ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

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グリッドマン・ユニバース見たけど滅茶苦茶良かったです。


第12話 意外な答え

「グレイ!久しぶり!!元気だった?」

「久しぶりハーマイオニー。私も会えて嬉しい!」

 

駅で両親と別れを済ませてホグワーツ特急に乗車した後、ハーマイオニーと再会した。

 

「クリスマスプレゼントありがとう、美味しくいただかせて貰ったよ」

「こちらこそ!あなたのお父さんの小説、とっても面白かったわ」

「ありがとう、お父さんも喜ぶと思う」

 

私とハーマイオニーは互いの近況を報告しあった。私はニコラス・フラメルについては何も情報を掴めなかったこと。自分の祖父母が魔法使いだったこと。密猟者を目撃して、そこからホーンド・サーペントを助けたことをハーマイオニーに話した。

 

「なんて危ないことをしたの!?もし見つかってたら酷い目に合わせられるのよ!?」

「うん、本当にごめん、ごめんなさい」

 

ハーマイオニーは顔を真っ赤にして怒った。当然といえば当然だけど。

 

「いい?グレイは一人で突っ走らないこと!もしそういう状況になったら私も一緒に行くわ!」

『ハハハ!良いなこの嬢ちゃん、意外と根性あるじゃねぇか』

「ちょっとサファイア、無闇に顔出さないでよ」

『ずっとグレイのフードに入ってるのも退屈なんだよ』

 

ちなみにサファイアという名前は彼の額にある宝石がサファイアのように青かったから付けた名前だ。

 

「…何?この蛇」

『ん?おい今何つった?』

「ああ、彼?私が密猟者のところから助け出したホーンド・サーペントのサファイア」

「……はあああああああ!?」

「凄い驚くね」

「だって!だってホーンド・サーペントよ!?魔法使い殺しよ!?本に載ってたのより小さいし、助けただけで懐くような魔法動物じゃ無い筈よ!?」

「あーそれは…」

 

私はハーマイオニーにお婆ちゃんの家系がサラザール・スリザリンの血筋だったことを話した。

 

「…小さいのはグレイでしか解除出来ない魔法をかけているから…手懐けられたのはグレイのお婆ちゃんがサラザール・スリザリンの血を引いてて、その孫であるあなたも同様に血を引いてるためパーセルタングを使えるから……」

「ついて来たって感じに近いけどね」

 

そもそも自分がスリザリンの末裔なんて実感が未だに持てない。

 

「あれ?でも変ね、グレイがスリザリンの末裔なら普通はグリフィンドールじゃなくてスリザリンに組分けされるものじゃないの?」

「……確かに」

 

ていうかあの帽子、私のことグリフィンドールにふさわしい血筋とか何とか言ってなかったけ?

 

「よっぽど私がスリザリンに向かない性格だったんじゃないの?」

「そういうものかしら?」

 

それに組分け帽子が何を考えて私をグリフィンドールに組分けしたのかはわからないけど、もし私がスリザリンに組分けされたとしてもあのマルフォイと同じ寮でちゃんと生活出来るとは思えなかった。

 

「グレイ、あなたがスリザリンの血筋ってことは話すにしてもロンとハリーくらいにしておきなさい」

「え、なんで?」

「もしグレイがスリザリンの末裔ってことがバレたら、マルフォイのやつあなたに変な難癖付けてくるに違いないわ。スリザリンの末裔の癖にグリフィンドールに組分けされるとはなんだ!って」

「えぇ……そう?」

「きっとそうよ!取り敢えず、グレイは人前でパーセルタングを使っちゃ駄目よ。わかった?」

「……わかった……」

 

やっぱり創設者の血を引いてるってだけで周りを騒がせてしまうものなのか…。

 

 ーー

 

ホグワーツ特急を降りると私達はちょっと不気味なペガサスみたいな魔法動物、セストラルが引く馬車に乗り込んでホグワーツに入った。グリフィンドール寮は休暇明けで帰ってきた生徒とホグワーツに残っていた生徒が再会を喜んでいた。

 

「やあ二人とも、お帰り」

 

ハリーとロンはその中でチェスをしていた。盤を見るに、ロンの方が優勢だった。私もロンには一回も勝てたことが無いからハリーが負けるのも仕方の無いことだ。

 

「新しい眼鏡をくれてありがとうグレイ!」

「こちらこそ、クリスマスカードありがとうハリー。眼鏡とっても似合ってる」

「…うん……ありがとう」

 

前のハリーの眼鏡は金属の縁が色褪せていて折れたところをテープで補強していたボロボロな物だった。だから私はハリーにクリスマスプレゼントで銀の丸眼鏡を送っていた。それも魔法界の、視力が変わるとレンズも変わる優れた物だった。ハリーはとても気に入ってくれたらしい。

 

「あ、そうだロン。ロンのお母さんにセーター貰ったんだけど」

「え!?君にもあのセーター来たの!?あのちょっとダサいやつ」

 

……ダサい?

 

「え?別にダサくはなかったよ。ふつうのセーターだった」

 

そう言いながら私は二人にセーターを見せた。

 

「普通だ…」

「普通のセーターだ…」

「待ってどんな物だと思ってたの?」

 

ハリーとロンは自分達の部屋から貰ったセーターを持って来て私に見せてきた。赤いセーターでロンのはR、ハリーのはHのイニシャルがでかでかとつけられていた。

 

「……これは…その……個性的…だね…」

「無理しなくていいよグレイ、ダサいんだろ?」

「……すいません」

 

ちょっとダサかった。イニシャルを無くせば普通のセーターなのに、ロンのお母さんが端正込めてつけたであろうイニシャルがセーターをダサくしていた。

 

「もうセーターのことはいいよ、僕は透明マントを貰ったんだ」

「透明マント?」

「ああそうさ、クリスマスプレゼントで貰ったんだ。誰からかはわからないけど、僕のお父さんから預かってたんだって」

 

ハリーは頷くと、私達にクリスマスであった出来事を話してくれた。貰った透明マントでホグワーツを徘徊したこと。『禁書の棚』の本を盗み見ようとしたこと。ハーマイオニーはその話を聞くと驚き、呆れ果てていたけど私はとても面白く感じた。しかし、『禁書の棚』の本は警報機能のような仕掛けになっていたらしく、ハリー達もニコラス・フラメルの情報を掴むことは出来なかったそうだ。

 

「あー、それとフィルチから隠れる為に入った部屋でみぞの鏡ってのを見つけた」

「みぞの鏡?」

 

ハリー曰く、みぞの鏡は写った人にその人自身の本当の望みを見せるという、ちょっと変わった魔法の鏡だそうだ。

 

「ロンもその鏡を見たの?」

「見たよ、僕はクィディッチの優勝杯を持つ姿が見えた」

「へぇ、面白そうね!また今度私も見に行って良いのかな?」

「残念だけど、ダンブルドア先生がどっかへ持ってっちゃった。どこにあるのかもわからないよ」

「ええー……そうなんだ…残念…」

『そもそもグレイに今どうしても叶えたい望みなんてあるのかよ』

「……ごめんグレイ、さっきから気になってたんだけど、そのフードの蛇何?額に宝石をつけてるなんて変わってるね」

『……あ"ぁ"?』

「まずい…まともに聞こえてた…」

 

私はまだサファイアと一緒に過ごして間もないがいくつかわかっていることがある。サファイアは普通の蛇と同列に扱われることを嫌うのだ。

 

『…なんだぁ?テメェ…喧嘩売ってんなら買うぜ!』

「……話せば長くなるから後で話すね……」

 

私は他の生徒に見られないようにサファイアをフードの奥に押し込んだ。その後、私は二人にいかにしてサファイアと出会ったのかを話した。話そうかとも思ったけど、スリザリン嫌いの二人に私がスリザリンの末裔であることは伏せて。

 

 ーー

 

ホグワーツでの通常授業が再開した後も、私達は諦め半分だけどニコラス・フラメルについて調べ続けていた。ハリーはどこかで見たことがあると言っていたけど、クィディッチの練習のおかげで再び多忙になり状況は変わらないままだった。

 

「…うわ、外凄い雨降ってるよ…ハリー風邪ひかないか心配だな…」

「僕、ウッドのしごきが凄くキツイってハリーがぼやいてるの聞いたよ」

「試合前に病気にならないと良いわね…」

 

大雨が降り注ぐある日、談話室でハーマイオニーがロンとチェスをして、私はダンブルドア先生からウォークマンとおまけで貰ったカセットでオペラを聞いていた時のこと。

 

「皆!最悪な事態になった!」

「ごめんハリー、今は話しかけないで。集中したいから」

「……どうしたのハリー、凄い顔してるよ?」

 

ハリーは血相を険しくしながら談話室に駆け込んで来た。

 

「明後日のハッフルパフ戦、スネイプが審判をやるらしい」

 

ハリーは小声で他の生徒に聞かれないようにしてそう告げた。チェスに集中していたロンとハーマイオニーも、ヘッドホンをつけていた私も、その報告には度肝を抜いた。

 

「試合に出ちゃ駄目よハリー、絶対に駄目!」

「病気だって言えよ、バレそうになったら僕達で誤魔化すからさ」

「なんならいっそ今病気になる?呪いでそんなのが無いかちょっと調べてくる」

「いやグレイ、それはさすがに不味いよ。下手したらハリーが大変なことになる」

「あ、そっか」

「足を折ったことにしましょう」

「よしハリー、足を折ろう。マダム・ポンフリーから痛み止め貰ってくる」

「そんなこと出来るわけないだろ、というか普通に嫌だよ。それにシーカーの補欠はいないんだ。僕が出場しないとグリフィンドールはプレイ出来なくなってしまうよ」

「それはわかってるけど「誰か助けて!?」……ネビル?」

 

その時、ネビルが談話室に倒れ込んで来た。どうやって肖像画の穴を這い登れたのやら、両足がぴっちりとくっついたままで、『足縛りの呪い』をかけられたと直ぐにわかった。きっとグリフィンドール塔までずっと兎跳びで来たのだろう。

 

「…何がどうしてそうなったのさネビル?」

「アッハハハハ!どうしたのさネビル!?まるで兎だ!」

「兎にしては大きすぎるよハリー!もっと他に例えは無いのかい?」

「ロンもハリーも笑いすぎよ」

 

いきなりすっとんきょうなネビルを見て反応に困った。他の皆は笑い転げていたけど、ハーマイオニーだけは直ぐにネビルに呪いを解く呪文を唱えた。両足がパッと離れ、ネビルは震えながら立ち上がった。

 

「一体どうしてあんなことになったの?」

 

ネビルをハリーとロンのそばに座らせてから、ハーマイオニーが尋ねた。でも聞く必要は無いと思った。グリフィンドール生に積極的に嫌がらせをしてくる奴なんて、大体わかる。

 

「マルフォイにやられたんでしょ?」

「えっ!なんでわかったの!?」

「そりゃわかるよ、ネビルに呪いをかけて嫌がらせをする奴なんてマルフォイくらいだもの」

「……うん、その通りだよ…マルフォイにやられたんだ…図書室の外で会ったんだけど、誰かに呪文を試してみたかったって……」

「マクゴナガル先生のところに行きなさいよ!マルフォイがやったって報告するのよ!」

 

ハーマイオニーは怒っていた。やはり真面目なハーマイオニーも普段のマルフォイの行動にはうんざりしているようだ。

 

「いや、いいよ。これ以上面倒は嫌だ」

 

ネビルは首を横に振ってそう言った。

 

「ネビル、マルフォイに立ち向かわなきゃ駄目だよ。あいつは平気で皆を馬鹿にしている。だからといって屈服して奴をつけ上がらせて良いってもんじゃない」

「僕に勇気が無くてグリフィンドールに相応しく無いってことは、言われなくてもわかってるよ。マルフォイがさっきそう言ったから。僕には…君達みたいな勇敢な人間にはなれないんだ!!」

 

ロンがネビルに発破をかけたが、効果は薄そうだ。というかむしろ逆効果みたいだ。ネビルの自身の自信の無さと、マルフォイの嫌がらせがネビルをネガティブな思考に追いやってるみたい。

 

「…ネビル、これ食べなよ。きっと元気が湧く」

「……蛙チョコ?……」

 

ハリーはポケットから蛙チョコをとりだしてネビルにあげた。きっとハーマイオニーから貰ったお菓子の余りだろう。私もまだ食べきれていないのだから間違いない。

 

「マルフォイが十人束になったって、君には及ばないよ。君は組み分け帽子に選ばれて、グリフィンドールに入ったんだろう? マルフォイはどうだい? 腐れスリザリンに入れられたよ」

「腐れスリザリン……言い過ぎでは?」

 

さすがにちょっと言い過ぎではないだろうか?確かにマルフォイは嫌な奴だがスリザリン生の全員が性格が悪いと決まったわけではない。マルフォイが筋金入りなだけだろう。

 

「良いんだよグレイ。少なくとも僕からしてみればあいつは腐れスリザリンさ」

「…まあマルフォイ単体で見ればそうなのは確かだけど」

 

私とハリーでどこからがスリザリンでどこまでが腐れスリザリンなのか議論している間、ネビルはチョコを食べ終えていた。

 

「皆、ありがとう……僕、もう寝るよ……ハリー、カードあげる。集めてるんだろう?」

「え、ああ、ありがとう」

 

ネビルは優しく微笑むと、自室に戻って行った。

 

「…またダンブルドアだ。僕が初めて見たカード……」

 

確か、ハリー達とホグワーツ特急でお菓子を頬張っていた時、ハリーはダンブルドアのカードを当ててたっけ。

 

「…………いたああああああぁぁあ!?!?」

「「「!?」」」

 

突然、ハリーが叫び声を上げた。何かよくわからないけど、ダンブルドアのカードを見ていたらいきなりだ。

 

「どうしたのハリー!?マルフォイがウザすぎて頭おかしくなっちゃった!?」

「フラメルを見つけた!!」

「……今……なんて?」

「フラメルを見つけたんだよ!どっかで名前を見たことがあるって前言ったよね。ホグワーツに行く時の汽車で見たんだ……聞いて……ダンブルドア教授は『特に、一九四五年、闇の魔法使い、グリンデルバルドを破ったこと、ドラゴンの血液の十二種類の利用法の発見、パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名』」

 

その時、私の体に稲妻が走った。そうだ、ハグリッドが言っていたではないか。『あれはダンブルドアとニコラス・フラメルのー』と。ハグリッドが口を滑らせていたではないか。完全に見落としていた。答えはもう出ていたのに、遠回りをしていたようだ。というか、あれだけ図書室の本を片っ端から漁っても出てこなかった答えが、蛙チョコのカードって……なんか納得いかない。

 

「きっとこれに載っている筈よ!」

 

私が衝撃を受けて固まっている間に、ハーマイオニーが部屋から巨大な古い本を持って来た。

 

「ちょっと軽い読書をしようと思って、随分と前に図書室から借り出して来たの」

「軽いって…これがかい?」

「見つけるまでちょっと黙ってて」

「……」

 

ロンはハーマイオニーに従い、ずっと黙り続けた。私とハリーは横で笑いを堪えた。

 

「これだわ!これよ!」

「もう喋っても良いのかな?」

「良いんじゃない?見つけたんだし」

「よく聞いて。ニコラス・フラメルは、賢者の石の創造に成功した数少ない人物!」

 

賢者の石?

 

「賢者の石って、パラケルススやサンジェルマン伯爵が作った賢者の石?」

「ええ、そうよ。ニコラス・フラメルも賢者の石を作っていたのよ」

「なにそれ?僕初耳なんだけど」

「僕もだよ」

 

私とハーマイオニーはある程度賢者の石が何なのかわかっていたから会話が成立したが、ハリーとロンは話の内容について来れていないようだ。

 

「まったくもう。二人とも本を読まないの?ほら、ここ読んでみて」

 

ハーマイオニーが二人の方に本を押して寄越した。

 

「あ、私もその本はまだ読んでないから声に出して読んでくれないかな?」

「良いよ。えっと、なになに…錬金術とは、『賢者の石』と言われる恐るべき力を持つ伝説の物質を創造することに関わる古代の学問であった。『賢者の石』は、いかなる金属をも黄金に変える力があり、また飲めば不老不死になる『命の水』の源でもある。『賢者の石』については何世紀にも渡って様々な錬金術師達が創造したとの報告がされてきたが、現存する唯一の石は著名な錬金術師であり、オペラ愛好家であるニコラス・フラメル氏が所有している。フラメル氏は昨年六六五歳の誕生日を迎え、イギリスのデボン州でペレネレ夫人(六五八歳)と静かに暮らしている。…だってさ」

 

成る程、オペラ愛好家の部分は必要だったかはわからないけど、大体のことは理解できた。

 

「ねっ?あの犬はフラメルの『賢者の石』を守っているに違いないわ!フラメルがダンブルドアに保管を頼んだのよ。だって二人は友達だし、フラメルは誰かが石を狙っているのを知っていたのね。だからグリンゴッツから石を移して欲しかったんだわ!」

「金を作る石、決して死なないようにする石!スネイプが狙うのも無理ないよ。誰だって欲しがるもの」

「成る程な、『魔法界における最近の進歩に関する研究』に載ってなかったわけだ。だって六六五歳じゃ厳密には最近とは言えないよな」

「そんな物がもしスネイプや闇の魔法使いの手に渡ったら大変よ!ダンブルドア先生はどうしてスネイプをホグワーツから追い出さないのかしら?」

 

それぞれが意見を出して、私達は全体像を掴んでいった、まるで今までわからなかったジグソーパズルが一つのピースから途端に埋めるのが早くなるように。

 

 ーー

 

「明日の試合、僕は出るよ」

 

ニコラス・フラメルと賢者の石のことがわかった日の翌日。ハリーは突然、私達に宣言した。突然のことすぎて、頭が理解するのに少しだけ遅れた。

 

「ハリー、本気なの?審判はスネイプだよ。もしハリーに何かあったら……」

「わかってる。でも出なかったら、スリザリンの連中はスネイプが怖くて僕が試合に出なかったと思うよ。僕はそれがとっても嫌だ。目にもの見せてやる……僕達が勝って、連中の顔から笑いを拭い去ってやるんだ!」

 

どうしてハリーがそう言ったのかはわからなかった。私は止めようかと思ったけど、ハリーの目を見たらその気も失せてしまった。どうしてかはわからない。でも今のハリーの目からは、やると言ったらやる……凄みを感じた。

 

「……わかった、でもそのかわり無茶だけはしないでね。もし危ないと感じたら、直ぐに試合から離脱して」

「ピッチに落ちたあなたを、私達が拭い去るはめにならないようにね」

 

そしてやってきた、翌日の昼過ぎ、私達は更衣室の外で「幸運を祈る」と、ハリーを見送った。正直、ハリーと生きて会えるかどうかもわからなかった。

 

「ねぇ三人とも、なんでそんな怖い顔してるの?」

「気にしないでネビル。試合が楽しみで眠れなかっただけだから」

「でも杖を「気にしないで」……わかったよ」

 

ネビルをちょっと黙らせて、私達は競技場のハリーとスネイプに意識を集中させた。もしハリーに何かあったと確認したら、私達は昨日ハリーには秘密で覚えた『足縛りの呪文』をスネイプに掛けることにしている。ハリーが大変な目に合う前に、スネイプを止めてみせる。

 

「いいこと、忘れちゃ駄目よ。ロコモーター、モルティスよ」

「わかってるったら。そうガミガミ言うなよ、君は僕のママかい?」

 

二人の会話を片隅に、私は競技場を見回した。すると私の視界に珍しい人が写った。

 

「ダンブルドア先生がいる…」

「えっ、うそ、ほんとに?」

 

ロンとハーマイオニーはダンブルドア先生を見た途端に表情が少しだけ和らいだ気がした。どんな魔法使いでも、ダンブルドア先生の前ではなにもできないと、私も思った。選手達が競技場に出てくると、私は双眼鏡でハリーを見た。少し力んでいるようにも見えるけど、最初の試合程じゃないからきっと大丈夫だろう。スネイプを見てみると、彼は腹を立てているように見えた。

 

「さあ、プレイボールだ! アイタッ!」

 

ロンがいきなり誰かに叩かれた。後ろを振り向くと、何故かクラッブとゴイルを引き連れたマルフォイがいた。

 

「ああ、ごめん。ウィーズリー、気がつかなかったよ。」

 

マルフォイはニヤリと笑いながら続けた。

 

「この試合、ポッターはどのくらいの間箒に乗っていられるかな?誰か、賭けないかい?ウィーズリー、どうだい?」

 

私はなるべくマルフォイの声が耳に入らないように意識した。ジョージがブラッジャーをスネイプに向かって打ったという理由で、スネイプがハッフルパフにペナルティー・シュートを与えたところだった。ハリーはスニッチを探して鷹のようにぐるぐると上空を旋回していた。

 

「グリフィンドールの選手がどういうふうに選ばれたか知っているかい?」

 

暫くしてマルフォイの声がまた聞こえた。丁度スネイプがなんの理由も無くハッフルパフにペナルティー・シュートを与えたところだった。

 

「気の毒な人が選ばれるんだよ。ポッターは両親がいないし、ウィーズリー一家はお金が無いし……ネビル・ロングボトム、君もチームに入るべきだね。脳みそが無いから」

「いい加減にしてよマルフォイ!今の言葉は聞き捨てならない!」

 

私は我慢出来なかった。マルフォイが言ったことは、いくらなんでも酷すぎる。ハリーもロンもネビルも、望んでそうなったわけでもないのに。私は振り返って、マルフォイと向き合った。

 

「なんだよベアボーン、本当のことだろ?」

「例え本当のことでも、言って良いことと悪いことがあるって誰だってわかるでしょ?そんなことも理解できないの!?」

「口を慎めベアボーン。お前ごときが僕に説教するな!」

「なんですって!」

 

マルフォイには何を言っても無駄だった。こいつは私達を自分よりも格下だと思っているんだろう。純血じゃないから。

 

「マルフォイ! ぼ、僕は、君が十人束になっても敵わないぐらい価値があるんだ!」

 

ネビルが顔を真っ赤にしてマルフォイに向き合った。ネビルが直接マルフォイに対峙していることに、私は驚きを隠せなかった。

 

「グレイ、君は試合に集中しなよ。僕がこいつを黙らせるから」

「……ネビル……」

 

そうだ、私はマルフォイにかまけている暇は無かった。ネビルの言う通りだ。私はマルフォイから、試合に意識を向けた。

 

「ロングボトム、もし脳みそが金で出来ているなら、君はウィーズリーより貧乏だよ。つまり生半可な貧乏じゃないってことだな」

「……いい加減にしろよマルフォイ…」

「ロン!ハリーが!」

 

ロンは試合よりもマルフォイに注意が引き付けられていたが、ハーマイオニーの声で注意を戻した。

 

「なに?どこ?」

 

私は双眼鏡でハリーを見ると、ハリーは突然ものすごい急降下を始めた。思わず息を呑んだ。ハリーは弾丸のように一直線に地面に向かって突っ込んでいく。

 

「運が良いぞ。ウィーズリー、ポッターはきっと地面にお金が落ちているのを見つk『いい加減にしろこの腐れ野郎!』「ピピィ!!」だっ!?」

 

マルフォイが何か言おうとしたが、ビートルとサファイアが飛び出してそれを遮った。ビートルはマルフォイの額にくちばしで体当たりをかまし、サファイアはマルフォイの首を絞めていた。クラッブとゴイルはどうすればわからず右往左往している。

 

「ちょっとあなた達!?一体何やってんの!?」

『見りゃわかるだろ!この小僧を絞めてるんだよ』

「ピピピィ!!」

「それはわかるけど動物のあなた達がやったら駄目でしょ!?」

「良いぞグレイ!そのままやっちまえ!」

「私が指示を出したわけじゃないから!というかマルフォイもう気絶してるから!このまま続けると死ぬから!」

 

ビートルとサファイアをマルフォイから引き離すと、競技場から爆発のような大歓声が聞こえた。

 

「何!?どうなったの!?」

「試合終了よ!ハリーが勝った!私達の勝ちよ!グリフィンドールが首位に立ったわ!」

 

再び競技場を見ると、ハリーの手には金のスニッチが握られていた。ハーマイオニーは狂喜して椅子の上で跳びはね、それから私に抱きついてきた。

 

「ハーマイオニー、ちょっと苦しい…」

 

私はハーマイオニーと抱き合いながら喜んでスニッチを空高く掲げるハリーとそれを称えるダンブルドア先生が見えた。そしてその後ろで、苦々しげに地面に唾を吐くスネイプも見えた。

 




やはりアニメは素晴らしい!

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