……ウマ娘とかいうのに転生した件について。   作:稗田之蛙

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小学生時代の決戦【読者参加型】

「後でプレゼント渡したいんだが、大丈夫か?」

 

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「…………へ?」

 大会決勝当日。受付で必要事項を記入する折に、オレはセイウンスカイに対して率直に打ち明けた。

「えぇっと、その。仲直りの証になればいいかな、って……ほら、クリスマスプレゼント。ちょっと渡すの遅れたけど……」

 セイウンスカイは、少し驚いたような顔をした後。いつもの調子で微笑んでみせた。

「あ、あー。そういえば去年渡してくれたね……」

「あぁ……」

「突っ返しちゃったけど……」

「……」

 お互いにふぅっと一呼吸置いてから。

「やめやめ。仲直りしたいのはどっちも同じなんだし、ギスギスするのはよくない」

 セイウンスカイがそう言って、ニッコリと笑顔を向けてくる。

「いいよ。試合が終わったら、楽しみにしてるね」

「あぁ、猫目と、キングと、ボブヘアに選ぶの手伝ってもらったから。センスについては保証する」

 オレがそう言うと、セイウンスカイは苦笑い。

「あいかわらず、その辺は卑屈だよねぇ~」

 オレは、何も言わずにセイウンスカイの事を訝しげに見つめる。すると彼女は苦笑いしたまま肩を竦めてみせた。

「別に、さ。去年の髪飾りだって。もちろん嬉しかったよ? ディオスちゃんがセイちゃんの為を想って選んでくれたのは、よく分かったから」

 彼女はそう言ってから、言葉を続けた。

「だからさ。センスが悪いとか、そんな事どうでもよくて。嬉しかったんだ。ちゃーんと、こっちの事考えてくれてればさ」

「そうか。ワガママをいえば、センスが悪いのは否定してくれ」

「あはは、要研鑽、ってところですな~」

 

 なんだかんだと軽口を言い合いながら、他の選手達より一足先に更衣室へ辿り着いて……既にキングヘイローもいる。視線だけで挨拶を交わし、お互いに出場の準備に取りかかった。我々ながら気合いの入った事だ。

「んー……武者震いがするねぇ。キングちゃんやディオスちゃんと大会っていう公の場で対戦、かぁ。それも優勝決定戦。ん~……粋だねぇ……」

 セイウンスカイが、感慨深そうに呟いた。オレは彼女の言葉に頷いてから、言葉を返す。

「キングも似たような事言ってたが。ジュニア大会でもそんなもんなのか?」

 確かに、優勝すればトレセン学園の入学において評価される事柄だとは思うが。

「……前世なりで歴とした公式試合をやった事のあるディオスちゃんにとっちゃ、訓練の延長線上みたいなものかもしれないけどさ。少なくとも、私やキングちゃんはね」

 セイウンスカイはそう言うと、ニヒルに笑った。

「ううん、他の選手達にとっても、かけがえのない一戦になると思う。トゥインクルシリーズの公式戦も、そりゃ大事だけどさ。ジュニア大会でも、私達にとっては、何物にも替えがたい一戦なんだよ」

 そう言って、セイウンスカイはまた笑う。キングヘイローの方からも、笑むような音が聞こえた気がした。オレは彼女の言葉を聞き終えて、少しだけその一端が理解出来た気がして。

「……大事な一戦……そうか。二人が、いや、参加者全員がそう認識してるなら、確かに。それならば、価値が物凄く尊いものに思えてきたし。やっぱすごく。楽しみだ」

 我ながら良い笑顔でそう言った。本戦を楽しみにしていたのは前々からだったが。皆が真剣にこの大会に挑んでいるというのなら、尚更だ。

 

「よし、決めた」

「?」

 オレは、ふと思いついて。そしてそれをそのまま口に出す。キングヘイローもセイウンスカイもこちらを向いた。

「前世からの宿願、ここで果たす事にする。メイクデビューにこだわらず。そしたら、セイちゃんも交えられるし」

 オレはそう言ってから、キングヘイローの方を見た。少し驚いた顔をしている。セイウンスカイも同様に。

「ま、勝っても負けてもトレセン目指す事にゃ変わんないけどさ。でも、この一戦。皆と同様、オレにとっても大事な記念にしたい」

 そう言い切った。二人も、何も反論をしない。少しして、キングヘイローが口を開いた。

「……受けて立ちましょう。でも、負けるつもりはないわよ? 二人には、一流のキングに敗北する権利をあげる」

 彼女の口調はいつものそれと同じだったが、その目はやけに嬉しそうで、尚且つ真剣そのものだった。

 セイウンスカイの方も、異論はないらしい。

「……私は忘れてないよ。"大逃げ"でやるっていう約束」

 セイウンスカイが、そう呟く声が聞こえる。受け応える為に彼女の方に振り返った。

「あぁ、その話か――」

 

 

 

 

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 猛烈に首を逆方向に高速回転させ、彼女を視界から外した。

 同性の体を視界に入れる事に、別に抵抗はないはずなのだけれど。私、そういうシュミもないし……。

 

 ……視界を外しつつ、とりあえず言葉だけで受け応える。念のため、キングちゃんに聞こえないように小声で。

「えっと、本当に大逃げ……バカ逃げ? でやるんだね。セイちゃんは」

 私は、彼女に対して改めてそう確認する。彼女は、「うん」と小さく呟いた。

「でもね。こっちが勝手にそうやるだけだから。そっちは約束通りじゃなくても、負けじゃないからね」

 …………私は、彼女のその言葉に。何か、含みを感じる。なんだろう……この違和感……。

 

「ま、私はセイちゃんとは逆に後方群で様子見してから勝つ方法が得意だから、自分の一番得意な戦い方でやるとしたら差し・追い込みみたいな形になっちゃうから」

 とりあえず私は、そう打ち明けた。

「むしろ大逃げするだなんて予め打ち明けてくれるから、最後方から射程圏をうかがいやすいかも。キングちゃんが先陣切ってすごいスピードで振り回して来る事あるから、そういうのに併せるの得意だよ?」

 得意げに言ってみる。実際、どれだけバカ逃げされても最後には追いつく自信はある。たとえセイちゃんの実力が予想以上で追いつけなくとも、善戦は出来るだろう。それで負けたとしても、気持ちが良い負け方だ。

「そっか。それなら良かった」

 セイちゃんは、そう笑った後、ちゃんと体操着を身につけて私の視界に入り込んできてから……屈託のない、嬉しそうな笑みを私に向けてから、口を開く。

「ありがと。ディオスちゃんの大事な戦いにセイちゃんを混ぜてくれて」

 そう言って、セイちゃん鼻歌を歌いながら一足先に更衣室から出立していった。

 

「セイちゃん、なんかやけに機嫌よくなってたんだけど。なんで?」

 更衣室の隅っこにいるキングちゃんへ向けて、私はそんな事を言った。彼女は、少し間を置いた後に、淡々と答える。

「あぁいう調子で、ちゃんとセイウンスカイさんの事も認めてあげなさい」

 キングちゃんからそう諭される。呆れ半分、笑い半分の顔で。

 …………彼女達がこうも機嫌をよくしている理由が、オレにはよく分からない。

 

 ゲートに入る前に、他の選手達の様子をざっと見るに……皆、緊張している様子だ。無理もない。この大一番で、しかもジュニア大会決勝という晴れ舞台なのだから。

 トレセン学園での公式戦さながら、パドックでそれぞれの選手紹介が行われる。

 保護者やスタッフ、少なくはない一般客の歓声をその身に受けながら……オレも少し深呼吸をして、心を落ち着ける。

 

 

 

 

 

 

 ――神様。ここに至って未だ分からない事がある。思考整理という形で、一つだけ相談がしたい。

 

 何故、セイウンスカイがオレにわざわざ『大逃げ』をすると宣言したのか分からない。

 彼女なりの意図があるはずだとは思う。だが「ウソをついたと見なされる走り方をしたら負けでもいい」なんて言い切ってまで、わざわざそれに反する走り方するとは彼女の性格から思えない。

 だからこそ。オレは腑に落ちない。意味がない。オレ相手に不利になるだけだ。

 本当に『正々堂々』と戦いたいからそう打ち明けただけなのか。あるいは、何かの策戦なのか。

 

「それでは、各自ゲート入場をお願いします」

 

 スタッフの誘導が入る。オレは、素直にゲート入りした。

 

 …………。

 






 投票締切り。
5月21日0時

ディオスの行動

  • 約束を違えて前方を狙う(逃げ・先行)
  • 約束通りに後方を陣取る(差し追い込み)
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