キンジとネモの共依存   作:はちみつレモン

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第4話

「き、貴様はなぜ上半身裸なのだっ!? 原始人かっ!?」

 

木を杖代わりにしてヨロヨロと近づいてきた。これまでの疲労とストレスが重なっていた所為か、ネモの接近に気付くことが出来なかった。今まで不可能を可能にしていた俺がこんな初歩的なミスをするとは…メヌエットに笑われそうだぜ

 

「なんのようだよ」

「ふん、貴様に用はない。用があるのはその焚火だ。頂くぞ」

 

ネモは俺が必死こいて作った焚火を当たり前のように取ろうとしてきたので、近くに落ちていた小石をネモに投げつける。

 

「いたっ! 何をするんだこの野蛮人が!」

「それはこっちのセリフだ。お前こそ何してんだ」

「貴様には不必要なものだろう? 私が有効活用してやるから感謝しろ」

 

イラっ

 

あぁ…本当に…もう…

 

自分の中で何かが溜まって行くのが分かる。そしてこれは吐き出さないと自分が崩壊する類のものだ。ソースは俺。以前兄さんが死んだと報道され、そのときに民衆は兄が悪いと罵り、弟の俺にまで突撃訪問してきて、取材させろの一点張り。あのときのストレスと似ている。

 

「うるさい」

 

もう一度ネモに小石を投げつけると、ネモは木でガードした

 

「ふん、原始人が。ここが貴様の墓場だ」

 

俺は無言でネモに石を投げ続けると、ネモの持っていた木に当たり、木が折れてしまう。

 

「出ていけ」

「何度も言わせるな。これは私が」

「出ていけ!」

 

ここに来て一番の怒鳴り声を上げる。ネモはヒッと小さく怯えた声を出したが

 

「出ていけ!」

 

怯えて動けなくなっていたネモの隙をついて、拳銃を取り出すと

 

「ふ、ふん。貴様など明日には死んでいるだろう。せいぜい最後の夜を迎えるんだなっ!」

 

ネモは逃げるように去って行った。いなくなったのを確認した後に、ネモの行動に疑問を持つ。超能力を使えるネモが、一切超能力を使ってこない。これまで一度も使っているところを見たことがない。敵の俺に近づいてきたということは、本当に超能力を使えないということだろうか?

 

「…これはチャンスか?」

 

超能力が使えない。その状況はいつまで続くのか。明日には使えるようになっているかもしれない。もし使えるようになれば、銃しか持っていない俺は敗戦濃厚だ。なんせ奴は弾を相手に反射させていた。飛行機で理子と戦った時にやった銃弾逸らしとは違い、直線で返ってくるのではなく、歪曲して返ってきている仕組みのようなので、こちらが撃った瞬間に自分に銃弾が貫通するだろう。

 

だがそれはネモが俺に敵対心を持っている場合の話だ

 

もしネモを俺の言う通りにすることが出来れば、それを防げるかもしれない

 

あいつがあそこまで大きく出ることが出来るのは、超能力があるからだ。逆いえば超能力を使えないあいつは大きく出ることができない。現にすぐに去っていたのが証拠だ

 

「…やるか」

 

重たい腰を上げる。ネモを俺の人形にする。それしか生き残る術はない。そのためには、ネモを怖がらせ、弱らせて、もう立ち直れないと思っていた状況で俺がネモを助ける。これを繰り返せば…

 

「っはは」

 

思わず笑ってしまう

 

あぁ、そうか。飛行機ジャックで理子が俺に兄さんが生きていると伝えて誘導した時こんな気持ちだったのか…。理子、今になって分かるぜ。これは確かに笑うな。笑わない方がおかしいよなぁ。

 

そしてこれは確実に決まるだろう。理由は2つだ。

 

1つ目は俺が実際に経験したことからこの行動がどれだけ影響があるかを把握していること

 

そして

 

「俺が不可能を可能にする、ネモが可能を不可能にする…面白れぇじゃねぇか。絶対お前には負けねぇよネモ」

 

自分と相反する存在。どちらが上なのかはっきりさせないと気が済まない

 

俺はネモが去っていた方向に向かって歩き出した

 

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