メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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メガネがガオーン 6

「迅、何故呼び出されたか分かるか?」

 

 修が近界民関連の講義を有里彩から受けている一方その頃のボーダー本部。

 重役達が会議している会議室にボーダーが誇るS級隊員の迅悠一は呼び出されていた。

 

「イレギュラー(ゲート)の一件ですよね。それなら大丈夫ですよ」

 

「なに……もう原因が分かったのか?」

 

「オレはまだ知りません……ただボーダーがC級を含めて一同に動いている未来が見えます」

 

 迅悠一は眼の前にいる人の未来を見る予知のサイドエフェクトを有している。ボーダーが訓練生であるC級を含めた一同で何かをしている未来が見えている。恐らくはイレギュラー門を開いている原因を突き止め、一斉に何かをしている未来だろう。

 

「明日辺りにはなんとかなってます。それよりも別件で呼び出したんじゃないんですか?」

 

『黄色いライオンみたいなのが助けてくれたんです』

 

『ゼンカイガオーンって名乗ってました』

 

 スマホに映っている中継画面をボーダーで1番偉い人こと城戸司令に見せる。

 修が、ゼンカイガオーンがイレギュラー門で被害にあった街の人達を助けてくれたと流れ出ている。

 

「イレギュラー門の現場に偶然に居合わせた木虎はゴーストと名乗る近界民(ネイバー)と遭遇したとの事だ……イレギュラー門の原因を探すのと同時にゼンカイガオーンとゴーストの正体について調べてくれ」

 

「はいはいっと……とは言ったものの、どうしたものか」

 

 ボーダー本部の本部長である忍田から直々に命じられたので早速動こうとするのだが困った事に何処から手を付ければいいのかがわからない。

 未来視のサイドエフェクトではボーダーの隊員が総出で何かをしている未来しか見えない。ゼンカイガオーンやゴーストに対してなにか関係がある未来は見えてこない。

 

「先ずは情報を整理しとかないと……木虎に色々と聞いてきますね」

 

 そう言うと迅は会議室を去っていった。

 

「困りましたな。近界民が堂々とこちらの世界に足を運んで根付かれるのは」

 

 メディア方面で色々と対策をしている人こと根付室長は汗を拭く。近界民がこちらの世界にやって来て悪目立ちをしてしまっている。

 見た目がトリオン兵っぽいので近界民=人間だとはバレては居ないのだが、何時近界民=人間だとバレるか分かったもんじゃないギリギリのラインを歩いている。ボーダーの中で近界民は排除しなければならない派閥である彼にとっては危険な存在である。

 

「しかし、このゴーストというのとゼンカイガオーンってのはこのイレギュラー門の現場に居合わせたんでしょ?だったら、イレギュラー門を起こしている側じゃないかもしれないですね」

 

 近界民にもいいヤツが居るから仲良くしようぜな玉狛支部派の代表とも言うべき林藤支部長は友好的な近界民だと考える。

 

「バカを言うな!イレギュラー門の近くに居合わせたと言う事は犯人で、自作自演の可能性もあるのだぞ!」

 

 トリガー開発室室長である鬼怒田は現場に居合わせたゼンカイガオーンとゴーストを敵だと言い張る。

 ゴーストもゼンカイガオーンも敵ならばどうして現場の人間を助けたりしたのかは謎だが少なくとも野放しにはしていられない。

 

「林藤、鬼怒田開発室長、ここで言い争っていてもなにもはじまらない……迅の情報を待つしかない」

 

 今はただ迅が情報を持って帰ってくる事にかけるしかない。

 色々と言いたいことはあるけども大人なのでグッと堪えて言葉を飲み込み、今回起きた出来事をどうやって上手く誤魔化すか、ゼンカイガオーンを用いてボーダーに好印象を与える様にするにはどうすればいいのか話し合う。

 

「よぅ、木虎。探したぞ」

 

「迅さん、なにか用ですか?」

 

 会議室を後にした迅は早速、嵐山隊の隊室に向かった。

 今日起こった出来事を書類に纏めている木虎を見かけるとやぁと手を上げるのだが木虎はツンツンしている。

 

「お前が会ったゴーストってのとゼンカイガオーンを調べてるんだよ」

 

「そうですか……残念ですが上に上げた報告で情報は全てです」

 

 嘘偽りなくゴーストに遭遇したと報告を上げているので迅に今更なにか教えれる目新しい情報は何処にもない。

 振り返ってみても上に上げた報告通りなので教えれる事は無いのだが、それでも聞きに来た迅を無碍にするわけにはいかないのだと色々と考える。

 

「そういえば三門第三中学校の時にもライオンが助けてくれたと証言がありましたよ」

 

「ライオンって事はやっぱりゼンカイガオーンなのか?」

 

 色々と考えていると出来るキノコ頭こと嵐山隊の万能手(オールラウンダー)の時枝が三門第三中学校での出来事を思い出す。

 迅はそのライオンの事をゼンカイガオーンだと考えており、ここで1つの答えに至る。

 

「もしかして三門第三中学校の誰かがゼンカイガオーンなんじゃないのか?」

 

 本日発生したイレギュラー門は幾つかあるがその中でゼンカイガオーンが現れたのは三門第三中学校と三門市の市街地だ。

 三門第三中学校に現れ、下校時刻が過ぎた頃にイレギュラーな門が開いてたまたまそこにゼンカイガオーンが居合わせたのだと嵐山は口にする。

 

「三門第三中学校に近界民が?何故近界民が学校に通っているんですか」

 

 それこそありえないと言いたげな木虎。実際のところは近界民でなくこちらの世界の住人がトリガーを使っており、近界民は別に居るには居るのである。その近界民は敵では無いのだが、色々と惜しいのである。

 

「三門第三中学校か……調べてみる価値はありそうだな」

 

 三門第三中学校の誰かがゼンカイガオーンなのかもしれないという話はありえなくもない。

 今のところサイドエフェクトはうんともすんとも言っていないので調べてみる価値はあるのだが、残念な事に明日は土曜日、学校は休みの日でありトリオン兵が出現して校舎が破壊されたりしたので部活動等も強制的に停止になっている。相手がいてこそ力を発揮するサイドエフェクトである予知のサイドエフェクトも見る人が居なければ話にならない。三門第三中学校を調べるのは今すぐじゃなくても良いかと後回しになる。今はなにがなんでもイレギュラー門の原因を見つけ出さないといけない。

 

「空閑、任せてくれって言ったけどなにか分かるのか?」

 

 迅が暗躍に動き出したのかと思えば、時計の針は少し進む。

 有里彩から近界民関連の講義を受けた修はトリオンが回復していないのでここまでだと強制的に青峰に勉強会を終わらされ、自宅に帰宅した。夕飯を食べ、風呂に入り、宿題を終えたので、ちびレプリカを経由して遊真と通話をする。

 会話の内容はイレギュラー門について。遊真は心当たりがあるとの事だが、修はなにが原因なのか分かっていないので心配で仕方がない。

 

『ちょっとな……おっと』

 

「おい、なんか今怖い音がしたぞ。空閑、今何処にいるんだ?」

 

 ゴトンと鈍い音がちびレプリカから聞こえる。

 遊真は家には居ないらしいので何処に居るのかを修は尋ねる

 

『学校だよ、学校』

 

「学校!?」

 

『オサム、声が大きい』

 

「いや、だって……現場にはなにも残されてないんじゃないのか?」

 

 現場は既にボーダーがあらかた調べ尽くしている。

 今更事件が起こった現場になにか残っているわけがないんじゃないのかと疑問に思う。

 

『まぁ、見てろって。イレギュラー門の原因を朝にまでは見つけるからさ』

 

「朝にまでって……ちゃんと寝ろよ」

 

『おぅ』

 

 色々と気になる事があるのだが今は聞かないでおこうと修はメガネを外して眠りにつく。

 たった2日だというのに濃厚な日々を送っている修だが後悔はしていない。トリオンが回復したら青峰に稽古をつけてもらおうと考えている。

 

『オサム、イレギュラー門の原因が分かったぞ』

 

「本当か!?」

 

 そんなこんなで朝を迎える。

 ゆっくりと体を起こし、意識を覚醒させようとしているとちびレプリカを経由して遊真からイレギュラー門の原因が分かったとの知らせを受けて意識を覚醒させ目覚める。

 

『オサムの家だと家族に迷惑がかかるしアオミネさんのところで会おうぜ』

 

「ああ」

 

 修は意識を叩き起こして早速着替える。

 ギアトリンガーを忘れる事なく、母の手料理を頂いた後に青峰の住んでいるアパートに向かえば既にそこには遊真と有里彩がいた。

 

「おはようございます、修くん」

 

「あ、おはようございます……イレギュラー門の原因が分かったんですよね?」

 

「ああ、こいつが犯人だ」

 

 遊真は例えるならばフナムシの様な見た目をしているトリオン兵を出した。

 

「コレは……トリオン兵、だよな?」

 

「ラッドって言って偵察用のトリオン兵なんだ。レプリカに調べてもらったけど、コイツに門を開く機能が搭載されてて……街の人達から微弱なトリオンを奪って門を開いてたみたいなんだ」

 

「そう、か……このラッドが門を……もう倒したから大丈夫なんだな」

 

「いえ、全然倒していません」

 

「えっ!?」

 

「ラッドってトリガーを使う奴なら誰でも倒せるぐらいには雑魚なんだけど、とにかく数が多いんだ。レプリカにこの街にどんだけ居るのか調べてもらったけど、数千体は居るみたいで……市街地にも潜んでるからおれは動きたくても動けない。アリサさんやアオミネさんにどうしようかって相談しに来たんだ」

 

 遊真はこれ以上目立つ訳にはいかない。

 ただでさえ何度か足跡を残してしまっているのでこれ以上は悪目立ちをするわけにはいかない。どうにかする方法は無いのかと青峰に視線を送るのだが青峰は目を細める。

 

「極端な話、トリオン兵はロボットだ。プログラムとかで動いているから強制的に停止させるプログラムを作り出せば動かなくなる……」

 

「じゃあ、直ぐにそのプログラムを」

 

「いや、実装出来てない技術だから無理だ。理論上は出来るけどもまだその技術は開発中で……オレにゃ扱えねえ」

 

「そんな……」

 

「オサム、どちらにせよおれ達だけじゃラッドを駆除するのは無理だと思うぞ」

 

『こういう時は人海戦術に限る。ボーダーに頼ろう』

 

「いやぁ…………それこそ思うツボですよ?」

 

 色々と考えた結果、ボーダーに頼る事を提案する遊真とレプリカ。しかし有里彩は困った顔をする。

 ラッドというトリオン兵は本来は門を市街地に開くものではなく偵察用、密偵等に使われるものだ。現在この世界に向かって攻撃してきている国はこちらの世界の住人がトリガーを用いていると認識している。こちらの世界の住人の手札を見ようとしている。

 

「つってもトリオン兵を強制的に停止させるプログラムとか用意してねえし、ボーダーに頼るのが1番だろう……別にボーダーの手札が知られようがオレ達にはなにも痛くはねえんだからよ」

 

「青峰さん、一応はこちらの世界を守ってくれているんですからそういう言い方はよくないですよ」

 

「事実を述べたまでだ……オレ達がトリオン兵強制停止プログラムとか用意してねえ。だからボーダーに頼る。これでいいだろ?」

 

 めんどくさそうにしている青峰だがコレが彼の素であり平常運転である。

 ここでああだこうだと言っていても仕方がない事だ。

 

「とりあえず……豪快チェンジ」

 

『ボーウケンジャー!』

 

「眩き冒険者!ボウケンシルバー!」

 

「おぉ、それがアオミネさんのトリガーか」

 

「いや、支給品だ」

 

 ボウケンシルバーに豪快チェンジした青峰。

 青峰のトリガーなのかと遊真はマジマジと見つめているが、あくまでも紅き界賊団からの支給品であり彼本来のトリガーは別にある。ゴーカイセルラーとレンジャーキーは紅き界賊団の最高幹部の証として上から渡されているに過ぎない。

 

「サガスナイパー!サーチモード」

 

『サーチスタート!』

 

 ボウケンシルバーの武器であるサガスナイパーを取り出す。

 物や人を探すサーチモードに切り替えてラッドに向けるとラッドのデータを解析、ピピピとサガスナイパーを地面に向けると音がした方向に向かえばそこにはラッドがいた。

 

「ほっ!」

 

 ラッドを見つけるとサガスナイパーのスナイプモードに切り替えてラッドを撃ち抜いた。

 

「さて……二手に別れて行動するぞ」

 

「なんでそんな厄介な事をするんだ?」

 

「イレギュラー門を開くトリオン兵を一般人が持ち込めば騒動になるだろう。複数で持ち込めば誰が見つけただなんだ厄介な事にはなる可能性は下がる」

 

 下手に目立つわけにはいかない立ち位置である遊真の事も青峰はなんだかんだで考えている。

 ラッドをエコバッグに入れたら青峰は赤色と青色の仮面を取り出した。

 

「なにこれ?」

 

「認識阻害機能が搭載された仮面だ。コレがあればボーダーに顔が割れる可能性が下がる……ボーダーに顔が知られるのは厄介な事だろ?」

 

「へぇ……便利な物を持ってるじゃん」

 

「ルパンレンジャーの力の一部だからな……まぁ、とにかくボーダーの支部が窓口らしいからコレを付けてラッドを提出して後は流れに身を任せようぜ」

 

 こうして修と青峰はボーダーの支部の窓口に向かい、ラッドを提出した。

 別の支部で同時刻にトリオン兵が提出された事が話題になるのだが直ぐにそんな話題は無くなる。なにせイレギュラー門の原因が判明したのだから当然と言えば当然である。ボーダーは訓練生のC級を含めた隊員総出でラッドの駆除に走り出した。

 

「いやぁ……原作ぶち壊しまくりだな」

 

「今更それ言うんですか?」

 

 修をゼンカイガオーンに魔改造してしまった結果、修はボーダーの隊員になっていない

 既に原作をぶち壊している事を青峰は改めて実感するのだが、有里彩は呆れるしかなかった。なにせ修が迅に出会う未来(可能性)を青峰が潰してしまったのだから。既に歯車は狂っているのだが転生者が居る時点で原作もクソも無いのである。

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