色々あって今は時間あるだけなんや…
界境防衛機関「ボーダー」
異界の存在ネイバーの侵攻からこちら側の世界を守るために組織された防衛機関である
この日悠太はその本部基地へとある男との約束があり向かっていた
基地内へと入りさらに進んでいくとランク戦室にたどり着く、そこには約束の相手がもうすでに待っていた。
「お、悠太さーんこっちこっち!」
「悪い陽介、またせたか?」
「いやいや、まだ約束の5分前っすよ」
悠太を待っていたのは「
「にしても相変わらずタイマン好きだよなお前、俺とやってもポイント増えねぇだろ」
悠太のトリガーである「
「強いヤツと
「まぁな。そんじゃ早速やるか、ブースどこにする?」
「俺は253に、悠太さんは?」
「そんじゃ156に入るわ」
言葉を交わし2人はブースへと入った。程なくして2人のトリオン体は転送され、模擬戦の火蓋が切られた
『模擬戦30本勝負 開始』
*
向かい合った両者はその手に武器を握り臨戦態勢を取っていた。
一方は槍型にカスタムされた孤月を手に持ちもう一方は長大な金棒を構えていた
先に踏み込んだのは米屋であった
突き出した槍が悠太の喉を狙い、槍ごと振り抜かんと悠太も金棒を振り下ろす
2振りの武器がぶつかり合うかという瞬間、槍の刃先が歪み金棒をすり抜けて再び悠太へと迫る
悠太は振り下ろしの勢いそのままに深く体を沈めることでこれを回避し、米屋の脚を狙った下段払いを放つ
米屋も攻撃が外れたと見るやすぐさま後ろに飛び退きこれを避ける
瞬間凄まじい音と共に悠太が踏み込んだ
間合いが潰れ悠太は金棒を振り下ろし、受け止めよう構えられた槍の柄をへし折った
体勢を崩す米屋を仕留めんと悠太は金棒を振り上げつつ槍の間合いの内側へと踏み込み
「もらった!」
「…と思うじゃん?」
返されるのは挑発的な笑み、その手からは2振り目の短槍が突き出されていた
僅かに相手が早いと判断し悠太はシールドを出現させなんとか槍の軌道を変える。槍の刃先が脇腹を抉り悠太はグラスホッパーで大きく退いた
「逃がすかよ!旋空─」
飛び退いた悠太に対し伸びる斬撃を放とう踏み込む米屋
次の瞬間、米屋の体が
「!?」
意図せぬ体の加速に大きく体勢を崩す米屋
眼前では金棒が振り抜かれており
命中した米屋の胴体は弾け飛んだ
『戦闘体活動限界 ベイルアウト』
*
「あれってA級の米屋先輩だよな、対戦してるの誰だ?」
「てゆーか米屋先輩めちゃくちゃ押されてるじゃん、何者なんだあの人!?」
「見たことないトリガー使ってる、何あの金棒みたいなの?」
C級隊員たちの会話が耳に入り黒江は大型モニターを見上げる
そこでは自分もよく知る米屋が戦闘を繰り広げている最中であった
「カスタムした孤月なのかな?」
米屋と対戦している男はその長大さからは想像もできないような速さで武器を振るい米屋の攻撃を捌いていた
しかし反撃として放った一撃を米屋が躱し、お返しに放たれた旋空が金棒を振るう手を切り飛ばした
一気に仕留めようと踏み込む米屋を見て勝負ありかと黒江が思ったその時
男も米屋に対して踏み込み何も持たないただの拳を振るった、それを見て黒江は無茶だと思ったが
直後槍よりも早く拳を食らった米屋が建物の壁に叩きつけられていた
「…え?」
隙を見せたところにに2振り目の金棒が振り下ろされ米屋はそのままベイルアウトとなった
(いくらトリオン体とはいえ殴ったぐらいで米屋先輩があんなに吹き飛ぶなんて…)
理解が追いつかず黒江が困惑していると
「赤い隊服に金棒みたいなトリガーとあのパワーって…まさかあの人、玉狛の『赤鬼』!?」
その会話を耳にしてかつて隊長から聞かされた話を思い出した
圧倒的な膂力でトリガーを振るい、黒トリガー除けば最強の一撃を誇るアタッカーが玉狛にはいると
それこそがモニターに映る彼鬼丸 悠太だった
*
「いやー負けた負けた、今回もだめだったか!幻妖も旋空もなかなか当たんねぇしどうなってんだって感じっすよ」
「反射神経に関しちゃ今のスタイル確立するのに色々考えて鍛えてきたからな、ここまでやれるようになるまで苦労したよほんと」
モニターに映し出されたスコアは23-7悠太の圧勝であった
「それに相変わらずスゲェパワーっすよね、超強化筋力でしたっけ?ズルくないっすかそれ」
「生まれ持ったもんにケチつけられても知るかよ。それに、戦闘ならともかく普段は不便なことばっかだぜこのサイドエフェクト」
「と言うと?」
「今でこそ多少慣れてはきたけどな、昔なんて力加減が身についてなくて手に取ったもの全部握り壊すような生活だったし、酷けりゃ自分の力に耐えられずにケガする時もあった、そうならねぇようにずっと神経使うような生活が羨ましいと思うか?」
今も時々物壊すしなと付け加え、それを聞いた米屋は乾いた笑みを浮かべた。触れる物はもちろん己の体すら壊しかねない程の力に気を使い続ける生活、ストレスは計り知れないだろう
「やっぱりサイドエフェクトってやつはどっかしらで苦労するんすね」
「そういうこと」
「米屋先輩」
そうして談笑をしていると聞きなれない声が聞こえてきた
声の主に目を向けるとそこには黄色い髪を2つ結びにした少女が立っていた
「おう、黒江」
「どうも」
「知り合いか陽介?」
悠太は見知らぬ女の子であったため米屋へと質問をした
「あっそっか、悠太さんずっと玉狛所属だから初対面なんすね。じゃ自己紹介からだな」
「そうですね」
「初めまして、加古隊所属アタッカーの黒江双葉です」
米屋に促され見た目幼さとは裏腹に落ち着いた自己紹介をした黒江を見て悠太も応える
「玉狛支部所属の鬼丸悠太だ、名前は好きなように呼んでくれ」
「分かりました、私のことも好きなように呼んでください鬼丸先輩」
お互いに自己紹介を終えたところで米屋が口を開いた
「それでなんか用事だったか?バトんなら付き合うぜ」
「お前ほんと見境ねぇな、後輩の女の子まで獲物にしようとすんなよ」
「いえ、それで構いません」
米屋の軽い提案を諌めていると黒江から想像の逆の返事が返ってきた
「鬼丸先輩、私と勝負してくれませんか」
真剣な瞳で悠太を見る黒江、その目には少しばかりの好奇心も見て取れた
「悠太さん、こいつ中坊ですけど結構やりますよ」
「だろうな。加古さんにスカウトされるくらいなんだ、その時点で才能も実力もあるにきまってるわな」
米屋からの黒江の評価を受け自分の中での予感が確信に変わる
目の前に立つ少女はボーダーでも屈指の実力と才覚を持つ剣士であると
「わかった、やろうか黒江」
実力者からの挑戦に悠太は笑みをもって答えた
次回 悠太vs黒江
一応最初に悠太が米屋を仕留めた流れを解説すると
グラスホッパーを起動し2つの足場を出す
↓
ひとつで自分が飛びもうひとつは米屋の足元に設置
↓
踏み込んだ米屋がそれを踏み態勢崩して近づいた所を一撃
こんな感じですね