──ピンポーン
「はいはいっと……来たか」
無事に原作が開始したので何よりだと思っていると色々と聞きたいことがあると連絡を取ってきた修。
今日はイレギュラー門を開く原作の序盤でも重要なイベントが発生する日であり……此処でヘマをしでかしてはいけない。
「大丈夫だったか?イレギュラーな門が開いたって騒動になってんぞ」
アパートのドアを開き、制服姿の修と遊真を迎え入れる。
とりあえずはイレギュラー門の一件で色々と大変な事になっているか心配の素振りを見せる……実際、心配だった。修にはセンタイギアの能力を教えてるが使い方まではまだ教えていない。44のスーパー戦隊の力を数ヶ月で熟知して使いこなせというのが無茶な話である。
「それが……学校と市街地でイレギュラーな門が開いたんだ」
「また随分と物騒な話だな。ギアトリンガーは使ったのか?」
「うん……出来るだけ目立たない様にはしたけど」
「使った時点で悪目立ちするわ……で、お隣さんは?」
「おれはゆうま、くがゆうま……あんたが紅き界賊団の人?」
修には色々と言いたいことはあるけども一先ずは無事でなによりだ。
話題をイレギュラー門から白チビもとい遊真に移すと遊真は挨拶をしてくれる……のだが、疑いを持った感じでオレが紅き界賊団の一員かどうかを尋ねてくる……有里彩が余計な事をしたのか?出過ぎた真似はするなと一応は釘を刺しているが……彼奴はなぁ……。
「オレが紅き界賊団の一員か聞いてくるって事は……向こうの世界出身の人間か?」
「そうだよ、って言ったらどうする?」
「Welcome、
「……ふ〜ん」
遊真は嘘を見抜くサイドエフェクトを持っている。
余計な事を言って嘘をついていて疑問を持たれると色々と厄介なので、とりあえずはようこそとこちらの世界にやって来た事を歓迎する。嘘は1つも言っていないがまだ若干だが疑心暗鬼な遊真……こういう心理戦、オレの専門外なんだけどな。
「今イレギュラーな門が出てるのに、近界民のおれを疑わないんだな」
「それを言ったらなんで修と一緒に行動したって話になる。極端な話になるが三門市の外で門を開けば一攫千金だぞ……それにだ」
「なんだ?」
「仮にお前が危険な敵性の
危ない奴等や気に食わない奴等が居れば力の限りぶっ潰す。
その為にオレは三門市に居る。向こうの世界で派手に暴れ回る事も出来たのだが、上からの命令だから仕方がねえことだ。
「あんた、強いの?」
「紅き界賊団の序列2位に位置する。戦闘能力のみで序列2位になった脳筋ゴリラだ……とりあえず玄関前だとアレだし上がれよ。ジュースぐらい出すからよ」
玄関前で揉めていると近所からなに言われるか分かったもんじゃない。
遊真と修をアパートに上げてコーヒー牛乳をコップに注ぎ、海苔の付いた丸い醤油煎餅でもてなす。
「む……クッキーか?」
「クッキーじゃない、煎餅だ。この国の代表的なお菓子だ」
「ほぅほぅ……いただきます……む、結構なお味で」
「いいトコの煎餅だからな……で、修、オレにアポを取ったって事はなんか用事があるんだろ?」
少しずつ、少しずつだが遊真の警戒心が解かれていく。
原作キャラと敵対すると後々厄介な事になったりする……なんて言い出したらキリがねえ。一先ずはと修が遊真を引き連れてここにやってきた理由を尋ねる。
「空閑の親父さんの知り合いがボーダーの人なんだけど、中々に見つからなくて」
「ボーダーの人間だったら公式サイトに名前が載ってるんじゃねえのか?」
「ボーダー通の三好が知らないって言ってたから……青兄ならモガミソウイチって人を知らないかなって」
「……知ってるか知らないかで言えば知ってるには知ってるが……会うことは不可能だ」
ここで知らないと嘘をついても遊真につまんない嘘をついていると見抜かれる。
ホントに嘘を見抜くサイドエフェクトは厄介だと思いつつも知っている素振りを見せる。
「なんで会う事が出来ないんだ?」
「
「……そうか」
「
『黒トリガーとは通常のトリガーに命を注ぎ込む事で稀に生まれる通常のトリガーよりも遥かに優れた能力や性能を持ったトリガーの事だ』
「おぅ……って、トロポイのトリオン兵か」
『はじめまして、アオニイ殿。私はユーマのお目付け役兼相棒のレプリカだ』
「はじめまして……今の単語だけで色々と想像出来るだろう。大体そんな感じだと思ってくれればいい」
『ということはモガミソウイチは……』
既に黒トリガーになって死んでこの世には存在していない。
死んでる癖にこの世に存在しているインチキな存在も中には居るのだがともかくモガミソウイチは既に死んでいる。
「そうか……紅き界賊団ってさ、こっちの世界の技術も扱ってるんだよな?」
「あ〜……なにが知りたい?」
「
「……無理だな。少なくとも紅き界賊団は黒トリガーは危険な物だからと物理的に破壊してて、研究そのものをやっているわけじゃない。紅き界賊団はトジルギア……いや、今これは関係無い話か」
紅き界賊団が向こうの世界で具体的に何をやっているのか説明しようとするのだが止める。
今ここで色々と言っても修の為にもならない。黒トリガーを元に戻す技術は紅き界賊団には無い、そう伝えればいいだけだ。
「モガミソウイチって人が出てこないって事はボーダーにも黒トリガーを元の人間に戻す技術は無いと考えるしかない」
「そっか……そうだよな。向こうの世界でも無理なんだからこっちの世界の技術でも不可能だよな」
あっさりと現実を受け入れる遊真。ポッカリと胸の中に穴が空いた様な感覚になっているのだろう。
その胸の隙間を埋める事は生憎な事にオレには出来ない。そういうのは主人公属性を持つ修のやる事だ。
「どうする?一応はボーダーにモガミソウイチさんを知らないかって聞いてみるか?」
「いや、やめとくよ。もしモガミさんの事を出したらおれだけじゃなくて修も色々と疑われる。さっき起きたイレギュラー
「そうか……まぁ、なにはともあれこっちの世界に暮らすんだったらオレは歓迎する……修も歓迎はしてくれてる」
「む?そうなのか?」
「まぁ……お前は悪い近界民じゃないし、こっちの世界に馴染もうとしてるのが分かるからな…でも、危ない奴だと分かったらボーダーに通報するからな」
「やっぱラッキーだな、オサムとアオニイと出会えて」
「ボーダーが近界民=敵だってイメージ戦略をしてるけどお前みたいに話し合いが通じる奴も居るんだ……そうだな、とりあえず修と友達になるところからはじめてみたらどうだ?モガミソウイチさんは黒トリガー化してるし、急いで向こうの世界に帰る用事もねえんだろ?」
「ともだち……そうだな。オサム、友達になろう」
「えっと……これからよろしく、空閑」
「ああ、よろしく」
改めて握手を交わす遊真と修。青春の1ページだな。
友達を1人でも作っていた方が良い……友達……赤司の奴は友達ってよりは仲間だよな。借りを返さないといけねえし。
「皆さん、話が終わりましたか?」
「うわぁ!?」
「っ!?」
修と遊真が握手を交わして青春の1ページを描き終えると有里彩が何処からともなく姿を現した。
相変わらず心臓に悪いなコイツの登場の仕方は。修は声を出すし、遊真は戦闘態勢に入ろうとしている。
「そんなおばけを見たような顔をしないでください」
「いや、おばけだろうお前……コイツは有里彩、このアパートの上の階に住み憑いてる」
「住んでいるです!確かに私はゴーストですけど、その言い方には異議を申し立てます!!」
いや、住み憑いているで間違いないだろう。殆ど死んでるみたいなものだし。
「改めてはじめまして。
「は、はぁ……昼間はありがとうございます」
「夕方の市街地の時もサンキュー」
「いえ、この街を守る者として当然の勤めを果たしたまでです」
既に何度か有里彩は干渉しているのかお礼を言う修と遊真。相変わらず変なところは固いなと思いつつも有里彩の分のコーヒー牛乳を入れる。
「ところで皆さん、ニュースを見ましたか?」
「あ〜……まだ見てないな」
部屋に置いてあるテレビをリモコンを使って電源をつける。
三門市の地方局にチャンネルを移すとそこには市街地に駆け付けている報道陣がいた。
『ゼンカイガオーンと名乗る謎のライオンが助けてくれて』
『重い瓦礫も軽々と持ち上げて避難を誘導してくれたんです!』
避難をした人達にインタビューをしている報道陣。
ゼンカイガオーンに助けられたと避難民達は語っており、オレ達の視線は修に向いている。
「よかったな、オサム。ヒーローじゃん」
「いいえ、ダメです……紅き界賊団は今のところは秘密の組織なんですから末端から情報が漏れると大変な事に、下手したら遊真くん、貴方の存在がバレたかもしれないんですよ!」
「す、すみません」
「人助けは良いことですけど、度が過ぎるのもあまりよくありません……と言うかゴセイジャーのセンタイギアを使わなかったんですか?アレを使えば対象の記憶を消す天装術を使えるのですが」
「え、ゴセイジャーのセンタイギアにそんな力があるんですか?」
「ありますよ……青峰さん、教えてないんですか?」
「まだ教えなくてもいいって思ってたから……厄介な事になっちまったな」
修が自分がすべき事だと動くのは薄々分かっていたけども、記憶消去の天装術については危険でもあるので今はまだ教えるべきではないと教えなかったのがツケとして帰ってきた。
三門第三中学校でも市街地でもゼンカイガオーンが現れたとなると確実に実力派エリートが現れる……ラッパラッターを使うべきか?ラッパラッターで大いなる力を奪えば……いや、それこそボーダーと敵対関係になっちまうか。
「ゼンカイガオーンについては置いておこう。少なくとも悪いことはしてねえんだから」
なんでトリガーを持っているのとか色々と聞かれる未来は存在しているが、そこは今気にするところじゃねえ。
「どうして市街地に門が開いたんだろう」
「まぁ、敵対する
「そうですね。約4年間ボーダーは準備してきた反面、敵も4年間色々と準備出来ましたから……」
門が開く原因は知っているのだが遊真が居るので下手な事は言えない。
修はどうして市街地や学校にトリオン兵が出現してきたのか疑問を抱くのでそれっぽい返事を出しておく。遊真は……疑っていないな。
「手口を変えてきたって、どういう意味?」
「こっちの世界はトリガー技術以外の技術で進歩している世界って認識されてて人が拐いたい放題だったのに、ある日突然トリガーをこっちの世界の住人が使うようになったんだ……調査的な事をしに来たんだろ」
「このままイレギュラー門が開き続ければボーダーの沽券云々以前にこの世界が危ういですね……探しますか、イレギュラー門の原因を」
「む、だったらおれに任せてくれない?心当たりがあるんだ」
「そうか……じゃ、頼んだわ」
「大丈夫なのか空閑?またイレギュラー門を開いたら」
その場にいたボーダー隊員と鉢合わせして近界民だとバレる可能性が高い。
ぶっちゃけた話、此処でラッドが犯人だと言えば解決するのだが、なんで知ってるとなるので遊真に任せる。記憶に間違いが無かったらトリオン障壁で強制的に門が開かない様にしているから猶予は残っている。
「そん時はそん時だ……お前に迷惑はかけない」
「そういう心配をしているんじゃない……ボーダーと揉めれば」
「大丈夫です。暴力で物事を解決しないといけない時が来たならば青峰さんに責任を擦り付ければ大体簡単に解決する事が出来ます」
「間違っちゃいねえけど、そういう風に言うのやめてくんねえ?」
脳筋ゴリラである事は自覚しているけども、そういう言い方は良くねえよマジで。
戦闘に関しては化け物と言ってもおかしくはないぐらいには強いことを自覚しているけども……そこまで言われれば地味に傷付くよ。
「青兄、今日訓練をつけてくれない?」
「いいけどよ……お前、学校でも市街地でもギアトリンガーを使って残りのトリオン僅かだろう。戦闘的な技術を教えるのは無理だぞ」
「じゃあ、座学の方を……トリオン兵の事とかまだ僕に教えてない事とか沢山あるよね?」
「あ、でしたら私が教えます。そうですね……サイドエフェクトはご存知でしょうか?」
「サイドエフェクト?……副作用って意味ですよね」
「はい。優れたトリオン能力は時に人体に影響を与えます。常人ならば聞こえない音が聞こえたり、見えない電磁波が見える様になったりと通常の五感等の能力の延長線にある能力の事をサイドエフェクトと言います」
そんなこんなで有里彩の講義がはじまる。戦闘関係ではない、トリガーやトリオンを扱うこの業界では常識な情報を修に教える。
こういうのオレの口から教えるよりも有里彩の口から教えた方がなにかと便利である……オレほんと、戦闘関係以外は中の下かその辺に居る人と大して変わらない、転生者としてそこそこ実績を積んでるのに……まぁ、人間向き不向きがあるからな……。