「スゴく今更な事を聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「えっと……なんですか?」
間もなくクリスマスじゃないかと思える頃、玉狛支部で訓練に励む修くん達に素朴な疑問を投げかけようと思います。
コレを聞いておくか聞いておかないかで今後の事は割と左右されがちなのです。
「連れ戻したい人達を仮に連れ帰る事が出来たのならば、修くんと千佳ちゃんは紅き界賊団を辞めるのですか?」
修くん達は強い奴と戦いたいとか向こうの世界を冒険したいとかいうのでなく、向こうの世界に居なくなった人を探している。
連れ去られた人を連れ戻すのは困難な道ですけども、彼等が諦めないならば幾らでもやりようはあります。ただ……それが終わった場合どうするのか?そこが気になっていました。
「正直な話、千佳ちゃんも修くんも戦う事は向いていません。何事も適材適所だと私は思っています。やりたい事を見つけたのならば応援するのが筋だと思います……ただ、紅き界賊団を辞めてボーダーに転職するというのは普通に困ります」
紅き界賊団の見習いから船員になった後を修くん達は考えていない。
そんなに割とあっさりと見つかるほどの世の中は甘くは出来ていませんのでかなりの時間を有する事でしょう
「紅き界賊団とボーダーは色々と異なっています、そこの履き違えは困ります」
「履き違えって言うけど、アリサさんとアオミネさん以外の人は見たこと無いんだから違いがわからないんだが」
「そう言えば、見たこと無いですし……嵐山隊みたいに広報活動したり、実際に現場に出て戦ってるわけじゃないですよね……普段なにをしているんですか?」
極々普通の質問をぶつけてくる遊真くんや千佳ちゃん。
言われてみればと修くんも振り返れば青峰さんと私は特に目立った行動はしていないです。じゃあ、普段は何しているのか?疑問に思うのも無理は無いです。
「紅き界賊団と言うのは政府公認の政府傘下の異世界にあれこれする冒険部隊で、向こうの世界と日本と言う国と貿易を出来ないかどうか等を試みています」
「それはなんとなくで知っていますが……実際、成果らしい成果は聞いたことがないんですが」
「レプリカさん、この世界と向こうの世界の周回図的なのを出せますか?」
『心得た』
レプリカさんはこの世界と近界民の世界を現した航海図の様なものを出す。
「遊真くんは既にご存知かもしれませんが、1から説明しますね。向こうの世界とこっちの世界は月と地球の様な関係性です。特定の時期じゃなければ行くことが出来ない、時と場合によってはこちらの世界に数年に1度の干渉しか出来ない等があります」
「そう、なのか?」
「ああ、こっちの世界に国が近付いて来る。近づかなかったらこっちの世界にも別の国にも行かないんだ」
「ええ、ですのでこの国と固定で貿易をすると言う事が出来ないんです、分かりやすく言えばアメリカに3月10日から3月20日までは行けるけども他の日はアメリカに行くことが出来ないと言ったところですね……相手の国に行くことすら出来ないのに貿易は出来ると思いますか?」
「……無理、だと思います」
「何故ですか?」
「なにかを輸出したり輸入したりする時間が足りない、10日ぐらいしかないなら……貿易する価値は低いと思います」
千佳ちゃんは千佳ちゃんなりに考えて、最もらしい意見を述べる。
それを聞いて遊真くんも修くんもなにか意見を出すことはしない。2人とも同じ事を考えてる。物資の輸出や輸入が出来ないのだから当然です。
「ええ、そうです……では、遊真くん。貴方は向こうの世界から見てこちらの世界はどう言われているでしょうか?」
「トリガーやトリオンを用いていない文明を築き上げていて向こうの世界の何百倍も広いだな……」
「文化どころか文明が大きく違います。なので、その文明を認めさせる事から、こっちの世界を襲撃するよりも交渉したりした方がいいのではないのか?そう思わせるのが大事です……皆さんはこっちの世界で使えそうな交渉のカードはなんだと思いますか?」
「……なんだろう…………トリガー以外の文明ですか?」
「それも1つの正解ですね。こっちの世界に襲撃してこないならば、貿易をしてくれるならば電球と電気の作り方を教える……向こうの世界では明かり1つ灯すのにもトリオンを使いますからね」
「そう、なのか?」
「うん……確かに明かりを灯すのにトリオンじゃなくて電気を使えるようになれば色々と便利だな。明かりを灯すのに使う分のトリオンを別のことに回せるし」
「日本と言う国の存在を認めさせる事が向こうの世界で行われています……ただ…………あんまり成果は乏しくないです。紅き界賊団は悪名の方が有名ですから」
向こうの世界で交渉しますが、こう、スポーツ漫画とかでよくある外国人が日本人は下手くそのジャップだなんだ言って見下す展開の様に向こうの世界はこっちの世界の住人である為に割と見下して来ます。トリガー文明を上手く築き上げる事が出来ない奴等だとこっちの技術を奪うだけ奪おうとする国が多く、話し合いが通じないと判断したら皆殺しにてトジルギアに閉じ込める。
悪名が高くなりすぎている……稀にこっちの世界だからと見下すことがない国がありますが……辺境国家とかこっちの世界に数年に1回干渉するぐらいのレベルで……成果は乏しくないです。
「おぉ、お前等に用事があるって奴を連れてきたぞ」
紅き界賊団の活動について語っていると林藤支部長が現れました。
用事があるという人とはどういうことかと思っていると赤色の機械の鳥が現れる。
「オイッス!」
「おや、セッちゃんじゃないですか」
「有里彩、久しぶりっチュン!」
「え……誰ですか?」
「オイラはセッちゃん!機界戦隊ゼンカイジャーのマスコットチュン!君がゼンカイガオーンの修チュンね……ムムッ!ライバル発見!」
『む…………なにやらセッちゃんとは他人の気がしないな……』
セッちゃんとレプリカは見つめ合う。
「玉狛支部のドアを開けようと必死になってた所を偶然に見つけてな、青峰か有里彩を探してるって言ってるが青峰が何処に居るか分からなくて」
「そうですか……セッちゃん、話は聞いてますよね。一応は挨拶を」
「えっと、修だよ」
「空閑遊真です」
「雨取千佳です……セッちゃん?」
「セッちゃんはセッちゃんでそれ以上でもそれ以下でもないチュン…………有里彩、コレを」
「…………あ〜…………あ〜……………そんな日が来るとは思いはしていましたがやはり来てしまいましたか」
大きな封筒に包まれたハンコが押された書類をセッちゃんが渡してきた。
私か青峰さんが読まなければならない物なのでとりあえずはと読んでみるとボーダーにすればあまり耳の良い話じゃない話でした。
何時かはそんな日が来てもおかしくはない……修くん達がなんなのか気にしていますね。こういう時は潔く覚悟を決めるのが原因ですよね。
「上が三門市にSPDの拠点を作れと命令してきました……はぁ……」
「SPD?なんだそりゃ?」
「
「そうだな。こっちの世界にはトリガーの技術は無かったがこの4年でその常識が覆った。こっちは4年かけて備えて来た……言い方を変えれば、向こうの世界の奴等も備える時間はあった。ただ普通にトリオン兵を派遣しても成果を上げる事が出来ないと判断するのはおかしくないな」
「…………あまり力を貸さなかった立場上あまり言いづらいのですか、ラッドの1件で絶対に越えないと誓っていた警戒区域を飛び出した事で上の人達が物凄くカンカンに怒ってます。なんだかんだで怪我人等を出してますから当然と言えば当然です」
「だからそのSPDと言うのを作るってか?……ボーダーの代わりに闘う政府公認の民間組織じゃなくて政府公認の政府の傘下の組織を」
「なっ!?」
「…………少しだけ違いますが大体その通りですね。SPDを作ってボーダーと力を合わせろ……SPDのトップは青峰さんがやれと」
「ボーダーに力を貸してくれるのか?」
上からの通達を予想した林藤支部長。
SPDがボーダーの代わりに戦うのではなく、ボーダーとは方向性が違う部署を築き上げてその署長を青峰さんがやる……なにかが起きた時はボーダーに責任を擦り付けて時にはボーダーの利益を奪う……相変わらずと言うか上は普通にドン引きです!
「人命救助等の活動を主とした組織を………近界民退治はボーダーと紅き界賊団がやれな感じです……この事を上に報告するかしないかは、ご自由にですね」
「そうか……う〜ん…………俺個人としての意見ではボーダーとか紅き界賊団とかは関係無しに街の住人が助けたり近界民倒したりした方がいいが、組織的には色々と不都合だよな……どうにか融通する事は出来ないのか?」
「結論から言ってしまえば、融通以前に道を違えますので無理ですね」
「ほぉ、なんでそう言える」
「紅き界賊団は向こうの世界であれこれしている政府の傘下の組織でジャンル的に言えばメン・イン・ブラック、宇宙人関係を取り締まる警察に近いです……ボーダーの様に政府公認の民間組織の私設の軍隊とは違います。活動方法はともかく私達は国の人間、国家公務員です…………故に道を違えます」
城戸司令の最終目的はともかく、ボーダーと政府は道を違えます。
「政府の主な方針は話し合いが通じる向こうの世界の国と技術交換等をしていて友好的な近界民も中には居るとのだと判断をくだしています」
「じゃあ、近界民友好派な
「無論、一部は噛み合うでしょう……私達はトリガー技術を持ち帰ってなにをしていると思いますか?」
「それは……トリガー開発か?」
「日本政府はトリガー技術を学んで更に発展する、時には近界民とも貿易をする……電気とトリオンを用いたハイブリットな街を作り上げる」
「!」
今のところの日本政府の到達点を言っておく。
過去の戦争を経験したのでトリガー技術を用いて他所の国と、それこそ中国やアメリカに戦争を仕掛けると言った馬鹿な真似はしません。
よりよい豊かな国へと発展させる。
「西洋文化を取り込んで大きく発展した日本には近界民の文明を取り込んで成長してもらう、それが答えです……」
「…………どういうこと、ですか?」
修くんはイマイチよく理解する事が出来ていない。
「例えばこの十年で日本は記録的猛暑が更新されて皆エアコンを使ったりしますが電気代は馬鹿みたいに値上げしてます……もし仮にこの電気をトリオンに代替えする事が出来れば?」
「……電気代が減ります……」
「街の人達からトリオンを集めてトリオン器官を鍛える。集めたトリオンを電気の代わりに使う。電気の代わりにトリオンを使う道具の文明が発展する。そうすれば日本という国はもっともっと豊かになり潤います!トリオン器官を鍛える環境を作り上げ、トリオンで動く道具を作り上げる……最終的にはトリオンと電気の文明を合わせたハイブリットな文明を築き上げる…………世界中のどの国よりも先に1歩踏み出すのです!」
「…………日本が豊かになるならそれはいいことじゃないんですか?」
「ええ…………ボーダーという民間組織以外はですが」
私の言っている事がイマイチよく分からない……具体的にどころかハッキリと言わなければいけないですが流石にそこは言えないです。
日本が豊かになるなら、電気の代わりにトリオンで動く家電があればそれは普通に便利なのだからと否定的ではなく受け入れようとする。千佳ちゃんも遊真くんもいいことだと考えますが林藤支部長は少しだけ困っています。
「……ボーダーは近界民やトリガー関係を牛耳っている。そこの強味があるからなんとか出来てるが、政府が動けばその強味は……」
「ええ、無くなります…………今はこうやって手を取り合う事が出来ても、何れは道を違えます」
ボーダーにとって都合の良い世の中じゃなくなります。情報の独占から出来る事が色々とありますが、その情報を開示したりします。
きっと今こうしてる間にも道は違えてる。近い将来生まれるトリオンも使える電化製品等に対して先手を撃っておかなければなりません。
「トリオンは電気と違って決まった量の量産は難しいです。ですので、トリオン収集は民営でなく国営でやる等を計画しています、その為に1つの街を改造する話も出ています……………私達は現場仕事が主で、あまり語ってはいませんが技術開発関係等もちゃんとしてます」
あくまでも私達の担当する部署は向こうの世界の探索や戦うことです。
それだけでも民営化することが出来ないか?馬鹿を言っては困りますよ。そういうところは民営と国営の2つが大事ですからね。
「…………その話にボーダーも1枚噛むって事は出来ないか?」
「ボーダーにとってなにかと都合がいい様に印象操作されているのが、今の世の中です……話を通すことは出来ても決定権はありません」
私はゴーストドライバーを出現させた。
眼魂を取り出してゴーストドライバーに装填するとパーカーが出現した
『バッチリミナー!バッチリミナー!』
「変身!」
『開眼!ゴエモン!歌舞伎!ウキウキ!乱れ咲き!』
ゴエモン魂に変身した。何時かはコレを言わなければならない、青峰さんが言いたがっていましたが私が言いましょう!
「予告しましょう!ボーダー、貴方達から英雄を、正義の味方を盗みましょう!」