ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

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好きなキャラ同士の公式cp以上に尊いものはない!


第11話 クリスマスこそ油断しない

『ジリリリリリ!ジリリリリリ!』

「……んぅ……寒」

 

 寒くて凍てついた部屋に、目覚まし時計の音が響き渡る。起きなきゃいけないのはわかっているけど、温かいベッドはなかなか私を出させてくれなかった。

 

「グレイー、起きてるかしら?」

 

 アラームの次はお母さんがやって来た。お母さんはストーブの電源をいれるとカーテンを開け、日の光を部屋に取り入れた。

 

「…………メリークリスマス…お母さん」

「はい、メリークリスマス。プレゼントが沢山来てるわよ」

「…え?本当?」

 

 寝ぼけた眼を強引に開けると、ベッドの足元に置かれた小さなプレゼントの山が目に入った。

 

「え、これ全部私の?」

「ええそうよ、お爺ちゃんとお婆ちゃんが下で待ってるから、開けるのは朝食食べた後にしてね」

 

 そう言ってお母さんは一階に降りていった。私も一階に降りると、洗面所で顔を洗って頭をサッパリさせた。水はとんでもなく冷たかったのは予想通りだったが、我慢して顔を洗った。ブラシで寝癖を整えると、真っ先にリビングへ向かった。

 

「メリークリスマス、お父さん」

「メリークリスマス、グレイ」

「お爺ちゃんも、メリークリスマス」

「おお、メリークリスマス、グレイ」

 

 クリスマス休暇になって数日経ったが、私はイギリスに帰らず、アメリカでクリスマスを迎えた。休暇初日に教えて貰ったことを、ようやく飲み込めてきたところだった。

 

「メリークリスマス、グレイ。プレゼントが沢山来てたわね」

「メリークリスマス、お婆ちゃん」

 

 全員がテーブルに着き、朝食を食べた。お爺ちゃんとお婆ちゃんが魔法族なのと、お父さんもこの場にいるので、私は前から知りたかったことを聞くことにした。

 

「そういえば私、聞きたいことがあったんだった。ねぇ、ニコラス・フラメルって名前の人聞いたことない?」

 

 インパクトが強い事実に、最近までニコラス・フラメルのことを忘れていたのは内緒だ。

 

「ニコラス・フラメル?誰だそれ」

「聞いたこと無い名前じゃな」

「グレイが好きなミュージシャンの名前かしら?」

 

 お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さんの反応を見るに、誰も知らないようだ。

 

「……え?…本当に?知らないの?」

 

 正直、この結果は予想外だった。少なくとも一人くらいは知っていると思っていたが、どうやら違ったらしい。

 

「そのニコラスさんは…えっと、本に載ったりしてる人なのか?」

「…多分…でも詳しいことはまだわからないわ」

「そうか……あ、そうじゃ!今度、魔法省に来んか?もしかしたら保管されとる書物の中から詳しいことがわかるかもしれんぞ」

 

 それ、職権濫用に近い行為では?

 

「いや、大丈夫。自分で調べるから」

 

 取り敢えずホグワーツにいるハリー達に、情報は無かったと、梟を送ることにした。以前ハリーは、どこかでニコラス・フラメルの名前を見たことがあると言っていたから、もしかしたら手がかりを見つけているかもしれない。

 

「さて、プレゼント開けよっと」

 

 朝食を食べ浮き足で部屋に戻ると、プレゼントの山から包みを一つずつ取り上げて中身を確認した。

 

 一つ目の包みはハグリッドからだった。分厚い茶色の包み紙には

 

『グレイへ ハグリッドより』

 

と走り書きしてあった。中には木で出来たビートルに似た置物だった。以前ハグリッドは、私にビートルのスケッチをさせて欲しいと頼んで来たことがあった。予想以上に上手く描けていたので、立体物を造形できても不思議とは感じなかった。

 

 二つ目の包みは、大きくてふっくらとしていた。中には厚い手編みの黒の可愛らしいセーターと、手紙が入っていた。内容は

 

『グレイへ

 ロンと仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしくね

                 モリーより』

 

と、丁寧な字で書かれていた。きっとロンのお母さんだ。以前駅でお父さんとお母さんと仲良く喋っていたから、お互いの住所を知っていたのだろう。まだパジャマのままで寒かったから、丁度良かったので私はセーターをパジャマの上から重ね着した。

 

 三つ目は箱だった。リボンと紙包みを取ると、音楽プレイヤーと手紙が入っていた。

 

「……これって……」

 

 それもただの音楽プレイヤーではない。日本製のブランド、『ウォークマン』の最新モデルだった。手紙には万年筆で

 

『グレイへ

ホグワーツでも使えるようにした特別製です。わしも使っているがやはり音楽は素晴らしい

              ダンブルドアより』

 

「……校長先生がなんで知ってるの?」

 

 確かに前使っていたのは壊れたけど、それはハリー達にしか言ってなかったはずだ。

 

「……ハーマイオニーからはお菓子の詰め合わせ、ハリーとロンからはクリスマスカード、お父さんとお母さん、お爺ちゃんとお婆ちゃんからも昨日貰った、これで全部……ん?」

 

 全部見たと思ってたけど、まだ確認していないプレゼントが一つだけあった。片手で持てるくらい小さい箱だった。開けてみると、不可思議な形をしたネックレスと少しボロボロの手紙が出てきた。ネックレスは銀色で、三角の銀細工の中に丸の銀細工が嵌まっている。そして、その丸を両断するように杖の形をした銀細工が嵌められていた。手紙には

 

『ベアボーンくんへ

君の曾祖父には迷惑をかけた。これはそのお詫びだ、ホグワーツで身につけると良い。君と会うことを楽しみにしている

              黒い魔法使いより』

 

「……何これ?」

 

 新手の宗教勧誘か何かだろうか。ホグワーツのことを知っているからも、送り主は本物の魔法使い?

 

「グレイ、プレゼントは全部明けたか?」

 

 ネックレスを不思議に見てると、お父さんがやって来た。

 

「ねぇお父さん、この形なんだと思う?」

 

 私はお父さんなら知っているかと、試しに見せて見た。するとお父さんは、目を見開いて固まった。

 

「グレイそれ……もしかして『黒い魔法使い』とかゆうやつからじゃなかったか?」

「え!?知ってるの?」

「ああ、俺が十一歳の時のクリスマスにもそれが送られて来たんだ。今も、書斎の引き出しにしまってあるよ」

 

 どういうことだろう?私は一応魔女だからホグワーツに通ってるし、魔法界と関わりがあるから百歩譲って理解できる。でも何故お父さんに?お爺ちゃん繋がりなのかな?

 

「っていうか曾祖父ってひいお爺ちゃんのことだよね?」

「ああ、俺にとっては祖父にあたるが」

「じゃあ、お爺ちゃんかお婆ちゃんのお父さんってこと?それとも、お母さんのお爺ちゃん?」

「まあ、そうなるな」

「…………」

 

 考え込んでも仕方ないので、二人に聞いてみることにした。階段を降りてリビングに行くと、二人はお母さんを交えてコーヒーを飲んでいた。

 

「ねぇ三人とも。私のひいお爺ちゃんってどんな人?」

「どうしたのいきなり?」

「いや、知らない人からこんなものが送られてきたから」

「なんじゃ、また来たのかそれ?相変わらず妙な形しとるな」

「あら?どうして死の秘宝のマークなんて持ってるの?」

 

 私がネックレスを見せると、お婆ちゃんが反応を示した。

 

「知ってるの?」

「魔法界の有名な本に出てくる道具よ。吟遊詩人ビードルの著作の一つ、『三人兄弟の物語』に出てくるの。三角は死から隠れる『透明マント』、丸は死者を蘇らせる『蘇り石』、棒は最強の杖である『ニワトコの杖』を表現しているわ」

 

お婆ちゃんが形の意味を丁寧に教えてくれたが、ますますピンと来なかった。お詫びの品みたいな物らしいのに、なんで物語を表現したアクセサリーを送るんだろう?

 

「それで、なんで儂らの父が出てくるんじゃ?」

「手紙に書いてあったの。私のひいお爺ちゃんに世話になったって、何か知らない?」

「私の父は知り合いが多かったからよくわからないねぇ」

「私の祖父は魔法使いじゃないから多分違うかしらね」

 

 お婆ちゃんの方のひいお爺ちゃんはイルヴァーモーニーの創設者の末裔だから繋がりが多くて送り主が誰かわからず、お母さんの方はマグルだからそもそも魔法使いの知り合いはいないようだ。

 

「儂はまず、自分の父親のこと知らんからのう……」

「え?どういうこと?」

 

 お爺ちゃんはひいお爺ちゃんのことを知らない?

 

「儂は父とは会ったことがないんじゃよ。儂の母、グレイのひい婆ちゃんいわく、母は結婚する前に父と別れたと言っておった」

「え?なんで別れちゃったの?」

「いやな?儂の父親、新セーレム救世軍?とか言う団体の代表の女の養子らしくてな、秘密に付き合ってたらしい」

「新セーレム救世軍?」

 

 セーレムの魔女裁判はアメリカでは有名だけど、軍?

 

「儂ら魔法族を虐げることを目的としたノーマジの団体じゃよ。昔は魔法界の存在がノーマジにばれてしまうことがあったらしくてのう。国際魔法機密保持法が可決されてからも、その馴染みは残っとったんじゃ。儂の母はそこに所属していた父との間に魔法使いである儂を産んだんじゃよ」

 

 そう言いながら、お爺ちゃんは私に一枚の白黒写真を見せてくれた。写真にはにこやかに笑う美しい女性と、写真でもわかるくらい暗い雰囲気を漂わせる男性が、手を繋いで写っていた。

 

「随分暗い雰囲気の人だね」

「父は義母から虐待を受けていたらしい。父は義母と一緒にアメリカを飛び回っていたため、母と一緒になれなかったそうじゃ。ベアボーンの性は父かららしい」

「そうなんだ…」

「結局、送り主が言う人も、送り主本人もわからなかったな」

 

 でもまあ、このネックレスも折角の物だし、昔ひいお爺ちゃんに何かしてしまってことへの謝罪のプレゼントならば素直に受け取っておこう。次からはホグワーツで着けてみるのも良いかも。

 

 ーー

 

「人が大勢いるからな、離れるんじゃないぞ。早めにリサーナの御使いを終わらせて帰ろう」

「はーい」

 

 空から舞う雪も魔法で輝き、薄暗さも全く感じさせない街、ニューヨーク。マグルの人々で賑わうニューヨークは何度か来たことがあるけど、魔法族の人々で賑わうニューヨークの街並みは初めてだった。

 

「こんなに人が沢山いるのに、マグルの人達は本当に気づかないの?」

「強力な魔法で隠されておるのじゃ、ロンドンのダイアゴン横丁と仕組みは同じじゃよ」

「へぇ、そうなんだ」

 

 改めて聞くと、本当に不思議だ。つい最近まで、私は魔法のまの字も知らなかったのに実は魔法使いで、本当は祖父母も魔法使いで有名な魔法使いの末裔。魔法使いの学校や魔法使いしかいない裏のニューヨーク。これを絵本にまとめればしっかりした物語が出来上がりそうだ。

 

『おいテメェ!いい加減ここから出しやがれ!!ぶち殺されたいのか!!あ"あ"!?』

「ん?」

 

 今、何か聞こえたような……トラブルかな?

 

「どうしたんじゃ?」

「今、すごい声聞こえなかった?ドスの効いた男の人が訴えてる声」

「何を言っとるんじゃ?そんな声聞こえんかったぞ。」

 

 お爺ちゃんには聞こえなかった?私の空耳だろうか。

 

『やい人間!今度会ったら腹かっさばいてやる!!かっさばいた後!テメェの頭グチャグチャにしてやるからな!!!』

 

 空耳じゃない、凄い口の悪い声がおもいっきり聞こえてくる。

 

「いったいどこから?」

 

 声の主を探してみると、真っ黒なボロボロのローブを着た人が裏路地に歩いていくのが目に入った。素顔も体格もわからないので、男か女かもわからなかった。

 

『おい聞いてんのか!?おい!ここから出せっつてんだよ!!』

 

 ドスの効いた声もその人から聞こえた。

 

「私ちょっと行ってくる!」

「何!?待たんかグレイ!?」

 

 お爺ちゃんが私を止めようとしたが、私は声が気になってしょうがなかった。お爺ちゃんの静止を振り切り、人混みを掻い潜った私は声の主を追って裏路地に入った。

 

「……誰も…いない?」

 

 裏路地には誰もいなかった。そもそも行き止まりの壁になっていた。人影も無く、ただ湿った空気とゾッとする薄暗さがあった。

 

『テメェら、ただじゃおかねぇかんな!!』

 

 しかし、誰もいないはずのところからまだ声は聞こえた。行き止まりの壁の方だ。私は壁に触れようとしたけど、手は空をきった。

 

「これって……」

 

 9と3/4番線と同じ仕組みだった。魔法族にバレそうな場所をあえてカモフラージュしてバレないようにしていたのだ。中は通路の筈なのになぜか道が広くなっていて、宝石が入った箱や魔法動物の剥製が沢山置いてあった。道はきっと魔法で広くしたのだろう。中心には黒いローブに身を包んだ大人達がなにやら話し込んでいた。

 

『ん?おい!嬢ちゃん!何してやがる!?こんなところ来たら奴らに殺されちまうぞ、隠れろ!!……つっても無駄か、俺の声が伝わるわけがねぇ』

「……え?」

 

 声に促されて言う通り物陰に隠れた。どこから喋ってる?

 

『あ?なんでだ?まぐれで動いたのか?』

 

 声の主を一目して驚いた。蛇だ。檻に閉じ込められた蛇が喋ってる。

 

「なんで……え、蛇が喋ってるの?」

『は?そう言う嬢ちゃんこそなんで俺の言葉がわかる?つーかなんで俺と同じ言葉を話しやがる?何者だ?』

「グレイです、こんにちは」

『お、おう…こんにちは…』

 

 何者だと問われたから名乗ったのに、その反応はなんだ。

 

「…そういうあなたは?蛇なのはわかるけどちょっと違うね」

『馬鹿野郎!俺をそこいらのやつと一緒にすんじゃねぇ!この輝く宝石とイカした角が目に入らねぇか!?』

「野郎じゃないです、女です」

『……うるせぇ!!』

 

 蛇が頭を突き出して来た。良く見てみると確かに額に宝石と二本の角が付いていた。

 

「あなた…もしかしてホーンド・サーペント?」

『ああ、人間の間じゃそう呼ばれてるらしいな』

 

 ホーンド・サーペント、別名、角水蛇は確か分類はXXXXX。ワンプス・キャットと同じ魔法使い殺しだったはず。もっと大きくて人間がそう簡単に捕まえることなんてできない魔法動物のはずだ。そんな存在が今、無残にも小さな檻に入れられている。

 

『やられたぜ。俺が襲われた時、奴らは百人はゆうに越えてやがった。四方八方から襲って来られちゃ、さすがの俺もたまんねぇ…小さくされて檻にぶち込まれてこのざまさ』

 

 百人以上の魔法使いからの総攻撃が相手じゃ、さすがのホーンド・サーペントでも負けてしまうだろう。きっと密漁者だ。確か最近、大きな密漁者の組織が魔法省に摘発されたと報道されてた。きっと今そこにいる奴らはその生き残りだろう。

 

「ピィ、ピピィ」

「何?どうしたのビートル?」

『……俺にはそこの鳥が何を伝えたいかわかるぜ。…なあ嬢ちゃん、悪いことは言わねぇ…さっさと帰りな。子供が踏み入って良い問題じゃねえんだよ』

「なんかカッコつけてるけどさ、あなた、このままじゃ角と牙を折られてから宝石取られて殺されちゃうんだよ?それでも良いの?」

『良いわけねぇだろ!?俺だってこんなところでくたばりたくはねぇよ!?』

 

 強がるんだったらせめてもうちょっと粘ってよ……。

 

「まったく……アロホモラ」

『お?』

 

 私はホーンド・サーペントの檻の鍵を開けると、彼を持ち上げて檻から出した。

 

「ごめんなさい、呪文解除の魔法はまだ教わってないの」

『いやあ、檻から出してくれただけでもありがてえよ嬢ちゃん』

「取り敢えず、ここ「おい、今なんか声聞こえなかったか?」ッ!?」

 

 ヤバイ…静かに喋ってたつもりだったけどあいつらに聞こえていたらしい。

 

『嬢ちゃん、俺が時間を稼ぐからその隙に逃げろ!』

「何いってるの!?小さくされているから一捻りされちゃうよ!?」

 

 例え彼が密猟者に戦いを挑んだとしても、瞬殺されるのがオチだ。

 

「おい、お前見てこい。大事な商品の確認をしろ」

「おい貴様、この私に命令する気か?」

「黙れ!今のリーダーはこの俺だ。お前らは黙って俺にしたがってりゃ良いんだよ!!」

 

 どうやら内輪揉めをしているようだ。今のうちに外に出れば良い。

 

「……ディフィンド!」

「……え?」

 

 思わず声が出てしまった。だって仕方ないと思う。仲間が仲間を殺したのだから。

 

「…き、さま……よく、も…カハッ!」

 

喉を切り裂かれた一人は地面に倒れて、そして死んだ。

 

「お前!いったい何を!?とうとうとち狂ったのか!?」

「黙れ!こんなやつ、死んだ方がましだ!」

「わかってるのかお前!全員で協力しないと我々も魔法省に捕まるんだぞ!」

「知ったことか!もうウンザリだ!!貴様も死ね!!死にさらせ!仲間?協力?知ったことか!!せめて私だけでも逃げきってやる!!」

 

 いつの間にか、密猟者達は殺し合いを始めた。私はただ、その光景を見ていた。彼らに狙われているわけでも、殺されそうになっているわけでもないのに、私の体は何故か動かなかった。

 

『ぼっさとしてんな嬢ちゃん!今のうちに脱出だ!』

「…う……うん!」

 

 ホーンド・サーペントの声で我に帰った。私は彼を抱えてカモフラージュされた壁を抜けて大通りに出た。

 

『おい、こっからどうすんだ!?』

「お爺ちゃんを探す!魔法省で結構偉い人らしいから!誰に言えば良いかわかんないから取り敢えずお爺ちゃんに知らせる!」

 

 大通りは相も変わらず人で溢れていた。この中からお爺ちゃんを探し出すのは骨が折れそうだ。

 

「グレエエエエエエエエエイ!!どこじゃあああああああああああぁぁぁ!!」

 

 前言撤回、そんなこともなかった。

 

「お爺ちゃん!」

「グレイ?…グレイ!?一体どこをほっつき歩いておったんじゃ!?儂心配で死ぬとこじゃったぞ!?」

「ごめんなさいお爺ちゃん!でも時間が無いの!向こうの裏路地に密猟者、いや、闇の魔法使いがいたの!」

 

 密猟者と闇の魔法使いと聞いて、お爺ちゃんは血相を変えた。

 

「…そうか、グレイ、そこで何を見た?」

「私が何を見たかなんて今はどうでも「グレイ!」ッ!?」

 

お爺ちゃんの目は、怒っているような、悲しんでいるような、そんな目だった。

 

「そこで、何を見た?」

 

 私は自分の顔が濡れているのが遅れて気づいた。私の顔は涙でグチャグチャになっていた。

 

「……あの人達が、殺し合うのを、見た……」

「……そうか……」

 

 お爺ちゃんはただ、私をぎゅっと抱き締めた。

 

「奴らのことは、儂の部下に任せろ。儂らは早く家に帰ろう」

「……うん……」

 

 そう頷くと、お爺ちゃんは私を抱えて歩き出した。私はただ、お爺ちゃんの腕の中で静かに泣き続けた。

 

 ーー

 

 私とお爺ちゃんが帰った後、私は家族の皆に謝った。心配をかけたこと、お爺ちゃんの言いつけを守らなかったことについてだ。皆は私に抱きついて『無事ならなんでも良い』と言っていたけど、それでも私は謝り続けた。

 

 謝った後、私は皆にことの経緯を話した。大通りを歩いていたら声が聞こえたこと。その声の主がホーンド・サーペントで、密猟者に捕まっていたこと。仲間の癇癪で殺し合いに発展したこと。その隙に私は逃げてきたこと。まず私は、どうして蛇の言葉がわかるのかを聞いた。その問いにはお婆ちゃんが話してくれた。私の先祖、サラザール・スリザリンはパーセルマウスといって蛇と会話が出来る人だったらしい。そして子孫である私達も同じことができると教えてくれた。

 

『成る程ねぇ、そういうからくりか』

「…ねぇ、本当に良いの?私と一緒にイギリスに行っても」

『お嬢ちゃんには、返しきれそうにない借りが出来ちまったからな。俺はお嬢ちゃんについていくぜ』

「…ありがとう」

 

 クリスマス休暇も明日で最終日になった日、私はイギリスに帰ることになった。明後日からまたホグワーツだから、当然と言えば当然だけど。

 

「グレイ、また今度、遊びに来てね」

「怖いことがあったら、すぐに連絡するんだぞ。お爺ちゃんが何とかしてやる」

「うん、ありがとう、お爺ちゃん、お婆ちゃん。いってきます」

「「いってらっしゃい」」

 

 あの事件から数日経った。恐ろしいものを見たのは確かだけど、家族の皆が支えになってくれた。乗り越えたってわけでもないけど、どんなことがあっても、私には支えてくれる家族がいるから今日も頑張って生きていける、だから、落ち込むのも、暗くなるのも辞めよう、そう心に決めた。

 

「グレイ、煙突飛行ってやつ頼むよ」

「楽しみねぇ」

「うん、帰ろう。ホグワーツに」

 

 

 




自分の文才の無さに涙が出ます……。

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