東雲の空に鳴り響く聲は   作:亥露

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なんかすごいオリジナル設定ですね(^^;
でも後悔はしていない!


合否

 「なーんか、凄いことになっちゃったなぁ。」

 あれから私は結局呪術高専に泊まり、朝イチで家に送ってもらった。因みに運転手はやはり伊知地さんだった。こういう時に夜間制というのは便利だなぁと。いや、もう転校するのだが。

 家は両親が仕事に行っているので、出迎えなども無かった。まぁ当たり前か。今日で荷造りをして明日には高専か……。私はベットに横になって考える。

 (なんか実感湧かないなぁ。)

 あぁ、転校するんだったら瑞希にも言おうかな。でも学校で会うことも少ないし、抑も呪術高専の事を言っても良いのかどうか……。

 「あー!落ち着かない!セカイ行こ!リン達の顔も見たいし!」

 私は頭を横に振りスマホに入っている『悔やむと書いてミライ』の再生ボタンを押す。

 すると眩い光に包まれ、目を開けるとそこは殺風景のセカイに変わっていた。

 「えーっと、ミク達は居るかなぁ。」

 私があたりをキョロキョロ見渡すと、ある綺麗な髪が視界に映った。水色で、とても綺麗な髪だ。それは奏の姿だった。

 「奏?」

 「あ、絵名。」

 奏も此方に気づいたのか駆け寄ってくる。すると何を思ったのか思いっきり私の二の腕を掴み「大丈夫⁉︎」と聞いてきた。

 ……いや何が?

 「えぇっと、何があったかはわからないけれど、取り敢えず私には何も問題ないわよ。奏こそ大丈夫?」

 私が聞き返すと、奏ははーっと息を吐く。それは呆れとかではなく、安堵のため息に見えた。

 「いや、昨日ナイトコードにも来なかったし、セカイにも居ないし、連絡もつかないし。瑞希が弟さんに聞いても、学校に行ったっきり帰ってきていないって……。またなんか思い詰めてるのかなって心配で…。」

 あ。

 そうだ。昨日あのままニーゴのみんなに休みの連絡せずに其の儘寝ちゃったんだ。

 しまった。忘れてた。

 「ごめん!その、色々あって連絡する暇無かったの!ホントごめん!でも私大丈夫だから!ね!」

 「ふふ、その反応でわかるよ。杞憂でよかった。」

 「奏ぇ。」

 私は奏の優しさに心を打たれる。全く、この世の中にこんな優しい人間がいるなんて。

 私が感激していると、奏の方に何かが乗っているのが見えた。

 呪霊だ。

 驚くと同時に納得もする。まぁ、奏は世に音楽を出しているから、全国の負の感情が奏に行ってもおかしくない。曲が曲だけにね。

 とはいえこのまま野放しにしておくのも癪だ。

 「?絵名、如何したの?」

 「ううん。肩にゴミがついてただけ。」

 私は呪霊を掴み後ろに隠す。そして握った呪霊を握り潰した。払い方は分からないが、こうした方が間違いないだろう。はは、呪霊をゴミ扱いした自分に軽く引く。

 「あれ、なんか肩が軽くなった?」

 「疲れてるんじゃない?帰って寝たら?」

 「うん、そうする。」

 奏は其の儘帰る様で、スマホを取り出す。

 あー。如何しよう。言えないよなぁ。今から命を賭けに行ってきますって、絶対言えない。奏の前だから尚更。

 大切な人が目の前で消えてしまった奏だから。

 「絵名。」

 「ん?なぁに?」

 「何かあったら相談してね。私は絵名の力になりたい。」

 奏は真っ直ぐな瞳でそう言った。その瞳は眩しく、目が潰れそうに成る程。

 あぁ、気付いてしまった。

 「……。ありがとう奏。じゃあ、今度なんかあったら相談するね。」

 私がそう言うと、奏はニッコリ笑ってセカイを後にした。

 「眩しいなぁ…。」

 ポツリと溢れる。

 奏はきっと呪とは無関係なんだろうな。いや、それ以上に対極に見える。人を救う事を信念、義務と化している奏は、誰かを呪うと言う事は考えないのだろう。

 「絵名。こんな所に居たの。」

 何処からか来たのか、メイコがジッと此方を見ていた。

 びっくりした。

 「奏達が心配してたわよ。」

 「うん。さっき奏と会って聞いた。メイコ達もごめんね、心配かけて。」

 「別に心配してないわ。」

 「あぁ、そう。」

 なんでこんな憎まれ口しか出てこないわけ?まぁ気にしてもしょうがないけど。

 「……何かあるんじゃないの?」

 「え?」

 「奏達に伝えなきゃいけない事。あるんじゃないかしら。」

 よく見ているな、メイコは。と感心にも似た感情がくる。

 でも、無い。

 伝えたらいけない事なら沢山あるが、伝えなきゃいけない事は何もない。

 「ねぇメイコ。お願いがあるの。」

 「?何?」

 私は息を整え、メイコに伝える。意を決して。

 「ニーゴの事、頼んだわよ。」

 私はそう言い残し、セカイを後にした。最後に何かメイコが言っていたが、それは結局私の耳に入る事は叶わない。

 彼女達は優しいのだ。優しくて、容易い。私とは真逆だ。さっきの奏との会話で気付いた。

 あぁ、もう無理だ。

 離れないといけない。

 呪いから遠ざけないといけない。

 私は側にあったペンタブを手に取り、

 

 

 

 

 

 

 地面へ投げ捨てた。

 それは八つ当たりではなく、過去との決別の為に。

 飛び散った破片が足に刺さり、涙が出た。

 

 

 

 

 

 ————

 「学長?」

 「そう、夜蛾学長。今からその人と会いにいく。まぁ軽く面接みたいなものだよ。」

 私は五条先生と共に高専内を歩いている。結局あれから彰人とも会うこともなく此処に来てしまった。

 これで良いんだ。

 「落とされることもあるから気をつけてね。」

 「え?じゃあ私は如何するのよ?」

 「本家に戻される。」

 「それじゃ本末転倒じゃない。」

 「そうならないようにガンバ!」

 きらりと絵文字がつきそうなくらいにグッと親指を立てる五条先生は何処か嬉しそうだった。殴っても良いかな?殴っても良いよね。

 「学長って、どんな人なの?」

 「優しい人だよ。」

 「具体的に。」

 「易しい人だよ。」

 「表記が違う!」

 易しい人ってどんな人物よ。例えそんな人がいたとしてそれはおそらく週一で詐欺に遭ってる人の事を言っているのでは無いだろうか。いや、そんな人がよく教員になれたな。あれ?この回想、前にもしなかった?

 「ほら、ついたよ。」

 私が悶々と考えている間に部屋に着いてしまった。

 部屋の外からでも伝わる威圧感。あ、絶対嘘だ。多分学長、優しく無いし、易しくも無い。

 然し私のそんな恐怖心をよそに五条先生は躊躇う事はなく扉を開ける。

 中にはサングラスしたゴツいおじさんが座っていた。足を広げて、手には人形を……。人形?

 「か、可愛い……。」

 そう、その学長の周りには、正直言って本人には似つかわしく無いとても可愛いぬいぐるみ達が置いているのだ。

 もしかしてこれ全てこの学長が?

 「悟。五分の遅刻だ。」

 「良いじゃん。責める程の事でも無いでしょ。」

 「だから問題なんだ。毎度毎度責める程でも無い遅刻をしやがって。」

 うわぁ……やっぱり普段からこうなんだ、此の人。しかもなんて陰湿な。

 「で、そいつが例の。」

 「あ、はい。東雲絵名です。」

 私が自己紹介をすると、夜蛾学長は私をまじまじと見て、「ふむ。」とこぼす。うう、こういうの苦手。

 「絵名と言ったか。お前は何故呪術高専に入る。」

 「え?」

 突然の問いに私は首を傾げる。

 なんでって言われても。入らないとなんか本家に戻されるって言うし……。それに。

 「友達や家族を護る為です。」

 「何の為に?」

 「生きていて欲しいからです。」

 「何故?」

 「大切だからです。」

 自分でもよく狼狽えずに返事が出来るなと思う。だが此処で嘘をついても仕方がないし。

 暫くの沈黙。その空気にだんだん不安度が増していく。お願い何か喋って。もうこの際五条先生でも良いから。

 「……不合格だ。」

 「は⁉︎」

 え?この流れ合格じゃないの⁉︎何でこの流れで不合格?私なんか言っちゃったっけ。

 私がぐるぐる考えていると、突然人形が襲いかかってきた。何とかすんでのところで掴むも、その人形はジタバタと暴れ回っている。

 何なんだ?突然。

 「お前はそうやって、もし自分が死んだら他人の所為にするつもりか?誰かを守ろうとした、だから死んだ。そう相手を呪うのか?」

 夜蛾学長の言葉にハッとする。

 成る程、そういうことね。

 人形の攻撃は一切怯む事なく私に向かってくる。つーか無駄に力強くない?まだ体術のたの字もやってないのよこっちは。

 「ごめんなさい、学長の言っている事もわかります。でも私はその理由を覆す事はしません。」

 「何?」

 「確かに世間で見れば私の行動は自己犠牲で、善良かもしれません。でも私はそうは思わない。()()の為にやってるんだから。」

 そう、私の為。でなければならない()()()()()()()()()()()りしない。

 「死んでほしくない、消えてほしくない。そう思ったから私は自分の意思で護るの。これは私の押しつげがましいエゴよ。その為に私が死んでも、私の所為。他人の所為にするつもりなんて毛ほどもないし、そんな思考は気持ち悪いったらありゃしないのよこの野郎!」

 私は人形を押さえ込みそう言う。人形と戦う事に集中しすぎて最後すっごい汚い言葉使いになってしまった。

 またもや沈黙。さぁ、如何出る?

 「……悟、寮に案内してやれ。」

 「へ?」

 我ながら間抜けな声が出たなと心の何処かで思った。

 今、何て?

 「合格だ。ようこそ、呪術高専へ。」

 そう言い夜蛾学長は手を差し伸べてきた。

 合…格。

 できたのか?

 私はその事実に安堵して学長の手を握る。人形はいつのまにか粉粉に砕かれ見るも無惨な姿になっていた。多分正気を忘れて知らず知らずのうちに呪力を使ってたんだなぁ。

 「絵名。」

 やっと喋った五条さんは私の方にやってきて手を振り上げていた。

 「おめでとう。これで晴れて高専の生徒だ。」

 私も手を振りかぶりハイタッチをする。こんなに緊張したのはいつぶりだろうか。コンクールの時以来か。

 さぁ、此処からだ。

 これはまだスタートライン。

 此処からは覚悟を持って進まなければいけない。

 みんなの為にも、自分の為にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ————

 「あり?なんかあっちの建物から凄い呪力の気配しねぇか?」

 「アレじゃね?例の転校生。ったく、こんな短期間で二人目来られてもこっちが困るっつーの。」

 「あれ?僕今ディスられてる?」

 絵名が面談を受けている同時刻、パンダ、真希、乙骨がグラウンドで訓練をしていた。転校生の話は割と早く伝達されており、(というか五条が口が軽い為)二年の人達は把握していたのだ。

 と言っても、乙骨も去年の冬ごろに転校してきた身だからか、新しく来る転校生に少しばかり親近感が湧いているのが事実だ。

 「あぁ、確か特級相当の呪霊を何の躊躇いもなく祓ったって奴。然も東雲家の令嬢だとよ。」

 「ふーんじゃあ憂太と違ってやっぱ尖ってんのか?」

 「あれ?やっぱりディスられてる?」

 真希は呪具の手入れをしながら聞いた。まぁ生意気ならばシメるだけだと真希は嘲笑う。

 然し帰ってきたのは意外な返答だった。

 「いや、それが真希と憂太を合わせた性格らしいぞ。」

 「え⁉︎僕と真希さん結構真逆な性格してると思うけど…。」

 「そうだぞパンダ。私はコイツみたいに軟弱じゃねぇ。」

 「あれ?おかしいな。」

 乙骨は少しホッとした。僕と似てるって事は意外と仲良くなれそうだと。然し同時に真希さんと性格が似ていれば如何だろうか。真希は真希だから良いのであって二人もいたら乙骨は多分前の学校の如く不登校になるのが明白だ。

 「でも結構良いやつらしいぞ。棘のお墨付き。」

 「あぁ、なんか棘が連れてきたんだっけ。」

 「然も相当可愛い子らしい。」

 「ほーん。」

 真希とパンダはようやく狗巻にも春が来たかとニヤニヤして乙骨は苦笑いをしている。

 

 (狗巻君、ドンマイ。多分これからすごいいじられると思うよ。)

 

 乙骨は狗巻に同情の感情を向け、心の中で合掌をした




何だろう、すごい方向に行ってる気がする。
でもこれから軌道修正してきます!
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