ハリー・ポッターと最後の不死鳥   作:TARAKON X

9 / 22
お ま た せ し ま し た 。


第9話 クィディッチに不穏な影

 十一月に入り、一段と寒さが増した。ハロウィーン以来、ハーマイオニーはハリーとロンと友達になった。トロールの一件で共通の経験を得たことで絆が生まれ、仲良くなれたみたいだ。以来私達は四人でよく行動していた。

 

「そういえばハリー、クィディッチの練習は順調?」

「勿論さ!スリザリンの連中に絶対に勝ってみせる!」

 

 談話室で趣味の読書をしながら、私は宿題に取り組むハリーに切り出した。今週の土曜日にグリフィンドールとスリザリンの試合に向けて、ハリーは百年ぶりのシーカーとして猛特訓を受けているそうだ。

 

「それにしても、ハリーがシーカーなのは極秘のはずなのに、とっくに他寮に知られてたのはビックリしたわ」

「僕もだよ、皆極秘の意味わかってるのかな?」

 

 他寮の生徒の反応は様々だった。きっと素晴らしいプレイをするだろうねと期待されたり、ハリーの下をマットレスを持って右往左往することになるだろうねと貶されたりもされた。ハリーにとっては気持ちの良い気分ではなかっただろう。

 

「ハリー、そこの答え違ってるわ。落ち着いて考えて」

「え?あ、本当だ」

 

 ハーマイオニーはクィディッチの練習で忙しいハリーに勉強を教えていた。ハーマイオニーは座学も優秀だからハリーは大助かりだろう。

 

「あ、そうだグレイ。さっきシェーマスがあなたを探してたわ。グレイに用があるそうよ」

「シェーマスが?私を?なんでまた?」

「さあ?中庭にいるはずだからとりあえず行ってきたら?」

 

 私に何の用だろう?シェーマスとは同じ寮だから顔もよく合わせるし、会話もするけどあてにされる程ではなかったと思う。

 

「…わかった。ちょっと行ってくる」

 

 疑問が残りつつも、同じグリフィンドール生なので無下にはしたくない。私はまだ途中の本を閉じ、中庭に向かった。

 

「うぅ……寒っ…」

 

 外に出ると、凍りつくほどの冷気が私を襲った。口で呼吸すると、白い煙が出てきた。ポケットに入って冷気に晒されないビートルが羨ましかった。

 

「グレイ!よく来てくれた!」

 

 中庭に来ると、そこにはシェーマスだけでなく、ロンとネビル、ディーンも一緒だった。四人は中庭に大きな白い布を広げて私を待っていた。

 

「シェーマス、ハーマイオニーに言われて来たけど、いったい何してるの?」

「ああ、グレイから何かアイディアを貰えないかなと思ってさ」

「アイディア?それってこの布と何か関係あるの?」

「勿論さ!これはクィディッチでハリーの激励に使うんだよ。ハリーにとっては初めての試合だから、当日は凄い緊張すると思うんだ。だから激励してその緊張を吹き飛ばしてやろうってわけさ!」

 

 成る程、ハリーを勇気づける為の旗を作ろうってことか。

 

「だったらなんでまた私に?どんな激励でもハリーは喜ぶと思うけど?」

「激励ってのは自分側だけの思いを伝える物じゃないのさ。ちゃんと受けとる側に配慮した上で、精一杯伝えるものなんだよ」

「…はあ、成る程?」

「つまりだ。聞くところによると、ハリーはつい最近までマグル界で生活してたらしいじゃないか。つまり、魔法界のことはまだ詳しく知らない。シーカーはクィディッチの花形、つまり一番大事で偉い存在だと思ってる」

「ふむふむ」

「だから俺らは、ハリーが一番偉くて大事な存在だとこの旗に表現したい。特にハリーにだ。しっかりあいつに伝わるようにしたい」

「そこでグレイの出番だ。グレイもマグル界で生活してたんだから、マグル界で一番偉い人をなんて言うか知ってるだろ?案を出して欲しいんだよ」

 

 簡単にすると、ハリーにもわかる表現でハリーを勇気づけたい。ということだった。

 

「マグル界で一番偉い人かぁ……王様じゃ駄目なの?」

「インパクトに欠けるね」

 

 どこがインパクトに欠けるの……。

 

「…大臣は?」

「俺、今の魔法大臣嫌いだからヤダ」

 

 それ私情では?

 

「……大統領とかは?」

「大統領って何?」

 

え、知らないの?

 

「大臣よりも偉い人のことを差すのだけど」

「大臣よりも偉いの!?」

 

 ロンが驚いて声を上げた。どうやら魔法界では大臣が一番偉く、大統領は存在しないらしい。

 

「それってハリーにもちゃんと伝わるよね?」

「伝わると思うけど」

 

 これで伝わらないなんてことがあったらハリーにはマグル界のことも頭に叩き込まなきゃいけなくなる。

 

「ありがとうグレイ!よし皆、早速取り掛かるぞー!!」

「「「オーッ!!」」」

 

 結果、シェーマス達は『ポッターを大統領に!』という一見ヘンテコだが何故かみると勇気が湧く文とグリフィンドールのシンボルのライオンが書かれた赤い旗を作りあげた。

 

 ーー

 

「はぁ……暖かい…」

 

 ハリーのデビュー戦の前日のこと、私はハリー達と休み時間にまた中庭に出て、ハーマイオニーが持っていた。『クィディッチ今昔』を読んでいた。これが以外に面白く、クィディッチの歴史やルールを覚えることができた。相変わらず中庭は寒かったけど、ハーマイオニーが魔法で鮮やかな青い火を入れた瓶を出してくれたから、寒さで凍えることはなかった。

 

「げ、スネイプだ」

 

 ハリーがスネイプがこっち来ることに気づいた。なんの用かは知らないがロクなことにならないのは自然とわかった。

 

「あれ?足、怪我してない?」

「え、あ、本当だ」

 

 ロンの言葉でスネイプの足をよく見ると、彼は確かに片足を引きずっていた。

 

「まずい、火を見られたらなんて言われるかわからない。今すぐ隠して!」

 

 私達はスネイプから見えないようにぴたりとくっついた。しかし不覚にも、いかにも悪さをしているような顔つきが目に止まってしまい、スネイプは足を引きずりながらこっちに近づいてきた。火は見つからなかったが、スネイプはなにか小言を言う口実を探している様だった。

 

「ポッター、手に持っているのは何かね?」

 

 ハリーはさっきまで読んでいた『クィディッチ今昔』を差し出した。

 

「図書館の本は校外に持ち出してはならん。寄越しなさい。グリフィンドール五点減点」

 

 いつも通りの理不尽な減点理由だった。そもそもそんな規則、ホグワーツにあったかどうかも疑問だ。

 

「すいません、そんな規則ホグワーツにありましたっけ?」

「口答えするなベアボーン、次したら君もポッターと同様に減点する」

 

 スネイプは抗議する私にそう言い残して去って行った。

 

「規則をでっち上げたんだ」

 

 スネイプが去ると、ハリーは怒ってブツブツ言い出した。

 

「だけど、あの足はどうしたのかしら?」

 

 ハーマイオニーは減点されたことよりも、どうしてスネイプが足を引きずっていたのかが気になるようだ。ちょっと前までは減点されたことを気にしていたのに、彼女は少し寛容になった気がする。

 

「知るもんか、でも、物凄く痛いと良いよな」

「ロン、心の声が駄々漏れよ。もしスリザリンの連中に聞かれてたら、また面倒なことになるから外では控えて」

 

 気持ちはわからないこともないけどね。

 

 ーー

 

 その日の夜、グリフィンドールの談話室は騒がしかった。皆、明日の試合が楽しみで仕方がないのだろう。

 

「僕、スネイプに本を返して貰ってくる」

 

 私とハーマイオニーでロンとハリーの呪文の宿題をチェックしていると、ハリーが突然席を立って宣言した。

 

「え、スネイプが正直に返してくれるって、君本気で思ってるの?」

「そうよ、きっと返してくれないわ」

「二人に賛成。ガリオン一枚賭けてもいいわ」

 

 私を含め、ハリー以外の全員がスネイプが本を返してくれないと思っていた。でも、ハリーには勝算があるようだった。

 

「わからないよ。職員室に他の先生がいたら、スネイプは断れないかも知れないからね」

 

 そう言って、ハリーは職員室に向かった。ハリーがいない間に、ハリーとロンの宿題のチェックを済ませた私達はそれぞれが思い思いのことを過ごしてハリーを待った。それから十分くらい経った後、ハリーは息を上げながら戻って来た。

 

「返して貰った?」

「いいや、でも、スネイプの奴、あの三頭犬のことをフィルチに話してた」

「三頭犬?三頭犬って、この前『禁じられた廊下』で見た犬の怪物のこと?」

「そうさ、スネイプが言ってたのを聞いたんだ。『三つの頭に同時に注意するなんて出来るか?』って。わかるだろう、どういう意味か」

「スネイプが三頭犬が守ってる床の扉の向こうに行こうとしたってこと?」

「ああ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとしたんだ。僕とロンがあいつを見た時、そこへ行く途中だったんだよ。あの犬が守っている物を狙ってるんだ。トロールは絶対あいつが入れたんだ、皆の注意を逸らす為に……箒を賭けても良いよ」

「違う、そんなはず無いわ」

 

 ハリーの考察をハーマイオニーは目を見開いて否定した。

 

「確かに意地悪だけど、ダンブルドアが守っている物を盗もうとする人では無いわ」

「おめでたいよ、君は。先生は皆聖人だと思ってるのかい?」

 

 ロンもすかさず反論するが、私はハーマイオニーの考察を推した。

 

「スネイプはそんなに馬鹿じゃないと思う。ダンブルドア先生の物を盗むってことは、ダンブルドア先生と戦うってことよ。本で読んだけど、あの人は私や私の両親が生まれるずっと昔から歴史に名前を残してきたとんでもない人よ。いくらスネイプでも、太刀打ち出来ずに負けるのはわかってるはずでしょ」

 

 私の考えを聞いて、ハリーはそれもそうかと納得仕掛けた様子だった。でも、ロンはそうではなかった。

 

「僕はスネイプならやりかねないと思うよ。パパに聞いたことがある。スネイプは昔、『例のあの人』の部下だったって」

 

 …………なんですって?

 

「え、ちょっと待って。どうして『例のあの人』の部下だった人がホグワーツで魔法薬学の先生をやってるのよ!?」

 

 敵の部下を自分の部下として使う上司がいるか!?

 

「何でも、途中から裏切ってスパイになったとか、元から味方だったとか、操られてたとか、色んな噂があるらしいよ」

「…なんとまあ曖昧な…」

 

 それを聞いたら何も言えなくなった。もしスネイプが本当に『例のあの人』の部下なら、ダンブルドア先生の物を盗む動機は出来上がる。

 

「じゃあ、スネイプは三頭犬から一体何を盗み出そうとしたんだろう?」

「凄く大事な物のはずだぜ。あんな怪物に守らせるくらいの物なんだから」

 

 私達は就寝時間までスネイプと三頭犬のことを語り合った。

 

 ーー

 

 夜が明けて、空はこれでもかと言うぐらいの快晴だった。大広間は美味しそうな朝食の匂いと、今日のクィディッチの試合を楽しみにする生徒達の活気で溢れていた。

 

「ハリー大丈夫?食欲無いみたいだけど…」

「うん…お腹に入る気がしないんだ」

 

 ハリーは試合の緊張からか、朝食があまり喉を通らないようだった。私が野菜を差し出して少量しか食べないし、ロンがベーコンを、ハーマイオニーがトーストあげても食べようともしなかった。

 

「皆ありがとう、時間だからもう行くよ」

 

 結局ハリーは、緊張して殆ど朝食を口にしないまま試合会場に向かった。後からフレッドとジョージがやって来た。

 

「「心配するな!俺達がハリーの口に食べ物をぶちこんでおくさ!」」

 

 そう言って二人も会場に向かった。フレッドとジョージは面倒見が良いから、きっと大丈夫だろう。

 

 ーー

 

「うわぁ……すごい数の人」

 

 十一時には、学校中がクィディッチ競技場の観客席に詰めかけていた。双眼鏡を持っている生徒も沢山いた。観客席は空中高くに設けられていたが、それでも試合の動きは見にくいくらい人が集まっていた。

 

「一番高い席に行きましょう、そこがきっと見やすいはずよ」

「だったら席なんてすぐ取られちゃうわよ!急いで!」

 

 私はグリフィンドール寮の同級生達と一緒に最上段に陣取った。シェーマス達がこの前作った旗にはハーマイオニーが複雑な魔法をかけて、絵が色々な色に光るようになっていた。

 

「あ!?出てきた!」

 

 暫くすると、グリフィンドールとスリザリンの選手達が競技場に現れた。ハリーもちゃんといた。その手にはハロウィーン前にマクゴナガル先生からプレゼントされた、ニンバス2000がしっかり握られていた。

 

「さあ、皆さん、正々堂々戦いましょう」

 

 マダム・フーチが審判だった。彼女は飛行訓練の先生だから当然と言えば当然だろう。

 

「箒に乗って、よーい」

 

『ーーーーーーーー!』

 

 マダム・フーチの銀の笛が高らかに鳴り、試合の火蓋が切って落とされた。十五本の箒が空へ舞い上がった。

 

「いけー!グリフィンドール!」

「負けるなスリザリン!」

 

 一言で表すのなら、両チームの実力は拮抗していた。試合が始まってから三十分以上経ったけど、点差が開きそうになる様子はない。スリザリンが得点を取るとグリフィンドールが取り返し、グリフィンドールが得点を取ってもスリザリンが取り返す、そんな白熱の戦いが続き観客席は大盛り上がりだった。

 

「お前さんら、ちょいと詰めてくれや」

「ハグリッド!」

 

 途中からハグリッドがやって来た。私達はギュッと席を詰めて、ハグリッドが一緒に座れるように広く場所を空けた。

 

「おれも小屋から見ておったんだが、やっぱり、観客席で見るのは違うな。スニッチはまだ現れんか、え?」

「まだだよ。今のところハリーはあんまりすることがないよ」

 

 私は上空のハリーに目を向けた。ハリーの役目は金のスニッチを取って試合を終わらせるシーカー。スニッチを取れば百五十点が加点されるから、試合の勝利はハリーに託されていると言っても過言ではなかった。

 

「ハリー、試合前は緊張して元気無さそうだったけど、今は緊張して無さそうね」

「そりゃあ、ジェームズの息子だからな。あいつも試合前はよく緊張しとったがいざ試合になるともう凄かったんだ!」

「ジェームズ?」

「ハリーの父親だ。あいつもクィディッチの才能があった」

「成る程、つまりハリーの箒の才能は親譲りと言うわけになるわね」

「そうなるな。……ん?待て、あれは、スニッチか!?」

「え!?」

 

 ハグリッド指差す方向を見ると、金色の閃光が見えた。観客席もざわめきたっている。ハリーも気づいたようだ。

 

「いけー!ハリー!」

 

 ハリーは最短でスニッチを追っていたが、箒がおかしくなったり、スリザリンのシーカーからの妨害でなかなか取れなかった。

 

「ちょっと!今の反則じゃない!?」

「褒められた行為じゃないけど、反則じゃないんだよグレイ」

「サッカーやバスケなら反則よ!」「サッカー?バスケ?どういう競技?」

「……え?」

 

 ロンの言葉に、私は耳を疑った。クィディッチしか魔法界にスポーツは無いのだろうか?

 

「おい、さっきからハリーの様子が変だぞ?」

「え?……本当だ、どうしたんだろう?」

 

 ハグリッドの言葉で再びハリーに目を向けると、確かに様子が変だった。今でも箒からふるい落とされそうだった。

 

「一体ハリーは何をしとるんだ?あれがハリーじゃなけりゃ、箒のコントロールを失ったんじゃないかと思うわな……しかしハリーに限ってそんなこたぁ……」

 

 ハグリッドは双眼鏡でハリーを見ながらブツブツ言っていた。他の観客もちらほらハリーの異変に気付き始めたようだ。

 

「相手のシーカーがぶつかった、どうかしちゃったのかな?」

「そんなこたぁない。強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん。チビ共なんぞ、ニンバス2000にはそんな手出しは出来ん」

 

 ハグリッドとはそう言うが、私は何かが引っ掛かった。あのハリーが箒のコントロールを失うなんてあり得ない。何か別のことが働いているはずだ。

 

「強力な、闇の魔術……もしかして……!?」

 

 私は双眼鏡でハリーを見ていたシェーマスから双眼鏡をぶんどった。

 

「失礼!」

「おい、何を!?」

「失礼と言ったの!同じことを二回も言わせないで!」

 

 強力な闇の魔術を使える人物なんて、この学校で数人しかいない。そしてその数人は、この競技場で一ヵ所に集まっているはずだ。

 

「……やっぱり」

 

 私は教師達が集まっている観客席で、ずっとハリーを見て口を動かしているスネイプを見つけた。

 

「ハーマイオニー!あれって…」

「ええ、スネイプよ。箒に呪いをかけてるんだわ」

「そんな!?僕達、どうすれば良いんだ?」

「任せて。グレイ、ここはお願い」

「わかった」

 

 私はハーマイオニーが何をしようとしてるか直ぐにわかった。方法はわからないけど、スネイプを止めるつもりなんだろう。

 

「僕達はどうすれば…」

「スポンジファイ!」

 

 私はハリーのすぐ下の地面に魔法をかけ始めた。

 

「グレイ?」

「もしハリーが落ちたら大変でしょ。どこに落ちても良いように広い範囲に魔法をかけるの、ロンも手伝って!」

「わかった!スポンジファイ!」

 

 私はロンと一緒にハリーの周辺の地面を柔らかくした。取り敢えず、決して安心は出来ないけど、もし落ちても打ち所が悪くなければ無事だろう。ふと、ハリーをみるが、依然としてハリーの箒はまだ不安定だった。

 

「お願い、ハーマイオニー急いで」

 

 私とロンはただハーマイオニーがスネイプを止めるのを祈った。それくらいしかもう出来ることが無かった。

 

「……あ、グレイ見て!」

 

 すると突然、ハリーの箒の乱れが収まった。スネイプを見ると、あいつは自分の服が燃えてパニックになっていた。周りの教師達も驚いている。きっとハーマイオニーがやったんだろう。

 

「ガンバレー!!ハリー!」

 

 箒のコントロールを取り戻したハリーは、スニッチに向けて垂直に急降下した。スリザリンのシーカーもそれを追うが、怖くなったのかハリーより先に離脱した。ハリーは地面とぶつかりそうになる直前で箒を水平に戻した。少し遅れていれば、地面に激突して緑の芝生が一ヵ所だけ赤くなっただろう。

 

「行けるっ!!」

 

 ハリーの前にはスニッチがあった。目と鼻の先だ。その時

 

「あっ!?」

 

 ハリーは前方にダイブするような形で箒から落ちた。あまりの急展開で何故か足先が冷たくなるのを感じた。

 

「あ!起き上がった!無事だよ!!」

 

 ハリーは特に怪我をしたようには見えなかったが、なにやら様子がおかしい。よく見ると、ハリーは何かを口から吐き出した。そしてそれを頭上高く、観客に見せるように振りかざした。

 

「スニッチを取ったぞ!」

 

 その瞬間、会場は大歓声に満ち溢れた。グリフィンドールの観客席なんて大興奮状態だった。私もロンと抱き合って喜びを分かち合った。

 

『やりました!ポッターがやりました!!170対60で、グリフィンドールの勝利ですッッッ!!!』

 

 ーー

 

 クィディッチがグリフィンドールの勝利に終わり、談話室は今でも大興奮に包まれている中、私達四人はハグリッドの小屋を訪れてスネイプのことを話した。

 

「馬鹿な、なんでスネイプがそんなことする必要がある?」

「でも、僕もハーマイオニーも、グレイだって見たんだ。ハリーの箒をじっと見てブツブツ言ってた。きっと呪いをかけてたんだよ」

「お前さんらの気のせいかもしれんぞ」

 

 ハグリッドは私達の話をまともに取り合ってはくれなかった。私達は顔を見合わせて考えた。

 

「どうしよう?全然僕らの話信じてくれないけど」

「こうなったら、あの夜の話をしましょう」

「あの夜?それってもしかしてあの三頭犬のこと?」

「ええそう。でも気をつけて。あの三頭犬を見たことを話すのは、夜のホグワーツ歩いていたと言うようなものだからね。言葉に気をつけて」

「わかったよグレイ」

 

 私達はハグリッドに三頭犬がいる部屋にスネイプが入っていったことを話した。するとハグリッドは、とても困惑していた。

 

「お前さんら、どうしてフラッフィーのこと知ってるんだ?」

 

 フラッフィー?

 

「えっ、ちょっと待って、あの犬に名前があるの!?」

「勿論あるさ、おれの犬だ。前にパブでギリシャ人から譲ってもらったんだ。今はダンブルドア先生に貸しとるけどな。その、守るために」

 

やっぱり何かを守ってたんだ。

 

「何を守ってるの?」

 

 ハリーが聞き捨てならないというように身を乗り出した。しかし、ハグリッドは途端に焦り出して、床に散らばったポットの破片を片付けようと、部屋の片隅に置いてあった箒とちりとりを取りに行ってしまった。

 

「もうこれ以上は聞かんでくれ!これは秘密なんだ!」

「でも!スネイプがそれを盗みだそうとしてるんだ!」

「馬鹿な!ありえん!!」

 

 ハグリッドは首を大きく左右に振り、体全体を使って私達の意見を否定した。でもそれでは逆に気になってしまう。

 

「なら、どうしてハリーを殺そうとしたの? ハグリッド、私はそこまで呪文に詳しいわけじゃないけどスネイプがハリーに呪いをかけてたのはどう見ても明らかだった!」

 

 決して思い込みなんかじゃないと叫ぼうとしたが、私はハグリッドに先を越されてしまった。

 

「お前さんは間違っとる! おれが断言する。おれはハリーの箒が何であんな動きをしたんかはわからん。だが、スネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。みんな、よく聞け。お前さんたちは関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あの犬のことも、犬が守ってる物のことも、全部忘れるんだ。あれはダンブルドアとニコラス・フラメルの――」

「「「「ニコラス・フラメル?」」」」

 

 全員の声が綺麗に重なった。

 

「ハグリッド! ニコラス・フラメルって人が関係してるんだね?」

「おれとしたことがぁ!?」

 

 ハグリッドは自分自身に腹を立てているようだった。半分以上髭に隠れた顔が真っ赤に染まり、怒り狂っているのが見て取れる。

 

「グレイ、ニコラス・フラメルって知ってる?」

 

 ハリーは私に聞いてきたが、生憎私は答えれそうにない。

 

「ニコラス・フラメル……?」

 

 私はその名前を見たことがある気がした。でも、何故か直ぐに思い出せず、妙なもどかしさに包まれた。

 

 




周りにガンダム見てる人全然いないんですけど……。なんで?

章の名前を変えるべきかどうか

  • 変える
  • 変えない
  • どうでもいいからはよ投稿しろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。