのならば、なにも言いません。明日の話し合いの場では仲良くしましょう……では、失礼します」

 

「おい、待て!」

 

 この場から去ろうとする有里彩を逃すまいと風間は手を伸ばす。

 手を伸ばしたのだが有里彩は突如として姿を消した。例えるならば瞬きしたらその場に最初から居なかったかの様に有里彩は姿を消した。

 

「っ!……居ないか」

 

 透明になるトリガーで姿を消しているだけなのかもしれない。

 風間はトリガーに備えられている標準機能であるレーダーを展開するのだが何処にも有里彩らしき人物は写っていない。そもそもで有里彩が声をかけるまで有里彩の存在に一切気付かなかった。なにか仕掛けがあるのかと風間は考察していると部屋の入口が開いた。

 

「どうも〜実力派エリート、推参!」

 

「迅……さっき有里彩という女を見かけなかったか?」

 

「有里彩ちゃん?なんのこと?」

 

 とぼけているのでなくホントになに言っているのか分からないと頭に?を浮かべる迅。

 

「見ていないならいい……なにをしに来た?」

 

「明日ぐらいに紅き界賊団の人が来てくれるみたいなんで情報を纏めた物を持ってきました」

 

「……青峰大樹か……」

 

 迅から渡される紅き界賊団の一員との事である青峰について纏めたファイルを渡す。

 

「青峰大樹?……どこかで聞いたことがある名前だな」

 

 青峰の名前に心当たりがある風間。

 

「2年前に陸上の100m走で9秒73を叩き出して一時期ニュースになっていたみたいですよ」

 

「あ〜なんかニュースになってたな」

 

 聞いたことはあるわと2年前のニュースを思い出す太刀川。

 青峰は高校時代に陸上の100m走で9秒の領域に至った……が、直ぐに陸上は止めた。満足行く結果を叩き出したのだから、それ以上はやることはないのだとハッキリと言い切り、陸上の世界から足を洗った。

 

「調べてみたんですけど、そいつ滅茶苦茶スゴい奴ですよ。19歳以下のバスケの世界大会で日本を優勝に導いたりしてますし」

 

「モノホンの実力派エリートだな……なんでトリガーを持ってるとか紅き界賊団に居るのか分かったのか?」

 

「いや〜……さっぱりです。高校卒業後はスポーツ推薦とかNBAから話があったって噂はありましたけど、進学も就職もせずに三門市の小さなアパートの大家をやっている無職のフリーターで」

 

 今のところ調べる事が出来たのはコレぐらいですと気楽に言う。

 青峰の輝かしい情報を城戸司令はなにか交渉に使えるものはないのかと見るのだが特に目ぼしい情報は無い。極々普通の三門市民だ。実は近界民だったと戸籍が偽造されているという線も無い。

 

「紅き界賊団って組織は実在してるっぽいですけど、構成員不明のマジで謎な組織です」

 

「そうか……」

 

「オレ達にとって敵になるかって言えばそうじゃないって言いづらい。でも、こっちの世界を守る事に関しては協力してくれって頼んだらあっさりと引き受けてくれるよ」

 

 色々と小言は言われるけどもと一応は迅は言っておく。

 ボーダーには近界民=敵と認定している城戸派、街の安全を優先しようの忍田本部長派、近界民にもいいヤツが居るから仲良くしようぜな玉狛支部派の3つの派閥があり、いざという時は敵対するが緊急事態の際には手と手を取り合って協力して敵性の近界民を倒す。

 これから起こり得るであろう大規模な侵攻は今までにないレベルで、4年間の備えと準備があっても下手すりゃ大勢の人間が拐われる世界線も存在している。トリガーを使う団体が居るのならば力を貸してくれるのならば借りる事に越したことはない。

 

「城戸さんの最終的な目的と被ってるかどうかは知らないけど協力する価値はある……オレのサイドエフェクトはうんともすんとも言わないけど」

 

 

 

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

「はぁ……めんどくせ」

 

「めんどくさそうにしないでください」

 

「口癖みてえなものだから見逃せや」

 

 有里彩曰くA級上位3部隊が帰ってきた次の日のこと。

 オレはスーツ姿に身を包む。有里彩がスーツで行けって言うから渋々着ている……オレ、こういうのガラじゃねえ……赤司の奴、原作開始時が分かってるならこっちに来てくれてもいいんだけどな。

 

「あの……私達も一緒でいいんですか?」

 

 大事な交渉に今から向かうのだが修と遊真と千佳、後、有里彩を引き連れてボーダーの本部に向かっている。

 ボーダーの本部で色々と大事な話し合いをするのにまだ新米な自分達がついていってもいいのかと千佳は心配する。

 

「いいんだよ……このまま此処で野放しにされてなにも知らないよりも少しでも知識を蓄えてた方がいいだろう」

 

 なにも知らない系の無知のヒロインは今の時代、流行らねえ。もしかすると意外な言葉が転がってくるかもしれない。

 

「遊真、一応は紅き界賊団の保護を受けているわけだが……売れる物を持ってるなら売った方が得だ」

 

「というと?」

 

「向こうの世界に関する情報とかボーダーにとっては値千金な情報だろ。それを売るからこっちの世界での安全を保証しろ……自分を監視するのは止めろとか色々と言えるだろ」

 

 紅き界賊団の保護下で今のところは特に問題は起こしていないので狙われてはいない遊真。

 監視しているのは三輪隊の古寺と奈良坂で、何時でも撃ち抜く事が出来るようにしているらしいが遊真とレプリカにとって対処する事は容易い相手だ。

 

「やぁ、待ってたよ。ぼんち揚げ食う?」

 

 ボーダーの本部の入口があるところに向かえば実力派エリートこと迅がぼんち揚げを片手に立っていた。

 バリバリとぼんち揚げを食べており、オレ達にぼんち揚げを食べないかと勧めてくる。

 

「オレはおにぎりせんべい派だ!」

 

「そっか」

 

「あ、私はブラックサンダー派です!」

 

 残念な事にオレはぼんち揚げよりもおにぎりせんべいの方が好きだ……流石に箱買いをしたりはしないけども。

 遊真達は貰えるならばと社交辞令に近い形でぼんち揚げを一欠片いただく

 

「美味いだろ?」

 

「中々のお味で……こっちの世界、飯が美味いな」

 

 美味しい物を頂いたと満足気な顔になる遊真。

 こっちの世界と言うよりはこの国の飯が異常に美味いだけ……メシマズな国は冗談抜きで飯が不味いからな。こっちだぞとぼんち揚げを食べ終えた迅はトリガーをセンサーに翳してボーダー本部の入口を開けた。

 

「お前達には申し訳無いが、万が一、念の為は考慮させてもらう」

 

 緑色のベルト……ゲーマドライバーを腰に装備する。

 ボーダーが罠を仕掛けてくる可能性は無い……とも言い切れないので念の為、何時でもガシャットデュアルギアβを起動する事が出来るようにしておく。

 

「修くん、遊真くん、千佳ちゃん。万が一が起きた場合は逃げることに集中してくださいね」

 

「疑り深いな」

 

「騙されるよりはマシだと思ってくれ……別にいいんだぞ。お前等相手にしても」

 

 暴力で物事を解決する事は基本的には良くないことであり、最終手段だ。

 その最終手段を最初に持ってくるのは……やっぱ悪人だよな。秩序を持った悪人だなオレは。サイドエフェクトでなにを見ているのかは知らねえけども、そのサイドエフェクトを無力化する事は出来なくもねえ……。

 

「城戸さん、連れてきましたよ」

 

 如何にもミーティングに使いそうな部屋に連れて来られた。

 ボーダーのトップである城戸司令、営業外務担当の唐沢さん、開発室長の鬼怒田さん、メディア対策方面の根付さんと所謂城戸派の面々と街を守る事を優先している忍田本部長に、近界民にもいい奴がいるから仲良くしようぜな玉狛支部の林藤支部長とボーダーの重役と三輪隊の隊長である三輪がいた。三輪はオレを睨んできてる……はぁ

 

「どうも、日本政府公認の秘密組織、紅き界賊団序列2位、勇者(ブレイブ)の青峰だ……です?……あ〜……どっちでもいいか」

 

 別にこの人達オレの直属の上司ってわけでもねえんだし、敬語とかそういうの気にしないでおこう。

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