今回はいよいよ今作におけるヒロインと玉狛支部のメンバーが登場。色々悩んだ結果あの子になりました。
夢を見ている
燃え盛る炎の中に1人の少年がいた
少年の眼前では白き異形が人々を襲い、建物を破壊し街を蹂躙していく
ふざけるな
少年の内に湧き上がった
手近にある巨大な瓦礫を担ぎ異形へと投げつける
自衛隊の兵器すらものともしない異形には傷一つつけることは叶わない
しかし、そうせずにはいられないほどの怒りが少年を突き動かしていた
少年の存在に気づき迫り来る異形
今度は足元に転がる鉄パイプを手に取り少年が駆け出そうとしたその時
幾筋もの光が降り注ぎ異形の頭を貫いた
「おいおい、トリオン兵相手に大した度胸だな」
少年の背後から声がした
振り返ればそこには眼鏡をかけた男性が面白げな視線を少年に向けていた
「よく頑張ったな。あとは俺たちに───」
次第に景色が白く溶けていき
夢は終わりを告げた
*
ピピピピピ
「……ん」
けたたましいアラームの音で意識を呼び起こされた悠太は、手探りでスマホを取りアラームを止めて二度寝をすまいとなんとか体を起こす
「くぁ〜…ふぅ」
大きなあくびと共にひとつ息を吐き、布団から這い出ると部屋を出て1階の共有スペースへと向かった
「起きたか悠太」
「おはようございますレイジさん」
共有スペースには筋骨隆々な男性が1人、キッチンで朝食の準備を整えていた
男の名は「
「手伝いますか?」
「いや、もう終わるから平気だ。代わりに小南と陽太郎に声をかけてきてくれないか?」
「了解です」
他のメンバーを呼ぼうと再び2階へと上がり廊下へと出る途中に1人と1匹の姿が見えた
「起きてたか、陽太郎」
「うむ、おはようユータ。朝一番に先輩に挨拶に来るとは感心だな。」
開口一番に尊大な物言いをするのは「
「そりゃどうも。雷神丸も相変わらずいい毛並みしてるな」
そう言いつつなでるのは陽太郎が引き連れていたカピバラの「
「レイジさんが朝飯作ってくれてるから早く下行きな」
「了解した。いくぞ雷神丸」
陽太郎と雷神丸を見送りつつ、もう1人のメンバーに声をかけるために部屋へと向かうとドアの前に立ちノックをした
「桐絵、起きてるか?」
しばらく待ち反応がないので再び呼びかけるが部屋の主が出てくる気配は無い
(参ったな、まだ寝てんのか?鍵は開いてるみたいだが…今日確か用事あるって言ってたし、このまま寝かしておくのもなぁ)
気心知れた仲とはいえ異性の部屋に無断で入ることを躊躇ったが、最後にはまぁ桐絵だしと意を決して悠太は扉を開けた
「入るぞ…ってやっぱりまだ寝てらぁ」
ベッドの上ですやすやと寝息をたてているのは「
(寝顔はまだまだ幼いもんだな)
少しの間普段見ることの無い寝顔を眺め、悠太は肩を叩きながら声をかけた
「朝だぞ桐絵、そろそろ起きねぇとまずいぞ」
「…んぅ」
悠太の声によって半分目覚めた小南はゆっくりとベッドから体を起こし、蕩けたような笑顔を悠太に向けた
「おはよぉ、ゆうた♪」
その笑顔に悠太は思わず手を伸ばし小南の頭を優しく撫で始めた
「おはよう桐絵、用事あるって言ってたからな起こしに来た」
「んぅ、ありがとゆうた……えへへ♪」
「ん、どうした?」
「もっと撫でてぇ♪」
「…はいはい」
甘えた声で悠太にもっととせがむ小南。支部のメンバーの中で、恐らくは自分にしか見せたことがないであろうその姿に悠太も顔を綻ばせて要求に応じる
「えへへ〜♪……………ふぇ?」
しかし、頭を撫で始めて少し経つと段々と意識が覚醒してきた小南は目の前にいるのが悠太であるということを認識していき
次の瞬間支部中を小南の叫び声が包んだ
「……!?!??!わぁぁぁ!!あああアンタここで何してんのよ!?」
「何って、さっきも言ったろ起こしに来たって」
「だからって乙女の部屋に許可なく入るんじゃないわよ!!」
「4年前によく一緒に昼寝とかしてたし今更だろ。朝飯できてるから早く降りてこいよ」
小南が完全に目覚めたことを確認し、悠太は部屋から退散しようとした
「…あぁそうだ、また頭撫でて欲しかったらいつでも言えよ桐絵ちゃん」
「うっさいバカ!変態!!スケベ!!!早く出ていきなさいよ!」
「へいへい、悪かったよ。そんじゃな」
にやけ顔でからかいつつ、顔を赤らめた小南に部屋を追い出される
しかし追い出された当の本人は
(にしても寝起きの桐絵はめちゃくちゃ可愛かったな…まぁ普段のやかましいのもアイツらしくていいか)
そんなことを考えつつ朝食の席へと向かうのであった
一方の小南はというと…
「〜~~~っ!」
声にならない声を上げ、悶えている最中であった
(寝起きの顔見られるなんてサイアク!しかも寝ぼけて変なこと言っちゃったし…それもこれもデリカシーのない
その心中には悠太に対しての怒りと
(……頭、もっと撫でて欲しかったな)
それを塗りつぶす程の甘い感情が渦巻いていた
*
現在支部にいる全員が揃ったところで朝食を摂り始める。しかしその食卓は
「もぐもぐ(ムスーッ)」
「もぐもぐ…」
「……もぐもぐ」
見るからに機嫌を損ねた小南を中心に気まずい空気に包まれていた
(おい、悠太)
(なんでしょうレイジさん?)
(お前また小南を怒らせたのか?今度は何やったんだ)
(知らねぇっすよ、部屋まで起こしに行ったら途中で機嫌悪くなりました)
(また何か余計なことをしたな)
(……してねぇっす)
絶対になにかしたな
今の不自然に空いた間にレイジはおおよそのことを察した
悠太のことなので小南が本当に嫌がることでは無いだろうと判断したレイジは空気を変えるために別の話題を投げかける
「そういえば悠太、お前今日はこの後どうするんだ」
「今日は昼から嵐山隊と防衛任務っす、いつも通りの時間には帰れると思います」
「わかった、なら夕飯はいつも通り用意しておこう」
「お願いします」
レイジと今日の予定について軽く話し合い、朝食を終えてから一度本部に向かうため悠太は支部を後にしようとすると
「…悠太」
「ん?」
朝食中ついに一言も話すことのなかった小南に呼び止められる
「どうした桐絵?」
「…ん」
振り返って返事をすると無言で拳を差し出す小南
ああ、と意図を察した悠太は拳を小南に合わせる
「行ってらっしゃい悠太、准たちの足引っ張るんじゃないわよ」
「余計なお世話だよ…行ってきます」
完全にいつもの調子に戻った小南に見送られて悠太は玉狛支部を後にした
「行ったか…傍から見てる側としては付き合ってないのが不思議な程なんだがな」
廊下の陰から2人のやり取りを見ていたレイジは軽くため息をついた
悠太を見送る時の小南の表情は、普段の自信に満ちた強気な言動からは想像もつかないほど優しさに溢れたものであり、それが悠太にしか向けられないことにレイジを含めた玉狛の面々(陽太郎以外)は気づいていた
(お互いに特別な感情を持っているのは自覚してるんだろうが、小南の方はその気持ちの正体が何なのかは分かって無さそうだしな…まぁ今は見守るしかないか)
こうして焦れったさを感じつつも年長者として、人知れず2人の行く末を見届ける決意をするレイジなのであった
というわけで今作のヒロイン、モテかわ騙され系ガールの小南が登場です。自分の中で完全に気を許した小南はこれぐらい甘えてくるはずという妄想100%で書き上げましたがいかがでしたでしょうか?(解釈不一致とかいうコメントが来たらキャラ崩壊のタグつけて誤魔化そ…)
レイジさんなど玉狛の面々も登場し次回はいよいよ原作に合流点していく予定です