ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

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またもや長くなってしまった……。


第3話 9と3/4番線からの旅

「9と3/4番線?そんなものあるわけないだろ」

「え、本当にないんですか?」

「当たり前だろう?おかしな家族だなあんたら」

 

 9月1日、今日は待ちに待ったホグワーツに入学する日だ。でも、私はもしかしたら行けないのかもしれない。せっかくいろいろ準備したのに…。

 

「困ったわねぇ…これじゃホグワーツに行けないわ。後十分で出発しちゃうのに…」

「大体、切符に書かれていることが少なすぎるんだ。名前だけじゃわからん」

 

 私達は困り果てていた。それもそうだろう、切符には9と3/4番線に乗れとしか書いてないから正確な乗り方がわからない。

 

「あれ?グレイ?」

 

 後ろからかけられた声に振り向く、そこにはトランクと白い梟をカートにのせて私達と同じように困り果てていたハリーがいた。

 

「久しぶりハリー、元気にしてた?」

「ああ…ぼちぼちかな。ねぇ、9と3/4番線がどこにあるか知らない?」

「それがわかったらここで困ってないよ」

「だよね……」

 

 ハリーがその場に来ても状況は変わらなかった。困り果てた人間が三人から四人に変わっただけだ。その時、

 

「……まったく、いつ来てもマグルが多いわねここは、当然だけど……」

 

 後ろから確かにそんな声が聞こえた。

 

「…聞いた?」

「うん、聞こえた。ねぇ、あの人達じゃない?」

 

 私が指を差す先にはふっくらした婦人が、揃いもそろって燃えるような赤毛の少年四人に話しかけていた。皆私達と同じようなトランクを押しながら歩いている……ついでに梟も一羽いた。

 

「あらほんと。梟連れてるからそうなのかも」

「とりあえず声かけてきなさい、急がないと遅れるぞ?」

「うん!行こうハリー!」

「え!ちょっ、待ってよー!」

 

 急いで赤毛の家族に近づくと一番年上らしい少年がプラットホーム『9』と『10』の間に突っ込んで行った。ぶつかると思ったけどいつの間にか少年は消えていた。

 

「フレッド、次はあなたよ」

「フレッドじゃないよ。僕、ジョージだよ。まったくこの人ときたら、これでよく母親だって言えるよな。僕がジョージだってわからないの?」

「あら、ごめんなさいね、ジョージ」

「冗談さ。僕、フレッドだよ」

 

 彼も同じようにプラットホームに突っ込み、もう一人の双子だと思う少年もそれに続いた。あの人達についていけば上手くいくかくもしれない。

 

「すいません!どうやったらそこに入れますか?」

 

 思わず私はふっくらしたおばさんに話しかけた。

 

「あら、こんにちはお嬢さん。あなた達もホグワーツ?うちのロンもそうなのよ」

 

 おばさんは最後に残った男の子を指さした。彼も他の兄弟と同じように真っ赤な髪をしていた。

 

「そうなんです。でも僕ら、行き方がわからなくて…」

「どうやってプラットホームに入るかってことね?坊やもそこのお嬢さんと一緒で初めて?」

「はい。教えていただけますか?」

「勿論よ!いい?九番と十番の間の柵に向かってまっすぐに歩いてゆけばいいの。立ち止まったり、ぶつかるんじゃないかと怖がったりしないこと、これが大切よ。怖かったら少し走るといいわ。じゃあまずは坊や、ロンの前に行って」

「え、あっ、はい…」

 

 ハリーはカートごと体を柵に向け、睨んだ。多分、緊張してるのかもしれない。

 

「ハリー頑張って。きっと大丈夫だよ」

「……よし!」

 

 ハリーは勇気を振り絞って小走りに柵へ突っ込んだ。さっきの兄弟達のようにハリーもまた柵中へ消えていった。

 

「さあ、次はあなたよ」

 

 おばさんが私を柵へ促す。私はハリー達のように走らず、するりと柵に体を入れる。

 

「っとと」

 

 当たり前のように私はすり抜けることが出来た。無意識に勢いを着けていたのか、カートが慣性で持ってかれそうになった。

 

「…本当にあった…」

 

 目の前には紅色の蒸気機関車が、乗客でごった返すプラットホームに停車していた。ホームの上には『ホグワーツ行特急11時発』と書いてある。振り返ると、改札口のあったところに9.3/4と書いた鉄のアーチが見えた。

 

「こりゃすごいな!魔法で隠してあるんですか?」

「そうよ、大多数の生徒がこの特急を使ってホグワーツに行くの」

 

 私が入った所からお父さんとお母さんとさっき入り方を教えてくれたおばさんが話しながら歩いて来た。

 

「お父さん!お母さん!」

「ああグレイ、列車の最後尾に荷物を入れるところがあるらしいから乗る前にちゃんと預けてくるんだぞ?」

「しっかり勉強して来てね。何かあったらすぐに手紙を出すのよ?」

「変なやつに何かされそうになったら直ぐに逃げるんだぞ!?」

「いい友達たくさん作るのよ?」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ、ホグワーツは世界一安全ってマクゴナガル先生も言ってたし」

 

 心配してくれるのは嬉しいけど、人前ではちょっとやめて欲しい…。

 

「例えそうだとしても心配なんだ」

「無事に元気に帰って来るって約束して」

 

 そう言って二人は私を優しく抱き締めた。これだけで二人がどんなに心配なのかは直ぐにわかった。

 

「…わかった。約束する」

 

 その言葉を聞いて二人はそっと抱擁を解いた。

 

「クリスマスには帰って来るよ」

「学校が嫌になったら何時でも帰ってらっしゃい」

「元気でな、次帰るときは父さんの新作読ませてあげる」

「うん……行ってきます」

「「いってらっしゃい」」

 

 二人に別れの挨拶を済ませると、列車の最後尾に荷物を預けて私はホグワーツ特急に乗り込んだ。

 

 ーー

 

「空いてるところ全然無いな…」

 

 ホグワーツ特急に乗り込んだのは良いものの、いざ乗り込んでも空いているコンパートメントがなく、先頭の二、三両はどこも満杯だった。

 

「ずっと歩きっぱなしはやだなぁ……」

 

 でもその不安は杞憂に終わった。列車の最後尾のコンパートメントで見覚えのある顔を見つけたからだ。

 

「あ、ハリーだ」

「ん?グレイ、良かった。ちゃんと乗れたんだ」

「なんとかね。ここ空いてる?他のところ空いてないの」

「全然良いよ。そもそもここ僕のものじゃないし」

「それもそうだね」

 

 一応先客のハリーの許可を得たのでコンパートメントに入った。歩き疲れてもいたから座って休むことが出来て良かった。

 

「あ、そういえばハリーって有名人だったのね。買った教材にあなたの名前が載ってたわ」

「ああ…うん…そうみたいだね…」

 

 ハリーは魔法界では『生き残った男の子』と呼ばれているらしい。なんでも、私達が生まれる頃まで活動していた闇の魔法使い、名前を言ってはいけない『例のあの人』から唯一生き残り、なおかつその人を倒したらしいのだ。教材にハリーの名前が載っていたときは私も驚いた。そのことをハリーに話すと彼は途端に元気がなくなった。

 

「どうかしたの?」

「うん、実感が湧かないんだ。皆その事を言うけど僕自身はなんにも覚えてないんだ。覚えているとすれば緑色に光ってたことくらいだよ」

「別にいいじゃない。まずその頃あなた赤ちゃんだったでしょ?覚えてなくても全然不思議じゃないと思うよ」

「でも皆、僕は偉大なことをするって言うんだ。なにも知らないし、わからないのに」

「別に気にすることないよ。ハリーの好きにすればいいと思うわ。君は偉大な事をするはずだ?知らないわよそんなこと!」

「……グレイってさ」

「ん?」

「思ってたより大雑把なんだね」

「…ああ、今のはお父さんとお母さんの受け売り」

「そうなの?」

「うん。私のお父さんは小説家なんだけどね。なるって決めたときは周りの人達が物凄く反対したらしいの。お母さんはそんなお父さんと結婚することにお爺ちゃんとお婆ちゃんから猛反対されたらしいわ。でも、お父さんは小説家として成功してお母さんとの間に私が産まれたの。人生薔薇色だー!って言ってたわ」

「つまり……どういうこと?」

「人生やったもん勝ちってこと」

 

 それからしばらく私達はお互いの知りたいことや知らなかったことを話し合った。どんな食べ物が好きかとか、お互いの杖を見比べたりとか。接合性の無い話ばかりだったけど友達と話しているだけで楽しかった。

 

「楽しそうなところ悪いんだけどいいかな?」

「ん?」

 

 汽車が走り出して少し経った頃だった。あの赤毛の家族の一番年下の男の子が入ってきた。

 

「ここ空いてる?ここくらいしか空いてないんだ」

「いいよ。グレイは?」

「私もいいよ」

 

 私が来た時もコンパートメントは同じような状態だった、拒む理由は無いだろう。

 

「おい、ロン」

 

 今度は双子がやって来た。

 

「なあ、おれたち、真ん中の車両あたりまで行くぜ……リー・ジョーダンがでっかいタランチュラ持ってるんだ」

「わかった」

「ハリー。自己紹介したっけ?おれたち、フレッドとジョージ・ウィーズリーだ。こいつは弟のロン」

「そこの君は?」

 

 どうやら私のことらしい。

 

「グレイ・ベアボーン。よろしく」

「ああ、よろしく。じゃ、またあとでな」

「バイバイ」

 

 双子はコンパートメントの戸を閉めて出ていった。

 

「君、ほんとにハリー・ポッターなの?」

「うん」

「ふーん……そう。あ、じゃ、君本当にあるの……ほら……」

「あるって何が?」

「…傷跡が…」

「ああ、あるよ」

「すっげぇ!それが『例のあの人』の……」

「まあね…」

 

 ハリーの傷跡も少し気になるけど私はそれよりは気になることがあった。

 

「ねぇ、あなたの家族は魔法使いなの?」

「そうだけど」

「じゃあ色んな魔法の呪文も知ってるの?」

「あー、いや、そんなにだよ。そもそも杖がないとなかなか上手く魔法が使えないからあまり呪文を使ってこなかったんだ。あ、でも、最近呪文一個教えてもらったな」

「ふーん」

「そっか…」

 

 ロンの話を聞くとまたもやハリーの元気がなくなった。

 

「どうかしたの?」

「うん…僕やっぱり何も知らないんだなって思って。ハグリッドに言われるまで自分が魔法使いだって気づかなかったんだし、両親のことも、ヴォルデモートのことも……」

 

 ハリーがその名前を言った途端、ロンは口を大きく開けて怯え始めた。私も驚いた、『例のあの人』の名前を言ったのだから。でもハリーはそのことにすら気づいていなかった。

 

「どうかしたの?」

「君、あの人の名前を言った!」

 

 ロンの言葉には驚きと称賛が入れ交じっていた。

 

「僕、名前を口にすることで、勇敢なとこを見せようってつもりじゃないんだ。名前を言っちゃいけないなんて知らなかったんだ。わかる?僕、学ばなくちゃいけないことがたくさんあるんだ。きっと……僕、クラスでビリだよ」

 

 ハリーはポツポツといかに自分に自信がないか話し始めた。でも、その話はちょっと思うところがある。

 

「ちょっと!それじゃあ私はなんなのよ?私だって自分が魔法使いだって言われるまで気づかなかったし、呪文のことだって教材で読んでみたけどあまりよくわからなかったんですけど?」

「え?あ、それはその…ごめん」

「ハリーは色々と気にしすぎなのよ。ね、ロン」

「そうそう、ホグワーツにはマグル生まれもそれなりにいるらしいから、そんなに心配しなくてもきっと上手くいくよ」

「……そうだね、ありがとう」

 

 ちょっと辛気臭い雰囲気になってしまった。こういうときは何か気分転換できるものがあれば良いのだけど。

 

「車内販売よ。何かいかが?」

 

 いつの間にか、えくぼの女性が通路に立っていた。そういえばそろそろお昼の時間だったきがする。気分転換にも丁度良い。

 

「僕はいいや、自分のあるし」

 

 ロンは懐からサンドイッチを取り出した。11歳の男の子にそれだけで足りるのかは疑問だった。

 

「全部ちょうだい!」

 

 すると、いつの間にかハリーが1ガリオンを手にたくさん注文していた。どうやらお菓子を全種類食べるようだ。

 

「朝食もまだだったんだ、二人もどう?」

「え、いいの?」

「正直全部頼んだは良いけど食べきれる自信はないかも」

「奮発しすぎよハリー」

 

 でも私達もお腹は空いていたから今回は御言葉に甘えることにした。

 

「じゃあ私このカエルチョコ貰うね」

「あ、それ気を付けて」

「え?なんで?」

「動くから」

 

 …………え?

 

「……何で動くの?」

「だってカエルは動くだろ、生き物なんだからさ」

「……ハリーこれあげる」

「え」

「ごめん、私魔法のお菓子に慣れるの時間かかりそう」

「グレイってカエル苦手?あ、でもそれじゃあ食べようとも思わないか」

「うん、普通のカエルにも触れるけど動いてなおかつチョコの味がするのはちょっと…」

 

 口と頭がおかしくなりそう……。

 

 ーー

 

 ハリー達と話しているとそろそろホグワーツに到着する時間になった。制服に着替えなくちゃいけないからハリーとロンのいるコンパートメントから出て着替えれそうな場所を見つけて制服を着た。どこか変なところがないかチェックしてから二人のいるコンパートメントに戻った。

 

「?どうかしたの?」

 

 私が戻ったときは何故か部屋の雰囲気が変わっていた。ロンはどこか不機嫌だし、ハリーはどこか疲れているようだった。

 

「……いや、なんでもないよ」

「うん、でもグレイ。金髪のオールバックのやつとは話しちゃダメだよ」

「……何の話?」

「まだ知らない方が良いよ」

 

 ……本当に何の話?




薩摩ホグワーツって何?

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