メガネがガオーン   作:アルピ交通事務局

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追放ザマァ系ならぬ修くんボーダーに要らないと言ったのあんた達じゃんを書きたかったんだ


メガネがガオーン 9

 足跡を残しているので流石にボーダーを撒く事は出来ません。

 なんだかんだ言ってもボーダーにはチートと言ってもいい未来視のサイドエフェクトを持っているから足跡を残した時点でアウト。やっぱりこういう感じの展開になると思っていたので念には念と修くんを憑いてて正解でした。

 

「此処がボーダーの中なのか……」

 

 修くんはボーダーの本部にやって来てドキドキしている。一方の私はヒヤヒヤしている。これから起きる事を1つでも間違えればボーダーと全面戦争が起きる可能性が高いのだから。

 青峰さんに頼んでも良かったのですがあの人は暴力で物事を解決する時には頼りがいがあるのですが、それ以外だと平凡な人なんですよね……頼りにならないとは言いませんがあの人に頼めばなにが起きるか……暴力で物事を解決するのはドン引きです。

 

「着いたぞ」

 

 ボーダーの上の階にある会議室に案内してもらった。

 ウィーンと自動ドアが開くとそこには忍田本部長、林藤支部長、根付メディア対策室長、鬼怒田開発室長、そして城戸司令とボーダーの重役達が顔を並べていた。

 

「迅悠一、成果を上げてただいま報告に参りました!!」

 

 キラッと笑顔で決める迅。視線は私達一同に集まる。

 嫌な意味で有名になってしまった……安室さんに知られれば怒られる。いえ、流石にこの一件では怒りようがないですよね。

 

「徒党を組んでいるのは知っていたがこんなに近界民が居るとは……」

 

「ちょっと待ってよ。おれは確かに近界民だけどチカやオサムはこっちの世界の人間だ」

 

 根付さんがこんなにもこの街に近界民が紛れ込んでいたのかと困った顔をする。

 遊真くんは直ぐに修くん達は近界民では無いと訂正をする様に求める。

 

「遊真くん、近界民はトリオン兵の事であって貴方は向こうの世界からやってきた住人です敵ではありません」

 

「敵かどうかはワシ達が決めることじゃ!お前が勝手に決めるな!」

 

「私や修くんは敵とは思っていません」

 

 匙加減を決めるのはその人次第で、他人のモノサシで測った事を押し付ける事はよくありません。

 少なくとも修くんは遊真くんを近界民だとは思っていない。

 

「それで迅、誰が誰なんだ?」

 

「この小さな男の子が空閑遊真で……後はさっぱりです」

 

「さっぱり?どういうことだ?」

 

「なにかメガネくん達を調べないといけないってのは覚えてるんですけど、記憶に穴が……多分だけど、メガネくん達がオレの記憶を弄ったんだと思います」

 

「なんだと!?」

 

 記憶を弄られたことを知るとありえないと言った顔をする。

 現代の技術を駆使しても記憶を弄る技術は早々にない。こんな15歳の子供が記憶を弄る技術を持っていると知っているのならば驚くしかないでしょう。

 

「ゼンカイガオーンの事を当てられたので記憶を消しました」

 

 記憶を操作している事について詰められるので修くんは正直に答える。

 迅が隣でサイドエフェクトが無かったら逃げられていたとヒヤヒヤしています……今ここで記憶を消す、というのはやってはいけない事ですよね。

 

「君がゼンカイガオーンかね?」

 

「はい」

 

「本当にゼンカイガオーンなのかね?」

 

 城戸司令に聞かれたので修くんは頷く。

 証言を元に作られたモンタージュを見て全然違うので問い詰めた。修くんはチラリと私に視線を向けてくるのでコクリと頷くとギアトリンガーを取り出した。

 

『25番』

 

「チェンジゼンカイ!」

 

『ババン ババン ババン ババン ババババーン!ゼンカイガオーン!』

 

「百獣パワー!ゼンカイガオーン!」

 

「……なんだそれは?」

 

「コレを言わないとダメだと言われてるんです」

 

 ゼンカイガオーンになった際に言う口上を述べるとなにをやっているのかと城戸司令は困惑する。お約束は守らなければなりません。

 ゼンカイガオーンに変身した修くんを見てボーダーの面々は少しだけ警戒心を強める。未知のトリガーを使っているのを見せられれば当然と言えば当然ですね。

 

「三門第三中学校や市街地で君が活動してくれたお陰で被害を最小に抑える事が出来た」

 

「いえ、お礼を言われるほどの事じゃありません……2つの事件はどちらも有里彩さんが力を貸してくれたからどうにかなったものですし」

 

 結局のところ自分の力だけで解決したわけじゃないとお礼の言葉で少し困る修くん。

 確かに言われてみればどちらも私が力を貸したから……もしかして私、色々と大変な事をしでかしているのでは?……いや、修くんをボーダーに入隊させずに紅き界賊団の見習い候補生的なのにした時点で原作の√から既に外れてますか。青峰さんのせいにしておきましょう。

 

「有里彩?」

 

「私の事です……修くんが変身したので私も」

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

『開眼!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ、ゴースト!!』

 

「命燃やします!」

 

 仮面ライダーゴースト推参。ボーダーとはやや勝手が異なるトリガー(ということになっている転生特典)を使えば更にボーダーの上層部は警戒心を強める。

 

「ゴースト……君がゴーストだったのか」

 

「ええ……なにか問題でもありますか?」

 

 コレは私のトリガー、というか私の一部でもあります。

 寄越せとか取り上げるとか言われたら即座にムゲン魂に変身してボーダーと全面戦争、幸いと言うべきか今はA級3位から1位のチームはいません。青峰さんに助力をしてくれれば全面戦争に勝つことが出来ます。

 

「遊真くん、失礼だが君のお父さんの名前は?君のお父さんはどうしてるんだ?」

 

 私がゴーストに変身してゴーストだと分からせれば今度は遊真くんに話は移り変わる。

 忍田本部長さんが遊真くんの事を……遊真くんの親について聞いてくる。

 

「親父の名前は空閑有吾で親父は死んだよ。おれにこの黒トリガーを残して」

 

「っ……すまない」

 

「いいよ、別に。親父が死んでからもう3年も経ってるんだ」

 

 色々と思うことはないわけではないけれども、既に死んでからそれなりに時間が経過している。

 だから激しく泣いたり叫んだりすることはない……遊真くんは大人ですね。何処かの誰かさんは見習ってもらいたいです。

 

「モガミソウイチって人に頼りに来たんだけど、ジンさんがモガミソウイチは黒トリガーになってるって……ボーダーには黒トリガーになった人間を元に戻す技術ってないの?」

 

「……残念だが、ボーダーにその技術は無い」

 

「そっか……」

 

 どうにかして父親の最後を聞きたかったけど会うことは出来ないと断念する遊真くん。

 残念な事ですが黒トリガーになった人を元に戻す技術は存在しません。こちらの世界と向こうの世界の両方の技術を用いている紅き界賊団ですら黒トリガーを元に戻す技術はないですから……仮に元に戻すことが出来ても遊真くんの命に関わるので出来ない事です。

 

「何故君達はトリガーを持っている?」

 

「僕は……あの、言ってもいいですか?」

 

「どうぞご自由に……この人達ならば言っても問題はありません」

 

 遊真くんがトリガーを持っている事については分かりましたが私達ができますトリガーを持っている事に対して城戸司令は疑問を持つ。

 修くんは話してもいいのかと私に視線を向ける。紅き界賊団は秘密の組織ですが何でもかんでも黙っていては意味が無いです。紅き界賊団について教えてもいいと許可をする。

 

「僕の従兄弟が紅き界賊団という団体の一員でして……その人からギアトリンガーとセンタイギアを貰いました」

 

「紅き界賊団?」

 

「向こうの世界じゃ有名な組織だよ。二十数名の団体で、向こうの世界の国を滅ぼした記録もある……アリサさんもその内の1人だよ」

 

「私は下っ端の中も下っ端ですよ」

 

 やはりというべきですか紅き界賊団の名前をボーダーは知らない。

 それなりに有名になったのだと思っていたのですが、まだまだでしたか……赤司さんと安室さんはどう思っているのやら……う〜ん。

 

「ボーダー以外にトリガーを持っていて活動をしている団体が居たというのかね!?」

 

「まぁ、そうなりますね……一応は政府のトップシークレットな組織なので内密にお願いしますね」

 

 紅き界賊団について知ると驚く根付さん。

 政府の公安委員会に近い存在ですのでくれぐれも内密にしてほしい……大々的に表に出てもいいのですが、それをやればボーダーとスポンサーの奪い合いやらなんやら厄介な事が巻き起こりますから……バレると大変な事になります。

 

「ボーダー以外にも向こうの世界で活動している団体がいるとは……」

 

「表に出てボーダーの株を奪うような真似はしないです。近界民=トリオン兵で、悪だと認識させるのもどうぞご自由に。私達は私達でやることがありますので」

 

「やること?……それはいったい」

 

「申しわけありませんがそれは教えられないです。トップシークレットですので」

 

 なんでもかんでも教えることは出来ません……特にトジルギアの事が知られれば厄介だと思います。

 教えることは出来ないと言えばダンッと鬼怒田さんがテーブルの上を叩く。

 

「秘密の組織に秘密の行動だと!?未知のトリガーを持っている団体を見逃せというのか?」

 

「はい、そうです。今回の一件偶然に起きた出来事に近いですが通常は互いに不干渉でいきましょう」

 

 大体それを言えばボーダーも元は政府非公認の秘密の組織です。

 今でこそボーダーは政府から色々と認知をされていますが、同じ穴のムジナと言われればその通り。

 

「……迅、お前にはなにが視える?」

 

 此処でどう出るべきなのか慎重になる城戸司令。

 未来視のサイドエフェクトを持つ迅から情報を聞き出してから行動に移ろうと考えるのだが迅は苦い顔をする。

 

「さっぱりです」

 

「なに?」

 

「近いうち、時期的には年が明けてからですけど大規模な侵攻があります。そこまでは見えるんですけど、そこから先はまだ見えないんです」

 

「迅は優秀なサイドエフェクトを持っているみたいですが、紅き界賊団にはサイドエフェクトが効かないサイドエフェクトを持った人も居ます。未来が見えないのはそれのせいでもありますよ」

 

「……マジで?」

 

「ええ、マジですよ」

 

 序列0位、紅き界賊団船長の安室零のサイドエフェクトはサイドエフェクトを無効化するサイドエフェクト。

 サイドエフェクトに依存した戦闘スタイルの人にとっては天敵とも言える……サイドエフェクトが無くても私より強いのですが。

 

「とにかくゼンカイガオーンとゴーストは紅き界賊団の物です。取りあげるとか考えているなら……相手になりますよ?」

 

「ッ……城戸さん、やめた方がいい。ボーダーの基地が粉々になってる未来が視えた」

 

 別に暴力に訴えても構わないんですよ。それを選べば青峰さんが出てくる。

 青峰さんは戦闘に関しては右に出る者はいないと言ってもいい圧倒的なまでの強さを持っている。黒トリガーを撃ち倒した実績も持っている。

 

「……トリオン兵をボーダーに提出したのは君達なのか?」

 

「はい……あのトリオン兵はとにかく数が多いので数の力に頼る事にしました」

 

 ボーダーとの全面戦争が来るのか来ないのかギリギリのラインを歩いている。

 城戸司令はラッドを提出した事について聞いて来るので修くんは正直に答えた。

 

「あのっ……あのトリオン兵は、ラッドはこっちの世界を調べにやってきたんですよね?迅さんが言うことが確かなら年が明けに大規模な侵攻があります。今は啀み合わずに協力して問題を解決した方がいいんじゃないですか?」

 

 その上で停戦を申し立てる。ここで啀み合っても、戦っても意味は無い。

 大規模な侵攻が来ると分かっているのならばそれに対して対策をしなければならないんじゃないのかと考える。

 

「修くん、それはボーダーがすべき事であって紅き界賊団がすべき事ではありません」

 

 紅き界賊団は向こうの世界で色々とやっている組織であって、こちらの世界を守る組織じゃないです。

 その辺を勘違いしてはいけません。私は例外で、青峰さんは万が一、修くんは特例です。

 

「協力したいのならば別に構いませんが場合によってはギアトリンガーとセンタイギアは取り上げられますのでその辺は慎重に判断してください。紅き界賊団は慈善事業でやっているんじゃないのですよ」

 

「……でも、来ると分かっているのならば」

 

「ええ、対策の1つぐらいはすべきです……ですが、具体的な案はあるのですか?」

 

「……」

 

 どうにかしたいという思いは分かりました。それ自体は立派な事なので否定するなんて事はしません。

 でも、どうにかする具体策の1つも考える事が出来ないのならばそれこそ口だけの人間と同じ……青峰さんならめんどくさいとか言いそうですね。あの人、ホントにどうしようもないめんどくさがりやですから……。

 

「だったらメガネくん、ボーダーに入らないか?」

 

「すみません、ボーダーには入る事は出来ません……そもそもで僕は1回、ボーダーの試験に落ちています。ボーダーが入隊に満たすトリオン能力を僕は持っていません」

 

「えぇ、メガネくんボーダーの入隊試験を受けてたの!?」

 

「はい……ボーダーが色々と隠し事をしていて、ボーダーに対して不信感を抱いています。気持ちはありがたいのですが、僕はボーダーに入隊しません」

 

「そっか……そうか……そうなのか……」

 

 きっと迅には修くんがボーダーに入隊して色々と活躍する未来が視えていたんでしょうが、既に遅いです。

 修くんがボーダーに入隊しようとした際に修くんを必要無いと切り捨てたのはボーダー、今更秘密や事情なんかを知ったし色々と都合のいい未来が視えるから入隊しないかと誘うのは随分と都合がいいこと。

 

「迅、なにか見えるのか?」

 

「メガネくんがボーダーに入隊してくれたなら色々と良い未来が待ち構えてるんだけどな……」

 

「最初に修くんを不要だと切り捨てたのにサイドエフェクトでいい未来が視えるからスカウトするって、都合よすぎです。ドン引きです!!」

 

「それは……じゃあ、千佳ちゃんだけでもどうにかしないと」

 

「千佳ちゃんも紅き界賊団の方でどうにかしますので、お気になさらず……気にするならば第2、第3の千佳ちゃんを見つけて救いの手を差し伸べてください」

 

 ボーダーがもっと頑張れば千佳ちゃんを見つけ出す事が出来たのに、それを怠った身から出た錆です。

 迅に厳しく言えば言い返す言葉は無い……けど、何処か少し悲しそうな顔をしている。大方、視えていた未来だと笑い合っている未来とかそんな感じの未来が待ち構えていたんでしょう。

 

「なら同盟を結ぶってのはどうだ?」

 

 言い出す言葉が無いと思わせていると林藤支部長が手を上げた。

 

「そっちも組織って事ならば、協力する事は出来る筈だ。こちらとしては近い内に起きる大規模な侵攻を最小限に食い止めたい……その為の力を貸してほしい」

 

「な、なにを言ってるのですか!?」

 

 同盟を結ぼうと提案してくる林藤支部長に驚く根付さん。

 実態がよく分からない組織相手に同盟を結ぶのは愚策と言いたげですが……これは……そうですね……

 

「私に同盟を結ぶ権利はありません……仮の一時的な同盟を結ぶ事は出来ますが正式な同盟は結べないです」

 

 あくまでも私は末端に過ぎない。

 本来ならば向こうの世界で色々とやっているのですが諸事情でこの世界、三門市に留まっている私には殆ど権利は無い。

 

「じゃあ、上の人が来るまでの間だけでもいいから仮の同盟を結ぼうぜ」

 

「……分かりました」

 

 ここで無理だなんだと駄々を捏ねても意味は無い。林藤支部長が提案する同盟を結ぶ事にした。




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