ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

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第4話 組分け帽子と寮

「イッチ年生!イッチ年生!はこっちだ!」

 

 ホグワーツ特急を降りて暗いプラットホームに着いた私達はハグリッドと会った。どうやら彼が私達を案内するらしい。

 

「ハグリッド!久しぶり!」

 

 ハリーが声をかけた。

 

「おお!ハリー、グレイも久しぶりだな。元気にしとったか?」

「うん、そっちも元気そうね」

「ハハハ!まあな!」

 

 ハグリッドの大きなひげ面が、ずらりと揃った頭の向こうから笑いかけた。

 

「さて、ついてこいよ。あとイッチ年生はいないかな?足下に気をつけろ。いいか!イッチ年生、ついてこい!」

 

 私達は滑ったりつまずいたりしながら、険しくて狭い小道をハグリッドに続いて下りていった。すると、

 

「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ」

 

 ハグリッドが振り返りながら言った。

 

「この角を曲がったらだ」

「……わぁ!」

 

 私は思わず声を出してしまった。狭い道が急に開け、大きな黒い湖のほとりに出た。向こう岸に高い山がそびえ、そのてっぺんにとても大きな城が建っていた。大小さまざまな塔が立ち並び、キラキラと輝く窓が星空に浮かび上がっていた。

 

「四人ずつボートに乗って!」

 

 ホグワーツに感動する生徒をよそに、ハグリッドは岸辺に繋がれた小船を指さした。ハリー、ロン、私が乗り、その次に男の子と女の子が一人ずつ乗って着た。

 

「みんな乗ったか?よーし、では、進めぇ!」

 

 ボート船団は一斉に動きだし、鏡のような湖面を滑るように進んだ。みんな黙って、そびえ立つ巨大な城を見上げていた。向こう岸に近づくにつれて、城が頭上にのしかかってきた。

 

「頭、下げぇー!」

「え?」

 

 城を見すぎてなんとかハグリッドの声に反応できた。あのままだったら私は蔦のカーテンに頭をぶつけるところだった。

 

「ギリギリだったね、大丈夫?」

「うん、大丈夫よハリー」

 

 心配して声をかけてくれたハリーと話していると、船はいつの間にか地下の船着き場に到着していた。

 

「ホイ、おまえさん!これ、おまえのヒキガエルかい?」

「あ、トレバー!」

 

 私達が下船した後、ボートを調べていたハグリッドがヒキガエルを男の子に渡した。彼はとても大喜びしていた。

 

「さてと、じゃあホグワーツに入るぞ」

 

 船着き場から少し歩いた所にあった大きな扉を、ハグリッドはその大きな手で3回ノックした。

 

 ーー

 

「マクゴナガル教授、イッチ年生のみなさんを連れて来ました」

「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」

 

 扉の先には私の家に来たマクゴナガル先生がいた。前会った日と同じように緑の三角帽子とローブを身に着けている。ふと、横を見るとハリーが少し緊張していた。

 

「どうかしたの?」

「いや、あの人には多分逆らっちゃ駄目だなって思っただけ」

「そんな怖い人じゃないよ、この前会ったときも優しかったし」

「知り合いなの?」

「私の家に来たのがあの人なの」

「そうなんだ」

 

 マクゴナガル先生は私達を小さな部屋に案内した。右の部屋から何百人ものざわめきが聞こえて来る。

 

「ホグワーツ入学おめでとう、私はこの学校で副校長を務めるミネルバ・マクゴナガル。新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席につく前に、みなさんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組分けはとても大事な儀式です。ホグワーツにいる間、寮生が学校でのみなさんの家族のようなものです。教室で寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。寮は四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンです。それぞれ輝かしい歴史があって、偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。ホグワーツにいる間、みなさんのよい行いに対しては自分の属する寮に得点が与えられますし、反対に規則に違反したときは寮の減点になります。学年末には最高得点の寮に大変名誉ある寮杯が授与されます。どの寮に入るにしても、みなさん一人ひとりが寮にとって誇りとなるよう望みます」

 

 マクゴナガル先生の寮の説明が終わった。一気に説明されたけど、彼女の言葉は驚くほど私の頭の中にすんなりと入っていった。

 

「もうまもなく全校生徒、職員の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」

 

マクゴナガル先生がそう言って部屋を出ていった後、ハリーがロンに尋ねた。

 

「いったいどうやって組分けるんだろう?」

「試験のようなものだと思う。凄く痛いってフレッドが言ってたけど多分冗談だ」

「試験だったら私呪文とかあまりわからないから優しめの問題が出るといいなぁ」

 

 とゆうか試験だったら完全に抜き打ちになるから勘弁して欲しい。

私達が組分けの仕方の予想をしているうちにマクゴナガル先生が戻ってきた。

 

「組分けの準備ができました。一列になってついてきてください」

 

私達は先生に従って一列になり、扉の向こうの大広間に入っていった。

 

「わあ!」

 

 一言でいうなら、そこはとても美しい場所だった。何千という蝋燭が空中に浮かび、四つの長テーブルを照らしていた。テーブルには上級生達が着席し、キラキラ輝く金色の皿とゴブレットが置いてあった。広間の上座にはもう一つ長テーブルがあって、教師達が座っていた。ふと、上を見上げてみると、ビロードのような黒い星が点々と光っていた。

 

「本当の空に見えるように魔法がかけられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」

 

 後ろから女の子が説明していた。夜空にしか見えないのに天井だなんて、魔法というのは本当に不思議だ。

 

「なんだろう?あれ」

「ん?」

 

 ロンの疑問を聞いて視線を前に戻すと、マクゴナガル先生が古びた丸椅子と帽子を持って来て私達の前に置いた。

 

「~~~~~♪︎」

 

 今度は帽子が歌い始めた。よく見ると目と口がついている。魔法でどうにかしているのだろうからあまり驚かなくなってきた。

 

「ABC順に呼ばれた者から、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください」

「なんだ、帽子をただかぶればいいだけじゃないか!フレッドのやつ、やっつけてやる。トロールと取っ組み合いするだなんて言って!」

 

 そんなことしたら怪我どころじゃなくなるだろうから、嘘だってすぐわかるだろうに……。

 

「アボット、ハンナ!」

 

 ピンクの頬をした、金髪のおさげの女の子が転がるように前に出て帽子をかぶった。

 

「ハッフルパフ!」

 

 どうやら組分け帽子が決めた寮に入る仕組みらしい。

 

「ベアボーン、グレイ!」

 

 私の名前が呼ばれた。ABC順だから早めに呼ばれるとは思っていたけど、以外と早かった。私は椅子に座る前にマクゴナガル先生に軽めに会釈をし、先生も会釈を返してくれた。そして、言われた通りに座り、先生は私の頭に前が見えなくなるくらい大きい帽子をかぶせた。

 

『ふむ、なるほどこれは面白い。今年は変わった生徒が来たようだ』

 

 頭の中に声が響く。

 

『君は真っ直ぐな心を持っておる。狡猾さは多少あるだろうがそこまでではない。忍耐がある。誠実で他人に嘘はあまりつけない子のようだな。知識を取り込み生かすのは好きだがそれを独占せず、他人と共有するのが好きなようだ。逆に、孤高には成りきれない』

「それって誉めてます?」

『もちろん!私は長所と短所を見るが、なるべく長所を注視して寮を決めるようにしているからね。そして君の血筋から、君はグリフィンドールが良いと思うのだよ』

 

 ……?血筋?

 

「あの、私の両親はマグルですし、血筋も何も無いと思うんですけど?」

『それは君が自分や家族のことをあまり良く知らないからだろう。君は十分、グリフィンドールに相応しい血筋を持っている。ということで君は……』

 

「グリフィンドール!」

 

 帽子がそう叫ぶ。グリフィンドールの長テーブルにいる上級生達は拍手しながら私を歓迎してる。でも、私の頭にはさっき組分け帽子が言った言葉がめぐっていた。

 

 ーー

 

「グレンジャー、ハーマイオニー!」

「グリフィンドール!」

「マルフォイ、ドラコ!」

「スリザリン!」

「ロングボトム、ネビル!」

「グリフィンドール!」

 

 組分けは滞りなく進んでいった。組分け帽子が悩む時間は生徒によって違った。私の横に座るジョージいわく、帽子が悩む時間が長い生徒は優秀なんだとか。

 

「ポッター、ハリー!」

 

 ハリーの名前が呼ばれた途端、大広間はシーンと静かになった。

 

「ハリーって、もしかしてあのハリー・ポッター?」

「確かにそう言ったよな?」

「うそ、本物?」

 

 やはりハリーは有名人らしい。広間の人達は首を伸ばしてハリーをよく見ようとする様子だった。

 

「グリフィンドール!」

 

 そう聞いた瞬間、グリフィンドールのテーブルは割れるような歓声に包まれた。監督生パーシーも立ち上がり、力強くハリーと握手した。双子のウィーズリー兄弟も。

 

「ポッターを取った!ポッターを取った!」

 

 と歓声を上げていた。ハリーは丁度私の隣が空いていたのでそこに座った。組分けに緊張したのか、歓声に圧倒されたのか、とにかく脱力していた。

 

「やあグレイ、一緒の寮になれて良かったよ」

「そうね、でも大丈夫?結構疲れてるみたいだけど」

「大丈夫、でもちょっと緊張しちゃった。スリザリンに入れられたらどうしようかと思ってたから」

「スリザリン?なんでまた?」

「ちょっと嫌なやつがいたから」

「ふーん、あ、ロン!」

 

 今度はロンもやって来た。彼はハリーの隣の椅子に崩れるように座った。

 

「三人一緒の寮みたいだね」

 

 ハリーはとても嬉しそうだった。

 

「うん!でも良かったぁ、もしスリザリンに入れられたら、僕勘当されちゃうところだったよ」

「ハリーもそうなんだけど、なんでスリザリンが嫌なの?」

「…え、知らないの?スリザリンは四つの寮の中で一番、闇の魔法使いの卒業生が多いんだ。『例のあの人』もスリザリンだって言われてる。おまけに純血主義でマグル生まれを差別してるんだ」

「え、じゃあマグル生まれの生徒が入っちゃったらどうするの?」

「まず、マグル生まれが殆どいないんだよ。大体が純血か半純血さ」

「へー」

「……興味無さそうだね」

「え、そんなことないよ。それにそう言うロンはどうなの?ロンの家も純血だったりするの?」

「ああそうさ。僕の家は一応、聖28一族の一つなんだ。でもうちは変わり者だから、他の家とは仲が悪いんだ」

「僕らのどこが変わり者なんだよ。マグル生まれを認めないアイツらの方がよっぽどおかしいと思うぜ」

「あ、話はそこまで。組分けが終わったみたいだぞ。校長先生のお話がある」

 

 広間の職員のテーブルを見ると、白髪の老人が立ち上がった。教科書で読んだことがある、彼があの有名な、アルバス•ダンブルドアだ。

 

「新入生諸君!ホグワーツ入学おめでとう!歓迎会の前に一言、そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこいしょい!以上」

 

 ……何ソレ……。

 

「あの人、ちょっとおかしくない?」

 

 ハリーが私に問いかける。

 

「うん、私もちょっとそう思う」

 

 魔法使いっておかしな人が多いのかな?

 

 ーー

 

「ねぇ、あなたは私と同じマグル生まれ?」

 

 歓迎会が始まってポテトを食べていると、栗色の髪をした女の子が話しかけて来た。

 

「いきなり質問しちゃってごめんなさい。私、ハーマイオニー・グレンジャー。あなたは?」

「私はグレイ・ベアボーン。よろしくね、ハーマイオニー」

「よろしく!それで、グレイの家は魔法族なの?私、マグル生まれだから魔法の事なんて知らなかったの!本で魔法界の大まかなことは知ってるけど、細かいところは知らないの。だからよければ、知ってることがあれば何か教えてくれないかなって思って」

「うーん、ごめんなさい。私も魔法界のことは良く知らないの」

「そう、それじゃあやっぱり、あなたもマグル生まれなのね?」

 

 そうだよって言おうとしたけど、私の頭の中に一瞬、組分け帽子の言葉がよぎった。

 

『君は十分、グリフィンドールに相応しい血筋を持っている』

 

「さっきまでそう思ってたんだけどね。私、元から魔法族みたいなんだよね」

「え、そうなの!?」

 

 私の言葉にハリーが食いついた。

 

「そうらしいの、でも両親は魔法のことは知らなかったから、本当かどうかはわからないけどね」

「いいえ、親がスクイブだったら無くはない話だと思うわよ」

 

 スクイブ?

 

「スクイブって何?」

 

 ハリーがハーマイオニーに聞く。

 

「親が魔法族なのに魔法が使えない人のことを差す言葉よ。何が原因でそうなったのかは、まだわかってないけどね」

 

 初耳だった。じゃあ私のお父さんかお母さんのどちらかが魔法族で、尚且つスクイブということになる。

 

「教えてくれてありがとう、また今度調べてみるわ」

「どういたしまして」

 

 ーー

 

 とうとうデザートも消えてしまい、ダンブルドア先生が再び立ち上がった。広間中がシーンとなった。

 

「エヘン、全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。一年生に注意しておくが、構内にある森に入ってはならぬ。これは上級生にも言えることじゃ。何人かに生徒達には、特に注意しておきますぞ」

 

 ダンブルドア先生は双子のウィーズリー兄弟を見た。

 

「管理人のフィルチさんから、授業の合間に廊下で魔法を使わないようにと注意がありました」

「今学期は二週目にクィディッチの予選がある。寮のチームに参加したい人はマダム•フーチに連絡すること」

「最後にじゃが、とても痛い死に方をしたくない者は、今年いっぱい四階の右側の廊下には入らぬことじゃの」

 

 最後の注意事項にハリーは笑っていたけど、私は笑えなかった。というか、学校にそんな場所を作る方がおかしい気がする。もし、事故か何かで迷いこんでしまったらどうするのだろう?

 

「では、寝る前に校歌を歌うとしよう!」

 

 その言葉を聞いて、一年生はポカンとしていたが、上級生はみんなうんざりした顔をしていた。

 

「~~~~~~~♪」

 

「~~~~♪」

 

 一言で済ませるのであれば、とても酷い歌だった。歌詞からもう酷い。どうすればこんな歌詞を考えられる頭になるのか知りたいくらいだった。

 

「ああ、音楽とはなににも優る魔法じゃ」

 

 ダンブルドア先生は感嘆のあまり、涙を流している。

考えたのあなたか!?

 

「さあ、諸君、就寝時間。駆け足!」

 

 私達グリフィンドール生は、監督生のパーシーに連れられて塔を登って、動くピンクの絹のドレスを着た太った婦人の肖像画の前に来た。来る途中に物音がたくさん聞こえた気がする。私はパーシーに聞いてみた。

 

「あの、何か聞こえません?」

「ああ、ピープスだよ。めんどくさいし時間もないから無視していいよ」

 

 先程とは違い、何かを落とす音がしたが、言われた通り無視することにした。

 

「合言葉は?」

「カプート ドラコニス」

 

 パーシーがそう答えると、肖像画がパッと前に開き、その後ろの壁に丸い穴があるのが見えた。穴を這い登って歩くと、グリフィンドールの談話室に繋がっていた。心地よい円形の部屋で、ふかふかした肘掛けがたくさん置いてあった。パーシーの指示で女子と男子で別々の部屋に入り、また何人かに別れて部屋に入った。

 

「あ、一緒の部屋になったみたいねグレイ」

「そうみたい。改めてよろしくハーマイオニー」

「ええ!」

 

 他の子とも挨拶したかったけど、疲れていたのかすぐシャワーを浴び、寝間着に着替えて自分の短めの髪をすいて、そのままベットに入った。お腹がいっぱいだったのもあって、私の意識はすぐに沈んでいった。

 




話が進む度にながくなってる……。

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