ハイスクールG✕S外伝 戦姫絶唱シンフォギア ソウゴと6人の装者 作:ボルメテウスさん
「向こうの学校で補習」
「また、そのパターンか。
それで、その代わりに」
「えぇ、久し振りの休日だから、少し楽しもうと思って」
そう言いながら、翼は紅茶を飲みながら言う。
その様子にロスヴァイセ先生はかなり興奮している様子だった。
「それにしても、前回は立花さんがシンフォギアを初めて纏った所で終わったけど、丁度、風鳴さんも出てきましたね」
「えぇ、あの頃は、色々と大変だったわ」
「良かったら、その風鳴さんから続きを聞いても良いですか?
とても気になるので」
「私が?
別に構わないが。
そうだな、あの頃か」
そう懐かしい気持ちと共に、ゆっくりと語り出す。
ソウゴとの再会は、私にとっては衝撃的だった。
あの日、奏を失った事によって生まれた私の中の恐怖。
それは、ソウゴをまた、目の前で死んでしまうのではないかの恐怖だった。
ソウゴは、確かに幽霊のような存在で、おそらくはこの世界のノイズで殺す事はできない。
だが、もしもソウゴが死んでしまった時、その時、私は耐えられるのか。
それを考えた時に、私の中の、防人としての生き様を通す事ができるのか。
それは不可能だと、私の中では断言できる。
だからこそ、自分から遠ざけた。
弱い自分を殺す為の決意。
そう思っていた。
だが、彼は私の前に再び現れた。
奏のガングニールと共に。
あの、ツヴァイウィングのライブの時、奏のシンフォギアの破片が立花響の心臓に突き刺さった。
そして、彼女の身体を通して、ソウゴが憑依した。
その原因は未だに分からない。
だが、それを見た時、最近になって入って来たオペレーターの1人がぼそりと何か呟いた。
「電王にゴーストにエグゼイド。
まさかとは思ったが、無意識にそれらの力を使ったのか」
それがどのような意味か、分からない。
それでも、私にとって、重要なのは、ソウゴを戦いの場から引き剥がす事だった。
立花響に憑依したソウゴの強さは、未だに荒削りだが、実戦で通じていた。
櫻井女史曰く、本来ならばシンフォギアと共鳴して強くなる所を、さらにソウゴが憑依する形になる事で、その強さはさらに倍増するらしい。
それでも、未だに私には追いつけない。
実戦経験の差か。
それでも、ソウゴは。
立花響は、離れようとしない。
それが、私にとっては鬱陶しい。
そして、運命の日だろうか。
あのライブの時に、無くなったはずのネフシュタンの鎧。
それを身に纏った彼女が現れた。
その狙いは誰なのか分からない。
だが、ネフシュタンの鎧の少女は、立花響を睨んでいた。
「お前が、そこにいるんだなぁ」
地の底から、湧き上がるような怒りの声。
それが、どのような意味か、分からない。
だが、それは立花響に向けた言葉ではない事は分かった。
『ソウゴ、もしかして、知り合いなの』
「……あぁ、まさかとは思うけど、お前」
「御託は良い。
お前と話す言葉なんて、持ち合わせていねぇよ」
その言葉と共に、鞭を振るう。
地面が大きく削れる程のその威力から、完全聖遺物の力がどれ程か理解できる。
「あの時の事、私は覚えている。
なのに、お前は、なんでっ」
『ソウゴ、一体何が』
「……言葉も出ない。
確かに俺は」
そこから、言葉を出す事に戸惑っていた。
酷く、真っ直ぐ見られない。
そんな感情が、立花響を通して、ソウゴには見えた。
「てめぇを捕らえる事が目的だが、悪いが、少しは私の憂さを晴らさせて貰うぞ。
実体を持たないそいつに痛みを与えるには、お前の身体が必要だからな」
「そうはさせない」
その言葉と共に、私は立花響の前に出る。
「邪魔をするのか」
「ソウゴの知り合い。
いや、どうやら私と似たような境遇らしいな。
だが、ソウゴを渡すつもりはない」
「おいおい、まさかそいつを庇う気なのかよ」
「あぁ、そうだ」
その言葉に、私は迷いはなかった。
確かに捨てた。
それは、ソウゴを失いたくない為だ。
ソウゴを、殺させない為に。
「そうかよ。
話には聞いていたけど、ムカつくな。
本当に、お前はよぉ!!」
それと共に、ネフシュタンの鎧のの子は、その手に持つ鞭を真っ直ぐと私に振り下ろしてくる。
その攻撃に対して、私は避ける事しか出来ない。
避けながら、剣を振るう。
だけど、相手はその一撃を避けていく。
(この強さ、やはり)
ネフシュタンの鎧の力だけではなく、彼女の実力の高さも分かる。
恐らく、今まで戦ったどの敵よりも強いだろう。
「へぇ、やっぱり防ぐか」
ネフシュタンの鎧の子の言葉の通り、私が振るった剣は相手の鞭によって止められていた。
その力は、明らかにこちらより上だった。
「ちぃ、ならば!」
そのまま押し切ろうと力を込めるが、それ以上に力を入れられ動きを止められる。
そして、その隙を逃すような甘い相手ではなかった。
ネフシュタンの鎧の子が力を込めた瞬間、私は吹き飛ばされてしまう。
「がっ!?」
地面に叩きつけられ、全身に衝撃と痛みが走る。
どうにか受け身を取りながら立ち上がるが、その時には既にネフシュタンの鎧の少女の姿はなかった。
(何処だ?)
慌てて周囲を確認するが、姿どころか気配すら感じられない。
だが、そんな私に対して声がかけられた。
「なぁんだ、もう終わりかよ?」
背後から聞こえてきた言葉に振り向くと、そこには既にネフシュタンの鎧の子が立っており、そのまま蹴りを放つ。
避ける事ができずに腹部へ直撃を受け、私はまた地面へと転がされた。
「ぐ……!」
「ま、こんなもんか? それともアレか? もしかしてお前は弱いのか?」
倒れたまま動けずにいる私を見下ろしながら、ネフシュタンの鎧の子は嘲笑うかのように言う。
それに私は歯噛みしながらも、どうにか立ち上がろうと身体に力を入れるが上手くいかない。……やはり、まだ本調子ではないようだ。
そう思いながらもなんとか立ち上がる事はできたのだが、そこで今度はネフシュタンの鎧の子がこちらに向かってきた。
咄嵯に身を捻って攻撃を避けようとしたが、その動きすら読まれていたようで私の脇腹目掛けて拳が放たれた。
「っ! ……ぅあッ!?」
「っとぉ!!」
痛みと共に吹き飛ばされ地面を転がっていく私を見てネフシュタンの鎧の子は不敵に笑うと、そのまま追撃を加えようと向かってくる。
だがその時だった。ネフシュタンの鎧の子の背後に突然何者かが現れ、手にした刀で斬りかかる。
不意打ち気味の攻撃だったが、ネフシュタンの鎧の子はそれを難なく受け止めると反撃に出た。
「止めてくれ、そんな事、望んでいないだろ」
そう、ソウゴは、ネフシュタンの鎧の子に向けて言う。
それによって、ネフシュタンの鎧のの子は攻撃を止める。
「望んでいない?
だとしたら、どうなんだ?」
それと共にネフシュタンの鎧の子は真っ直ぐと、憎しみを籠めるように言う。
「隣にお前がいた! 一緒にいた! けど、お前は助けてくれなかった! 理不尽で! 無理だって! 分かっていた!」
それは、まるで溜め込んでいた物を吐き出すように。
「だけど、そいつはなんだよ! 私の時は無理だったのに、なんでそいつは助けた! なんで私の時は助けなかったんだ!!」
その言葉に、私は酷く共感した。
あぁ、そうか。
私は、羨ましかったんだ、立花響の事を。
私は自分の心を守るように、目の前にいるネフシュタンの鎧の子は、ソウゴに何かを求めていた。
だけど、それは叶わなかった。
だから、拒絶した。
だけど
「そんなソウゴを、私は守りたい」
同時にネフシュタンの鎧の子を掴む。
既に布石は討っている。
「まさかっ!」
『ソウゴ、どうしたの!』
その様子に、ソウゴは気づいた。
けどね、もぅ遅いの。
「てめぇ!!」
「あなたも一緒に」
その言葉と共に、私は、絶唱を放った。
諸刃の一撃と言えるそれは、その場の全てを巻き込み、爆発した。
「以上だな。
それ以降は、私はしばらくは治療をしていたのだが」
そうしていると、目に映ったのは、白目を向きながら気絶しているロスヴァイセ先生だった。
「何が起きたんだ?」
「いや、さらっと奏さんが死んだという情報が出たから、ロスヴァイセさんがそれのショックで気絶しているようだけど」
「えっ、でも奏さんって、確かゲイツと一緒にいたような」
「まぁ、その話は後程だな」
「それにしてもネフシュタンの鎧の子は一体、どういう関係だ?」
「・・・そもそも、知り合いにいましたか?」
「むっ、まさか気づいていないのか」
「気づいていないと言うと?」
「その時、ネフシュタンの鎧を身に纏っていたのは、クリスだぞ」
「・・・雪音さんが」
「えっ、えぇ、でも全然イメージが湧かないというか」
「逆に、ソウゴとの間に何があったん。
ソウゴ、そこら辺は」
「あぁ、それは勝手に言ったら、クリスに殺されちゃうからなぁ」
「一体、何が、起きたんだ」
「それはまた、今度」
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