さらば宇宙戦艦ヤマト2203 ~愛の戦士たち~   作:往復ミサイル

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 頑張って書きました。よろしくお願いします。


序章
プロローグ


 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――無限に広がる大宇宙。

 

 

 

 

 

 

 

 光と生命に満ちた世界。

 

 

 

 

 

 

 

 死にゆく星もあれば、生まれ来る星もある。

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ、宇宙は生きているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 生きて、生きて……。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――だからこそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      全  宇  宙  は  俺  の  も  の  だ  。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い闇が、星を砕いた。

 

 それはまるで、巨人が小さな羽虫を踏み潰すかのよう。

 

 殺そう、という意志があったからそうしたのではない。ただ歩いている最中に、意識せず踏み潰してしまった―――”それ”にとって進路上の邪魔な惑星は、その程度の存在でしかないのである。

 

 そうやって滅ぼし、征服してきた惑星は、文明は、知的生命体の総数はいったい幾つであったか……数えるのを止めて既に久しい。しかし確かな事は、全宇宙に轟かせんばかりの武勇を、また新たな勝利で飾るであろう事だ。

 

 宇宙を引き裂きながら突き進む、巨大な魔の彗星―――白色彗星のガス帯を、鋭い舳先が突き抜いた。

 

 横倒しにした半円形の船体、その先端部に2基の巨大ミサイルを搭載したかのような形状のミサイル戦艦、『前期ゴストーク級』。一番槍は我のものぞと言わんばかりに彗星から躍り出た前期ゴストーク級を追うように、ラスコー級巡洋艦、ククルカン級駆逐艦、ナスカ級航空母艦が続く。

 

 向かう先は、白色彗星の向かう先に浮かぶ蒼く美しい星―――惑星テレザート。

 

 母なる星を侵略者の魔の手から救おうというのか、黄金の船体を持つ宇宙艦隊が彼らの前に立ち塞がる。テレザートの守備艦隊なのであろう。

 

 それはまるで蒼き大海ではなく、漆黒の星の海を征くガレオン船のようにも見えた。母なる星の命運を賭けた一戦、彼らの背後には天へ祈る乙女の幻影がうっすらと見える。

 

 ―――宇宙の女神、テレサ。

 

 しかし女神の加護を受けた彼らは、哀れな事に練度においても物量においても、そして宇宙戦艦の性能においても侵略者たちのそれを大きく下回っていた。

 

 先陣を切った前期ゴストーク級が最初の一撃を放つのを、”彼”は満足そうな笑みを浮かべながら見つめていた。玉座の間に用意されているメインモニターは、既に多くの閃光を映し出している。

 

「彼らはどうやら、女神テレサに見放されたようですね」

 

 果敢にも白色彗星とその艦隊に挑んだ守備隊を嘲笑いながら、”彼”の傍らに控えていたサーベラーは酒杯に酒を注いだ。

 

「よりにもよって相手は我が帝星ガトランティスが誇る猛将、ゴーランド。あれでは10分と持たないでしょう」

 

 玉座の傍らに控えるガトランティスの将校たちが咎めるような視線を向けてくるが、しかし酒杯を受け取った男―――帝星ガトランティスの頂点に君臨する大帝、ズォーダーの顔には満足げな笑みが浮かんでいる。

 

「これで全宇宙は我らの物となったも同然」

 

 既にメインモニターには、撃沈され、真っ二つにへし折れた船体を燻らせながら闇を漂う残骸が映し出されている。いずれも黄金の船体を持つテレザートの戦闘艦ばかりで、その中に彼らガトランティスの艦は無い。

 

 それはそうだろう、とズォーダーは思う。

 

 彼らガトランティスにとって、全宇宙の制覇は遥か祖先の代からの宿願であり果たすべき義務だ。故にその版図を広げるために幾度となく繰り返された戦において、弱い者は次々に砲火に焼かれ、消えていった。戦とは勝利を掴むための手段であり、無用な弱者を振るい落とすための試練なのだ。

 

 だからこのガトランティスに弱者は居ない。

 

「かつて私の父はこう言った。”愛が必要だ”、と」

 

 サーベラーから受け取った酒杯を呷り、ズォーダーは言う。

 

「全宇宙を我らの版図に収めてこそ、愛でる価値もあるというもの」

 

 全宇宙はガトランティスが支配するべき―――全宇宙こそ我が故郷、である。

 

 しかし。

 

 その宿願を脅かす存在が1つだけあった。

 

 それが目の前の星―――蒼く輝く水の星、惑星テレザートに眠るとされている宇宙の女神、テレサ。

 

 広大な宇宙の中で唯一、彼らガトランティスを屠る力を持つ女神。しかしその恐ろしい女神もついに目を覚ますことなく、ガトランティスの軍勢の前に星を明け渡そうとしている。

 

 宇宙艦隊を殲滅したゴーランド艦隊は既に大気圏に降下し、陸戦部隊を出撃させ始めていた。

 

 なんと呆気の無い―――恐ろしい相手だが、しかしこれで楽しみもなくなってしまった。そう思うと心の中が冷めていくのを、ズォーダーは感じていた。

 

「そういえば大帝、例のガミラス(ガミロン)の捕虜が口を割ったと報告が」

 

「聞かせよ」

 

「はい。我がグタバ遠征軍を打ち破った地球(テロン)(フネ)ヤマト(ヤマッテ)……その母星の位置が判明しました」

 

「……」

 

 グタバ遠征軍……その名を聞いていったい誰に預けた艦隊だったか、とはすぐに思い浮かばなかった。しかしテロン、という星の名を聞き、ああ、あのゴラン・ダガーム(無法者)の艦隊か、と頭に浮かんでくる。

 

 あれもまた弱かった。帝星ガトランティスの版図で暴れ回っていた賊の頭目だった男だ。そんなに暴れたいならば暴れて見よ、とガミラスの版図に解き放ったものの、よりにもよって死にかけの星の船に撃ち破られるとは。

 

 所詮は賊であったか、と思うズォーダーに、サーベラーは報告を続ける。

 

ガミラス(ガミロン)の攻撃により赤く焼けた星であったそうですが、イスカンダルの助力を得て、蒼く美しい姿を取り戻した、と」

 

「ほう……?」

 

 頬杖を突いていたズォーダーの胸中に興味が湧いたのはすぐだった。蒼く美しい星―――眼前のテレザートのように、そのような美しい星というのは宇宙の中でも稀有な存在。であればガトランティスの版図に収め、愛でるべきであろう。

 

 この宇宙は大帝ズォーダーの掌の中に収まり、愛でられて然るべきなのだから。

 

「いかがなさいますか?」

 

「―――サーベラーよ、地球(テロン)に舳先を向けよ」

 

「はっ」

 

 テレザートはじきに陥落するであろう。ガトランティスの中でも勇猛なゴーランド艦隊に加え、惑星へと降下したのは同じく帝星に武勇を轟かせるザバイバル陸戦師団。テレサが別次元で眠りについたままであるというならば、あの2人の率いる部隊だけでもお釣りがくる。

 

 星を攻め落とすに十分な戦力を解き放った。ならば白色彗星を、これ以上テレザートの前に留まらせておく必要もあるまい。

 

 大帝の意思が決まるや、サーベラーは手にした鉄扇を広げながらガトランティスの兵士たちに命じた。

 

 

 

 

 

 

「―――舳先を地球(テロン)へ向けよ! 帝星ガトランティス、前進!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――地球はまだ、この危機を知らない。

 

 

 

 

 

 

 

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