「トーレス司令、どうやらテロン人は鉱石を輸送しようとしています」
「ふむ……テロン人め、プラートが墜ちたからと言って油断しているようだな」
天王星の第三衛星『チタニア』にはザルツ混成機甲旅団の残存艦隊が停泊していた。
宇宙戦艦『ヤマト』によるメ二号作戦が発令される前、ザルツ空間機甲旅団司令官のシュルツは艦隊の壊滅を危惧して衛星『チタニア』――プリルト(ザルツ名)に少数ではあるが艦艇を回していた。
戦力としては『デストリア』級三、ケルカピア級九、クリピテラ級17隻が回航され艦隊司令官にはザルツ空間機甲旅団第三大隊長であるヴァルラ・トーレス少佐が任されていた。
「全艦出しますか?」
「……いや、『クリピテラ』級四隻でいいだろう。いくらテロン人でもあの艦隊に『ヤマト』のようなゲシュタム・ジャンプ出来るエンジンは無いだろう。それに向こうは巡洋艦がいるが高速に利する『クリピテラ』級も十分に逃げ切れる」
副官の具申にトーレスはそう判断した。しかし、輸送艦隊の『八雲』以下艦艇には『カ式次元宇宙エンジン』から『次元波動エンジン』に搭載され、かつ主砲はカ式よりも有効なショックカノンに切り換えられていた。
四隻の『クリピテラ』級はそれを知らず、そのままチタニアの港から出撃して一路エンケラドゥスに向かうのであった。
――衛星『エンケラドゥス』――
「作業は順調のようだな」
「はい、予定通りの0455には終われると思います」
将和は『八雲』の艦橋から作業現場を見ていた。作業現場ではコスモナイト90を積み込んでいる作業員が仕事をしていた。
「100式から何か連絡は?」
「今のところは定時連絡のみです」
「……出ると思いますか?」
「杞憂であればいいんだがな」
チュン参謀の言葉に将和はそう答える。将和も何も無ければそれで良いと思っているし人的被害を減らせれるならガミラスと遭遇しなくても良いと思っている。
「艦長、そろそろ交代の時間です」
「そうか、じゃあ後は頼む。何かあったら連絡してくれ」
「判りました」
将和はそう言って艦橋を後にした。
(取りあえず腹減ったから飯にすんべ……)
――食堂――
「ズルズルッ……たまにはざるそばも良いな……」
食堂にて将和はざるそばを食していた。『八雲』にもオムシスが配備されたが何を材料としているのかは将和も聞かない事にしていた。
そしてざるそばを食して一服の御茶(カフェイン無し)を飲んでいる時に放送が流れた。
『艦長ッ!! 敵艦ですッ!!』
「総員戦闘配置だッ!!」
『はいッ!!』
放送を聞いた将和はそう叫び、食堂にいた他の乗組員も自分の部署へ走り将和はそのまま艦橋へ上がった。
「状況はッ!?」
「偵察に向かった100式二号機から天王星方面から駆逐艦四隻が此方へ向かっているようです」
「……ガミラスの残存艦艇か。輸送船の作業状況は?」
「作業は繰り上げていますがまだ掛かるようです」
「……迎撃には駆逐艦『浜風』『浦風』を除いた艦艇で行う。波動エンジン始動ッ!! 『鳳翔』以下軽空母は航空隊を発艦させろ!!」
そして第33護衛隊は駆逐艦『浜風』『浦風』の2隻と輸送船を残して残りは迎撃に向かった。
「ガミラス艦、四時の方向から接近ッ!!」
「全艦波動防壁展開ッ!! 右砲戦用意ッ!!」
『八雲』の20.3サンチ陽電子衝撃砲三基が旋回して接近してくるガミラス艦に照準をした。
「敵艦発砲ッ!!」
ガミラスの駆逐艦が発砲してくるが、命中弾は全て波動防壁にて弾かれ防壁で守られている。
「照準良ろしッ!!」
「全艦撃ちぃ方始めェッ!!」
将和の号令で『八雲』が砲撃を開始した。『八雲』が放ったエネルギー弾は見事先頭の敵駆逐艦を貫通、一瞬の間を置いて爆沈した。
「敵先頭艦撃沈ッ!!」
「続けて照準を敵二番艦に合わせッ!!」
「……照準良ろしッ!!」
「撃ェッ!!」
『八雲』が再び発砲して敵駆逐艦の装甲を貫通させ撃沈した。
「『愛宕』『羽黒』も続けて発砲!! 敵三番艦と四番艦を撃沈!!」
「敵艦全滅ッ!! タキオンレーダーにも他の敵艦艇は探知していません!!」
「良し、戦闘解除。引き続き警戒に当たれ」
将和はそう命令を出したのである。その後、輸送船は積載能力限界までコスモナイト90を積み込み護衛隊も前回同様にカーゴを艦外に接続するのである。
将和ら第33護衛隊は警戒していたが地球に帰還するまでガミラス艦艇が来る事はなかったのであった。
――衛星チタニア――
「馬鹿な……テロン人はヤマト以外の艦船にゲシュタム・ドライブを搭載しているのか……」
「トーレス司令、如何なさいますか?」
監視衛星からの映像を見ていたトーレスはショックを受けていた。トーレスらは第33護衛隊と輸送船がゲシュタム・ジャンプをするのを映像からではあるが目撃したのだ。
傍らにいる参謀のバリル・シュタイト大尉はトーレスに事後処置の為に質問をする。しかし、トーレスは首を横に振った。
「いや、下手に動けば此方がやられる可能性がある。テロンも再びあの衛星に来るはずだ。その時を狙う」
トーレスは慎重にそう判断したのであった。
「艦長、地球です」
「おぅ、帰れたな」
あれから第33護衛隊はガミラス軍の襲撃を警戒していたがガミラス艦隊が襲撃に来る事は無かった。わざわざ火星沖からはワープせずに航行していたがガミラス艦隊は来なかった。月基地からのコスモファルコン12機が警戒飛行で来た時に漸く将和は安堵の息を吐いたのである。
「横須賀基地に帰港するぞ」
第33護衛隊と輸送船は地下基地の横須賀基地に到着した。そして作業をしていると土方司令が『八雲』に乗艦してきた。
「土方司令、すみません出迎えもせず……」
「構わん、俺が勝手に来たんだ。それに輸送任務御苦労だったな。ガミラス艦に出会したそうだな?」
「は、戦闘映像は先程司令部に送りました」
「……冥王星の残存艦隊だと思うか?」
「私個人の考えでしたらそう思います。恐らく作業している我々を見つけて冥王星の敵討ちと思って襲来したと思います」
「ふむ……少し話がある。艦長室に来い、チュン参謀もだ」
そう言ってる将和とチュン参謀に土方司令は艦長室に入った。
「恐らく、次回の輸送任務の時にはガミラスは残存兵力を以て全力で来るだろう」
「そうでしょう。ですが、此方の艦艇は……」
「艦船は増強出来る。今回の大掛かりな輸送の成功によりある程度の艦船に次元波動エンジンを搭載出来るが……艦船を建造する資材が足りん」
「では火星から……?」
「うむ、火星の鉱山からの輸送を頼みたい。ガミラス艦艇と遭遇する確率は極めて低いだろう」
地球の資源はある程度取り尽くされている。(それでもまだまだある)その為地球は火星や木星と火星に点在する小惑星帯からの資源に頼っていた。
「判りました。発進準備が出来次第発進します」
「頼む。それと乗組員は新人の兵も乗り込む」
今回も多くの乗組員が新規艦等に異動する事になった。
(まぁそうでもしないと兵を育てられないからなぁ……末期日本軍じゃねぇかよ……)
思わずそう思う将和であった。そして一日休暇をして三日後の0500に巡洋艦4、駆逐艦12、輸送船8隻の艦艇が地球を発進して火星へ向かうのであった。
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