・『マルゼンスキーの再来』という噂のウマ娘に対して打ち勝つ事も目標にするかどうか
(39) そのウマ娘に勝つ事も目標に入れる
(21) 拒否してキングヘイロー一筋で考える
(15) 選択を保留する
⇒『マルゼンスキーの再来』と噂のウマ娘に勝つ事を目標に定める。
・でぃおすちゃん「エル……」
(10) 「可愛い子だったなぁ……」
(17) 「きっと強い子なんだろうなぁ……」
(4) 「あの子ともお友達になりたいなぁ……」
(5) 「…………胸がドキドキする……」
(33) 「……もしかしてエルコンドルパサー?!」
⇒出会ったウマ娘が「エルコンドルパサー」だという事に気づく。
学校で昼食を終えた昼休み。
英語をカタカナに書き直す授業を経た私は、教室で先日に遭遇したウマ娘の事を物思いにふける。
――Me llamo『El Condor Pasa』!! Nos vemos!!(メ ジャモ 『エルコンドルパサ』! ノス ベーモス!)
「………………エルコンドルパサー……」
私は、先日の出会いを回想しながらその名を呟く。
エルコンドルパサー。キングヘイローやセイウンスカイと同世代で、なおかつ前世の私も噂に聞くほどの傑物。
確か、名誉あるレースにバンバン出て一位か二位しか取らなかったとか聞いた事ある。『凱旋門』とかいうフランスのレースにも出たって話を覚えてる。
「どうしたの。ディオスさん」
私が物思いにふけっているのを心配してか、隣の席のキングちゃんが声をかけてくれる。
「…………」
『こっちが本気出せないような状況に追い込んで被害者面とはおめでてぇな!! ずっと! ずっと悲願だったオレとキングの公の初試合こんな形で台無しにしやがっ――』
『…………もう黙りなさい』
あのような事を宣っておきながら、「新しい目標が出来た」などと彼女に素直に打ち明ければ今度こそ失望されるのだろうという自覚はあった。
だから言わないつもりで誤魔化しの言葉を考えてはいる。
「どうせ、新しく出会ったウマ娘に思いを馳せていたのでしょう。ディオスさんは」
キングちゃんは、私の思考を読んだかのようにそう呟いた。
私は思わずギクッと肩が跳ねる。
「ど、どうして」
「セイウンスカイさんと会って間もない頃みたいな顔をしていたから」
その言葉を聞いて、机の上で腕を組んで顔面をそそくさと隠した。
「…………傷つかない?」
私が言葉足らずにそう訊くと、キングちゃんは小さく笑ってから口を開いた。
「ほんの少しだけね」
私達は半生以上の付き合いだから、そこは以心伝心というべきなのか。私が何を言いたいのかなんとなく解っているようだった。
「それでも、私は応援するわ。ディオスさんが、新しい人に出会って、そういう気持ちを抱く事は。それはとても素敵な事だもの」
それはとても優しい言葉だと思った。まるで仲の良い姉に諭されているような、そんな安堵感。
彼女本人から背中を押されるとは思ってなかった私は顔を隠すのをやめて、少しの沈黙の後に……ゆっくりと口を開いた。
「ありがとう、キングちゃん。私、以前に抱いていた気持ちも大事にしながら……その子に抱いてるこの熱い気持ちは、前向きに抱き続ける事にするよ」
私がそう言うと、キングちゃんは微笑んでくれる。
「えぇ、セイウンスカイさんとの事は私も残念だけれど。ディオスさんが好きになれる子を見つけられたのなら、それに越した事はないと思うもの」
…………うん?
「え、いや。セイちゃんは、私も確かにそういう対象(勝ちたいライバル)として見ているけど……以前に『抱いていた気持ち』っていうのは、キングちゃんに対してで……」
私は、そう言葉にする。するとキングちゃんは……青ざめた顔をしてあんぐりと口を開ける。相変わらず面白い顔だった。
……あー、うん。以心伝心撤回。
「一応言っておくけど、コイバナじゃなくて、ライバルとかそういう目線の話ね!?」
思わず私はそう叫ぶ。するとキングちゃんは、少しの沈黙の後に……慌てながら咳払いを一つ。
「も、もちろん。一流のキングは勘違いなんてしていないわ!!」
自然に「フ」と笑いがこみ上げてきた。ジュニア大会の一件は私にとって沈痛の出来事だったから、キングちゃんが前と変わらない日常通りに接してきてくれて、なんだかとても嬉しい。
「……私ね。ライバルにするならキングちゃん一筋って思ってた」
私は、そう口にする。彼女はキョトンとしてから……ややあって顔を赤くした。
「新しい目標になるウマ娘を見つけたという事よね」
キングちゃんが、そう訊ねてきたので私は頷いた。
「うん。『マルゼンスキーの再来』って呼ばれてる子。たぶん、エルコンドルパサーって名前のウマ娘」
私がそう答えると、キングちゃんは少し考え込んだ様子を見せてから、口を開く。
「つくづく、マルゼンスキーという名に縁があるのね。あなたは」
感嘆混じりにそう言われると、私は微笑んだまま黙り込んでしまった。
キングちゃんは私の沈黙を肯定と受け取ったのか、言葉を続ける。
「『TTG』を上回る、今世代の真の最強――そんな風に謳われるウマ娘が曾お爺さまの生まれ変わりだなんて、まるでファンタジーの主人公のようね」
……違う。おそらくは『マルゼンスキー』という存在が、以後の世代に残した影響力が強大すぎるだけだ。
前世の獣が発する慟哭を私はグッと飲み込んでから、キングちゃんを真っ直ぐ見据えた。
「でも、新しい目標が増えたからって私はキングちゃんに対する気持ちは変わらない。キングちゃんは、大事なライバルだと思ってる。迷惑掛けた子にもちゃんと謝って、悪癖を直していきたい。……だから」
私は、そこで一呼吸置いてから言葉を続けた。
「まだ、一緒に歩んでもいいかな」
私がそう言うと……キングちゃんは頬杖をついて、いつも通り自信ありげに微笑む。
「えぇ、もちろん。貴女も一流らしく努めなさい」
その答えに、私は思わず息を軽く吐いてしまった。
……キングちゃんにそう言ってもらえると、とても安心する。
もっとも解決すべき目標
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エルコンドルパサーを探す
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ボブヘアちゃんや猫目ちゃんに謝る
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セイウンスカイと仲直りする
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キングとの親交に注力する