『三好inヤマト』改三リメイク   作:零戦

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第八話(改訂)

 

 

 

 

 

 

 

「………さて、そろそろこの中にいるのも暇にはなってきたものだな」

 

 衛星軌道拘置所の一室にて収監されているジェイル・スカリエッティはふとポツリとそう呟いた。ただスカリエッティ本人も何となく呟いた言葉だった。

 

「……ククク……最高評議会の馬鹿どもを葬ったから意欲が無くなったと思いきや……成る程成る程……これが人間の欲望というものか」

 

 かつて、アルハザードの技術によって造られた人造生命体であるスカリエッティは開発コードネームは『アンリミテッド・デザイア(無限の欲望)』と呼ばれた。その名の通り、またしても欲望が沸いてきたのである。といっても再び管理局に対して……ではなくただ単に此処が暇になったからであった。

 そうと極ればスカリエッティは脱獄の準備に移行した。無論、協力者は今も拘置所にいる娘達と『外』にいる極秘の者達であった。

 実はスカリエッティの協力者は多種多様であり最高評議会や故レジアスはその中でも多くの資金等を提供していたのだ。協力者達もスカリエッティが「暇だから脱獄する」との事に当初は呆気に取られていたが「まぁスカリエッティのする事だから」と納得していた。

 多くの者に忌み嫌われているという印象があると思いきや、家族であるナンバーズ等には一定の愛情があるので案外そこそこ憎めない人物でもあったのだ。協力者達もそこのところは認識していたのだ。

 そしてスカリエッティが脱獄を思い付いてから数ヶ月後の朝方、スカリエッティら拘置所に収監されていた面々は忽然と姿を消して脱獄するのである。無論、これは協力者達の協力があっての事だった。

 

「これからどうなさいます?」

「そうだねぇ……一先ずは仮のアジトでも欲しいからなるべく遠くの管理外世界に行こうかな」

「それは賛成ですわ」

 

 それぞれの拘置所から脱獄し途中で合流したスカリエッティ達は協力者が用意した星間クルーザーで移動中だった。

 

「では一先ず転移を……」

 

 そう決めた面々は転移をするのであるが星間クルーザーのエンジンが元々不調を抱えておりスカリエッティが入力した管理外世界ではなくランダムによる転移をしてしまうのであった。

 そしてこれ以降、スカリエッティ達が表舞台に出てくる事はなかったのである。少なくとも『この世界』ではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フム……今日はチャー定にするかな」

 

 将和が司令官を務める第十三艦隊は訓練のために冥王星から出撃して太陽系外縁部に存在するエッジワース・カイパーベルトに来ていた。

 このカイパーベルト、主な形成は氷でありテラフォース化が引き続き行われている火星の海等はこのカイパーベルトから引っ張ってきていたりする。また、冥王星等の基地への飲料水の供給もこのカイパーベルトに存在する氷等に使用されていたりする。

 それはさておき、将和は午前の訓練も終わった事で食堂に来て本日の昼食を注文していた。

 

(そろそろ訓練も終盤……か。ガトランティスは来ないしまだ行けるだろうな……)

 

 将和の第十三艦隊が冥王星に赴任してから二月程経った。相変わらず訓練はするがまだ『ヤマト』が脱走した報告は無い。だが、元『ヤマト』乗員が何らかの動きをしているのは同期の真田からコッソリとは聞いていた。

 

「真田、気が早い古代らを抑えておけ。今、親父が『ヤマト』をテレザート星調査という特殊任務をするよう調整している。それまでは動くな」

『分かっている将和。だが古代らはそろそろ抑えきれないかもしれない』

「馬鹿ッ、そこは何とかしろよ……」

 

 映像先の顔をしかめる真田の言葉に将和は溜め息を吐くのであった。

 

(頼むから脱走はまだやるなよ……)

 

 将和はそう思いながら炒飯を掻き込み午後の訓練も引き続き行うのである。なお、将和が魚ではなくチャー定を食べた事にリニスは若干ムカッとしていた。

 そして訓練を終了してからの2032に新見からの連絡が入った。

 

『三好君、『ヤマト』が脱走したみたいだわ』

「……真田も抑え切れなかったか……」

『えぇ。先生も『ヤマト』に乗艦しているみたいよ』

「分かった。取り敢えずは艦橋に戻る」

 

 上着だけを脱いでいた将和だが再度着て艦橋に戻るのである。

 

「それで『ヤマト』はいつ脱走を?」

「連絡によれば5日前みたいだわ」

「第十三艦隊が訓練を始めた辺りか。チッ、情報が遅すぎる」

 

 新見の言葉に将和は頭をポリポリと掻く。なお、大山は波動エンジンの調子を見るために機関室に籠りっぱなしであった。

 

「それで司令部や冥王星基地からは?」

「『ヤマト』はテレザート調査の為の特殊任務を帯びているので脱走ではない……三好君が来る25秒前に追加で来た情報よ」

「成る程。なら『ヤマト』を発見しても攻撃はしないぞ。むしろ補給が必要であれば支援をする」

「分かったわ」

 

 将和の言葉に新見は頷く。

 

「全艦に通達、戦闘配置ではないが警戒配置につけ」

「まさか三好君……」

「分からん。『ヤマト』が出撃したならその脅威の敵が周辺にいるかもしれんという予想だからな」

「なら訓練は切り上げる?」

「いや、訓練は行う。ただの警戒になるかもしれないからな」

「分かったわ。その旨を伝えておくわ」

 

 それからも第十三艦隊は残りの二日間、

エッジワース・カイパーベルトで訓練をしていたが『ヤマト』は元よりガトランティス軍が来る事はなかった。

 

(うーん……こりゃ俺達を警戒して別ルートで抜けたかもな……)

 

 将和はコーヒーを飲みながらそう思う。念のために警戒されて太陽系を脱出したのかもしれない。

 

(まぁ良いか。遭遇しないなら仕方ない)

 

 将和は一旦交代しようと席を立とうとしていた時だった。

 

「重力震……?」

「ん、どうした?」

「前方約60宇宙キロに重力震反応があるわ」

 

 情報席に座っていた新見が目を細める。その瞬間、将和は動いた。

 

「全艦戦闘配置につけェッ!!」

 

 艦橋に警報が鳴り響く。それは何処の艦艇でも同じ事だった。恐らくは白色彗星ーーガトランティス艦隊であろうと判断したのだ。

 

「新見、数は分かるか!?」

「ちょっと待って……えっ?」

「どうした!?」

「……単艦よ」

「何?」

「だから単艦よ単艦!! 1隻しか反応が無いわ!!」

「はァッ!?」

 

 新見の叫びに将和は驚愕する。どういう事だ? 奴等の意図が分からない……。

 

「……取り敢えずはこのまま確認が出来る位置まで前進。その後は映像で確認する」

 

 斯くして第十三艦隊は周囲を警戒しつつ前進を開始するのである。そして前方にいたのは……。

 

「おやおや……此処は何処の管理外世界だ……?」

「お待ちください……データでは太陽系外縁部のエッジワース・カイパーベルトと出ています」

「太陽系……成る程。第97管理外世界の地球に来たようだな。クアットロ、エンジンはどうだ?」

『ドクタ~、これは駄目ですわ。修理には時間が掛かります』

 

 機関室で修理を当たっているクアットロに通信を入れるが状況は悪かった。

 

「ふむ……仕方ない。暫くはこのままか」

「……駄目ですねドクター。レーダーに反応です」

「おや、管理局かね?」

「分かりませんが多数の艦艇が此方に向かっています。ただデータベースにはどれも符合しません」

「フム……」

 

 ウーノの報告にスカリエッティは考え込む。管理局にしては新型の次元航行艦を投入してきた……という事なのだろうか……?

 

「クアットロ、修理は続けてくれ。なるべく対話で時間を稼ごう」

『分かりましたわ』

 

 そして彼等は10数分後に会合するのである。

 

「通信は出るか?」

「駄目です。向こうも周波数を出しているようですがよく分かりません」

「……発光信号に切り替える」

「相手は分かるかしら?」

「賭だな」

 

 

 

 

「ドクター、発光信号です」

「フム……地球のか。『我、地球防衛軍第十三艦隊。所属ヲ明ラカニセヨ』か」

「この船には信号機はありません」

「何、光るモノで可能だ」

 

 

 

 

「返信です。『我、機関故障中。我、救助必要。発、ジェイル・スカリエッティ』」

「………はっ?」Σ(゚Д゚;)

 

 通信長の言葉に将和は唖然とした。

 

(……どっかで聞いた名前……っていやいや……でもこれも元はアニメの世界だし……てかプレシアやリニスもいるからなぁ……)

 

 将和は平成の日本にいた時に知っている名前だった。思わず頭を抱えてしまうが取り敢えずは救助する事にしたのだ。

 

「再度返信。『我、救助ヲ開始ス』」

 

 斯くして第十三艦隊は思わぬ珍客達を救助するのであった。救助されたスカリエッティ達は『伊勢』に収容され客人用の応接室に案内された。

 

「ほほぅ……管理外世界の地球がこれ程の宇宙艦艇を保有していたとはね……」

「ですがドクター、地球は……」

「うん。まだ月までのしか航行能力はなかった筈だな」

 

 一応ながらスカリエッティ達も違和感がある事に気付いていた。そしてスカリエッティ達の前に二人の人間が現れる。

 

「地球防衛軍第十三艦隊司令官の三好将和准将だ」

「同艦隊情報参謀の新見です」

「これはこれは御丁寧に。私はジェイル・スカリエッティ。此方は私が作成した戦闘機人の娘達です」

「ウーノです」

「トーレだ」

「クアットロです~」

「……セッテ」

「(拘置所組面々じゃねーか……)まぁ取り敢えずは椅子にでも」

 

 将和は頭痛がしそうになるのを我慢しながら取り敢えずは椅子に座らせる事にする。そして将和は椅子に座ると南部97式防衛軍制式拳銃を机に置く。

 

「これは?」

「なに、話し合いですからな。此方が丸腰だと分かれば話もしやすいでしょう?」

「成る程。貴方は道理が分かるですな。では話をしましょう」

 

 そしてスカリエッティは話を始めるのである。

 

 

 

 

 

 

 

「とまぁ、私達は脱出をしたのは良いですがエンジンの故障でランダムに転移してしまったみたいですな」

「……成る程(うーん、ifルートみたいなもんかぁ……まぁプレシアの前例があるからなぁ)」

「……ですが魔法の世界とは俄に信じられないわ」

 

 スカリエッティの言葉に新見はそう言う。まぁスカリエッティもさもありなんという表情をしていた。

 

「だろうとは思っているので映像は用意している」

 

 そしてスカリエッティは映像ーーナンバーズとなのは達の戦いを見せた。新見はほほぅ(゚Å゚)としていたが将和は……。

 

(なのはだ!? フェイトもいるしタヌキもいるぞ!! なのは完売!!)

 

 色んな意味で興奮していた。(まぁそうなるな)

 

「どうされました?」

「う、ウン。いや何でも(けど、フェイトがいたっって事は……やはりプレシア達は平行世界の住人になるな)」

 

 目の色を変えていた将和に声をかけるウーノであるが将和はそう濁すのである。

 

「取り敢えずは冥王星基地に戻るか……スカリエッティ達は……」

「面白そうだから同行を願いたいですな」

「デスヨネー」

 

 斯くして第十三艦隊は珍客を乗せて冥王星基地に帰還するのであるがその途中、『ヤマト』からの通信が入ったのである。

 

『土方大将のパトロール艦隊がガトランティス艦隊の襲撃を受け艦隊は全滅、土方大将は負傷しそのまま『ヤマト』に救助され『ヤマト』に同行する』

 

 事態は大きくなりそうであった。

 

 

 

 

 

 

 




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