メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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メガネがガオーン 16

「ふぅ……取り敢えず元に戻す事は出来たな」

 

 リュウソウゴールドに豪快チェンジした後にギャクソウルを使って壊れた部分を元に戻した。

 千佳が力を貸してくれた事もあり、思ったよりも早くに戻すことが出来た。流石はトリオン怪獣だ。

 

「迅の奴、こうなる事が分かっていて弓場に押し付けやがって……」

 

 幸いというべきか怪我人は0だ。トリガー開発室とかの重要なところが破壊されたとかそんな事も無い。

 迅はこうなる事が分かっている上で千佳にアイビスを撃たせた……こうしておかないと厄介な未来に辿り着くからだろう。因みにだが弓場は穴を開けた件で色々なところに謝罪に行った。

 

「とんでもねえトリオン能力だな」

 

「欲しくて得た能力じゃねえよ」

 

 藤丸は未だに千佳がアイビスで大穴を開けた事を信じられないといった感じだ。

 明らかに戦いに向いていないひ弱そうな女子がボーダーの基地にバカデカい穴を開けたので無理もねえか……。

 

「ホントにすみませんでした」

 

「いや、君のトリオン能力がここまでの物だと把握していなかった我々にも不備がある」

 

 鬼怒田のおっさんだけでなく忍田本部長も出てきた。

 千佳は申し訳無さそうな顔で土下座をするのだが忍田本部長は然程怒りはしない。それどころか千佳にこれほどまでのトリオン能力を有している事に関して謝罪をする。こんだけのトリオン能力を持っているならばボーダーが見つけて保護の1つでもしなければならない……まぁ、この世界線では紅き界賊団の傘下に入って自衛の手段としてギアダリンガーを渡しているから関係ない話か。

 

「遊真くん、こうして君とちゃんと話すのははじめてだな」

 

「そうだな」

 

「君のお父さんに、有吾さんには色々とお世話になった。その時のお礼がしたいが……なにかしてみたい事はあるか?」

 

「う〜ん……あ、だったらランク戦をしてみたいな」

 

「ランク戦を?」

 

「死なずに何度でも戦う事が出来るんでしょ。面白そうだと思ってたんだ……おれ、ボーダーの隊員じゃないから出来ないけど、やってみたいなとは思ってるんだ」

 

「そうか……それならば少しだけ待ってくれ。1月にボーダーの入隊式がある。その時にC級の訓練生に紛れて君を仮入隊させよう」

 

「待て待て待て、一応は遊真は紅き界賊団の傘下に入ってるんだぞ。ボーダーの隊員になってどうするんだ」

 

 さらっと遊真を入隊させる感じに話を進めていくのだが、遊真は一応は紅き界賊団の傘下に入っている。

 ボーダーの隊員になるんだったら紅き界賊団の傘下から離れなければならない。遊真が居なくなるのは……シンプルに嫌だな。

 

「ランク戦をするには黒トリガーでなくボーダーのトリガーでなければダメだ。先ずはC級になって4000点ポイントを稼いでそこから正隊員のソロランク戦を行うんだ」

 

「うん、分かった」

 

「なんで……ああもう、好きにしろ。紅き界賊団の傘下に入っているって事は忘れるんじゃねえぞ。何処かのチームにスカウトされたりしても無視、ソロランク戦をメインにしているフリーの隊員を演じてろよ」

 

 ランク戦を楽しもうとしている遊真を止めるのは難しい。これだから戦闘狂は嫌なんだ。

 一応は軍事訓練の一環なんだぞ。真面目にやるのはいいけれども楽しむのは……なんか違う気がする。まぁ、遊真はその辺りのオン・オフの切り替えはちゃんと出来てそうなのでああだこうだと口を出しても意味は無い。

 

「アオミネさんも一緒にランク戦をしない?」

 

「ランク戦は実戦経験を積ませる軍事訓練の一環だろ?オレはスポーツとかならやる気を出して真剣に楽しむけど、異世界とガチの戦争の為の軍事訓練の一環を楽しむのは失礼だ。ボーダーの中には近界民に対して強い憎しみを抱いている。その憎しみは正当な憎しみだ。そんな中で浮ついた気持ちでやってるのは色々と失礼だ……それに誰が相手だろうが勝つ未来しか無いだろうし」

 

 この世界線でマジのオレとまともにやれるのはアカレッドと赤司ぐらいだ。

 どっちも戦闘狂みたいな性格はしていない。理知的な性格……色々と問題はあるけれども。

 

「随分と自信があるようだな」

 

「それ以外取り柄が無いと言った方が正しいんで」

 

 オレを確実に倒せるのは礒野勝利と墨村守美狐だけでその二人はこの世界には存在していない。

 

「じゃあさ、アオミネさん勝負しようよ。アオミネさん、全く本気を出してないよね?」

 

「本気を出す機会が無いからな……忍田本部長、遊真がボーダーのトリガーを覚える為にトリガーを貸してくれますか?」

 

「ああ、それぐらいなら構わないが……自前のトリガーで戦わないのか?」

 

「自前のトリガーでは戦わねえよ。それで戦うって事は相手を殺すか捕縛するって意味だからな」

 

 殺すことに関しては躊躇いというものは特にはない……やっぱりオレは秩序を持った悪人だな。

 

「お前等、何者なんだ?」

 

 ここまでの光景を見ていた藤丸はオレ達について疑問を抱く。

 玉狛の隊員でもなければボーダーの隊員ですらない、何者なのか尋ねてくる……

 

「オレは紅き界賊団……政府公認の秘密組織の最高幹部の1人、勇者(ブレイブ)の青峰だ」

 

「紅き界賊団?」

 

「そう……公安委員会的なのだと思えばいい。系列的に言えば日本の警察の傘下みたいなもんだからな」

 

 あくまでも国家公務員的なのであり、ボーダーと違い民間組織ではない。

 詳しい立ち位置は細かすぎるから覚えるのがめんどうで覚えていないが……まぁ、なんだかんだで偉い組織だ

 

「ボーダー以外にトリガーを扱う組織が居るって事か!?」

 

「ざっくりと言えばそうなる……ボーダーがバカをやらない限りはこっちからはなにもしねえよ。紅き界賊団は向こうの世界が主な活動地域なんだからな」

 

 ボーダー以外のトリガーを扱う組織の存在を知り驚く藤丸は驚いている。

 忍田本部長は一応はトップシークレットだから公言しない様にと釘を刺すとトリガー開発室に移動した。

 

「ボーダーの正隊員には3つ……正確には4つのポジションがある」

 

 忍田本部長直々に説明を受ける。

 ブレード系のトリガーを用いて接近戦で戦う攻撃手、トリオンで出来た弾丸を撃つ銃手、トリオンで出来た弾をリアルタイムで弾道処理をして撃つ射手、遠距離から一発撃ち込む狙撃手の4つだ。

 

「おれは攻撃手がいいな。近距離戦得意だし」

 

「じゃあ、オレは孤月を使わせてもらうわ」

 

 ポジションとトリガーの大まかな説明を聞いた後に遊真とオレはトリガーを選ぶ。

 遊真は軽くて切れ味抜群で色々と応用が効くスコーピオンを、オレは普通のビームサーベルもとい孤月を選んだ……エンジニアの寺島雷蔵さんは自身が作り上げたレイガストを使ってくれないのかといった顔をするが補助系のトリガー無しでレイガストを使うのはハッキリと言って無理だ。玄人向けだよレイガストは。

 

「1本だけだからな」

 

「なんで?」

 

「負けても次があると思うようになったら意識が甘くなるだろう……もしそれが嫌だって言うならば、オレを負かせてもう1本って言わせてみろ」

 

 仮想訓練室に入り市街地を再現したフィールドに立つ。

 遊真はやる気満々で直ぐ側では忍田本部長や修、千佳が見守っている……

 

「さて…………久々だな」

 

 ここ最近、修達に稽古はつけていた。修達が強くなる為の稽古であり、修達を叩きのめす事は早々に無かった。

 今回は違う。遊真はマジの真剣勝負を望んでおり、手を抜くことは失礼で本気で勝ちに行く戦いをしなければならない。万が一を想定してこちらの世界に残っているオレは平和ボケをしているところがあるので……困ったものだ

 

『模擬戦開始』

 

 試合開始の合図が鳴ると同時に動いたのは遊真だった。

 スコーピオンを握り締めて目にも止まらぬ速さで突撃してくるのだが、動きが単調でオレの首元を狙っているのが目に見えている。

 

「アオミネさんなら見抜けると思ったよ」

 

 防御の姿勢に移ろうかなと考えていると遊真はスコーピオンを消した。

 右腕から例えるならばポケモンのジュカインの様にスコーピオンを生やしてオレを攻撃しようとするのだが、オレは防御の姿勢から攻撃に転じる。遊真のスコーピオンを軽く叩いて逸らすとスコーピオンに亀裂が入る……切れ味抜群で軽いと便利なブレードだが脆いという難点もある。叩かれた事で体制を崩した遊真の首元をスパッと切り裂く。

 

「はい、終了……本気で勝ちに来たのか?」

 

 あまりにもあっさりと勝つことが出来てしまった。

 馴れないトリガーを用いての戦闘なので動きがぎこちない……ということは無い。なんだかんだで遊真も歴戦の猛者に相応しい実力を持っている。スコーピオンの奇襲は中々のものだったが蓋を開けてみればただそれだけである。

 

「本気で勝ちに行ったよ……アオミネさんこそ本気だったの?」

 

「お前を倒すことに意識を割いていたよ……何処が悪かったのか見直して、明日もう一度挑みに来いや」

 

 1日1本の方がなにかと楽なんだよな。

 オレの方が全然本気に見えないと言いたげな遊真だが、割と真面目に遊真を倒すことに集中していた。本気でやった……いや、馴れている自前のトリガーで戦わなかったから本気でも全力でもないか。

 

「……私とも1本勝負してはくれないか?」

 

「え?」

 

「聞くところによれば君はボーダーで対処する事が出来ない万が一が起きた時を想定してこちらの世界に残っているという。君の実力を見てみたい」

 

「う〜ん、まぁ、いいですけど自前のトリガー使わないっすよ?多分、ボーダーのトリガーの時点で勝ち越す事が出来ると思うし」

 

「随分な自信だな……ならば孤月1本で勝負をしよう」

 

 そんなこんなでラウンド2,忍田本部長と戦うことになった。

 忍田本部長はトリガーを起動してトリオン体に換装し、仮想訓練室とトリガーを繋げる。

 

『模擬戦開始』

 

 さて今度はノーマルトリガー最強と言われる男が相手だ。

 孤月1本だけでの勝負だから純粋な剣の技量が物を言うのだと思っていると忍田本部長は間合いを詰めて孤月を振り翳して来るのでこちらも孤月を使って受けに回る。シールドを使っていいんだったら手元にシールドを展開して剣の太刀筋を邪魔するという手立てはあるが今回は孤月1本だけなので出来ない。

 

「はい、終了」

 

「っ!!」

 

 忍田本部長の剣撃を全て捌き切った。常人ならばこの剣撃だけでやられているだろうが、伊達に戦闘特化の転生者はやっていない。

 忍田本部長の顔を切れば脳伝達神経を破壊する事が出来た。

 

「……もう1本、いいかね?」

 

「残り4本までっすよ」

 

 1本勝負だって言ってきたのに忍田本部長は次を要求する。

 場所とトリガーを貸してくれているので断るわけもいかないので残りの回数を指定した後に模擬戦を続行する。旋空とか使用すればもっと強いんだろうが孤月1本だけの勝負だからな。旋空使っていいのならばこっちも生駒旋空的なのを撃つぞ。

 

「4本目……ラストすよ」

 

 2本目、3本目、4本目と忍田本部長を倒す。

 残すところは1本……忍田本部長の目には闘志が宿っている。普通ならば心が折れるだろうが流石だな……実は戦闘狂だったとかそういう感じのオチじゃねえだろうな?

 

「コレならばどうだ」

 

 孤月1本だけなので使える手は限られている。

 忍田本部長は横に一閃してきたかと思えばその勢いに乗ったまま回転してくる……手元は背中で隠されていて受け太刀に回れば遠心力とかで孤月は弾かれる……が、対処する事が出来ないわけじゃない。オレは前屈みになり回転斬りで攻撃してくる忍田本部長の孤月を掻い潜り、背後を奪うと首筋を切り裂いた。

 

「っ……」

 

「5本までなんでこれ以上はやりませんよ」

 

 1本も取ることが出来ないどころかまともなダメージを与える事すら出来なかった事に忍田本部長は声も出ない。

 先に5本までと決めていたのでそれ以上はやらない。忍田本部長は大人なのでこれ以上は挑むことはしない。

 

「まさか迅と同年代の子に手も足も出ないだなんて……」

 

「まぁ……オレも年季が違うんで」

 

 伊達に数百年生きていない。バトル物の世界に転生する割合も多かったし、戦闘経験は他の転生者よりも多め……多めだろうか。

 先輩の転生者も割と多かったりするので経験値が豊富ではあるが1番を自負する事は出来ない。戦闘能力は1番だと言えるけども。

 

「…………君に頼みたい事がある」

 

「ボーダーに入隊しろとか無茶を言ってくるんじゃねえだろうな?」

 

「ボーダーの上位陣と戦ってほしい。ボーダーのトリガーでなく、君のトリガーでだ……ボーダーのトリガーは量産や誰でも使えるを想定していて同じトリガー同士の戦いは出来ても君の持っているトリガーの様な未知のトリガーとの戦闘経験が少ない。次の大規模な侵攻では人型近界民が、トリガー使いが出てくる可能性が高い」

 

「あ〜……ラッパラッターじゃ……いや、ダメか」

 

 ラッパラッターで召喚する戦隊はB級程度でA級以上になると豪快チェンジしなければならない。

 未知のトリガー使いを相手にオレ達で訓練を積んでおきたいのならば、断る理由は何処にも無い……戦闘狂が居そうだけども。

 

「オレだけじゃ限界もあるし、有里彩にも手伝わせて良いんだったら別に構わねえぞ」

 

「彼女も?」

 

「あいつ、アレでも結構多彩な戦闘スタイルを持ってるから……オレだと1対多の戦闘しか出来ない。防衛戦だからそれで問題はねえけども、トリオン兵を引き連れての戦闘をしてくる可能性だってある……備える側は万が一を常に想定しておかねえと」

 

 ガタキリバコンボのライダーキーがあるのでライダーリンチならぬレンジャーリンチをする事は出来るが限界はある。

 オレ達が居ることでなにかしらのバタフライエフェクトが起こると言うのならばそれはオレ達が解決しなければならない。まぁ……アフトクラトルとは深く関わり合いは無いからバタフライエフェクト的なのは起こっていないのだろう。

 

「そうか……分かった。時間が空いた時に訓練を頼む」

 

「修達を鍛えてるから、暇な奴から送り込んでこい……徹底的に叩きのめしたりするから、まぁ……心が折られない様には祈っとけ」

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