メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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メガネがガオーン 3

 

「こちら三輪隊、現場に到着した」

 

「うっひゃ、凹んでる」

 

 修と遊真が警戒区域から立ち去って少しした頃、ボーダーの誇る精鋭のA級部隊の7位である三輪隊の三輪と米屋がやってきた。

 自分達が一番最初に現場に到着したのだが肝心の近界民、もといトリオン兵が凹まされて破壊されている事に気付く。

 

「オレ達が一番最初……月見さん、誰か非番の隊員が居たんですか?」

 

 この場に一番最初に辿り着いた筈なのに既にトリオン兵が倒されている。

 非番の誰かが偶然に居合わせたんじゃないかと米屋はオペレーターの月見に連絡を取る。

 

『いいえ、そんな報告は受けていないわ』

 

「じゃあ誰が……ここに来てぶっ倒されてるなら……」

 

『こちら奈良坂、一般市民を発見した』

 

 色々と考えているとチームメイトで狙撃手(スナイパー)の奈良坂から連絡が入った。

 修達に絡んでいた不良達がボーダーに無事に保護された。

 

「度胸試しで警戒区域に乗り込んできたのか?」

 

『その様な感じだと思う……俺はこのままこいつ等を本部に連れて帰る。後は頼んだぞ』

 

「了解っと……コレやったのは何処のどいつだぁ?」

 

 修と遊真が倒したトリオン兵もといバムスターを気にする米屋。

 その隣で三輪がバムスターを切り裂いた。

 

近界民(ネイバー)は……潰す」

 

 三輪は今回の一件を近界民(ネイバー)の仕業だと思っている。その考えは間違いではない。

 しかし残念な事にこの世界線では修はボーダーに所属していない。最初に修を必要としないとボーダーが判断したので自業自得なのである。

 

「腹が減ったな」

 

 市街地に足を運んだ遊真はお腹を擦る。

 時刻は日が沈んでもう夜と言ってもいい時間帯、食べ盛りな年頃にとって今は空腹は当然なのである。

 

「オサム、どっか簡単に食べれる飯屋はないのか?」

 

「軽食だったらハンバーガーの店があるかな」

 

「ハンバーガーか……それって幾らぐらいあれば買える?おれ、こっちの通貨を持ってるには持ってるんだけど」

 

「ばっ、しまえ!」

 

 そう言うと札束を取り出した遊真。周りの目が遊真に集まる。人が多い市街地で札束を出せば嫌でも悪目立ちする。

 修は直ぐに札束をカバンにしまう様に言う。コレってそんなに大金なのか?ただの紙じゃんと遊真は意外そうにしている

 

「……とりあえず、買い方を教えるからついてこい」

 

 面倒見の鬼である修は遊真にこちらの世界の買い物のやり方について教える。

 1枚の1万円札が9000円に、9枚のお札に増えたのだと喜びを見せた。こっちの世界の住人じゃないのだと改めて再認識する。パクリとハンバーガーを食べる遊真は美味いと満足気な顔をしている。

 

「ハンバーガー、中々に美味ですな」

 

「ジャンクフードだから食べすぎるなよ……ところで空閑の親父の知り合いってどんな人なんだ?」

 

「モガミソウイチって人らしい……オサム、知らないか?」

 

「う〜ん……あ、そうだ。確かボーダーの隊員は公式HPで名前が上がってるって三好が言ってたな」

 

 ボーダー好きのクラスメイトの事を思い出す。

 ボーダーの公式HPにはオペレーターを含むボーダー隊員の名前が載っている。遊真の言うモガミソウイチが居ないのかと確認してみるも名前は載っていなかった。

 

「モガミソウイチって人の名前は無いな」

 

「むぅ、困ったな……」

 

「青兄……僕にトリガーをくれた人ならなにか知ってるかもしれない」

 

 身近にボーダー隊員が居ないので困る修。

 秘密は何かと多いのだが、不利益な事はしないであろうと思っている青峰ならばなにか知っているかもしれない。試しに電話を掛けてみる。

 

『もしもし?』

 

「青兄、ちょっといいかな?」

 

『十数分ぐらいならいいけど、なんかあったのか?』

 

「相談したい事があって……明日とか時間取れる?」

 

『あ〜……厄介な出来事はぶっちゃけ関わりたくねえけども、まぁ、お前の事だからな……いいぞ』

 

 そんなこんなで青峰からアポを取る事に成功した。

 明日には青峰と会うことになり、帰り道が別れていたので札束は見せるんじゃないぞと注意喚起を促して遊真と別れていった。

 

「ふ〜……」

 

 まさか転校生が近界民だとは思いもしなかった。予想外の出来事に、いや、1日に修はドッと疲れた。

 家に帰った修はギアトリンガーを取り出した

 

「……結局、勝てなかったな」

 

 ボーダーのとは異なるトリガーとはいえトリガーを貰っている修。

 青峰が責任を持って訓練しているのである程度は強くなっていると思っていたのだが、いざ実戦となった際にモタツイてしまっていた。自分の本来の力量ならばトリオン兵は倒せる筈だったのに、倒せなかった。結果的に遊真が倒してくれたがそれで良いと納得する修ではない。

 

「明日、もっと訓練してもらおう」

 

 明日に会う予定の青峰に更に訓練してもらおうと考える。

 とりあえずは今日は休もうとゆっくりと眠りについて次の日を迎えた。

 

「おはよう、修」

 

「おはよう、空閑……随分と早いな」

 

 少し早目に学校に行こうと思っていた修は登校のルートで……昨日、遊真と別れた道で再会を果たす。

 

「ずっと起きてるみたいなもんだからな」

 

「不眠症か?」

 

「みたいなものだ」

 

 その歳で不眠症とは難儀だなと思いつつも遊真と一緒に三門第三中学校に向かう。

 クラスメイトや後輩など色々なメンツと出会い修と遊真は軽く挨拶を交わして教室に向かい、そのまま普通に授業を受けて昼時、2人は屋上で弁当をいただく。

 

「あれあれあれ、あれぇ?こんなに屋上に人が居るぜ」

 

「ったく、誰の許可を得て使ってるんだよ。使用料500円な」

 

「あいつら……」

 

「っむ、昨日の奴等か」

 

 修と遊真にボコられた不良のグループが屋上にやってきた。

 昨日の事なんて全くといって覚えていない、昨日痛い目に遭ったというのに馬鹿なのか?と遊真は首を傾げる。

 

「ボーダーに記憶封印措置がされてるんだよ」

 

「なるほど……」

 

「あ、おい、空閑」

 

 既に記憶に無い事なのでああいう輩には絡まない方が良いと修は思っているのだが遊真は動いた。

 修がなにかする前に止めに入ろうとするのだがそれよりも先に遊真が不良の前に立った。

 

「なんだぁ、このチビ」

 

「チビじゃない、くがゆうまだ」

 

 ダンっと地面に強く足を叩きつけると不良の体は震える。例え昨日の事を記憶の封印措置を受けていたとしても体は覚えてしまっている。

 不良はガクガクと膝を震わせていき聞こえるレベルの舌打ちをした。

 

「っち、覚えてろよ!!」

 

 この場に居れば自分の方が酷い目に合う。記憶にはないが、体がハッキリと覚えている。不良達は逃げるように屋上から去っていくと遊真に拍手が送られた。あの絡めばややこしい不良を退けるなんてと言う尊敬の視線を送っている。

 

「なにやってるんだよ、空閑」

 

「暴力で解決していないぞ」

 

 問題を大きくせずに尚且つ暴力で解決はしていない。

 目立つなという修の指示通りに動く事が出来ているのだと自慢気に語るのだが、修はそうじゃない違うと言いたげな顔をし冷や汗を流している。とりあえずこの場を切り抜ける事は出来た。教室に戻ると遊真はスゴいなとクラスメイトから称賛を受ける。

 

「いやいやいや、ただものではないですよ」

 

 遊真は何者なのか的な感じに話題は変わる。

 只者じゃないと言われれば只者じゃないと言い、何処の国の出身かと聞かれれば地図に載ってない国の出身でサッカーすら知らないとのこと。

 これはボロを出すんじゃないかとヒヤヒヤしている。

 

「う〜ん……戦争?」

 

「え、紛争地帯に居たってこと!?」

 

「まぁ、そうなりますな」

 

 今まで転々とした国で流行っていたものかと聞かれれば戦争と物騒な答えが帰ってきた。

 だからあんな事が出来るんだとある意味感心をしている。

 

「ボーダーについて聞きたいんだけどさ」

 

「お、なんでも聞いてくれよ」

 

「モガミソウイチって人、知らない?親父の知り合いなんだけどボーダーのサイトを調べても全然出てこないんだ」

 

「モガミソウイチ?……聞いたことないな」

 

 ボーダー好きのボーダーファンである三好にも尋ねるのだが名前は出てこない。

 ボーダーの公式サイトに名前が載っているのでそこで出てこなければ居ないということ。

 

「じゃあ、オサムの知り合いに」

 

「く、空閑、ちょっと来い!」

 

 修の知り合いに聞いてみると言おうとした瞬間、修が遊真の腕を引っ張る。

 

「空閑、僕がトリガーを持っている事とか言うんじゃない」

 

「なんで?」

 

「僕や青兄はボーダーの人間じゃない。ボーダーの人間以外がトリガーを持っていると知られると色々とややこしくなるんだ」

 

「ふむ……組織の対立というわけか」

 

「いや、そうじゃないけど……とにかく今日は青兄のところに行くからそれまでは大人しくしてくれ」

 

「……わかっ──」

 

『緊急警報!緊急警報!(ゲート)発生!!』

 

「なっ!?」

 

 些か不満なものの、目立たない様にする事を言おうとすると警報音が鳴り響く。

 何時も街に流れている警報音ではない、緊急事態の警報音で空き教室から窓の外を眺めると黒い穴が、門が開いていた。

 

「そんな、どうしてこんなところに門が」

 

 警戒区域から外に門が開くことなんて今までになかった事だ。

 どうしてこんなところに門が開いたのかと修は色々と考えるのだが今は考えるよりも行動に移した方が良いとギアトリンガーを取り出した。

 

「待った、オサム……死ぬぞ?」

 

「死ぬってそんな大げさな」

 

「大袈裟じゃないって。今この学校に来てるトリオン兵はモールモッド、昨日のはバムスターって言って一般人を拉致する為でモールモッドは戦闘用のトリオン兵だ。昨日のバムスターとはわけが違う」

 

「……だからって見捨てるなんて僕には出来ない!チェンジゼンカイ!!」

 

 例え敵わない相手であろうとも時には挑まなければならない。

 ギアトリンガーを取り出してセンタイギアを装填して修はゼンカイガオーンに変身した。

 

「百獣パワー、ゼンカイガオーン!!」

 

「それ毎回言う必要があるのか?」

 

「お約束だから守らないといけないんだ……とりあえず時間を稼がないと」

 

 そう言うと修は飛び出していった。

 

「全く、弱いのにどうしてああも頑固なんだ」

 

「そうですね」

 

「!?」

 

 弱いのに無理して頑張っている修を見て色々とモヤモヤしている遊真。

 どうしようかと考えていた時に1人の女性が……有里彩が何処からともなく背後から現れる。

 

「何者だ、お前?」

 

「私が何者なのか気にするよりも、今はどうやってこの場を切り抜けるか考えた方がいいんじゃないですか?」

 

「む……」

 

 有里彩が何者なのか気にする遊真。

 しかしながら今は修に関して気にしておかなければならず、どうしたものなのかと色々と考える。

 

「トリガーを使えば簡単に解決する事は出来るけど……」

 

『トリガーを使えばトリオンの形跡が残る。既に昨日、足跡を残してしまっている。これ以上は危険だ』

 

 どうやってこの一件を解決しようかと考えている遊真。

 自前のトリガーを使えばそれで解決するのだが、それではこちらが危うくなってしまう。お目付け役で相棒であるレプリカからもトリガーの使用はよしたほうがいいと止められる。

 

「皆、早く逃げて!!」

 

「だ、誰!?」

 

「近界民なのか?」

 

 遊真が色々と考えている中でも修は動いていた。モールモッド目掛けてギアトリンガーの弾を撃つのだがダメージにはならない。

 幸いと言うべきか不幸というべきかゼンカイガオーンに変身しているので修だという事には気付かれていない。

 

「こういう時は……」

 

 昨日は全くと言って動く事が出来なかったが、今日は違うとセンタイギアを取り出す。

 

『34番!ババン ババン ババン ババン ババババーン!ゴーセイジャー!』

 

「ディフェンストーン!!ロックラッシュ!」

 

 巨大な岩の壁を出現させたと思えば岩の塊がモールモッド目掛けて飛んでいく。

 コレで時間を稼ぐ事が出来たがまだ完全にモールモッドを倒すことは出来ていない。

 

「後、4回で倒さないと」

 

 修は知っている。自分のトリオン能力が物凄く低いことを。

 センタイギアはトリオン能力の都合上1日5回までしか使うことが出来ない。ゴセイジャーのセンタイギアでモールモッドを1体倒す事が出来たがまだ何体か残っている。

 

「次はコイツだ!」

 

『29番!ババン ババン ババン ババン ババババーン!マージレンジャー!』

 

「ジー・ジジル!」

 

 マジレンジャーの力を使い魔法を放つ。

 マジイエローのマジスティックのボウガンモードで雷の矢を放つ。

 

「っ、硬い!」

 

 目玉でなく装甲に目掛けて撃った為に破壊する事が出来なかった。

 どうにかして倒さなければとセンタイギアに目を通す。この状況で使える1番最適なセンタイギアを見抜かなければならないのだが、時間が無い。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「えっ!?」

 

 どうするべきか考えていると人魂の様な物が修の目の前に現れる。

 

『開眼!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ、ゴースト!』

 

「命燃やします!!」

 

 オレンジ色の角の生えた戦士……仮面ライダーゴーストが現れた。

 突如として現れた仮面ライダーゴーストに修は驚く。

 

「あ、あなたは?」

 

「安心してください、私は貴方の味方です」

 

 突如として現れたゴーストに困惑する修。

 ゴーストは味方だと言えばガンガンセイバーを出現させる。

 

「さぁ、いきますよ!」

 

「は、はい!」

 

『オメガスラッシュ!』

 

『33番!ババン ババン ババン ババン ババババーン!シーンケンジャー!』

 

 修は烈火大斬刀を、ゴーストはガンガンセイバーを振るう。

 モールモッドは危険だと感じたのだがもう既に遅くゴーストのオメガスラッシュと修の百火繚乱の前に敗れ去り、倒されてしまった。

 

「全滅した様ですね……ミッションコンプリートです」

 

「あの……ありがとうございます」

 

「お礼なんていいですよ。それよりも怪我はありませんか?」

 

 無事にモールモッドを全滅させる事に成功させた修とゴースト。

 修一人だと負けてしまう可能性もあったので修はゴーストにお礼を言いつつも変身を解除して生身の肉体に戻った。

 

「貴方はいったい……」

 

「私はゴースト、仮面ライダーゴースト。紅き界賊団の1人です」

 

「紅き界賊団って事は青兄の同僚ですか!?」

 

「まぁ、大体そんな感じですね……っと、私は消えなければならないので後は空閑くんと共に上手く誤魔化してくださいね」

 

「え、あ、待ってくださ──消えた!?」

 

 去ろうとするゴーストに色々と聞きたいことがある修。

 しかし質問をするよりも先にゴーストは透明になって姿を消してしまった。

 

「よ、オサム。無事か?」

 

「あ、ああ……なんとかな」

 

「とりあえず外に出ようぜ」

 

「ああ……青兄に聞こう」

 

 自分を助けてくれた人が何者なのか、修は気になって仕方がなかったのだが今はこの場を切り抜けようと遊真に肩を貸した。

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