赤鬼vs韋駄天使い、勝負の結末やいかに
『模擬戦10本勝負 開始』
アナウンスと共にトリオン体が転送され悠太と黒江は市街地ステージの住宅街にて向き合っていた
黒江は先程との米屋との模擬戦を観ていたのに対し悠太にとって黒江は完全に初見の相手、手に持つ獲物から孤月使いのアタッカーであることは確認できるが手の内はまだ予測することしかできないでいた
(さーてどう出たもんかな、見た感じ孤月使いのスピード剣士って感じだけど…撃ち合ってみんことには分からんが、おそらく単純な剣の速さなら向こうの方が上だろうな)
(さっきの米屋先輩との模擬戦ではあんなに大きいトリガーを普通の孤月と変わらない速さで振るってた。それにただの拳でも米屋先輩を壁に叩きつけるぐらいのパワーがあったから、あたしなんかじゃ受け太刀してもその上から吹き飛ばされて隙になる)
方や未知の相手への予測
方や目にした情報からの予測
((だったら))
そして両者は
(動きを読んでカウンターで仕留める!)
(スピードを生かして触れられずに斬る!)
そう結論を下し黒江が駆け出す、悠太は左半身を引き金棒による抜刀の構えを取る
真向から振るわれた一太刀、悠太これを正確に見切り1歩下がることでこれを回避する、しかしその金棒は振るわれない
初太刀はフェイント、流れるような速さで横を通り抜けながらの左一文字を悠太の胴体に放つ黒江
ここまでは予測していた悠太はここで金棒振るった
左逆袈裟に放たれた一撃は正確に孤月を捉え大きく弾いたが刀を弾かれた衝撃を利用して黒江は飛び退き互いに間合いの外で向き直ることとなった
「(やっぱり最初の一合で決めるのは無理か)さすがに速いな黒江、仕留め損なっちまったよ」
「(簡単に見切っといてよく言う)鬼丸先輩はパワーだけじゃなくて目もいいんですね、
「目と予測に関しては相当鍛えたからな、
軽く煽りあいつつ互いに先程の一合から得た情報を元に次の手を模索する
(予想どうりスピード剣士ではあったが、攻撃の速さは想像以上だったな。小手調べってのもある程度は本当だろうし、これ以上速くなると陽介の時の崩しも狙いずらい。かと言ってこちらから攻めたところで大振りな分こちらが不利)
サイドエフェクトにより素早く武器を振るえるとはいえ攻撃の速さでは黒江が上回っていると悠太は感じていた
(なら、狙い自体は変わらねぇ。旋空の可能性も頭に入れつつ隙を狙って一撃を叩き込む)
(やっぱりすごいパワー…確実に受けたのに少し手が痺れてる。規格外の一撃とそれを正確にぶつけてくる予測と反射、米屋先輩に圧勝するわけだ)
(それに、いくら私の攻撃の方が速くても時間が経てば経つほど見切られていくだろうし)
悠太の予測と反射の正確性を目の当たりにし長期戦は不利と判断する黒江は
(やっぱり確実に倒すなら
先手を打つことを決意した
「鬼丸先輩」
「ん?」
不意に呼びかけられたことを不審に思う悠太
「すみませんが、先制させてもらいますね」
告げると同時に間合いのはるか外で黒江が構えを取る
(その距離で構えた?旋空か!)
それを見た悠太は咄嗟に後ろに飛び退いた
しかし
「韋駄天」
次の瞬間悠太の視界が反転し無機質なアナウンスが流れた
『戦闘体活動限界 ベイルアウト』
*
「なんだそれ」
1本目を取られたことによりブースのベッドへと転送された悠太が発した一言はそんな気の抜けたものであった
「いやー綺麗に決まったっすね韋駄天」
「うおっ!いたのか陽介…というか韋駄天って?」
いつの間にか自分が入ったブース内にいた米屋が発した聞きなれない言葉について悠太は聞き返した
「本部で試作されたオプショントリガーのひとつっす。使ってるのは今のとこあいつしか居ないですけど」
「なるほど、あの反応すらできねぇ速さはそのトリガーの効果って訳か」
『いつまで話し込んでるんですか?』
米屋への質問の答えを聞いていると黒江からの通信がブースに響いた
『それとも、2本目は韋駄天の情報を全部聞いてから始めますか?』
「いや、そういうトリガーがあるって知れただけで十分だ。続けようぜ」
黒江からの挑発的な提案に対しても悠太の余裕は崩れず
「さて、どう攻略したもんかね」
その顔には笑みが零れていた
*
しかし言葉とは裏腹に2、3本目は呆気ないものであった。どちらも1本目よりは長く打ち合ったものの最後には韋駄天によって決着がつけられていた
(あんなこと言ってたけどここまで全部韋駄天に対策してくる素振りもない。まさかただのブラフだった?…いや、あれだけの実力を持った人がこのまま終わるわけが無い)
ここまで簡単に韋駄天による攻撃が決まっていた事で黒江の悠太に対する警戒心はむしろ高まっていた
しかしその裏で悠太は
「さて…そろそろ仕掛けるか」
着実に韋駄天への対策を練り上げてた
*
そして迎えた3本目、黒江の攻撃を捌きつつ的確にカウンターを挟んで距離を取らせ移動をしていく
そうして2人は住宅街の一角にある駐車場へとたどり着いた
「鬼丸先輩は思ったより大人しい人なんですね」
「ん?どういう意味だ?」
「本部で聞いた噂では悪鬼羅刹を絵に書いたような人だと思ってました」
「あー、あの失礼極まりない噂な…確かにこんな得物で戦っちゃいるが見ためで判断しすぎな上に尾ひれも付きまくってるだろ」
「それに、ここまで韋駄天に対してなんの対策もしてこないようなので」
挑発的な物言いであったが言葉の大半は疑問であった
これだけの戦闘技術と予測を立てられるような人がこのまま一方的にやられるわけが無いと黒江思ったからだ
そしてそれがわかっているのか悠太もまた落ち着い様子で答えた
「まぁ確かに、試しにカウンターを合わせてみようともしたがそれ以外は特に何もしてなかったしな。そう思われんのも仕方ねぇよ」
けどな、と悠太は言葉を続ける
「何も考えてなかった訳じゃねぇ、今からそれを証明てやるよ」
そう言い切り金棒を構える悠太を見て黒江は警戒心を最大に高めた
(あの位置から構えた!?鬼丸先輩のトリガーは玉狛で作られたものらしいから旋空は使えないはず…まさか先輩も特殊なオプショントリガーを!?)
そう予測を立て身構えた瞬間金棒は振るわれ
大きな音を立てて黒江に向かって
「!?!?」
悠太のあまりに予想外の行動に動揺するも咄嗟に空中に跳ぶ黒江
しかしこの時点で勝負は決まっていた
「よし、上に飛んだな」
気づいた時には空中で身をさらし無防備な黒江に悠太が眼前で金棒を振り下ろしていた
「っ!?シールド!」
すぐさま集中シールドを展開し合わせて受け太刀の体勢を取る黒江
バッキィン!
しかしその防御は
『トリオン供給機関破損 ベイルアウト』
*
悠太は2本目の戦闘の最中、韋駄天に対して様々な予測を立てていた
(トリオン体ですら反応することすらできないほどのスピードに加速させるトリガー、めちゃくちゃ強力だが…なぜ最初から使わない?どれだけトリオンを消費するかは分からんが常時発動してりゃあそれだけで相手を切り刻めるだろうに)
悠太はまずこう考え、最もシンプルな答えにたどり着いた
(恐らくは「しない」のではなく「できない」、そもそもトリオン体の限界を超えたスピードを無条件で出し続けられるならとっくに実用化されてるはず。…となると考えられる条件は)
(発動できる距離や秒数に制限がある、もしくは
(まぁどちらにしても対処がムズいな。加速した先を予測してカウンターを決めようにも切り込むルートが膨大すぎて読み切れん)
と、ここまで思考しながら戦闘を続けていると黒江が再び韋駄天を発動し悠太の胴体が袈裟斬りにされた
『トリオン漏出甚大 ベイルアウト』
(うーん、どうしたもんかな)
*
そうして3本目を経て悠太が出した結論は
「そもそも発動させない」というシンプルなものだった
ここまで3度の韋駄天発動により韋駄天の性質は
予め設定したルート上を加速する(と思われる)ためルート設定までの少しの間と相手からの一定の距離が必要。また、ルート上を加速するという性質上途中でのルート変更は恐らく不可能
と悠太は予想した
(まぁ、ルート設定の間を作らせないために近づきすぎれば小回りが効かない分こっちが不利、かと言って金棒の距離で戦えば受け太刀した時の勢いを利用して離脱し発動までの間が出来上がる)
(なら、障害物をぶつけてその間を潰した上で回避ルートを制限すればいい)
そうして悠太は黒江を駐車場まで誘い込み望月で車を打ち込むという手段を取った
かくして狙いは的中、渾身の踏み込みと共に振るわれた金棒は敵の防御を全て粉砕するに至った
*
そこからの戦いは一方的なものであった
先程の車による妨害を嫌い黒江が駐車場での戦闘を避けようとも、代わりと言わんばかりに看板やポストさらにはアスファルトを砕いた破片が打ち込まれ、これを避けようとも切り払おうとも隙となり踏み込まれて一撃で仕留められるという展開が続いた
そして
最終スコア 鬼丸 7 黒江 3
こうして2人の模擬戦は幕を閉じた
vs羽化する忍者ガール 決着
超パワーを生かした韋駄天の対処方を考えた結果こんな感じに収まりました。自分的にはガロプラ戦でのヨミの対処方を以外ならこんな感じかなって考えたんですけどどうなのかな?良ければその辺についても感想いただけると嬉しいです!