1月8日、ボーダーの入隊日だ。本来であればオレには関係ねえ話だが、今回はちょっと違う。
遊真の奴が玉狛支部の新人としてボーダーに籍を置いている。名目上は派遣社員に近いところだが。
「ふぁ〜……」
「青兄、あくびはまずいよ」
「いいじゃねえか……綺麗事ばかり並べてるのを聞くのは好きじゃねえんだ」
遊真の付き添いで参加をしている。
忍田本部長が綺麗事を並べている……どんなに綺麗な言葉を並べても自衛隊の様に志願兵のみ戦わせていても近界民、いや、異世界との本当の戦争である事には変わりはねえ。この中でボーダーをチーキュの代表として異世界からの住人と戦っているって自覚はどれぐらいあるんだ?
そういう覚悟がねえと後で後悔する。大人達が世間や社会にそういう風に見せない様にしても次の大規模侵攻でボロが出る……逆転のきっかけである修は既にこちらの手中にある。ボーダーはどんな言い訳……は、しねえな。上からSPD作れって命令あったし。
「……」
「どうしたの?」
「遊真に対して視線を向けてる奴が数名居るな……上から遊真の詳細を聞かされてる連中だろう」
長くてどうでもいい対話を聞き流しつつも他の事に意識を向ける。
遊真は向こうの世界から来た人間、近界民だ。一応は紅き界賊団の傘下の人間なので手を出せば出る所を出る、日本警察の元に実力を行使する。
ボーダー側は大方迅がオレ達に喧嘩を売ればボコボコにされるからと釘を刺されてる……有里彩1人で太刀川とかをボコってるから紅き界賊団は強くて対峙するのはマズいと教えてるだろう。
「貴方は……」
「あ……」
「んだよ、後から来たのに偉そうに言った木虎さんじゃねえか」
「っ……この人は誰なの?」
「こういうもの」
「!?」
忍田本部長が挨拶を終えれば移動を始めるC級達
先導しているのはA級でボーダーの顔である嵐山隊の嵐山だが、嵐山隊の木虎がオレと修の存在に気付くので煽れば苦虫を噛み潰したような顔をする。なんだかんだでまともに顔を合わせてねえなと思い出したので聞いてきた木虎に警察手帳を見せれば驚いた顔をするが気にしない。
攻撃手、銃手、射手と狙撃手は別々の訓練所に行くとのことで攻撃手の遊真と一緒の所に行けばトリオン兵を擬似的に再現した場所に連れて行かれる。
「貴方達なら何秒で行けるかしら?」
「……あのなぁ、倒した速度とか倒した数云々の話じゃねえだろ?お前等は色々と派閥はあるかもしれねえけど、こっちの世界を守ろうってする意志だけは違わねえだろ……スポーツの試合でもなんでもねえのに数とか速度を競い合うなよ」
嵐山が5分以内にトリオン兵を倒してそこから評価すると説明をする。
何故かすぐ近くに居る木虎がオレや修を煽ってくるので、もっともらしい事を言っておく。そう言われれば黙る木虎……年頃だから対抗心とか剥き出しにしてるんだろうけども、青いな。若い人材を使わなきゃならねえ状況だからもうちょっとメンタルトレーニングも視野に入れとけや。
「コレって平均は幾らぐらいなんだ?」
「そうね、1分も切れば上出来よ」
「因みに木虎は?」
「30秒は切った、とだけ言っておこうかしら。貴方だったら何秒ぐらいなの?」
「僕は……何秒だろう?」
「戦隊ギア1個使わなきゃ倒せねえのは確実だから……30秒ぐらいはかかるな」
C級の訓練生達がトリオン兵に挑む。
なんだかんだで時間が掛かるが倒すことに成功しており、平均値がよくわからない修は木虎に質問をする。
木虎は具体的な数値を言おうとせず、修だったら何秒かを聞くのだが修はやってないのでよくわからないからオレがざっくり計算で出せば木虎は小さくガッツポーズを取った。器が大きいのか小さいのかよく分からねえな。
それはともかく、訓練生達は頑張ってトリオン兵を倒す。
戦闘目的じゃないバムスターを相手にしてこの結果、B級下位じゃ単独ではモールモッドを倒すことが出来ないと言う事実……新人育成ってかなり難しい事だ。人を鍛えるのは難しいな。
「あら、1分切ったわね」
「……ありゃダメなタイプだな」
1分を切る奴がやっと出てきたが、直ぐに底が見えた。
自分達がエリートだなんだと思ってるタイプで、能力と性格が見合ってない。相撲で言うところの家賃が高いだろう。
他より少しだけ秀でた才能があるのは事実だろうが、世の中は才能だけでどうにかなるものじゃねえ。最後に物を言うのが才能であって、最初に物を言うのはやる気と効率の良い努力だ。
「空閑の番だ……」
調子に乗ってる3人組がそこそこの成績を叩き出して終えれば遊真の番がやってくる。
訓練開始のブザーが鳴り響くと同時に遊真は動いてバムスターの弱点である目玉を切り裂いた。その時間は0,6秒
「いやいやいや」
「おかしい!おかしいだろ!」
「機械の故障だ!!」
0、6秒の記録を叩き出した遊真だが、野次が飛び交う。というか3人組が異議を申し立てる。
機械が故障したと言い張るので遊真はだったらもう1度やると言い嵐山にもう1度やることを伝えれば更に記録を伸ばす。
「0,4秒……そう!そうだったのね!」
「……なにが?」
「惚けたって無駄よ!三門第三中学のイレギュラー門を解決したのは貴方じゃなくて彼なのね!」
「残念、私と修くんです!」
「ぬぅわぁ!?」
記録を伸ばす遊真を見て確信する木虎。
イレギュラー門に関しては修と有里彩が解決した事であり、有里彩が背後から声をかければ木虎は腰を抜かす。何処からともなく現れればそりゃそういう反応をするわな。
「だ、誰ですか!?」
「どうも、有里彩です……SPDの課長です」
「SPD?……三雲くんの知り合い?」
「形式で言えば修くんは見習い候補生、私は乗組員なので修くんはかなり下です」
つっても、お前はチーキュから離れる事は出来ねえけどな。
有里彩の登場に驚く木虎だが直ぐに受け入れて修の上司かどうかを確認する。一応は上司だが結構差が開いている関係性だ。
「成る程、お前の実力は分かった」
「僕達と同じ強者というわけだね」
「ならばやることは決まりだ……手を組もう」
「おことわりします……自分は玉狛支部のフリーを条件にここにいますので」
3馬鹿は遊真の実力を認めてかなり上から目線で遊真を誘う。
しかしまぁ、遊真は玉狛支部のフリーの隊員であるのを条件にボーダーに居るわけで、上を目指すという気持ちは無い。仮にあったとしても修や千佳が誘わなきゃ部隊を組むことはねえだろう。
「あ、もう始まってるんですか?」
「遊真の番が終わった感じだ……まさかセッちゃんの充電が切れるとはな」
「すまないチュン。充電し忘れてたチュン」
遊真がド派手なインパクトを出したが為に後の連中の成果がなんともまぁ、微妙な結果になっている。
やっぱり何年も最前線で戦線に立ってた奴が出るのは普通に反則か何かだろうと思えばセッちゃんを連れた千佳が現れる。充電し忘れてたからセッちゃんを開発室で充電してたんだよな。
「なんか見られてるね」
「上から色々と言われてるから、どれくらいのレベルなのか見定めてやろう……そんな感じだろう」
セッちゃんは視線に気付く。遊真がスゴい!という感じの視線ではなく、あいつが噂の近界民なのかという視線に。
気付かない内に天狗になってる連中は割とどうでもいいと思っているとセッちゃんは翼を仰いで飛んだと思えば風間隊のところに向かった。
「君達、オイラ達になにか用チュン?オイラ達は見世物でもなんでもないチュンよ!」
「なに、この鳥?」
「鳥じゃない、セッちゃんだチュン!機界戦隊ゼンカイジャーの司令官兼マスコットチュン!」
「え……そうなの?」
「そうです。修くんの上司です」
菊地原の元に向かったセッちゃん。菊地原はなんだこいつ?的な感じなので、セッちゃんは自己紹介をする。
セッちゃんはマスコットかなにかかと思っているかもしれないが、機界戦隊ゼンカイジャーの司令官でもあるんだ。真の黒幕はゼンカイザーの高遠のおっさんだけども。
「お前がゼンカイガオーンか」
「あ、はい……えっと、どちら様でしょうか?」
「……A級3位、風間隊の風間だ……」
「風間さん、修くんは見習い候補生なので喧嘩を売るのは禁止です……もし、勝負しろとか腕試しとか見てやろうとか上から目線の偉そうな事を言うなら相手になりますよ。青峰さんが」
「オレがかよ」
風間さんが修に絡んできた。修がどれくらいのレベルなのか試そうという腹ならばと有里彩が間に割って入ってオレに押し付ける。
いや、別にいいんだけども暴力関係で物事を解決するのはオレの仕事だからな。
「お前がか?」
「まぁ、一応はこの中で1番偉くて1番強いぞ……なに?勝負しろとか言い出す感じか?オレはそういうのめんどうだからしねえよ?相手を戦闘能力だけで推し量ろうとするのは馬鹿の行いだからな」
有里彩に丸投げされれば風間さんの意識がオレに向いた。
トリガーを手にしているので腕試しとかしようとするからその前に釘を刺しておくが風間さんはピクリと反応をする。
「俺がバカだと?」
「戦闘能力だけで評価しようとしてるとこがな……正直、あんたレベルに測られてもなぁ……」
「なに?」
「ちょっと、なにを言い出してるですか!?風間さんは攻撃手2位、個人総合3位でボーダー隊員の中でも5本の指に入る実力者で」
「……それがどうしたんだ?」
風間さんに対して挑発的な事を言っていて若干だが苛立っている風間さん。
この程度の実力者にああだこうだ言われても特になにかを思うわけじゃねえ。木虎が慌てているがオレは全くと言って気にしない。
「そこまで大口を叩けるのならば、見せてもらおう」
「木虎、次に移るんだったら移っとけ」
風間さんがトリガーを起動してトリオン体に換装する。
オレは挑むと言う気にはなれないのでC級と言う名の外野が今からバトルが始まるのか的な視線が集まる。しかしまぁ、オレは挑むと言う気がないのでガン無視する。
「青兄、戦わないの?」
「オレはスポーツとかならちゃんとやるけども、ボーダー関係はなんだかんだで命懸けの戦争だろ?やれ戦士の誇りだなんだとほざくけども、戦争を美化しちゃいけねえ。戦争を汚くしちゃいけねえ。異世界からの戦争と言う事実から目を背けちゃいけねえ」
「なんだ、口先だけの人間じゃん」
「はいはい、お前等はA級3位、白兵戦特化の部隊で強い強い」
オレは全くと言って戦おうとしない。修がここまで来て戦おうとしない事を気にするがやる気が起きない。
菊地原が口先だけの人間だと言い張るので、口先だけの人間で結構だ。
「アオミネさんが戦わないなら、おれがやろうか?」
「やめとけ、経験不足でC級のトリガーで勝てる相手じゃねえよ……アレはアレで一応は強いから。千佳も修も変に喧嘩売るなよ……勝てない相手は余程の事がなければ挑むな。金星を掴む事でパワーアップするって一例はあるが、まだお前には荷が重すぎる……一矢報いるのも1回だけしか出来ねえ」
「…………目上の者がここまで言っているんだ。1戦ぐらいしろ」
「それ言い出したら、有里彩は24だぞ?」
「なん、だと……」
「あれ、言ってなかったですか?私、青峰さんや風間さんよりも歳上ですよ?」
「つーか、年齢を理由にパワハラするんじゃねえよ」
戦いたくねえ奴に自分が歳上だから戦えって言うのはパワハラだぞ。
風間さんは有里彩の実年齢を知って嘘だろと言った顔をしている。有里彩は言ってないだけで、オレや船長代理の赤司よりも歳上だ。
「24なのか……」
「諸事情で老けないですが、24ですよ……はい」
有里彩は財布を取り出して免許証を見せる。
大型特殊自動車をはじめとする様々な免許を有里彩は所有しており、風間さんは有里彩に改めて確認をする。
「因みにオレはバイクと車(AT限定)の免許とマーダーライセンスを持ってる」
「マーダーライセンスは紅き界賊団の人達が皆持っていますよ…………青峰さん、このままだとアレなので、戦ってあげたらいいんじゃないですか?」
「えー……有里彩が戦えよ……風間さんレベルなら普通に勝てるだろう」
有里彩の免許証を返した風間さん。
有里彩がこのまま色々とめんどくさいから風間さんと戦うことで解決をしようとするのだが、なんだかんだでオレが1番損をしてる。
そんな事を言うぐらいならば、有里彩が戦ってくれればいい。風間さんレベルならボーダーのトリガーで普通に勝つことが出来るだろう。
「……修くん」
有里彩に厄介事を押し付けようとすると修に耳打ちをする。
またなんか余計な事を言おうとしてるなと思っていると修は少しだけ汗を垂らしながらオレの顔を見る
「青兄のカッコいいところ、見てみたいな……青兄なら風間さんを倒せるよね?」
「……私も青峰さんが戦ってるところを見てみたいです!」
「おれもアオミネさんのスゴいとこ見てみたいな」
「……おい……」
「青峰、別に戦うだけだから失う物はなにも無いチュン!修達も青峰がカッコよく戦ってるところを見たいって言うから、見せてやるチュン」
修が、千佳が、遊真が見たいと言ってくる。身内に対しては比較的に甘い方なのを有里彩は熟知しているから言わせてやがる。
有里彩を睨めば有里彩はセッちゃんを盾にして戦っても問題は無いと言い切る。
「分かりました!ののさんと交渉して風間さんに勝てたらののパイを揉める様にしましょう!」
「……おい待て、何故ののが出てくる?」
「えっ、あっ……」
「……この前、妙な視線を感じた。橘高が覗いていたが、橘高が現れるよりも前に感じてた…………マジ・マジ・マジナを使ってやがったな!」
「……変身!」
『イッキュウ!迫るピンチ!冴えるトンチ!』
「おい、認めたな。認めやがったな!」
デート中に妙な視線を感じると思っていたが、有里彩の奴はデートを視ていた。
有里彩はイッキュウ魂に変身してこの場を切り抜ける方法を考えるけども、それはつまり認めているも同然だ。
「マジ・マジ・マジナをするにはマジブルーのレンジャーキーかマジレンジャーの戦隊ギアが……」
『タドルクエスト!』
修達はなんのことだ?となっている中で有里彩が座禅を組んでいる。
タドルクエストのガシャットを取り出してガシャコンソードを出現させて氷の剣のモードに切り替えてBボタンを連打して有里彩に斬りかかれば有里彩はカチンコチンに凍りついた。
「有里彩さん!?」
「大丈夫チュンよ、有里彩は復活するチュン!」
「…………それがお前のトリガーか」
カチンコチンに凍りついた有里彩を心配する修だが、セッちゃんは問題は無いと言う。実際問題この程度で死ぬほど有里彩は柔じゃない。というか有里彩既に死んでるからな。
風間さんはオレの持っているガシャコンソードをジッと見てくる。嵐山はさっさとC級を移動させてくれねえかと思ってたが、この異様な光景をC級達に見せていた。
「はぁ……遊真、今使っているトリガー貸してくれ」
「それ使わないの?」
「ブレイブには変身しねえよ……それ使えば確実どころか絶対に勝つし、後でトリガーの性能で勝ってるだなんだ言われたくねえし」
ここまで来たのならば戦うしか道は無い。
ブレイブやゴーカイシルバーに変身して戦ってもいいが、菊地原辺りがトリガーの性能で勝ってるだなんだ言いそうだ。
「……そいつのトリガーは訓練用のトリガーだ。お前は自前のトリガーで」
「これ、レベル2だぞ?」
「レベル?」
「オレのこのガシャットにはレベルがある……最大レベルは100、タドルクエストを用いてブレイブのクエストゲーマーに変身してもたったのレベル2……お前レベルならボーダーのC級の訓練用のトリガーで充分なんだよ」
「…………お前の天狗になっているその鼻を折ってやる」
ガシャコンソードをガシャットの中に戻せば遊真からC級のトリガーを借りる。
風間さんはやる気を出している…………
「遊真のトリガー借りて怒られるとかねえよな?」
「勝負する展開になったのは風間が原因だから、風間の責任にするチュン!」
「んじゃ、トリガー起動」
後で怒られるとかめんどくせえからセッちゃんに確認する。問題はなさそうなのでトリガーを起動した。
命を燃やせ アリサ
転生する度に坂本真綾キャラになる女。
転生者的な意味合いでも実年齢的な意味合いでも青峰よりも先輩だが、先輩である事は鼻にはかけない。女子力は低くて女を捨てていると言われる。
本編で特に語るつもりがないので書くが、紅き界賊団がやんちゃしてた頃にゼンカイザーに殺されており19歳の肉体のままチーキュから出て行かないのを条件に魂をこの世に留めている。
生き返ろうと思えば生き返る事が出来るがゴーストとしての生活が色々と便利なので生き返らない。ロシア系日本人のGカップ、千佳ちゃんと小南パイセンは揉んでいる。実はゴーカイピンク