転生者である青峰から戦隊ギアとギアトリンガーを修は貰った。
紅き界賊団とは何者なのか、なんでボーダーでもないのにトリガーを持っているのか色々と興味は尽きないけれども、修は求めていた力を手にする事が出来た。しかし修は戦いに関しては素人である。原作では実力派エリートが裏口入隊をさせたのだが入隊させただけでその後の面倒を見ることをしなかったのだがこの世界線では転生する度に諏訪部キャラになる男により指導を受けていた。
「おはよう」
「お、三雲、おはよう」
指導を受けているが修からなにか特別な行動をするわけではない。修はいざという時が来ない事を祈りつつもほぼ毎日訓練に勤しんでいる。
無論、母である香澄にも内緒だ。男同士の深い約束を交わしており、修は何気無い日常の中でも訓練を重ねて強くなろうとしている。今日も今日とて普通に学校に登校し、クラスメイトの三好に挨拶をする。
「三雲、あの話聞いたか?」
「あの話?」
なんの事だと首を傾げる修。
なにか変わった事でもあったのだろうかと考えていると三好は修は聞いていないのだと判断して説明してくれる
「転校生がやってくるんだって」
「転校生って、こんな時期に?」
中学3年生は受験勉強真っ只中なこの時期。
転校してくるとは実に珍しいなと修はふとある事を頭に浮かべる
「ボーダー関係者……いや、違うか」
ボーダーは県外からも優秀なトリオン能力を持った人をスカウトしてきていると耳にした事がある。だがしかしボーダーの入隊は5月,9月,1月と決まっており今の時期的に違うと修は否定する。とりあえず転校生がこの時期に来るのは珍しいなと思いつつ普通に授業を受ける。
転校生が来るんじゃなかったのか?と思っていたのだが転校生は来なかった……1時間目にはだ。
「どうも、くがゆうまです」
2時間目にやってきた白い小柄な男子、空閑遊真。
本名をひらがなで書いていることにやや違和感を感じつつも空閑遊真はボーダー隊員じゃなさそうだなと判断する。帰国子女との話で、サッカーすら知らない地図に載ってないレベルの稀少な国からやってきたらしく、その割には流暢な日本語を喋るんだなと感心する……
「なに、コレ?」
のだが、クラスの不良が遊真にちょっかいをかける。
丸めたノートの切れ端を遊真の頭に飛ばしており、不良はニヤニヤとしている。
「挨拶だよ、挨拶。日本流のな」
「ほうほう、ニホン流のあいさつね……じゃあおれも」
そう言うと遊真は投げ飛ばされたノートの切れ端を握り締めて更に小さくして親指で弾いて不良の額にぶつける。
見た目に反して相当な威力だったのか不良は椅子から転げ落ちてしまい笑い者にされた。
「んにゃろう……」
「おい、空閑。やめろよ」
「メガネくん、コレがニホンの挨拶なんだろ?」
やられたからやり返したまでだと言いたげな遊真は若干の満足気な顔をしている。
色々と言いたいことがあるのだがこの日最後の授業の時間になったので言うことは出来ずにそのまま授業を受けて下校時刻に移る。
「一緒に帰らないか?」
「うん。いいよ」
修は遊真に色々と言いたいことがあり尚且つ担任からめんどうをみてくれと頼まれていた。
面倒見の鬼とも言うべき彼はめんどうを見ようと遊真と一緒に帰る事を決めて帰路につく。
「空閑、ああいった行為はするんじゃない」
「なんで?仕掛けてきたのは向こうじゃん」
「確かにそうかもしれないけどやり返したら騒ぎが大きくなる。場合によってはやり返した奴が悪くなるんだ」
「先に仕掛けた奴が悪いのに、変な国だなニホンは」
「ああいうのは関わるんじゃなくて無視するんだ。いちいち相手にしていたらキリがない」
外国出身なのか遊真は色々と感覚がおかしかったりする。
なんとかして日本の常識を学んでくれないかと思っていると遊真に絡んできた不良が取り巻きを連れてやって来た。
「おい、白チビ。ちょっと面ぁ貸せよ」
「む、ご指名か?」
ニヤニヤと笑っている不良達。
今から寄ってたかって遊真をリンチしようとしている。自分の思いどおりにならないから調子に乗っていると勘違いしている馬鹿でそれを相手にする遊真を見捨てる事は出来ないと修は遊真を連れて行こうとする不良の腕を掴んだ。
「いったいなにをするつもりだ?馬鹿な真似をするなら許さないぞ」
「っへ、おいお前もつれ──へゔぁ!?」
「む……メガネくんが先に手を出すのか」
ついでだから修も連れて行こうとする不良だが修は先に仕掛けた。
このまま行けば喧嘩になるのは目に見えている。喧嘩にならない様に事を納めるのが理想だが世の中そこまでうまくいかない、どうしようのない時だってある。
「テメエ、おい、やっちまえ!」
「あ、ああ!」
「そっちがその気ならこっちだってそれなりにやらせてもらうよ!」
喧嘩は起こさない事が1番である。
それが無理だと分かったのならば、喧嘩をしたいのならば口を出すのでなく手を先に出した方が良いと青峰から指導を受けている修は不良を殴り飛ばした。数ヶ月間を修行に注いできた意味はあった。
「メガネくん、意外とヴァイオレンスなんだな」
「テメエも呑気に見てるんじゃ、ねえええ!」
「ふん!」
「あ、おい、空閑!」
「ぎゃあああ!?」
不良の取り巻きに狙われたので足に蹴りをくらわせる。
ここの問題は自分でどうにかするつもりだったのになにをしてるんだと言いたげな顔をする。
「に、逃げるぞ!」
「おい、そっちは立入禁止区域だぞ!」
修に殴り飛ばされ遊真に足を蹴られて踏んだり蹴ったりな不良達。
修や遊真を相手にしていられるかと逃げていくのだが残念な事に逃げた先が立ち入り禁止区域だ。殴り飛ばしてなんだが、そこは如何なる理由があろうとも立ち入りが禁止されている区域だ。その区域に入ってはいけないと修は不良を連れ戻しに追いかける
「空閑、ここから先は立ち入り禁止区域だ。もし不良を見つけたら直ぐに戻るように言ってくれ」
「メガネくん、なんでそんな事すんの?」
空閑は疑問を持っていた。
元を正せば自分が気に食わないから〆ようとして来た不良達。立ち入り禁止な警戒区域に入ったのも全て元を正せばくだらない感情で動いた不良が悪い。此処で怪我をしたとしてもそれは不良達の自業自得。普通ならば見捨てるのだが修は連れ戻そうとしている。
「僕がそうすべきだと思っているからだ!」
修は自分がすべき事だと思うことからは逃げない。
いざという時が来たときに逃げ出す人間になりたくないから。自分がいざという時に怯えて逃げの一手に動いてしまうという事に気付いている……だから逃げ出さないように自分がそうしようと思った時に動く。
「あ、いた!ここは立ち入り禁止の警戒区域だぞ!」
早く此処から出ていくんだと言おうとしたその瞬間だった。
黒い穴が突如として何処からともなく出現する
『
「っひ、ひぃ!?」
「っ……
黒い穴の中から現れる近界民もといトリオン兵。不良達はそれを見た途端に身の危険を感じたのか逃げ腰になった。
ここに居たら大変な目に遭うと本能が言っているので逃げようとするのだがトリオン兵は図体がデカくて不良達の数歩がトリオン兵の1歩に相当する。
「青兄、ごめん」
このまま行けばトリオン兵に不良達が攫われてしまう。
それだけはあってはならない事だと修は鞄の中に入れてあるトリガー……ギアトリンガーを取り出し、25と書かれたセンタイギアをギアトリンガーに装填しトリガーを回す
『25番!』
「チェンジゼンカイ!」
『ババン ババン ババン ババン ババババーン!ゼンカイガオーン!』
「百獣パワー!ゼンカイ!ガオーン!」
「おぉ、変身した!」
修はトリオン体に……ゼンカイガオーンにチェンジゼンカイした。
あんなのを持ってたんだなと遊真は意外そうな顔をしているのだが気にする事はなく、そのままギアトリンガーの弾をトリオン兵に目掛けて撃つのだが、トリオン兵の装甲が思った以上に硬いのかかすり傷程度しかつけられない。
「よし、意識が僕に向いた」
しかし修は落ち込まない。欲を言えばトリオン兵を倒す事が出来ればそれでいいのだが自分の事が弱いというのを自覚している。
ギアトリンガーの弾を受けたトリオン兵は不良達から修に認識を切り替えている。これでいい、少しでも不良達の逃げる時間を稼ぐことが出来る。
「空閑、お前も逃げるんだ!コイツは僕が……えっと、こういう時は」
訓練はしているが実戦ははじめてな修。
このトリオン兵に対してどのセンタイギアを使えばいいのか、まだセンタイギアの力を使いこなす段階で使い分ける段階じゃないのでどうすればいいのか思考に集中している。
その光景を見ていた遊真は少し呆れていた。もしおれが敵だったら修をボコボコにする事が出来ていた。それぐらいにモタツイている。
「見てられない……トリガー使っていいよな?」
『それはユーマが決める事だ』
「じゃあ……やるか」
「空閑!?」
そんな修が見ていられなかった遊真はトリガーを起動した。
三門第三中学の制服から全身黒タイツみたいな格好に切り替わり、修は驚いた声を上げる。
「
強と書かれた文字が空中に浮かび上がったかと思えば遊真は思いっきり殴り飛ばして凹ませる。
「大丈夫か……メガネくん」
「メガネくんじゃない、三雲修だ……不良達は逃げ切ったのかな?」
「そうか。オサム、問題無いと思うぞ……とりあえず此処から場所を移そうぜ。このままここに居たらボーダーの人がやってくる」
「ボーダーの人って、空閑はボーダーの隊員じゃないのか?」
「いやいや、おれはボーダーの隊員じゃない……そういうオサムこそボーダー隊員じゃないのか?」
「僕はボーダーの隊員じゃないよ……トリオンが低くて落とされたんだ」
その結果、紅き界賊団の見習い候補生になる事が出来たのだが今は割愛しておく。
このままこの場に居ればボーダー隊員が現れる。なにやら込み入った事情がありそうだと思った修達は一先ずはこの場を後にした。
「オサムはボーダー隊員じゃないなら……おれと同じ近界民なのか?」
「
「いやいや、向こうの世界から来た人間を
「なっ!?」
自分が近界民だと思っていたのはトリオン兵だと知り驚く修。遊真は自分は向こうの世界からやってきたのだと改めて自己紹介をした。
トリガーがトリオンを動力として動いているとか色々と教えられた修だがここに来ての新情報は驚くしかなかった。
「向こうの世界の人間がトリオン兵を派遣して優秀なトリオン能力を持った人を誘拐するんだ……オサム、知らないのか?」
「うん……」
恐らくはその事を知っている人を知っているのだが、教えてくれなかったのはワザとなのかもしれない。
「オサムはボーダーじゃないならなんでトリガーを持ってるんだ?」
「僕は……ボーダー以外にトリガーを扱っている団体から受け取ったんだ」
逆にこちらについて聞いてくる遊真。既にゼンカイガオーンにチェンジゼンカイしているので嘘をついたとしても意味は無いのだと正直に答えた。
「ボーダー以外にそんな団体が居るんだな」
「僕も詳しい事は知らないんだけど……紅き界賊団っていう団体の名前らしい」
「紅き界賊団って……マジか!」
「知ってるのか?」
紅き界賊団の名前を出せば遊真は驚いた。
トリガーを扱っている団体ぐらいの認識だったのだがどうやらそんな小規模な組織ではないらしく、いったいなんなのかと聞いてみる。
「紅き界賊団は向こうの世界で派手に暴れ回ってるヤバい奴等だ。こっちの世界を狙わないでくれるならこっちの世界の技術を提供するって交渉したりしてて、昔技術を独占しようとした国が居たけど今は無くなった。騙したりした国も見せしめとして滅ぼしたりしたとんでもない奴等だ……オサム、紅き界賊団の一員だったのか」
「いや、違うよ。僕は紅き界賊団じゃない。僕の従兄弟が紅き界賊団の一員なんだ」
「紅き界賊団はこっちの世界の住人だって噂程度で聞いてたけれど、マジだったんだな」
「そういう空閑は……ボーダーの隊員じゃないんだな」
「うん。おれの親父が死んだりなにかあったりしたら日本に行けって、知り合いがボーダーっていう組織をやっているって言われてな」
「じゃあ空閑の親父さんはボーダーの人間なのか」
「いやいや、違う。親父はボーダーの人間じゃない、親父の知り合いがボーダーの人間なんだ……なんか似てるな、おれ達」
従兄弟が紅き界賊団の最高幹部が修。ボーダーの創始者の1人が親父の知り合いな遊真。何処となく2人は似ている。
ウンウンと感心しつつ色々と考える。
「オサム、こっちの世界について教えてくれないか?おれ、こっちの世界について全然知らないんだ」
「……分かった」
「む、いいのか?自分で言うのもなんだけど怪しさ満載だぞ」
「……僕がそうすべきだと思っているからだ。でも、勘違いするんじゃないぞ。怪しい素振りを見せたり危険な事をしたら即座にボーダーに通報するからな!」
「ふむ……最初に
「……なんだそれ」
そんなこんなで修と遊真は市街地に足を運ぶ。