火星からの輸送任務は五日で終わった。まぁ地球からの距離が近い事もあり次元波動エンジンをと搭載した艦船なら尚更である。
この輸送任務により地球艦艇の建造日程と次元波動エンジンへの換装は進み、漸く戦艦『霧島』以下3隻、改造大型空母『ケストレル』、軽空母1隻、巡洋艦6隻、駆逐艦14隻、輸送船7隻が新たに竣工して新しい乗組員が訓練しているのであった。
また、電力回復のために一部廃墟となっている地表に大量のソーラーパネルを設置して発電を行う事になった。
これは前から行っていたが、時折地球に飛来してくる遊星爆弾の影響で破壊されていたがガミラスの冥王星基地が陥落した事により遊星爆弾が飛来するのは無くなったのだ。また、発電については金星にもソーラーパネルを設置して地球に発電を輸送している。
また、地球に繁茂しているガミラスの植物を焼き払い、汚染を出来るだけ遅らせていた。
だがそれでも汚染の浸食を完全に防げる事は出来なかった。
「……それで火星への移住計画ですか?」
「そうだ。火星は地球よりかは攻撃の被害は少ない。火星へ地下都市を築くのだ」
将和は第一艦隊旗艦『霧島』の司令官室で土方司令官と話していた。
火星は国連宇宙軍の基地は存在していたが、第二次火星会戦の時にガミラス艦隊の攻撃で壊滅していた。それ以降、メ号作戦までは無人星であった。
「先に基地を築いてから移民を始める。だがその前にだ」
「……太陽系の何処かにいるガミラス艦隊を撃滅する事ですね」
「そうだ」
将和の言葉に土方司令官は頷き太陽系の地図を出した。
「前回会戦の時、天王星方面からガミラス艦艇は接近してきた。つまり天王星及び海王星の衛星にガミラスの基地がある筈だ。それを完全に叩く」
「……今の艦艇で叩けるでしょうか? 陽動で主力がいる可能性も0ではありません」
今の国連宇宙海軍は2個艦隊にまで次元波動エンジンの換装を完了していた。『ヤマト』のように波動砲は搭載しておらずカ式次元宇宙エンジンからの改装艦のみだが7月以降に就役するのは当初から次元波動エンジンを搭載した新規艦の予定である。
国連宇宙海軍第一艦隊
司令長官 土方中将
旗艦『霧島』
第一戦隊
『霧島』『比叡』
第三戦隊
『夕霧』『春日』『叢雲』
第五戦隊
『剣』『鞍馬』『伊吹』『那智』
第一宙雷戦隊
『天龍』『龍田』
第六駆逐隊
『暁』『響』『雷』『電』
第二十五駆逐隊
『初島』『綾瀬』『太刀風』『水無月』
第二宙雷戦隊
『神通』『那珂』
第十五駆逐隊
『黒潮』『親潮』『夏潮』『早潮』
第十六駆逐隊
『天津風』『時津風』『初風』『雪風』
第一航空艦隊
司令長官 グリーン・ワイアット中将
旗艦『ケストレル』
第一航空戦隊
宇宙母艦
『ケストレル』
【97式空間戦闘攻撃機66機】
『鳳翔』
【97式空間戦闘攻撃機30機】
第二航空戦隊
『祥鳳』
【97式空間戦闘攻撃機30機】
『瑞鳳』
【同上】
『龍鳳』
【同上】
第七戦隊
『高千穂』『長良』『新高』『日進』
第六宙雷戦隊
『夕張』
第二十三駆逐隊
『卯月』『菊月』『三日月』『夕風』
第二十九駆逐隊
『追風』『疾風』『朝凪』『夕凪』
第三十駆逐隊
『睦月』『如月』『弥生』『望月』
第33護衛隊
司令官 三好将和大佐
旗艦『八雲』
第四戦隊
『八雲』『愛宕』『羽黒』『足柄』
第十八駆逐隊
『陽炎』『不知火』『霞』『霰』
第三十一駆逐隊
『長波』『高波』『巻波』『大波』
「だが叩かなくてはならんのだ。今の戦力でな」
土方司令官はそう主張した。確かに太陽系のガミラス艦隊を叩かないと移民は勿論、コスモナイト90があるエンケラドゥスへおいそれと行けないのど。
「判りました、全力を尽くします」
「出撃は五日後の0700だ」
(少しばかり休暇は出来るな。何時もの店にでも行くとするか……)
「よぅ親父。熱燗一つね」
「らっしゃい。熱燗一つ」
将和は横須賀基地の近くにある居酒屋「やまと」に来ていた。
この居酒屋の親父は元国連宇宙軍に所属していたらしい。乗艦していたのは日本所属の探査艦『やまと』で店の名前もそれに因んだ事とか。
「お連れさんが来てるよ」
「お連れさん?」
「お、来たな」
奥のカウンター席にはトチローが既に飲んでいた。顔も薄く赤くなっている。
「もう酔っているのか? てかお前、酒は弱い方だろ」
「うるへぇ。こちとら漸く粗方のエンジン換装は終わったんだ。飲んだって悪い事じゃない」
「へい、熱燗お待ち」
トチローはそう言って日本酒を飲み、焼き鳥を頬張る。将和も熱燗が来たので御猪口に日本酒を入れて一気に飲み干した。
「……頼むぞ」
「……分かってる。無茶はしない」
その日、居酒屋「やまと」はどんちゃん騒ぎとなるのだがトチローは溝に吐きまくるのであった。
それから五日後、第一艦隊と第一航空艦隊は横須賀基地を出撃して一路天王星方面へと向かった。
目的は太陽系に残留しているガミラス艦隊の撃滅だ。
「第一航空艦隊は第一艦隊の後方へ展開せよ」
『了解した。まぁ『ケストレル』もいるのだ、航空戦は有利になろう』
「だが油断は禁物だ」
『無論だ』
土方中将の言葉にワイアット中将(共に同期)は土方中将に敬礼をして護衛艦艇と共に後方へ下がる。
「全艦警戒を厳とせよ。各空母は100式を出して偵察せよ」
直ちに空母から八機の100式が発艦して敵ガミラス艦艇を探しに行く。
「………」
「やはり来ますかな?」
『霧島』艦長の安田俊太郎大佐は土方司令官にそう聞いた。
「……奴等は既に死兵だ。戦局を打開するには我々と戦うしかあるまい」
――衛星チタニア――
「トーレス司令。テロン艦隊です」
「……テロン人め、一か八かの賭けに出たな。ならば我々も乗ってやろう」
「それでは……」
「全艦に出撃命令ッ!! 無論私も出るッ!!」
チタニアに停泊していた残存ザルツ空間機甲旅団は出撃して一路第一艦隊へと向かったのであった。
――木星宙域――
「100式より敵ガミラス艦隊発見の報告ですッ!!」
「全艦戦闘配置につけッ!!」
木星宙域を航行していた第一艦隊に戦闘警報が鳴り響いた。
「敵ガミラス艦隊、二時の方向から接近ッ!!」
二時の方向から接近してきたガミラス艦隊は第一艦隊を通り過ぎて回頭。
そのまま航行して同航戦へと布陣した。
「右砲戦用意ッ!!」
次元波動エンジンに換装され、無砲身から有砲身へと改装された『霧島』の40口径35.6サンチショックカノン三基が旋回してガミラス艦隊に照準した。
「照準良ろしッ!!」
「撃ちぃ方始めェッ!!」
全艦から一斉に砲撃が開始された。エネルギー弾はそれぞれが照準したガミラス艦艇の装甲を貫いた。装甲を貫通されたガミラス艦艇は次々と撃沈していく。
「そんな……馬鹿な……」
「トーレス司令ッ!! 今の砲撃で『ケルカピア』級三 、『クリピテラ』級四隻が撃沈ッ!! 残存は我が『デストロス』を含めて『デストリア』級三、『ケルカピア』級五、クリピテラ級10隻のみですッ!!」
シュタイトはトーレスにそう報告をする。
「……このままでは我々はシュルツ司令と同じ運命だ。全艦に告ぐッ!! このまま敵艦隊に突撃するッ!!」
「トーレス司令ッ!! それでは……」
「……我がザルツはデスラー総統に立派に戦ったと言わねばならんッ!! 退艦する者は即時退艦せよッ!!」
『………』
しかし、退艦する者は誰一人いなかった。
「……誰もいないようですな」
シュタイトはフッと笑った。彼も退艦する気は毛頭無かったのだ。
「……行こう。ザルツの武人魂(もののふだましい)をテロン人に見せるのだッ!!」
『ザルツ万歳ッ!!』
ガミラス艦隊は経路を変更して第一艦隊に突撃を敢行した。
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