神様。だから、さ。オレに活躍の機会をくれよ。
「キングちゃんはやーい!!」
目の前では、大人にも負けないくらいの速度でウマ娘が運動場を駆け回っている。
我が未来の宿敵、キングヘイローが同じ組の奴らの声援をその身に受けながら駆けていた。
オレの視線もキングヘイローのやっこさんに釘付けになっていたが、それは別に感心していたり、見惚れていたりしたわけではない。
……ただ単に、そう、嫉妬だ。
この幼稚園のウマ娘はキングヘイロー以外にもオレ含めて複数いるんだが。どーいうわけだか、結構な頻度でヤツが目立つ。他のウマ娘より運動とか、その手の遊びとかで活躍する。なんだかんだでその辺りの才能と実力の片鱗がうかがえるのはハッキリ分かる。
別に、キングヘイローが落ちぶれてほしいなんて微塵も思ってない。むしろ逆で、あのおちびちゃんにはのびのび育ってほしいとさえ思ってる。オレは面倒見の良い先輩のつもりでやってるんだぜ、ホント。
「ディオスちゃんも、しょーらいキングちゃんといっしょにはしるつもりなら、がんばらないとねー?」
同年のヤツに無邪気に、ニコニコ顔で、そんな事をよく言われる。あまりの頻度の多さに、嫌味か何かなのかと思い始めたくらいだが、「幼稚園児達がそんな腹黒いはずないだろう」とも思った。
「う、うん……そうだね……将来キングちゃんと一緒に、トレセン学園、目指してるから!!」
だから一応、毎回こっちも出来る限りのニコニコ顔で言葉を返してやる。運動会に関して、オレに投げ掛けられる言葉はそれくらいさ。
「わたしたちもキングちゃんに負けないようにがんばらないとねー」
「そうだねー」
ボブヘアと猫目の奴らがお互いの顔を見合って、小声でそう言い合う。確かこの子達も徒競走に出るんだったか。
キングヘイローから目を背け、自己肯定感を高める為に、私も彼女達に小さな声で話しかける。
「えへへ、私が走り方教えてあげよっかっ?」
オレは一歳年上のウマ娘だから、彼女達よりも上手く走れているという自負ある。だから頼れる存在なのだ!
……なんて、少し期待したが彼女達の返答はそれとは別のものだった。
「ううん。あとでキングちゃんにおしえてもらうからだいじょうぶ」
「だいじょーぶ!」
…………純粋無垢な素直さのせいで尚更しょっぺ~~……。
座って眺めてるだけだというのに脱力感がひどく、地面に後ろ手をつきながら欠伸を出すようにのけぞった。
「…………」
「…………」
なんだか、ボブヘアと猫目がじっとこちらを見ている。
「二人とも、どうしたの? 何か困りごとかなっ?」
「チャーシュー」
「まるた」
「ンだとォッ!?」
直感的にデブ呼ばわりされた気がして、思わず声が荒ぶった。
「ほら、他の子が走ってる時は応援に集中しましょう」
オレの恫喝に気づいた先生から、そのような注意が飛んだ。大縄跳びの縄で引っ張り合いをしていた件から、なんか目をつけられてる気がする。
それもこれも、キングヘイローのせいだ。やはり、宿敵と定めた相手とナカヨシコヨシなどという関係などというのは調子が狂う。
そんなこんなで、皆でテーブルに座って各々の弁当を食べる時間。
「キングちゃんのお弁当豪華だねぇ。お母さんが作ってくれたの?」
「いいえ、おてつだいのかたがつくってくれたの」
そう素っ気なく答えられて、オレは「そういうものか」と思った。まぁ、一流のウマ娘らしいし。忙しいんだろう。
「あなたのは、おかあさまがつくってくれたの?」
キングはこちらの弁当に目を向けて、そんな事を訊いてきた。
「えへへ、酸っぱい野菜いっぱい入ってるでしょー。お母さんがねー、作ってくれたの」
苦手なモノを克服しろというメッセージをひたすら感じる弁当だ。まぁ、それ以外は美味しいし、量も申し分なく多いんだが……。
「…………」
何故か、キングヘイローのヤツが羨ましそうにこちらの弁当を見つめている気がした。
「酢の物、好きなの?」
「え、あ、いえ、りょうりおじょうずなのね。ディオスさんのおかあさま」
そんな事を言いながら、キングは自分の弁当に視線を戻した。
「んー」
オレは考えながら、自分の弁当の蓋に酢の物を山盛り装った。それから、キングの目の前にお出しする。
「よかったらどうぞ!」
これは……決して、自分の嫌いなモノを押し付けているのではない。嫉妬している事の腹いせでもない。ただ、こう、お前が欲しそうにしていたからだ。
そんな意図を込めて、ニコニコ笑いかけてみせた。おずおず、蓋ごと受け取るキングヘイロー。
「……ありがとう。いただかせてもらうわ」
そのまま、行儀よく食べ始めた。…………全部食うのか。いや、そのつもりで全部載せたからありがたいが。そんなに腹空いてたのかこいつ。
周囲の仲の良い子の何人かは、そんなキングヘイローの様子を見てニコニコしている。何を笑っているのかは、よく分からなかったが。
オレは、釈然としない表情のまま、酸っぱい尾野菜抜きになって美味しいものばかりになった弁当を頬張り始めた。
それからお昼休み。各々、仲の良い友達と遊び始める。
「キングちゃーん。いっしょにウイニングライブごっこしよー!」
女児達の集団がキングヘイローに駆け寄った。しかしキングヘイローは、大変申し訳なさそうな顔つきで頭を下げる。
「ごめんなさい、きょうは、うんどうかいのれんしゅうをしないといけないの……」
「そっかー……キングちゃん、とってもがんばってるもんねー」
「しかたない、しかたない」
それならしょうがない、と女児達は残念そうにその場を去る。キングヘイローも申し訳なさそうにしながら。一人、徒競走で走る予定の場所へ向かう。
「ディオスちゃんー、ディオスちゃんはもちろんいっしょにやるよね!」
女児達がニコニコ顔でそんな事を言いながら、寄ってきたが、オレもキングヘイローに妙な対抗心が沸いて、同じように大変申し訳なさそうに振る舞いながら頭を下げる。
「ごめんなさい、今日は運動会の練習をしないといけないの……」
我ながら、良い感じにお嬢様っぽく振る舞えたと思う。しかし一拍おいて返ってきた反応は。
「うそくさー」
「ナンデ!?」
そんな事言われるとは思わなくて、思わず素が出てしまった。なんでだよ。オレも練習頑張ってる方だと思うぞ。
「と、とにかく。運動場で練習してくるのは本当に本当だから、ごめんね……?」
両手を合わせて拝みながら、そのまま逃げるように立ち去った。
練習の場へたどり着くと、キングヘイローが既に走り込んでいた。
運動会の練習と同じく、体操着。尚且つ、素足だ。お互い気合いが入ってる事だ、と思う。
地面を踏みしめてみた。サラサラとした粒の細かい砂と、そこから先はフェンスに沿うように青々とした芝が植えられた境界がある。あとはチョークで敷かれた白線のみ。
万が一子供が怪我しないようになのだろう。小石や尖ったゴミなどは綺麗にさらってある。まるで公園の砂場か、海辺の砂浜のようだ。
「素足で走る意義はよくわからんが……」
まぁ、素足で直にダートや芝を踏みしめるのはそれはそれで気持ちが良かった。そう感じながら、キングヘイローが目の前を通った折に、隣で併走に加わった。
「キングちゃん、一緒にいいかな?」
と、加わってから承諾を取る。キングヘイローは、チラリとこちらを一瞥。少し間を空けて、彼女は不敵に笑ってから答えた。
「ついてこれるかしら?」
ぐん、と加速してそのまま突き放していくキングヘイロー。確か前世の記憶通りなら、あいつは『先行型』だったか。最初っから前方で走って、そのまま押し切るタイプ。
トップスピードに自信がある子のやり方だ。『単純明快に強い』。コーナーの無い直線勝負だとたぶんマトモに勝てるウマ娘、ウチの幼稚園に居ないんじゃないだろうかとまで思える。
だが、それが降参する理由にはならんな。
幼稚園の、園内に造られた運動場。そんなの、ウマ娘にとっては全力で走るには窮屈すぎて。すぐにコーナーに辿り着いて、スピードを殺し切れずに大外回りに曲がっていく。
オレは加速減速の自由が利く大柄の脚を器用に使って内側を回り、そのショートカットした分だけ直線の差は埋まる。キングの真後ろから明るい声で呼びかける。
「キングちゃーんー、ついてこれてるよー!」
「!!?」
ははは、びっくりしてら。必死で走ってるから、後ろを見る余裕なんてないだろう。トップスピード全力で走ってるのに、なんでついてこれてるか分かるまい。
キングヘイローは必死になって、直線でがむしゃらにスピードを上げていく。そして大外回りに曲がって、オレが内側に回る。繰り返し。
真後ろまでついてきてる足音が聞こえるのだろう。キングヘイローはますます驚いている。種も仕掛けも、トップスピードで離された分、自由が利く加速力で追いつく。それだけ。
最近、キングヘイローが雲の上のような存在に感じていたが、なんてことはない。オレの実力だって、この子に勝るとも劣らないものがあるのだと自覚させてくれる。
大人げないと思いつつも、「秀才」だの「一流のウマ娘の、その娘」だのと褒められている相手に肉薄しているのは気分がいい。それもそうさ。前世だってオレが負けたのは『たった0.1秒』――……。
――ずしゃ。
何回目かのコーナーで、砂に突っ込んだような音が響いた。キングヘイローが転んだ。
「あ……」
オレの方が、か細い声をあげていた。咄嗟。カカトで地面を踏み砕くようにしてブレーキをかけて、後方で倒れているキングヘイローの方へ振り返る。頭からスッと血の気が引いた。
――……幼子相手に……最低だオレ……。
「だ、大丈夫!?」
大怪我していないか心配になって、急いで駆け寄っていった。
「だ、だいじょうぶよ。いちりゅうのキングは、このていど……」
そう言う彼女の目尻には、涙が浮かんでいた。彼女の体を窺う。左膝を大きくすりむいていて、血がにじんでいた。痛々しい傷口に思わず顔をしかめた。
「なによ、そんなふうに。トレセンがくえんでぜんりょくではしるのなら、これくらい“にちじょうさはんじ"なのよ」
……難しい単語を淀みなく言いながら、立ち上がろうとして、キングは顔を顰めてから尻餅をつく。どうやら、ヒザが痛いらしい。
「…………本当にごめんなさい、キングちゃん……」
本心からそう思いながら、オレは片膝をついて、彼女へ手を差し伸べた。
キングヘイローに肩を貸し、彼女は片足で「けん・けん」と、職員室へ向かっていく。怪我をした時は、そこで手当をして貰うように先生から言われている。
「なにを、そんなにもうしわけなさそうにしているの?」
そんな事を、キングに言われた。さすがに今回は素直に心情を吐露する。
「……そりゃあ、そうなるよ。私がこかせたようなモノだし……」
そういうと、訝しげな目で睨まれた。
「わたしがあなたにこかされたって? あしひっかけたわけでもないでしょう」
「でも」
「キングをみくびらないで。あなたにセナカにせまられつづけたからって、それでこけるほどわたしはよわくない」
真剣な顔つきで、こちらを睨んでくる。本気で、オレの申し訳なさそうにしている態度が心外らしい。
「……それとも、あなたはわたしを『ちょうはつしていた』とでもいうの? このキングにたいして、そんなよゆうがあったと?!」
それを言われると……手を抜いたつもりはなかった。むしろ、内を走って差を詰めてようやくといった次第だ。
肩で息をするキングヘイローは、思わず怪我をしていた脚を地につけてしまい、また痛みに顔を歪めている。
「…………」
オレは、相手の了承も取らずに。キングヘイローの体を両手に抱きかかえていた。
「ちょっと」
「身長差があるから肩貸して歩き難いんだ。この方が早い」
同年代を担げるだろうか、とも思ったが。彼女の体は驚くほど軽かった。キングヘイローの方はといえば、表情だけで抗議の意を現している。その表情も幼女らしいぷっくりほっぺなのであまり怖くはないが。
「ごめん、後でいくらでも怒っていいから」
そういって、オレはそのまま彼女を抱えて歩いていく。キングヘイローは、しばらく抗議の目でこちらを睨んでいたが。
「もうしわけないとおもっているなら、まず『じぶんのせいでキングがころんだ』なんておもわないことね。わたしがおこってるのは、そこよ」
そういって、不満そうにため息をついた。それは、確かにそうだ。その通りだなと思ったので……齟齬が無いようにレース中の事を話した。
「キングちゃんは全力で走れるところは全力で走ってそのまま大外を回るクセがあったから、それとは逆にスピードを小出しにして内側走ったら、追いつけたの」
それもこれも、ウマ娘が走るにしては狭いトラックだからこそやれる小手先だが。キングヘイローは、興味深そうに聞き入っていた。
少し難しい話だったから理解出来ているだろうか……そんな事を考えながらしばらく沈黙していると、キングは続きを促すように「それで?」と声を出した。
「えっと、それで真後ろまで迫れたから、キングちゃんの事焦らせたかと、思って」
「それだけ? あなたはこのいちりゅうのキングをあいてにやれることをやって。そうしたらわたしがかってにころんだと、あなたははんだんしているのね?」
「……」
何故だろう。この子に口喧嘩で勝てる気がしない。
「もういちどいうわ。みくびらないで」
言い負かしたと確信を得たのか「フッ」と勝ち誇ったようにキングヘイローは笑う。実際彼女の言い分が正しいのだろう。それについてもう反論する気も起きなかった。
「さすが、いちりゅうのわたしとしょうらいはしりたいというだけのコトはあるわね。つきはなしてみせたとおもってたのに、あんなうしろまでせまってくるだなんて」
「いや、まぁ、うん……」
一直線の勝負ならあのようにやれたかどうか分からないとまでは言えず、曖昧な返事をした。それに対して彼女は嬉しそうに笑った。
「もうちょっと、あなたはじぶんを“ほこる”べきよ。このいちりゅうのキングについてこれているのだから! お~っほっほっほ!」
そういうと、キングヘイローは高飛車に笑ってみせた。痛みはとうに、忘れかけているらしい。
オレもなんだか気が楽になってきて、彼女を職員室へ運ぶ事に集中した。
「あ~、キングちゃんけがしてるー。ころんだの?」
「だっこしてもらってる! ちからもちぃー!」
途中、他の生徒に見つかってひとしきり盛り上がった。同い年に抱っこされているのを友人らに見られるのは、さすがに恥ずかしいんじゃないかと。降ろした方がいいかとも考えたが、キングの方からオレの首に手を回してきた。
「どうしたの。せんせいのところまで、はこんでくれるのでしょう?」
「え、あ、うん……」
何ら恥じる事ではないと言わんばかりに、キングヘイローは堂々としていた。オレは、周囲の年下のおちびちゃん達が「はこびおわったらわたしたちもだっこしてー!」など、言ってくるのを聞きながら。そのまま先生まで彼女を運んでいく事にした。
「はい、これでヨシ……」
ちょうど職員室にいた担任の先生が、キングヘイローの怪我した箇所に薬を塗って、包帯を巻いていく。
しみるのを我慢して泣くまいと顔を顰めているキングが、ますます立派に思えて、ちょっとだけ可愛らしい。
そんな風に眺めているのを察知されたか。
「なによ。おねえさんぶらないでくれる?」
なんて、じとっとした目つきで言われた。
「あはは、ディオスさんは。まるでクラスの皆のお姉さんみたいに振る舞いますからねぇ……」
担任の先生が、笑いながらそんな事を言った。オレは何だか気恥ずかしくなり頭を掻いた。
「先生は、とてもえらいことだと思いますよ。他の子がいけない事をしていたら危ない事になる前に止めてくれたり、年下のクラスの子の面倒を積極的に見てくれたり、力仕事を手伝ってくれたりもしましたっけ……」
「あー、いや、まぁ、それは、キングや他の子だって……」
年下のクラスが出来ると、幼稚園児なんてそんなもんだと思う。お姉さん・お兄さんぶる為に良い子ぶったり。あるいは、年下を「かわいい」だなんて思って、新しい弟や妹を持った感覚に陥ったり。
「こうやってキングさんを運んできてくれましたしね」
不安そうにしているオレの頭をそっと撫でてくれた。先生に撫でられるのは、正直好きだ。
「みんなのお姉さんって思われてるなら、私は、それは嬉しいです。……でもデブって遠回しにからかわれるのは、ちょっと……」
最近気にしていた、本音をぽろり。すると先生は、一瞬きょとんとしてから、また笑い出した。
「ディオスさんは、体が大きいですからね。でも、決して太ってるだなんて先生は思いませんよ。年齢相応だと思います」
先生にそう言われ、オレは自身の丸いお腹を撫でた。
「お腹には、内蔵という大切なモノがたくさん詰まっています。大人になっていくにつれそれを支える筋肉が整っていきますから、自然と先生のように平らになっていきますよ」
先生はむしろへこみすぎだから鍛えた方がいいのかもしれない。そう、自嘲していた。
「せんせー! ボールがたかいところのぼっちゃったからこっちきてー!!」
外から大声で、そんな言葉が聞こえる。
「おや、今いきますよ~」
外から、クラスメイトが先生を呼ぶ声がする。先生は返事をしながら椅子から立ち上がる。オレ達は、職員室から一緒に出ながらぺこりと頭を下げた。
そうしてすぐ職員室横にあった階段へ、尻をついて座る。
「……おねえちゃんぶってごめんなさい」
「なにそれ」
ぺこり、と頭を一つ下げる。するとキングヘイローはコロコロ笑った。
「ほんきでおこったわけじゃないわよ。ただ、“たいとう”に、ちゃんとわたしのコトをみてほしいだけ」
「……対等?」
「そう。たいとう。……もしかして、ほんとうにいもうとかなにかだと、このキングのコトをみているのかしら?」
未来の宿敵に対して、それはさすがに言葉に詰まるが、再び今考え、思ったまま口にした。
「同年代の……友達? えぇっと、走りたい相手? ……とにかく、そう思ってる」
キングヘイローは、それを聞くと満足そうに腕を組んだ。
「でもさ……なーんか、それだけに、キングちゃんと私の扱いの差にちょっとだけずるく思っちゃうかも。なんて」
対等に思っていたのが本心だからか。彼女に対して、内に抱えていたコトまで漏らしてしまう。
「クラスのみんなは、からかってるんじゃなくて、きっとあなたにあまえてるのよ。ちょっかいかけてるだけ」
「なにそれ」
キングの言い方を真似するようにして、お互いにしばしコロコロ笑った。
少なくとも、明晰な彼女がそういうのなら……そういうコトなのだろう。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ……彼女に嫉妬していた自分がいたが、今はそれがやけに女々しい事だとさえ思った。
少なくとも、実力も関係性も対等でほぼ相違ないのだから。彼女に嫉妬する事はあるまい。
「それにしてもさ、やっぱり私はおデブちゃんじゃないよ。ハムじゃない。お腹が丸いのだって、年齢相応だって先生は言ってくれたし……」
「そうね、せんせいがいうとおり、おなかがまるいのだってないぞうがたくさんつまってるからよ」
キングヘイローは、体操服をめくって自分のお腹を撫でていた。
「どうしたの、そんなおなかをみつめてきて」
………………神様、こいつ、オレよりプロポーションが一流なんだけど……嫉妬するのが女々しいって言ったって、なぁ……。
挿絵の具合
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あり
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なし