ブルーアーカイブalternativetype   作:Ringseiran

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スグルを知ってもらう回
※彼は疲れています


二話 疲れたら休もう、ね?

 

先生が来てから数時間後

 

あれからヘルメット団が襲撃して来たり少し騒がしかったが、今は落ち着いて自己紹介をしていた。

 

「私は、委員会で書記とオペレーターを担当している一年のアヤネ…こちらは同じくセリカ」

「どうも」

 

アヤネが一人ずつ対策委員会のメンバーを紹介をしていく。

 

「二年のノノミ先輩とシロコ先輩」

「よろしくお願いします、先生~」

「さっき、道端で最初に会ったのが、私……あ、別にマウントを取ってるわけじゃない」

 

こころなしか照れている様子のシロコ。

彼女にしては珍しい表情、これが大人の男性の魅力なのだろうか。同級生の男子として少し先生に劣等感を感じてしまう。

 

「こっちは二人と同じ二年で副委員長のスグル先輩」

「よろしくです」

 

先生に手を向け握手を促す。しかしなぜだろう、先生は少し後ずさり俺から距離を取った。

 

「と、溶かしませんよ」

 

両手を挙げて、無害なアピールをする。

 

「大丈夫ですよ先生。スグルくんは疲れるとおかしくなるだけで、普段は常識人で温厚ですから。最近はずっと思い詰めてたから疲労が溜まって、おかしな行動が目立つだけです☆」

 

すかさずノノミがフォローしてくれる。

俺は疲れるとおかしくなるらしい、解せぬ。

それにしてもノノミさん?それフォローになってなくないですか?

 

「さっきの戦闘も後衛なのにいきなり前に出てきてびっくりした」

 

シロコが心配そうに俺を見てきた。

 

大丈夫だぞシロコ、俺はいつでも猪突猛進だ。

 

「そして、こちらは委員長の、三年のホシノ先輩です」

「いや~よろしく、先生ー」

 

ホシノ先輩がいつもの調子で挨拶して自己紹介が終わると、皆は先生に対策委員会の説明を始めた。

それをはたから眺めながら、さっきの戦闘を思い出す。ヘルメット団を追い出す戦いは、明らかに今までより円滑に進んだ。シロコも言っていたが、先生の指揮が良かったのだろう。特にこれといったトラブルや危険な局面もなかった。それに加えて大量の物資と弾薬、頭が上がらない。

 

しかし、どうしても信用できないのは俺の性だろう。

あまりにもことが上手く進み過ぎている、何か裏があるかもしれないと考えてしまう。

 

「もしシャーレからの支援がなかったら……今度こそ、万事休すってところでしたね」

「だねー。補給品も底をついてたし、スグル君もかなり限界だったしね。なかなかいいタイミングに現れてくれたよ、先生」

 

ホシノ先輩が俺の方を向いて安心した表情を向けてくれた。

そんなに奇功が目立っていたのだろうか、先生も心配そうに見てくる。

 

それにしてもタイミングは確かに完璧だ。ちょうど弾薬が無くなりそうだったから、次の襲撃から素手で応戦しようと思ってたところだ。俺のCQCが火を噴くところだったが、その必要が無くなってよかった。あのヘルメットをかち割る機会が無くなってしまったのは、少し残念ではあるが。

 

「……………だから、このタイミングでこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおうかなって。今こそ奴らが一番消耗してるだろうからさー」

 

そんなことを考えていたら、ホシノ先輩が珍しく計画を提案した。

 

「確かに今なら先生もいるし、物資もある。俺達は問題なく暴れられるってことですね」

 

奴らの基地が燃え盛るのを想像するだけで笑みがこぼれる。今までの恨みも込めて思う存分痛めつけてやろうと決意する。

 

「よし、俺もたまには前に出て暴れましょう」

「……いや、スグルくんは大人しく学校で休んでようね。ていうか一旦寝たほうがいいよー。ね?」

「大丈夫です、俺はまだ動けます」

「ほらほら、その大きい二丁拳銃しまって。スグルくんには似合わないよー」

 

いつものDMRを机に置き、二丁の大口径リボルバーを棚から取り出し出発の準備を始めていたら、ホシノ先輩に優しく止められた。

 

しかしいくらホシノ先輩の静止でも、譲れない時もある。積年の恨みここで晴らすべし。

 

「これで奴らの脳天を、フッフッフッフ……」

「うひゃー、こりゃだめだ。スグルくん完全に目が血走ってるや、しょうがないな~シロコちゃん締め落としちゃって」

「ん、分かった」

 

じりじりとシロコが近づいてくる。身の危険を感じて後ずさるが、両手はがっちりとノノミとセリカに抑えられた。

 

「先輩は少し休んでて」

「スグルくん、お休みの時間ですよー☆」

 

俺の後ろに回り込むシロコ、そして彼女は俺の首をがっちりホールドした。

 

「お休み、スグル」

 

首にかかる圧力、抵抗するが疲れた体ではシロコの腕は振りほどけない。

 

俺はこんな所で倒れるわけには、

 

や、やめ、やめろー!!!

 

 

 

 

 

 

「よし」

 

気絶したスグルを、シロコは優しく椅子に座らせる。彼女の表情は達成感に満ちていた。

 

「スグルは大丈夫?」

 

いきなりスグルを気絶させた光景に戸惑う先生だが、対策委員会のメンバーはあっけらかんとしている。

 

「大丈夫大丈夫、スグルくん頑丈だから。それに、こうでもしないと休まないからね~」

 

ホシノがスグルの頬っぺたを突きながら答える。

 

当のスグルはと言うと、締め落とされた直後の苦しそうな気絶顔から打って変わって、気持ちよさそうに寝息を立てていた。相当疲れていたのだろう、その寝顔はとても気持ちよさそうだ。

 

「私、保健室で寝かせてきますね~」

 

そう言ってスグルを背負うノノミ。

彼女の体はスグルより小さいが、日頃からミニガンを武器として使っているだけのことはあり、軽々とした様子で彼を背負って、教室を後にした。

 

「夜勤のバイトでもしてたんだろうね、最近は睡眠時間が一時間って言ってた」

「そのくせ誰よりも早く学校に来るんだから、ほんと頭おかしいわよ」

 

呆れている様子のセリカだが、その顔はどこか心配そうだ。

 

「バイト?」

 

シロコの言った言葉に疑問を持つ先生。スグルは何か買いたいものでもあるのだろうかと考えるが、それはホシノに声をかけられて止められる。

 

「先生からも言ってあげてよ、無理しすぎて体調崩したら元も子もないって。おじさんが言ってもはぐらかされちゃうんだよね~」

「ホシノ先輩はもうちょっとスグル先輩を見習ってください」

「え~アヤネちゃん厳しいなあー」

 

頭をかきながらごまかすホシノ、アヤネはため息をついている。

 

「スグルはいつもあんな風になるまで頑張ってるの?」

「いつもってことはないですけど。忙しくなると、副委員長として~とか言いながら、無理してばかりなんです」

「まあ、この話は奴らの基地を制圧してからにしようよー」

「ヘルメット団の前哨基地はここから30㎞くらいだし、そろそろ出発しようか」

 

ホシノの言葉を皮切りに、対策委員会はヘルメット団を殲滅しに向かった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

目が覚めたら知らない天井、などということはなく慣れ親しんだアビドスの保健室の天井だった。

かなり時間がたってしまったらしく、窓を見ると夕闇の空が広がっていた。

 

ヘルメット団の前哨基地は無事に攻略できただろうか。そんな心配が頭をよぎるが直ぐに問題ないだろうと振り払う。シャーレの先生はまだ信用できないが、指揮能力は確かなものだった。それに補給が万全な皆なら心配する必要など微塵もない。それは今まで一緒に戦ってきて、彼女たちの背中を一番近くで見てきた俺だから言えることだ。

 

あの状態の俺がいなかったから、むしろ効率的だったかもしれない。

 

「行かなくてよかったな……」

 

後でホシノ先輩には謝罪とお礼を言っておこう。

 

彼女は普段のんびりしているが、誰よりも皆のことを見ている。俺はそんな彼女を尊敬している。

 

コンコン

 

暫くぼーっとしていたら保健室の扉がノックされた。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

聞き慣れない自分以外の低い声、すぐさま拳銃を抜こうとするが、アヤネ辺りが気を使ってくれたのだろうか、生憎銃は外されていた。声の主は扉を開きこちらに近づいてくる。

 

ベッドはカーテンで隠されいるが、夕日に照らされているのでこちらが変な動きをすれば影の動きで直ぐに感づかれるだろう。

 

だが、それならカーテンが開かれるまでベッドで身を潜め、開けられた瞬間組付けばいいだけ。大丈夫だ、問題ない。

 

ガラッ

 

カーテンが開かれる。

瞬間、ベッドから人影に向かって飛び掛かる。

 

と、ここで問題が生じた。

 

起立性調節障害というものを聞いたことはないだろうか。簡単に説明すると寝ている状態から起き上がった時に立ちくらみなどの症状が出たりする。日頃からストレスが溜まっていたりあまり食事をとらずエネルギーが足りていないと生じることがあるのだが。

 

「やべ…」

 

疲労が溜まりすぎていたのだろう、少し寝た程度では完全に回復しきれなかった俺の体は、平行感覚を失いベッドから落ちそうになる。

 

「危ない‼」

 

頭から床に激突するかと思われた俺の体は、しかし寸での所で受け止められた。

 

「大丈夫?」

 

俺を受け止めた人物が心配そうな声色で問いかけてくる。ゆっくりと顔を上げて受け止めてくれた人を確認すると、

 

「え?先生?……いや、そっか、そうだよな」

「どうしたの?」

 

先生が俺の顔を心配そうに覗いていた。

自覚していたつもりだったが、俺の疲労は自分の認識以上に酷いらしい。まさか、先生のことを泥棒と勘違いして飛びつこうとしてしまうとは。そもそも、単に対策委員の誰かが医者を呼んだという可能性もあった。いくら何でも判断が鈍り過ぎだ。

 

「あ、えっと、泥棒かなんかかと思って……あはは…俺、相当疲れてますね、すいません」

「ほ、ほんとに大丈夫!?」

「多分大丈夫です、お気遣いありがとうございます。それより、何しにここへ?」

 

立ち上がり。服装を整えて、改めて先生に向かい合う。

 

彼はまだこちらを心配している様子だが、もう一度大丈夫だと伝えれば、少し心配しながらもそれ以上は何も言ってこなかった。大人として引き際をわきまえているのは好感を持てる。

 

「話すと長くなるんだけど」

「そうですか。ならお茶でも入れますね、ちょっと待っててください」

 

何はともあれ、いい機会だ。先生がどんな理由で俺の元へ来たのかは知らないが、彼がどのような人か見極める必要がある。

 

お手並み拝見です、シャーレの先生

 

 

 

 

 

 

To be continued…




※BLはないです


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