東雲の空に鳴り響く聲は   作:亥露

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姫御前

 ──なんだこいつ。と、伏黒は思った。

 

 出会い頭に好きなタイプを聞くような奴は、あまりにも伏黒の理解の範疇に居なかった。

 

 けれどもその男は依然として堂々としている。まるでそうあるのが当然の様に。その様子に、伏黒は己が間違っているのではないかという錯覚を受ける。けれどそこをなんとか正気を保った。

 

 こんな男が正常なわけがなかった。自分は、何も間違ってはいない。

 

 そして前に出て、平常心を保ちながら口を開く。

 

「なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか」

「そうよ。ムッツリにはハードル高いわよ」

「お前は黙ってろ。ただでさえ意味わかんねー状況が余計ややこしくなる」

 

 釘崎の茶化しに少々イラつきながら、それでも相手を見極める。

 

「京都三年東堂葵。自己紹介終わり。これでお友達だな。早く答えろ、男でもいいぞ」

 

 本当に何を言っているんだ、と伏黒は呆れる。しかし相手は巫山戯ている様子はなく、真剣そのものだった。それが尚の事、この意味不明な状況に拍車をかけている。

 

「性癖にはソイツの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ」

 

 其処迄言って、東堂は息を吐き、そしてまた大きく息を吸った。

 

「交流会は血沸き肉踊る俺の魂の独壇場。最後の交流会で退屈なんてさせられたら何しでかすかわからんからな。俺なりの優しさだ。今なら半殺しで済む」

「退屈って、知ってますか、今年は東雲先輩が出るんですよ。退屈ではないと思うんですけど」

 

 伏黒の言葉に、東堂は首を横に振る。

 

「俺はあの方の実力をまだ存じ上げん。確かに強いらしいが、間近で見たことはないんでな。其処ら辺は想像では判断できん。だからお前達からだ。答えろ伏黒。どんな女がタイプだ」

 

 その言葉に伏黒は身構える。

 

 こんな巫山戯た調子だが、東堂はもうすでに戦闘体制に入っている。一つの失敗が命とりだ。

 

 それに今の釘崎は丸腰。如何しても揉め事は避けたかった。

 

 大喜利かと思いつつ、口を開く。

 

 

『人を許せないのは悪いことじゃないよ。それも恵の優しさでしょう?』

 

 

「………………」

 

 そして真っ直ぐと東堂を見た。

 

「別に好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があれば、それ以上は何も求めません」

 

 伏黒の言葉に、釘崎と真依は満足そうな顔をする。

 

「悪くない答えね。巨乳好きとかぬかしたら私が殺してたわ」

「うるせぇ」

 

 釘崎の茶々に、伏黒は血管が浮き出る。

 

 しかし東堂の反応は──違った。

 

 退屈そうに「やっぱりだ」と言いながら──涙を流す。

 

「退屈だよ、伏黒」

 

 その瞬間、全身に刺されるような殺気。

 

 腹の中から込み上げてくる恐怖。

 

 瞬間。

 

 東堂は伏黒と距離を詰め、そして左手の腕で投げ飛ばされる。

 

 鈍い音が体の中で響き、そして地面へ叩きつけられる。遠くで己を呼ぶ釘崎の声が聞こえたが、それも上手く聞き取れない。

 

 何とか呼吸を整え立ち上がる。東堂は、ゆっくり歩きながら此方へ向かってくる。

 

 その顔には、本当に残念そうな表情が映っていた。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

「っはぁ……! はぁ……!」

 

 立ち上がり、東堂を見る。

 

 東堂の望む答えを出せなかった伏黒は、東堂に一方的に痛めつけられていた。

 

 東堂は呪術師の中で唯一の一級術師。二級術師として入学した天才も、一級の前ではただの一年だ。そもそもの土台が違う。

 

 下を向くと、頭から流れ出ている赤い液體が床を濡らす。

 

 伏黒は様々な所に投げ飛ばされ、ついには建物の何回かわからない上階に飛ばされてしまった。それも床を突き破って。

 

 そして如何いう原理で飛んだかしれない東堂が、その場に着地する。

 

「やる気がまるで感じられん」

 

 そう言いながら、足止め用に巻きつけた蝦蟇の舌を引き千切る。

 

 頭から血が出ている所為か、伏黒はイラついていた。それこそ、頭から更に血が吹き出しそうなほどに。

 

「……下手に出てりゃ偉そうに。そこまでいうなら──やってやるよ」

 

 呪力を巡らせ、手を構える。

 

 この一級に正攻法で勝てないのなら……。

 

 ──己の奥の手を、出すしかない。

 

 東堂もその異変に気付いたようで、先程とは違い、本気で構え、そして笑みを見せる。

 

『動くな』

 

 しかし、東堂が攻撃してくることはなかった。

 

 体が固まり、一歩も前に動けない。

 

 そしてその瞬間、白黒した物体が飛んでくる。

 

 ──パンダだ。

 

「何、やってんのー!」

 

 そう言いながら、東堂の頬を殴る。物凄い勢いだった為に、あの東堂ですらもよろける。

 

 そして伏黒を、先程呪言を使った狗巻が保護をした。

 

 伏黒は、ゆっくりと息を整えた。肩の力が抜けていくような、そんな感覚。油断をしているわけではない。けれど先輩が来たという事実が、如何しようもなく安心できたのだ。

 

「フゥ、ギリギリセーフ」

「おかか!」

「うん、まあ。アウトっちゃアウトか」

 

 そう言ってパンダは頬を掻く。その様子を、伏黒は地べたに座りながら見ていた。

 

「……久しぶりだな、パンダ」

「なんで交流会まで我慢できないのかね。帰った帰った。大きい声出すぞ。いやーんって」

「言われなくても帰る所だ」

 

 いつの間にか東堂の殺気は消え、頸をポリポリ掻いていた。そして首を回し、己の上着を探す。ここは二階だ。如何考えてもある訳がない。

 

 けれど伏黒はもうそうツッコミをする元気もなかった。

 

「いやぁ、けどお前も幸運だったな。俺たちが一秒でも早く来て。じゃなきゃお前達は今頃肉塊になってた所だったぜ。いや、骨すら残ってたかも疑問だぜ」

「あ? そりゃ如何いう意味だ」

 

 東堂の言葉に、パンダは笑みを浮かべる。

 

「此処に充満してる呪力が揺れた。帰ってきたぜ、アイツが」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 その頃──地上では。

 

「呪術師を続けるなら、喧嘩売る相手は選ぶことね」

 

 地面に倒れ込む釘崎に、真依は銃口を突きつける。釘崎の来ている服には無数の穴が空いている。

 

 真依の言葉に、釘崎は反応しなかった。気絶しているのだろう。

 

 そして留めと言わんばかりに、引き金にかけた人差し指に力を入れる。

 

「ウチのパシリに何してんだよ、真依」

 

 しかし、それは出来なかった。邪魔が、入ったのだ。

 

 横から声がし、振り返る。

 

 其処には、己の憎むべき人間が、立っていたのだ。

 

「あら、落ちこぼれ過ぎて気付かなかったわ──真希」

 

 禪院真希。真依の双子の姉。

 

 真希は、真っ直ぐとその切れ長の目を真依に向ける。そして顎を上にあげ、嘲った。

 

「オマエだってものに呪力篭めるばっかりで、術式もクソもねぇじゃねぇか」

「呪力がないよりマシよ。上ばかり見てると首が痛いからたまにはこうして下を見ないとね」

 

 真依の言葉に、真希は脱力した様にため息をついた。そして構えていた長物を緩め、己の肩に置く。

 

「あー。やめやめ。底辺同士でみっともねぇ。野薔薇! 立てるか!?」

 

 反応は、なかった。その光景に、今度は真依が嘲う。

 

「無理よ。暫く起きないわ。それなりに痛めつけたもの」

 

 その言葉に、真希は己の肩に置いていた長物を真依に向ける。しかしその顔には敵意のようなものは感じられない。

 

「……何? やる気?」

 

 そう言って真依も銃を構える。

 

 一触即発。何方か片方が動けば衝突しかねない空気が、そこにはあった。依然として真希の表情は読めない。

 

 しかし攻撃に移したのは──真希ではなかった。

 

「────!!」

 

 何かに引っ張られ、真依は後に倒れた。

 

 何か──ではない。

 

 釘崎野薔薇だ。

 

 倒れていたのではないのか。動けない筈ではないのか。そんな疑問が真依の頭に浮かんでは消える。しかし釘崎によって締められた首は、どんどん酸素の汲汲を少なくしていく。

 

「ナイスサポート真希さん!」

 

 如何やらさっきの行動は、真依の気を引くためのブラフだったようだ。

 

 釘崎は真依の体に足を絡め取られ、自由に身動きをすることも叶わない。

 

「おろしたてのジャージにばかすか穴空けやがって。てめぇのその制服置いてけよ。私の夏服にしてやる」

「……次は体の穴増やしてやるわよ。あとその足の長さじゃこれは着れないんじゃない?」

 

 真依の煽りに、釘崎は血管を浮かせ力を強める。まるで真依をおとさんとばかりの強さだった。

 

 ギリギリと音を立てて閉まっていく。脳みそも痺れ、思考もままならない。

 

「帰るぞ、真依」

 

 しかしそれを止めたのは──伏黒と戦っていた筈の東堂だった。

 

 東堂の登場により、釘崎は一瞬手を緩めた。その隙に、真依は距離をとる。

 

「そんな、伏黒は……!」

「大丈夫だ。パンダ達がついてる」

 

 釘崎の不安げな声に、すかさず真希はフォローを入れた。

 

 真依は装填し、銃を向ける。

 

「楽しんでるようだな」

「冗談! 私はこれからなんですけど」

 

 そう言って銃を構え、狙いを定める。

 

 瞬間──。

 

 真依の銃口は、切断された。

 

 その場に居た全員、突き刺さるような殺気に襲われる。

 

 立ってる事もままならないかのような、足先から冷たい何かが競り上げてくるような、そんな感覚。震える事も許さないようなその空気に、真依の額に滲んだ汗が、静かに地面を濡らす。

 

 やっとの思いで振り返る。

 

 そこには──。

 

「……何、してんの?」

 

 東雲絵名が──我らが王が、立っていた。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 自分でも、吃驚する程に地を這った声だった。けれどもそれを鑑みる余裕も無い程、絵名は頭に来ていた。

 

 目の前で痛めつけられたであろう後輩。此処に来るまで伏黒にも会ったが、酷い有様だった。元より後輩思いの絵名にとって、これは如何しても無視できない状況だ。

 

 ゆっくりと歩く。

 

 そして東堂と真依は、勢い良く跪いた。二人だけではない。真希は釘崎の頭を抑え、跪く。今の絵名は同級生やら先輩の東雲絵名ではない。

 

 呪術師の元締め、総括の東雲家当主の、〝東雲絵名〟だった。

 

「ちょ、真希さん!」

「黙って頭を下げろ。そうすればなんとかこれは乗り切れる」

 

 釘崎と真希が、小声でそんな会話をする。それは絵名の耳に届いているが、そんな事は如何でも良かった。

 

 今の意識は、全てこの二人に注がれていた。

 

「これはこれは絵名様。お会い出来て光栄の至りでございます」

 

 そう口にしたのは、意外にも東堂だった。

 

 デカい体格とは裏腹に、礼儀はある男だった。

 

 しかし絵名の地を這うような声は、依然として変わらない。

 

「そんな事は、今、聞いてない」

 

 言葉を途切れさせて、ゆっくりと問う。

 

「今、何、していたの?」

 

 返答によっては、此処で戦闘不能にする事も吝かではなかった。

 

 手に力が入る。視界内だけで対処は出来るが、それだけで済むとは、思えなかった。

 

 いつしか蝉の鳴き声も止み、互いの吐息だけが、あたりに響く。そして絵名の目には剣呑が孕んでいたのだった。

 

 暑い筈なのに、何故か此処の空気だけが、異様に冷たかった。

 

「小手調べをしていました」

「小手調べ?」

 

 東堂の言葉を反復する。真依は目を見開いて東堂を見ていたが、東堂は続ける。

 

「はい。今年は乙骨が出ないと聞き、それに足りうるかを調べておりました。私は今年最後の交流会です。生半可な相手だったら何をしでかすかわかりません」

 

 東堂は、正直に答える。

 

 絵名は呆気に取られる。此処迄馬鹿正直に言う馬鹿がいようとは。けれども東堂は依然として(こうべ)を垂れている。

 

 本人はいたって冷静で、真剣らしい。

 

 その姿に、絵名は思わず吹き出した。

 

「そこはさ、なんか、もうちょっと取り繕う所じゃない? 正直すぎ……」

「はい。絵名様に嘘をつくわけにはいかないので」

「そ、そう……ありがとう」

 

 そう言って、震える。そうしてひとしきり笑った後、「はー」と落ち着いた。

 

「もう良いわよ。その馬鹿正直さに許したげる。感謝しなさいよ」

「は。ありがたき幸せ」

 

 絵名はいつの間にか、怒りは失われ、後に残ったのは東堂への面白さだった。絵名はこれまでこんなにも馬鹿正直な男は見た事がなかった。

 

「それで、私の後輩は如何だった?」

「はい。手応えはありました」

「そう。当然よね。私の後輩なんだから」

 

 そう言って絵名は満足気に胸を張る。己の後輩が褒められて、自分の事のように嬉しかったのだ。

 

「というかもう顔上げなさいよ。もう良いわよ」

「ではお言葉に甘えて」

 

 そう言って東堂と真依は同時に頭を上げる。総会で見た事はあったのだが、それでも間近で見たのは今が初めてで、その体格のデカさに驚愕する。絵名の周りには、こんな体格をした男は、せいぜい夜蛾学長だけだった。

 

 真依の方は真希と矢張り似ていた。

 

「東堂葵くんと、禪院真依ちゃん……だよね。話すのは初めてかな?」

「え? 名前覚えていてくれたんですか?」

 

 真依の言葉に、絵名は首を傾げる。

 

「当たり前じゃない。日本の為に頑張ってくれているのよ。上に立つものとして呪術師の名前や顔を覚えるのは当然じゃない?」

 

 さも当然の様にそう言う。特に高専生は子供にも拘らず命を危険に晒してまで呪霊を祓ってくれているのだ。

 

 せめて名前を覚えるのは当然と言えた。

 

 そう言うと、真依は少しもじもじしながら「そ、そうですか」と呟く。

 

「絵名様。申し訳ございませんが、我々はそろそろ行きます」

「え? 如何したの? なんか用事でもあるの?」

 

 東堂の言葉に絵名は首を傾げる。東堂は頷き、ポケットから一枚の紙を取り出した。

 

「高田ちゃんの個握があるのです!」

 

 バーンという効果音がつきそうなほどに、東堂はキメ顔をした。

 

 絵名はずっこけた。教育番組でやっている忍者の卵のように、盛大にずっこけた。

 

 そういえば、親友の愛莉も、同じ事を言っていたような気がした。後学の為に高身長アイドル高田ちゃんの握手会に行くと。その時絵名は特に気にする素振りも見せず、ただ勉強熱心だなと感心していたが、成程。東堂もドルオタだったのかと、絵名は内心苦笑をする。

 

「そう。じゃあ此処で油を売っている場合じゃないわね。いってらっしゃい。気を付けてね」

 

 絵名は二人を見送る。東堂は晴れやかに歩いて行ったが、真依は何処か釈然としない顔をしていた。

 

 それを見送り、絵名は伸びをした。

 

「まったく。問題を起こさないでよね。ただでさえ忙しいのに、仕事を増やすんじゃないわよ」

「私らのせいじゃねぇよ。真依達に言え」

 

 真希はそう言って横に並ぶ。絵名は漸く、普通の東雲絵名に戻ったのだ。

 

 そして絵名は野薔薇に向き直る。

 

「大丈夫? 野薔薇ちゃん。何処か怪我してない?」

「あ、大丈夫です……その、さっきのって……」

 

 釘崎はさっきの雰囲気が引っかかっている様だった。絵名は「あー」と苦笑いをした。

 

「えっとね……東雲家って知ってる?」

「あ、知ってます。うちのばあちゃんも良く話してました。確か呪術師の元締め一家だって」

「私がその当主なんだ」

 

 釘崎は目を見開く。その姿に、絵名は吹き出した。本当に隅でチョンッとやったかのように目を点にしていた。そしてその頭を撫でる。

 

 己の後輩はこんなに可愛いのかと、思わず笑みがこぼれた。

 

「じゃあ私らより立場が上じゃないですか!」

「あぁ、気にしないで。今この場では一塊の女子高生だから。そんな畏まらないでも。因みに必要以上によそよそしくしたら怒るからね」

「えぇ……」

「諦めろ野薔薇。こいつはそう言うやつだ」

 

 釘崎は煮え切らない様子だったが、絵名は素知らぬ素振りを見せる。その様子に、釘崎はこれ以上言っても無駄だと判断したようだ。

 

 そして釘崎は真希の方に向き直った。もう一つ、気になることがあるのだ。

 

「ねぇ真希さん、さっきの本当なの? 呪力がないって」

 

 真希は眼鏡を取って、「本当だよ」と呟く。絵名はその話をしていたのかと目を見開いて静かに驚く。如何やら先程一悶着あったようだ。

 

「だからこの眼鏡がねぇと呪いも見えねぇ。私が扱うのは「呪具」。初めから呪いがこもってるもんだ。オマエらみたいに自分の呪力を流してどうこうしてるわけじゃねぇよ」

 

 絵名はそれを聞いて、嘗ての記憶を思い起こす。医務室で真希が自分に話してくれた事。それが、絵名は嬉しかったのだ。

 

「じゃあ、なんで呪術師なんか……」

 

 釘崎の言葉に、真希は悪戯っ子の様に微笑む。

 

「嫌がらせだよ。見下されてた私が大物術師になってみろ。家の連中、どんな面すっかな。楽しみだ」

 

 その言葉に、絵名は笑みを溢す。絵名は真希のこういう強いところが大好きだった。

 

 この強さは、見習いたい。そう思ったのだ。

 

 そして釘崎は絵名と真希の間に身をよせ、頭を預ける。

 

「私は、真希さんと絵名さん、どっちも尊敬してますよ」

「あっそ」

 

 真希は素っ気なく返すが、その顔は満更でもなさそうだった。絵名も、そういう野薔薇が可愛くて仕方がなく、思わず再び頭を撫でた。

 

 この子こそは守り通す。そう決めたのだ。絶対に虎杖の二の舞にはさせない。

 

 そう決心し、歩く力がこもった。




●じゅじゅさんぽ

愛莉「高田ちゃんの握手会に行ったんだけど、なんかすごい体格の人がいたのよ」
絵名(東堂くんだ)
愛莉「頭がパイナップルみたいな髪型でね」
絵名(東堂くんだ)
愛莉「顔に傷があったんだけど……」
絵名(東堂くんだ)
愛莉「すっごい高田ちゃんにメロメロだったの」
絵名「東堂くんじゃない! 誰よそれ! そんな東堂くん知らない!」
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