過剰練習をやめるから相手にもやめてもらう44 / 31%
ボブヘアーを通じて仲直りを画策する55 / 38%
何もしない44 / 31%
⇒ボブヘアーを通じて仲直りを画策する
頭の中に思い浮かんだ案をそのまま告げた。
「……逆に、セイちゃんと仲直りするのに利用出来る状況なんじゃないかと思う」
オレの返答に、キングヘイローは訝しげな表情を見せた。
「ほら。仲裁や調停を請け負ってくれる人がいれば、冷静な話し合いが出来るってのはよくある話だろ? ドラマでよく見る弁護士を介しての離婚話とかー……」
例にあげたものは印象が悪かったが、ニュアンスは伝わったようで、キングヘイローはそこにツッコミを入れなかった。
「……当事者同士ではなく第三者を通じて話した方が穏便な話がしやすいと?」
「あぁ、オレは正直、自分がどこまで他人の心の機微に敏いかは分からない。だから、少なくとも第三者の方がより良い結果をもたらすであろうというのは分かる」
キングはオレのそんな主張を聞いて、口に手を当てて悩ましい顔をしている。……何か懸念がありそうな態度だが。
「言いたい事はあるだろうが、このままじゃ埒が明かないのも事実だろう? オレは、セイちゃんと仲直りしたい。だから、第三者を交えた方がいいって思うんだ」
しばし考え込んでいた様子だったが、やがてキングは小さくため息を吐いた。
「……埒が明かないからって、年下の子にそんな仲裁を頼むの? 私は賛成できないわ」
キングは『とてもいい案だとは思えない』と言いたげな顔で見つめてきたので、こう付け加えた。
「もちろん、ボブヘアーの奴にも協力しろだなんて強要はしない。ただ、相談してみるだけしてみたいんだ。それに、この子についても釈明しておかないといけないし……」
傍らで寝ている一年生の子を横目にしながら、オレはそう返す。
「……わかったわ。でも、少しでも負担がかかる事はしないであげてね。あの子はまだ四年生なんだから」
キングにそういわれ、そこは素直に頷いておいた。
ボブヘアと二人で会う機会が出来たのは、数日後の話だ。
「……ディオスちゃんは、相変わらず年下の子に好かれますね~」
帰り道、世間話の体で件の一年生と撮った写真をいくらか見せて、弄んだりしておらず良好な仲だと暗に示す形で説明をしている。……ボブヘアのヤツは、なんとも言えない呆れ交じりの苦笑いを浮かべている。
「この弟くんと一緒に腕に抱きついて寝ている写真誰に撮ってもらったの~?」
「……あー、キングちゃんに撮ってもらった」
話の流れから、二人に泣きつかれて動けなくなった事だとか、情けなくもキングに助けを求めただとかいう事も言わなければならなかった。
「ディオスちゃんは~、相変わらずキングちゃんとは仲がいいんですねぇ~」
ボブヘアのヤツは朗らかに笑っているが、そう言われると少しむず痒い気持ちになる。
だが、仲が悪いと不安にさせるよりはいくらか具合が良いだろう。
「うん、そうだね。私も、色々な人と仲良くしたいと思ってる。ボブヘアちゃんもそうでしょう?」
予定していた方向に話を進めよう。そう思いながら女の子らしい声音で慎ましやかに相槌を打つと、ボブヘアのヤツは急に真面目な顔になった。
そしてこちらを覗き込んできたかと思えば、彼女にしては珍しくも真剣な表情で瞳を小さくしたかと思えばこんな事を言った。
「……何か頼み事でもあります~?」
まるでこちらの内心を見透かしたかのような言動で、彼女はそう訊ねてきた。
自分の考えが見透かされているようで、一瞬心臓が跳ねる。だが相手は年下だ。なんて事はない。
そう考え、多少は落ち着きを取り戻せた。
「セイちゃんと仲直りしたい」
それを聞いたボブヘアのヤツは、特に驚いてはいない素振りだったが、考え込んでいる様子を見せた。
数秒、お互い沈黙したところで、ボブヘアのヤツはこちらの方を見つめ直してきた。
「なんで私にそんな事を相談するんですかぁ~?」
「えっと」
改めて真剣な顔で訊ねられ、言い淀んでしまう。
……自分の推測を正直に話したほうがいいのだろうか? いや、当たっているにせよ外れているにせよ話さなければ納得は得られないだろう。
「……貴女が、セイちゃんと近頃しょっちゅう会っているみたいだから」
この発言は彼女の予想通りだったのか、それとも予想外だったのか、どちらとも判別つかない無表情になった。
相手の反応を窺うために、一旦口を噤むフリをする。
「他の人には、言わないでくださいね~」
彼女はそう言ってこちらを見据える。その表情からは、どこかオレを咎めているような色を感じた。
「わかった」
短くそう返すと、彼女は少しだけ目を閉じて、小さく息を吐いた。
「……もう一度聞きます。なんで、私にそんな事を相談するんですかァ~?」
それから放たれたのはいつもの彼女らしい穏やかな声色。だが言葉尻や表情から圧のようなものを感じてしまうのは何故だろうか。
オレは躊躇いがちながらも、ちゃんと彼女に自分の考えを伝えた。
「仲直り、出来るといいなと思ったから。でも私だけだとできそうにないから、その為に協力してほしい」
セイウンスカイには何度も救われたから、繋がっていたい。
そんな想いでもう一歩踏み込んだ答えを口に出すと、彼女の唇が少し動いた気がした。
「お願い」
切実な感情に急き立てられたオレはその一言と共に、彼女に頭を下げる。
小さく息をのむ音が聞こえた。相手がどんな事を言おうとしていたかは分からないが、相手は息と共にその言葉を呑み込んだように思えた。
ややあって、彼女はゆっくりと息を吐いてから、口を開いた。
「わかりました~。ディオスちゃんの頼みだから~」
優しく穏やかな彼女の声を聞くだけで、胸が軽くなるような気分がした。
よかった。そう心の中で安堵しながら頭を上げると、ボブヘアのヤツはいつものようなのんびりした微笑みをこちらに向けてきてくれていた。
「でも、具体的に何をすればいいんですか~……?」
きょとんとした様子で、彼女はそう訊ねてくる。
……そういえば、具体的な策は何も考えていなかった。そこらへんの案を考えるのもこの子に一任するか?
「……?」
彼女はにっこりと柔らかい笑みを浮かべて、首を傾げる仕草をこちらに見せてくる。
オレは考えついた案をそのまま口走りそうになったが、そのあどけない表情を目に入れてすんでのところで踏みとどまった。
仲立ちだけでも負担が大きいというのに、年下相手に何を頼み込もうとしているのだ。オレは。
「……とりあえず、穏便に会える機会を作ってほしい。それで仲直りが無理だったら、諦める」
それで改善されなければ、セイウンスカイに執着しすぎるのは誰にとっても良い結果を生まない。
そう考えた末の結論を口にする。ボブヘアは小さく頷いて、その意見に賛同してくれた。
「わかりました~……。私としてもセイちゃんが悲しい顔をするのはあんまり見たくないですから~」
彼女のその気遣いが嬉しくて、つい、安堵のため息と笑いが漏れてしまった。
「ありがとう」
そう言って、再び頭を下げると、彼女は慌てたように手をパタパタさせながら首を横に振る仕草を見せていた。
いずれにせよ、種は撒かれた。後は、芽の出る事を祈るだけだ。
そうしてセイウンスカイに関する事以外は、何事もなく平穏に日々は過ぎていく。
「――ところでこの前の話、上手くいった?」
我が弟や恋人と手を繋ぎながらの帰り際。一歩後ろで見守るように歩いていたキングヘイローがふと思い出したという風に、訊ねてきた。
「えぇ、もちろん! なんてったって、ボブヘアちゃんも優しい子だし、私もちゃぁんと気を使える子だから!」
オレは冗談ぶった言い方で、そう彼女に報告する。キングを不安にはさせたくはない。
「ならいいけれど」
キングはオレの態度に少し眉を顰めたが、それ以上は追及してくる事はなかった。
それよりも彼女は、もう一歩後ろで一緒に下校している猫目のヤツを気にかけるような素振りを見せている。
猫目は、とろんとした目をしながら上の空で。あまり話を聞いていない様子だった。
「……何かあったの?」
小声でそう訊ねると、キングは無表情のまま小さく息をついた。
「わからないなら、わからないままの方がいいわ」
そう言って、キングヘイローはオレに対してそれ以上何も語らなかった。
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