「リギル。リギル……」
模擬授業に集中している最中、「チームに所属してトレーナーのサポートを受けられる」という案内に移った時にそのチームリスト一覧を渡されて、オレは真っ先に東条さんの担当しているであろうリギルの紹介を目に入れ始めた。
「今の段階からどのチームに入るか悩んでいるの? 気の早い事」
真横で話を聞いているキングヘイローに微笑ましいモノを見るような事を小声で言われたが、厳密にいえばそういう訳ではない。ひいじいちゃんが所属するリギルがどんなところなのか気になる。
「……まぁ、リギルに入りたいといえば入りたいが……」
キングの言葉を適当に聞き流し、頭の中はマルゼンスキーの事でいっぱいになっていた。
そんな風に構えていると、キングは「ふぅん」と鼻を鳴らしてから話を続けてくる。
「じゃあ、私もリギルっていうチームへの入部を目指そうかしら」
彼女が口にした言葉に、少しぎょっとしてしまう。
「なんだ、それってまさか、一緒のチームで走りたいとかそういう……」
「あら、私はただ強豪と名高いリギルへ入ってみたいだけよ。一流の私に相応しいのは、一流のチーム。ただそれだけ」
そう言って、彼女は目の前のパンフレットに視線を移す。
いつもより、言い方がイジワルに感じたのは気のせいか。
……実際問題、キングヘイローならその目標は無謀じゃないだろう。
オレはリギルの所属一覧を見ただけで眩暈がしていた。前世ですら聞いた事のある名前ばかり並んでいる。
今の今まで前世の知識で他のウマ娘に気後れする事はあまりなかったが、それでもさすがにこの中に混ざるのは尻込みする。
なんとなく、セイちゃんの気持ちが分かったような感じだった。
一応、他のチームも目に入れてみる。アルビレオ。シリウス。スピカ……。
「――ゴールドシップ? ……知らん名だな」
前世で一度も聞いた事がないから、たぶん有名な馬の名前ではないと思う。まぁ、競走馬の名前を全部知っていたわけでもないから断言は出来ないが。
ただ、一つ言える事は。スピカのチームメンバーがゴールドシップというウマ娘ただ一人しか載っていないという事だ。リギルの他には、こういう先行き不透明なチームもあるという事か……。
「それでは、これより保護者向けガイダンスを始めたいと思います。見学生の皆さんは、こちらの職員さん達の誘導に従って教員・在学生による相談会へ――」
模擬授業のプログラムも無事に終わり、保護者とは離れて隣の別室へ移る準備をする。親と一緒に居ても入学金だとか授業料だとか小難しい話ばかり聞かせられるハメになるので、それとは別に在学生や職員とお話出来るならありがたい。
そんな事を思いながら、他の見学生と一塊になって職員についていった。
「色々なチームがあったねっ! ねぇねぇ、ライスちゃんは将来どのチームに入る?」
「えぇ? そ、そうだなぁ。……や、優しい人のところがいいかなぁ……」
「そっか。ウララはねぇー、う~ん――」
……後ろからそんなやり取りが聞こえてくる。他の見学生も、何人かは似たようなものだ。小学生同士なら、こういう親睦の築き方もあろうか。
そんな事を考えながら、オレは素直に職員の誘導に従って別室へ入っていった。室内にいたのは、相談会の担当を請け負ってくれたのであろう在校生や職員といった面々か。
「こんにちは見学生の皆さん。私はサポート科高等部二年生の――」
まずは在校生の自己紹介から始まる。
どうにも、トレセン学園は実際にレースで走る生徒だけでなく彼女らのサポートに回るスタッフ人材の育成もしているらしい。
職員やトレーナー以外にもその手の人員は必要だから、そうした事を勉強する専門のコースがあるのだろう。
……そういう、縁の下の力持ちっていうのはちょっとありがたい存在だな。
そんな感想を抱きながら、説明を聞いていく。実際に何を勉強しているかだとか、学校の雰囲気だとか、寮での生活だとか。
一通りの説明が終わると、今度は質疑応答の時間となる。
「はいはーい! サポート科の研修生スタッフ……? の人って、どんな事をサポートしてくれるの?」
さっそく手を挙げて質問を投げかけたのは、ハルウララだった。サポート科の生徒は、彼女の素朴な疑問に対してにこやかに答える。
「そうですね。たとえばトレーニング道具の持ち運びとかが分かりやすい例ですね。人間の職員には重たすぎるもので、なおかつ重機を使えないような小物。ウマ娘向けの斤量や、あるいは蹄鉄の管理。あとは、練習前後のマッサージなんかも行っています」
サポート科の彼女は、見学生の中から指名してマッサージの実演しようとする。
「えっと、体の大きいキミ。いいかな?」
「え、あ、はい」
いきなり選ばれたからビックリしてしまったが、とりあえず返事をすると彼女はこちらに近寄ってきて、彼女はオレの背中に回り込んで肩と首周りを揉んでくれた。
練習仲間から揉まれる時とは違う感覚に、思わず感心してしまう。
「このような形で、体を整える事もサポートスタッフの役割の一つです。必要ならストレッチの手伝いや、ウェイトトレーニングの補助係をする事もあります」
そう話しながら、彼女は優しく指圧を加えていく。気持ちがよかったので、そのまましばらく揉みほぐされ続ける事にした。
「では次は足のマッサージを軽く執り行います」
彼女は足に触れてから、不思議そうに手を止めた。ただそれだけで、小首をかしげてから同じようにもみほぐしてくれた。
「このような感じでマッサージを受けられます。それでは次の質問を――」
「勝負服なんかはどのレースで――」
「はい、G1レースで着用が許可されていて、G2以下のレースでは体操服での出走が――」
「デビュー戦なんかは、入学してからすぐにしなきゃいけないんですか――」
「いいえ、メイクデビューの時期は各ウマ娘の状況や希望に沿って――」
その後も、職員と在校生を交えて見学生からの質問のやり取りが交わされていた。
デビュー戦が一定の年齢で強制ではない事を知り、安堵する子がいたり、逆に焦ってしまう子もいたようだ。
キングヘイローの表情を窺う。案の定、彼女はすでに知っていた素振り。オレもそれくらいは知ってる。
他の学科ならいざ知らず。競争がしたいからとトレセンへ入学を目指してる子は知ってるだろう。
ウララは職員の話を聞いて、ふむふむとしきりに頷いている。
「へー、メイクデビューの時期って年齢で決まってるわけじゃなかったんだ……」
……まぁ、知らない子もいてもおかしく、ないよな…………。
「じゃ、じゃあ。メイクデビューの後に勝てないままだったら、どうなりますか……?」
恐る恐るといった様子で質問をしたのは、ライスシャワーだった。その不安そうな様子に、周りの子達も固唾を呑んで見守っているのが分かる。
職員の女性は、その事実を誤魔化すでもなく真摯に答えてくれる。
「メイクデビューから一定の期間を超過してなお勝てなければ、未勝利戦へ出場する資格が無くなります」
見学生達の一部はざわついている。動揺するのも無理はないだろう。
「そ、それって……もう出場出来るレースがもうないって事ですか? それって、もう引退しなきゃならないんじゃ――」
「それは違います。あくまでも、未勝利戦に出走する権利を失うだけです。具体的にいえば、未勝利戦の一つ上のクラスへ出走する事も可能です」
それを聞いて、ひとまず安堵したのか彼女達のざわめきも収まっていた。
「そ、そっか……ありがとうございます。わ、私からの質問は以上ですっ」
ライスシャワーも、それに安心したのだろう。ぺこりとお辞儀をして、質問を終えた。
「ねぇ……長い期間で未勝利戦も勝てないのに、一つ上のクラスで勝てると思う……?」
オレがこっそりとキングに話しかけると、キングは少し考え込む。
「……まぁ、出来るかどうかといえば、容易い事ではないでしょうね」
話している相手がオレだからか、歯に衣着せずに現実的な物言いをする。オレも彼女の言う通りだとも思う。
そもそもの話として、未勝利戦に出れなくなるほどの長期間一度も勝てなければトレーナー、ウマ娘ともども針の筵だ。当事者以外からも問題視されて担当契約は打ち切られるかもしれないし、ウマ娘の方も心が折れて他の学科に移るか、他の学園に転校するのは想像に容易い。
そんな事をぶつくさと考えているうちに、質問会は終了した。
「パンフレット~♪ パンフレット♪」
「楽しかったね~」
「そうだね、気になる事いっぱい聞けたし!」
いよいよオープンキャンパスのプログラムも終わりに差し掛かり、質問会が終わって保護者と合流するための移動中、ウララは職員から貰ったパンフレットを嬉しそうに眺めながら、他の子達と会話している。
「まるでもう入学した気分じゃあ、ないか……」
「あら、後ろ向きよりよほど良いんじゃないかしら。周囲の子達も、みんな楽しそうよ」
キングが微笑みながらそんな事を言う。確かに周囲の子も楽しそうに談笑していた。あの子が周囲に良い影響を与えてるのは、同意だが。
「……セイちゃん、いなかったね」
ぽつりと言葉が漏れた。セイウンスカイの姿は結局見かけなかった。ハルウララやキングヘイローと混じって談笑してもらえば、彼女も元の楽しそうな笑顔が見れたと思うのだが。
「別の日程に申し込んでたのよ。きっと」
キングがそうフォローしてくれたを聞いて、オレはそれ以上何も言えなかった。
正直なところ、セイウンスカイがトレセン学園に入学するのを諦めるとは到底思えない。彼女が語った期待してくれる大切な人――たぶん彼女のおじいちゃん――に応えたい想いが、オレとの一件で失せたとは考え難い。
このまま進めば、いずれトレセン学園に入学すれば彼女と鉢合わせる事にはなるのだろう。
……その時に、謝罪して彼女の気が少しでも晴らす事ができればよいが。
そんな風に考えていると、肩を叩かれた。
キングか、ウララか、そのどちらかだと思って「どうしたの?」と気さくに笑って振り返る。
「ハァイ、後輩ちゃん♪」
…………。
肩を叩いてきたのは、学校指定の制服に着替えていた"マルゼンスキー"。そして彼女は、にこにことした笑顔で、オレに声をかけてきたのだった。
「あー、マルゼンスキーさんだー!!」
「マジで? チョー大物じゃん。ウケる。写真とっとこ」
周りの子達がざわつき始める。有名人が来たのだから当然の反応ではあるのだが。
「……なんで、ここに」
お忙しいから質問会を担当しにきた在校生とは違うだろうし。わざわざオレに興味があって会いに来た、というのも、自意識過剰がすぎるか。
オレが困惑しているのを見て、マルゼンスキーはさわやかに笑った後にこう答えた。
「そりゃ、モチのロン! 未来の後輩達と親睦を深めにきたの♪」
その言葉に、周りの子達は更にざわついた。というより色めきだった。
「ま、マルゼンさん。ライ、じゃなくて、私、朝日杯でマルゼンさんの走りに感動して……」
「わ、私もー! 握手してください!」
ライスシャワーは遠慮がちに、その他に熱心な子は興奮気味に、マルゼンスキーへ話しかけている。
見学生達のエールに対して、マルゼンスキーは「がってん承知の助よ♪」などとよく分からない言語を繰り出して慣れた様子で握手や言葉を返している。
なんというか、凄い人だな……と考えつつ。先に手厚いファンサービスを受けた手前、ここは他の見学生に機会を譲った。そのつもりだった。
「あ、あの。マルゼンスキーさん?」
案内の職員が困惑した様子でいると、さすがに職員を無視して後輩たちと戯れるつもりもないのか。
「あぁ、ごめんなさいね。手短に済ますわ」
そういう返事。……そうしたかと思えば。マルゼンスキーはオレの手を取って、ロマンティックに手を握ってきた。
周囲の羨望の視線が痛い。特にライスの視線が。
しかし、そんな視線など意に介さず、マルゼンスキーはオレの耳元に口を寄せて、囁く。
「……東条トレーナーとそのトレーナー仲間さんからの忠告なんだけど……オーバーワークは程ほどにね?」
思わずびくっと身体が震える。
「マルゼンお姉さんも、後輩ちゃんが"無事に"入学してくる事を期待してるわよ♪」
にこりと笑って去っていく彼女の顔を見ながら冷や汗が流れるのを感じた。
……そんなこんなで保護者達と合流し、それから職員からの挨拶でオープンキャンパスは閉幕とあいなったわけだが。
「ねぇねぇ、マルゼンスキーさんから期待されてるってどういう事っ!?」
「なに話してたのよ。言いなさいよー!」
トレセン学園の校門から出た直後、見知らぬ児童たちから詰め寄られる事になったわけである。たぶん、マルゼンスキーのファン。
「ら、ライスお姉さん、も、ちょっと気になるかな……」
なんかおとなしそうな性格だと思っていたライスシャワーさえ興味津々に訊ねてくるものだから、これは困った。なんか、この子の要求は跳ね除けたら罪悪感が、凄い。
「……答えてあげたら?」
もみくちゃにされているオレの様子に呆れているキングヘイローが、他人事のように言ってくる。助け舟を出してくれないものかと思いながらキングを見ると、明後日の方向に目をそらされた。
助けてくれないらしい。いつもは助けてくれるのに、今日に限ってイジワルだ。
結局のところ、"個人的な部分"は省いてマルゼンスキーと今日あった事を全てを話した。
「そうなんだぁ。マルゼンさんの走りをそんな間近で見られるなんて、よかったねぇ。ディオスさん」
ライスは、柔らかく笑みながらまるで自分の事のように喜んでくれていた。我が親戚(推定)は、本当にいい子だと思う。
見知らぬウマ娘達も羨ましがるやら、軽く妬むやら。形は違えどマルゼンスキーに憧憬を抱いているのがよく分かる。
「よかったねー、ディオスちゃん! 顔もきっと覚えてもらったから、入学すればもしかしたらお近づきになれるかもねー!!」
ウララは、他の奴らとは違う視点でマルゼンスキーとのやり取りを喜んでいた。
実際、前世のひいじいちゃん……マルゼンスキーとこうやって対面出来たのは、オレもなんだか嬉しい。これも前世のばあちゃんのおかげだから感謝せねばなるまい。
オレは力強く頷いてから、皆の会話のノリに乗っかって言葉を発する。
「そうだね! 私、頑張るよ! 練習も勉強も、もっとたくさん頑張って、トレセン学園に入るんだ!」
子供同士でわいのわいの話している中……キングヘイローはオレの隣に立って、複雑そうな表情をしていた。
なにか言いたい事があるような様子ではあったが、結局何も口にせず、来た時のようにバスに乗って帰っていく。
「ディオス。どうだった? トレセン学園は」
「うん、ますます、入りたいって気持ちが強くなった!」
「それじゃあ、全教科70点を目指なくちゃね。それくらい出せれば、筆記試験は安定になるわよ?」
「……今より上を目指せと申すか……」
オレもキングも、学園についての感想をやり取りしながら、バスに揺られている。
「お父様。やはりトレーニング施設は充実しているし、設備も素晴らしいわ。私は、トレセン学園に是非とも通いたいと――」
キングの方は、理性的に父親に熱心に学園の素晴らしさを説いている。それを聞き、父親も関心したように頷いている。
……うーん、たまに忘れかけるが、あぁいうところを見るとやはり良家のお嬢様なんだよな、キング。
そんな風に"後方腕組理解者面"をしていると、ふとキングがこちらを見てきたので目が合った。慌てて視線を逸らすが……今度はじっと見てくる気配がする。
ちらりと横目で見ると、案の定こっちを見ていた。……「後で個人的に話がある」という合図だな。アレは。
◆
そして、ご飯と風呂を終えてからの夜。自室にて、キングヘイローに電話をかけた。
生乾きの長い髪をタオルで雑にわしゃわしゃと拭きつつ、コール音を聞くこと数回。繋がった電話の向こうから聞こえてきたのは、不機嫌そうな彼女の声だった。
『マルゼンスキーさんが言ってた"オーバーワーク"ってどういう事?』
……不機嫌というよりも、怒ってるような声色だった。
「あ、あははは……」
笑って誤魔化すようにすると、受話器越しにため息が聞こえた気がした。やっぱり怒らせてしまっているらしい。
それからしばらく沈黙が続いた後、ようやく彼女は口を開く。
『……別に、怒ってないわ』
そうは言うものの、明らかに声のトーンが低いので、説得力はない。
とはいえ、あまり話を逸らすのも不誠実なので話を進めることにする。
「私は――セイちゃんとのやり取りの最中に気づいたの。運命なんて努力で打破する。確かにそう。でも、前世の勝敗を気にしてない……って言いきれない部分もあって、私は確かに最終直線での速度は他人より優れてる。同年代には誰にも負けない自信がある。けど、それでもレース単位で見ればセイちゃんやキングちゃんに勝ってるわけじゃない。だったら、筋トレとかランニングとかを今より増やして、鍛えようかなって」
嘘偽りなく正直に答えることにした。誤魔化したところで、すぐにバレるだろうし、そもそもキングに対してだけは嘘をつく理由もない。
オレがそういうと、少しの間を置いてから、再び深いため息を吐く音が聞こえた。
『元々、他の子と比べても多かったでしょう。貴女は』
「前はキングちゃんと同じくらいだったよ?」
『キングは一流ですもの。練習量は人より多くて当然でしょう?』
……まぁ、キングが一流という点においては否定するつもりはないが。
「だったら、それより少しくらい増やしたって問題ないじゃない。私自身も一流のウマ娘だと、キングちゃんじきじきに何度か認めてくれてたでしょう?」
そう言ってみると、受話器越しの声は黙り込む。いつもなら、これで言い返して来ないだろう。
しかし、数秒の間をおいて返ってきた言葉は、オレの予想とは異なっていた。
『そうね。でも、一流であるからこそ体調管理に気を遣うべきだという考え方も出来るわ。無茶なトレーニングは怪我に繋がるし、オーバーワークは逆効果にしかならないの。分かるでしょう?』
「…………」
『返事は?』
……なんだか、キングヘイローの母親と話している気分になる。いや、彼女の母親に説教された事は一度もないが……。
足がじくりと痛んだ気がしたので、右足の太ももの辺りを撫でる。
あれ以来、ずっとこうだ。件の成長痛……だとは思うが。
確かに、トレセン入学を目指すだけなら……今まで通りキングと同じくらいのトレーニング量を続ければいいんだと思う。
――「それもそうかー。さすがはディオスちゃん。私とは違って前向きに考えられるんだねぇ~」
「……だけど生半可な覚悟で、セイちゃんやキングちゃんに追いつけないとは思ってる」
安易な言葉で誤魔化さず、頭の中にある考えを素直に答えた。セイウンスカイの発言に影響を受けた部分も、多少ある。
だから、まだ前より多めのトレーニングの量を続けたい。もっと速くなりたい。未勝利で終わりたくない。地方に転校やサポート科なんてまっぴらごめんだ。キングよりも。ならばキングと同じトレーニング量では、トレセン学園に入っても彼女達に勝つ"希望"もない。
『……好きになさい』
通話が切れる直前、最後に聞こえた声は、どこか寂しそうに思えた。
……神様。オレはキングに勝つというのが大目的だから、オレのやり方は間違っちゃねぇよな?
ディオスちゃんの受難
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身体的な受難
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精神的な受難
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恋愛的な受難
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友情的な受難
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勉学的な受難
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体育的な受難