ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

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第13話 危険な卵

「ねぇグレイ、ハリー見なかった?」

「ハリー?見てないけど、それがどうかしたの?」

「おかしいな…フレッド達はとっくに寮にもどってるのに」

「えっ、帰ってきてないの?」

 

 クィディッチの試合が終わった後、グリフィンドールの生徒達はお祭り騒ぎだった。それも当然だろう。今日の試合で勝利したことによりグリフィンドールは首位に立った。もしかしたらスリザリンの七年連続優勝を止めることが出来るかもしれないからだ。

 

「ハリー遅いわね、寮じゃもうとっくにパーティーが始まっちゃってるのに」

 

 私達三人は試合が終わって暫く経ったのにやって来ないハリーを玄関ホールで待ち続けていた。今回の主役が居ないんじゃ、パーティーも盛り上がらない。

 

「あ!ハリーが来たわ!」

 

 もう暫く待っていると、ようやくハリーがやって来た。ただし、優勝したことを喜ぶ顔でなく、顔色が悪く、焦りと恐怖が混じった複雑な顔で。

 

「遅いわよハリー!一体どこに行ってたの?」

「僕らが勝った!君が勝った!僕らの勝ちだ!」

 

 ロンとハーマイオニーは、帰ってきたハリーをこれ以上無いくらい称えたけど、私にはハリーはそこまで嬉しがっていないような顔に見えた。

 

「マルフォイがちょっかいかけてきたんだけどさ、グレイのペット達があいつを懲らしめてくれたんだ!お陰でスリザリンの奴らに目にもの見せてやったぜ。みんな談話室で君を待ってるんだ。パーティーをやってるんだよ。フレッドとジョージがケーキやらなにやら、キッチンから失敬してきたんだってさ」

「悪いけど、そんなことしてる時間は無いよ」

 

 ハリーはロンのマシンガントークを一蹴すると、私達を人気の少ない教室まで連れていった。

 

「どうしたのハリー?試合が終わってから調子悪いの?……もしかして…スネイプに何かされた!?」

「そんなんじゃないよ。あ、いや、されはしなかったけどスネイプに脅されているクィレル先生を見たんだ」

「……それ本当?」

 

 私達はことの顛末を聞いた。城の正面の階段をスネイプが急ぎ足で下りていくのを見たハリーは怪しいと思い、スネイプを箒に乗って尾行。森の中でスネイプがクィレル先生を脅すのを見たそうだ。

 

「やっぱり僕達は正しかった。『賢者の石』だったんだ。それを手に入れるのを手伝えって、スネイプがクィレル先生を脅していたんだ。スネイプはフラッフィーを出し抜く方法を知っているかって聞いてたんだよ。それと、クィレルの『怪しげなまやかし』のことも何か話してた……フラッフィー以外にも何か別のものが石を守っているんだと思う。きっと、人を惑わすような魔法がこれでもかってくらいかけてあるんだよ。クィレルが闇の魔術に対抗する呪文をかけて、スネイプがそれを破らなくちゃならないのかもしれないよ……」

「それじゃあ『賢者の石』が安全なのはクィレル先生がスネイプに対抗している間だけということになるわ」

「…それってかなり不味いんじゃ?…」

「ああ、ヤバいよ。多分短くて明日、長くても三日ももたないよ」

 

 いつもオドオドしていて弱気なクィレル先生じゃ、悪人であるスネイプにいつか必ず負けるだろう。一刻も早く、スネイプをなんとかしなければ……。

 

 ーー

 

 いつも通り朝起きて、着替えて、朝食を食べて、授業を受ける。そんな生活が何日か続いた。ハリーが『賢者の石』の危機を私達に訴えてから数日。直ぐにスネイプに口を割るっと思っていたクィレル先生は、顔が徐々に青白くなっていってるけど、私達に予想以上の粘りを見せた。

 

「どう?ちゃんと聞こえる?」

「ええ、バッチリ聞こえるわ」

「今日も元気そうだね、いつも通りの唸り声よ」

「まだ石は無事みたいだぜ」

 

 私達は毎回、四階の廊下の扉にぴったり耳をつけてフラッフィーの唸り声が聞こえるかどうか確かめた。スネイプは相変わらず不機嫌にマントを翻して歩いていたけど、それこそ石がまだ無事だという証拠でもあった。

 

「クィレル先生、お疲れ様です」

「あっ、あ、ありがとう…ポッター君…」

「顔色悪いですよ。最近ちゃんと寝れていますか?」

「そ、そそ、そうかい?ち、ちゃんと睡眠はとってる筈だが…」

「あ、そうだ先生。今日の授業でちょっとわからなかった箇所があったんですけど、質問良いですか?」

「あ、ああ。ベアボーンさん…ぜぜ、是非質問してくれ」

「ありがとうございます」

 

 ハリーの報告以来、私達はクィレル先生に出来るだけ優しく接するようにした。ハリーは励ますような笑顔を向けるようにし、ロンはクィレル先生の吃音をからかう生徒達をたしなめ、私はクィレル先生を労りつつ授業でわからなかった部分の質問をした。

 

「クィレル先生はどんな感じかしら?あとどれくらい耐えてくれそう?」

「さあ?私は正確にクィレル先生の体調を把握してるわけじゃないから、彼がどこまで耐えれるかは私にはわからないよ」

「それは仕方ないよ、他人の状態を完璧に把握出来たら怖いさ。……話は変わるけどハーマイオニー。君さっきからなにしてるの?」

「あなたとロンの学習予定表を作っているのよ。次の試験で二人が良い点数を取る為にね」

「げぇ……」

 

 談話室では、ハーマイオニーが学習予定表を作り上げ、ノートにはマーカーで印をつけ始めた。そんなハーマイオニーを見て二人は途端に項垂れていた。私も試験のことを聞いて気が重くなった。

 

「ハーマイオニー、試験はまだずうっと先だよ」

「十週間先でしょ。ずうっとじゃないわ。ニコラス・フラメルの時間にしたらほんの一瞬よ」

 

 ハーマイオニーは厳しく正論で二人を捩じ伏せた。強い……。

 

「というかなんで僕達のしか作らないんだ?グレイのは?」

「グレイはあなた達と違って授業の前の予習と終わった後の復習をちゃんとしてるわ。グレイには必要無いわよ」

「……変なプレッシャーかけないでくれる?」

 

 でもまあ確かに、授業の予習と復習はきっちりやってるから予定表を作って貰う必要は無いけど。

 

「じゃあハーマイオニー、君はなんで勉強するんだ?君はもう、全部知っているじゃないか」

「なんでですって?気は確か?二年生に進級するには試験でに合格する必要があるのよ。大切な試験なのに、私としたことが……もう一月前から準備を始めるべきだったわ」

「……君ってストイックだ」

「つべこべ言わずに素直に予定表作って貰ったら?どっちみち勉強はしなきゃいけないんだし」

「……わかったよ」

 

 私も油断は出来ない。ハーマイオニーは私に予定表は必要無いとは言ったけど、まだ試験の不安要素は色々あるので私も本格的に試験勉強に取り組んだ。宿題が山のように出ていたこともあって復活祭の休みも試験勉強に費やした。ドラゴンの血の十二種類の利用法を暗記したり、杖の振り方を練習し、自由時間の殆どもハリー達と一緒に図書室で過ごし、勉強に精を出した。

 

「あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"……ダメだ。これ以上覚えたら絶対頭がパンクする…」

「あとちょっとじゃない。そのページくらいは覚えたら?」

「無理、僕の脳みそが教科書を見ることを拒否してるんだ」

 

 ロンはそう言って根を上げ、羽ペンを投げ出すと図書室の窓から恨めしげに外を見ていた。私もそれにつられて外を見る。外はここ数ヶ月ぶりの素晴らしい天気だった。空は草色のブルーに澄み渡り、夏の近づく気配が感じられた。窓の手前では図書室に入ってくる日光をビートルが気持ち良さそうに浴びていた。

 

「ハグリッド!図書室でなにしてるんだい?」

 

 ロンの声を聞いて本棚の方を見てみると珍しいことにハグリッドが図書室に来ていた。バツの悪そうにもじもじしながら、背中になにか隠している。

 

「いや、ちぃっと見てるだけだ。気にせんでくれ。お前さん達は何をしてるんだ?まさか、ニコラス・フラメルをまだ調べとるんじゃないだろうな?」

 

 ハグリッドは少し早口になっていた。背中に隠している物がそれほど見られたくない物なのだろうか?

 

「そんなの、もうとっくの昔にわかったさ!それだけじゃない。あの犬が何を守っているかも知ってるよ『賢者のいー』」

「シーッ!」

 

 ロンが意気揚々と答えるのを、ハグリッドが焦りながら止めた。

 

「そのことは無闇に大声で言い触らしちゃいかん。お前さん達、まったくどうかしちまったんじゃないか?」

 

 別に今のはロンが暴走しただけだと思うけどね……。

 

「丁度良かった。ハグリッドに聞きたいことがあるんだけど。フラッフィー以外にあの石を守っているのは何なの?」

「シーッ!頼むからもうちょい小さな声で喋ってくれ。後で小屋に来てくれや。ただし、教えるなんて約束は出来ねえぞ。ここでそんなことを喋りまくられちゃ困る。生徒が知ってる筈はねえんだから。おれが喋ったと思われるだろうが……」

「実際にハグリッドが口を滑らせたから私達は知っているんじゃない」

「ウグッ……」

 

 私がそう指摘すると、ハグリッドはバツが悪そうな顔になった。

 

「じゃ、後で行くよ」

 

 ハリーがそう返すと、ハグリッドはもぞもぞと図書室から出ていった。

 

「ハグリッドったら、背中に一体何を隠してたのかしら?」

「さあ?でも私達に見せられない物みたいだから、もしかしたら石と何か関係してるかも」

「僕、ハグリッドがどの書棚のところにいたか見てくる」

 

 勉強に根を上げていたロンはハグリッドが先程まで立っていたところから本をどっさり抱えて戻って来て、テーブルの上にドサッと置いた。少しだけ興奮気味で。

 

「ドラゴンだよ!」

 

 その名称を聞いて私の頭は少しだけ機能を停止した。

 

「ドラ、ゴン?今、ドラゴンって言った?」

「ああそうさ。ハグリッドはドラゴンの本を探していたんだ。ほら、見てごらん。『イギリスとアイルランドのドラゴンの種類』に『ドラゴンの飼い方、卵から焦熱地獄まで』だってさ」

「ああ、そういえば初めてハグリッドに会った時言ってたよ。ずっと昔からドラゴンを飼いたいと思ってたって」

「……ドラゴンって飼って良かったっけ?」

「良くないよ。ドラゴンを飼うことは僕達の世界でも立派な法律違反さ。一七○九年のワーロック法で、ドラゴンの飼育は違法になったんだ。皆知ってる。もし家の裏庭でドラゴンを飼っていたら、どうしたってマグルが僕達のことに気づくだろ?どっちみちドラゴンを手懐けるのは無理なんだ。狂暴だからね。チャーリーがルーマニアで野生のドラゴンにやられた火傷を見せてやりたいよ」

「だけどまさか、イギリスに野生のドラゴンなんていないんだろう?」

「え?普通にいるよ。山とかで普通に飛び回ってる。ウェールズ・グリーン普通種とか、ヘブリディーズ諸島ブラック種とか。そいつらの存在の噂を揉み消すのに魔法省が苦労してるんだ。もしもマグルがそいつらを見つけてしまったら、その度にそれを忘れさせる魔法をかけなくちゃいけないんだからね」

「じゃあ、ハグリッドは一体何を考えているのかしら?」

「……嫌な予感しかしない……」

 

 その後、ハグリッドがどうしてドラゴンのことを調べていたのか気になりすぎて、私は勉強に集中することが出来なかった。

 

 ーー

 

 それから一時間後、ハグリッドの家を訪ねると、何故か小屋の窓にかかるカーテンが全部閉めらていた。コンコンコンと、ドアを三回ノックする。

 

「誰だ?…おお、お前さん達か」

 

 ハグリッドは私達が来たことを確認するとドアを開け、私達を中に入れると直ぐまたドアを閉めた。

 

「…え、何これ…凄く暑い……」

 

 中はまるで真夏のように暑かった。春も終盤となり夏の暑さが感じられる季節になってきたのに、暖炉には轟々と炎が上がり灰や煤で部屋は汚れている。ハグリッドはお茶を入れ、イタチの肉を挟んだサンドイッチをすすめてきたが、私達は遠慮した。

 

「それで、お前さん達、何か聞きたいっての言ってたな?答えられる範囲なら答えてやる」

「うん。フラッフィー以外に『賢者の石』を守っているのはなにか、ハグリッドに教えて貰えたらなと思って」

 

 ハリーは直球で質問した。ハグリッドは何を聞かれるのかわかっていたのか、図書室の時より驚いてはいなかった。しかめ面をしていたけど。

 

「勿論教えるなんて出来ん。まず第一、おれ自身が知らん。第二に、お前さん達はもう知りすぎておる。だから例えおれが知っていたとしても絶対に教えん。石がホグワーツにあるのにはそれなりのわけがあるんだ。グリンゴッツから盗まれそうになってなぁ…もうそれには気づいておるだろうが。そもそもフラッフィーのことも、一体どうしてお前さん達に知られてしまったのか、わからんなぁ」

「ねぇハグリッド。私達に言いたくないだけでしょう?でも、絶対知ってるのよね。だって、ここで起きてることであなたの知らないことなんか無いんですもの」

「そうだよ。ハグリッドはホグワーツの鍵と森の番人でしょ。この学校を守る大事な仕事がある筈よ。大事な役職の人が重大な案件を知らされていない筈がないわ」

 

 私とハーマイオニーでハグリッドを優しくおだてた。ハグリッドの髭がピクピク動き、髭の中でにこりとしたのがわかった。私はハーマイオニーと顔を見合わせて頷いた。このまま押せばいけるかもしれない。

 

「私達、石が盗まれないように、誰が、どうやって守りを固めたのかなぁって考えてるだけなのよ。ダンブルドア先生が信頼して助けを借りるのは誰なのかしらね。ハグリッド以外に」

「んふふふふ!まぁなぁ……」

 

 ハグリッドはハーマイオニーの言葉ですっかり上機嫌になっていた。あまりにもチョロすぎて思わず吹き出してしまいそうになったので、慌てて口を手で塞いで堪えた。

 

「まぁ、それくらいなら言っても構わんじゃろう……さてと……おれからフラッフィーを借りて……何人かの先生が魔法の罠をかけて……スプラウト先生……フリットウィック先生……マクゴナガル先生……それからクィレル先生、勿論ダンブルドア先生もちょっと細工したし、待てよ、誰か忘れとるな。そうそう、最後にスネイプ先生」

「スネイプですって!?」

 

 ハグリッドが指を折って挙げた名前の中にスネイプがいたことを私は聞き逃さなかった。敵に罠を張らせるなんて、ダンブルドア先生は一体何を考えているんだろう?

 

「ああそうだ。まだあのことに拘っておるのか?スネイプは石を守るのに手助けをしたんだ。盗もうとする筈がなかろう」

 

 私達は今、きっと同じことを考えているだろう。もしもスネイプが石を守る側にいたならば、他の先生がどのような罠を仕掛けたのかを外部から調べるよりも簡単にわかる筈だ。恐らくスネイプは殆どの仕掛けを見抜いているだろう。クィレル先生の仕掛けとフラッフィーを出し抜く方法以外は。

 

「ハグリッドだけがフラッフィーを大人しくさせられるんだよね?他の誰にも教えたりはしてないよね?他の先生にも教えてないよね?」

 

 それは私も気になった。ハグリッドはもしかしたら私達の時と同じように、うっかりどこかで口を滑らせているかもしれない。ハリーが心配するのも当然のことだ。

 

「おれとダンブルドア先生以外は、誰一人として知らん。うっかり口を滑らせてもいないぞ」

 

 それを聞いて私達は一応安心した。ハグリッドがもし他の誰かに話していたらもう大事だ。最悪な事態になっていなくて本当に良かった。

 

「ねぇハグリッド、窓を開けても良いかな?さっきから我慢してたけどもう限界だよ。このままじゃ茹だっちゃう」

 

 ロンは顔を真っ赤にしてるんだハグリッドに訴えた。確かにこの部屋は暑すぎる。いい加減冷たい空気で冷ますべきだ。

 

「悪いが、それはできん。ここを寒くするわけにはいかねぇんだ」

 

 そう言った途端、ハグリッドの目が暖炉に向かった。すると私達も、釣られたようにその方向へ目を向ける。

 

「……え、あれって…」

 

 それを見て思わず絶句してしまった。暖炉にかけられたやかんの下にあったそれは、黒くて大きめの卵だった。私はついさっきまでその卵に関する本を読んでいたから、それが何の卵かは一目見て一発でわかった。

 

「ハグリッド…あれってもしかして……」

「あー、えーと…その……」

「一体どこで手に入れたの!?ドラゴンの卵なんて!!」

 

 立場が逆転した。私は大声を上げてハグリッドにつめよった。ドラゴンの卵をハグリッドは今孵そうとしていたんだ。

 

「お、落ち着いてくれグレイ。これは、その…賭けに勝って譲ってもらったんだ。昨日の晩、ホグズミードで酒を飲んでた時に知らないやつとトランプをしたんだ。今思い返せば、相手もこいつを厄介払いできて喜んでたな」

「もし孵ったらどうするつもりよ!?ドラゴンは危険なんだよ!?育てることも違法なんだよ、わかってる!?」

「グレイだってホーンド・サーペントをフードに忍ばせているだろう?XXXXXに分類されてる魔法動物を学校に持ち込んどる方がよっぽど危険じゃないか羨ましい!良いじゃないかおれだってドラゴンを飼いたいんだよ!」

「なんでそのこと知ってるのよ!?」

 

 え?本当になんで?なんでハグリッドがサファイアのこと知ってるの!?いつの間にバレてたの!?

 

『俺は知らねぇぞ!?他の人間に見られないようにちゃんと隠れてた!本当だ!アメリカの母ちゃんに誓う!』

 

 なんでサファイアのお母さんに誓うのかは謎だが今はそんなことどうでも良い。ハグリッドがサファイアのことを知ってるのは予想外だった。他の先生に知られたら後々面倒なことになるのは確実だ。それだけは阻止しなくては。

 

「……取り引きしましょうハグリッド。私はハグリッドがドラゴンの卵を持っていたことを黙っているわ。だからハグリッドも、サファイアのことは先生達には黙っていて」

「うわぁ……」

 

 ハリーがなにやら引いていたが無視した。ハグリッドは私が取り引きを持ちかけてきたのに対してなにやら考え込んでいた。

 

「別にそいつのことを先生達に報告はしないさ。ただその代わりサファイアを触らせてはくれねえか?ホーンド・サーペントなんて北米の魔法動物はこの辺じゃ珍しい。それにXXXXXに分類されてる魔法動物と触れあえるなんて経験、めったに出来ないんだ」

『俺は嫌だぞ!何が嬉しくてこんなもじゃもじゃ野郎にべたべた触られなきゃならないんだ!?』

「どうぞ満足いくまでご堪能ください」

『グレイ!?』

「我慢してサファイア、これは私達のためよ」

 

 私はサファイアをハグリッドに差し出した。サファイアは嫌がっていたので口を魔法で塞いだ。ハグリッドは生まれて初めてのホーンド・サーペントに感動していた。サファイアはハグリッドの腕の中で暴れて直ぐフードに隠れてしまった。凄く嫌だったらしい。

 

「…はぁ…でもハグリッド、もし本当にその卵が孵ったらどうするつもりなの?」

 

 ハーマイオニーが私のように問い詰めるのではなく気遣わしげに尋ねた。

 

「ああ、その時に備えてちいと読んどるんだがな」

 

 ハグリッドは机の下から図書室で借りてきたであろう『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』という本を取り出して私達に見せた。

 

「ちいと古い本だがドラゴンに関してはなんでも書いてある。母龍が息を吹きかけるように卵は火の中に置け。となぁ?それからっと……孵った時にはブランデーと鶏の血を混ぜて三十分ごとにバケツ一杯飲ませろとか。それとここを見てみろや。卵の見分け方。おれのはノルウェー・リッジバックという種類らしい。こいつが珍しいやつでな」

「ハグリッド、グレイが言うようにドラゴンは危険な生き物だけど、あなたにはドラゴンを飼う以前の問題があるのよ。なにかわかる?」

「さあ?そりゃなんだ?」

「この家は木の家なのよ」

 

 ハグリッドは身体の大きさに似つかわしくない可愛らしい鼻歌を歌いながら、ハーマイオニーの言葉を聞き流すように暖炉に新しい薪をくべていた。まるで自分にとって都合の悪いことを無視する子供のように。

 

「……駄目だこりゃ」

 

 結局、更なる心労を抱えることになってしまうだけだった。出来るならあまり関わりたくないけど、一応サファイアのことがハグリッドに何故か知られている以上、私はハグリッドに最低限の協力をしなければならない。

 

「ああ…めんどくさ……」

 

 ニコラス・フラメル、賢者の石、スネイプ、ハグリッドのドラゴン。厄介なことが多すぎる。私の平和な学園生活はどうやらとっくの昔に終わっていたようだ。

 




ハリー・ポッターのドラマって期待出来ますかね?

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