『三好inヤマト』改三リメイク   作:零戦

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第十九話

 

 

 

 

 

 

 

 将和の朝は0550から始まる。

 

「………………」

 

 呉の宇宙軍港に停泊する戦艦『伊勢』の艦長室で将和は時計の音で目が覚める。その隣では裸で毛布にくるまって寝息を立てながら寝ている薫の姿があった。

 晴れて付き合い出してから(なお、将和は「まだ付き合ってない」と主張している)薫の艦長室に入り浸るのは毎日の如くであった。気付けば艦長室には薫の私物もちょこちょこあったりする。

 第一艦隊は昨日に呉宇宙軍港に帰還した。帰還したのは宇宙軍訓練学校の候補生の練習航海が終了したので候補生を地球に送り届けたのである。全員が下艦したのは夜であり将和も隊舎で寝るつもりだったが書類作成等もあったので全てが終わったのが0000を過ぎた事もあった。

 その為そのまま艦長室で寝たのである。なお、将和が艦長室に入ったのを確認したかのように数分後には寝間着姿の薫が艦長室に凸したのであった。

 それはさておき、将和は艦長服に着替えるとそのまま艦長室を出て食堂に向かうのであった。

 

「もう、起こしてくれても良かったのに……」

「悪い悪い。気持ち良さそうに寝ていたからな……」

 

 食堂で朝食を取っていた将和の数分後、これまた着替えて食堂に来た薫が文句を言うと将和が苦笑して謝るのである。

 その後、将和は横須賀の地球防衛軍艦隊司令部への出頭が命じられ将和は共に出頭を命じられたスカリエッティらと横須賀に向かうのである。

 

「スカさん、何かした?」

「いや何にも……いや待てよ。ワープミサイルとか開発を具申したからそれかも……」

「おい待てや」

「……………」

 

 ブツブツと小声で話すスカリエッティに将和はそうツッコミを入れるがその光景をウーノがジッと見ていたりする。

 

(早く……聞かないと……)

 

 というのもウーノは将和が呟いた『宇垣』等々の解明をスカリエッティから依頼されており暇を見つけたら調べてはいた。

 その中でウーノは気になる記載を見つけたのだ。

 

『1945年6月、マリアナ沖海戦で戦艦『大和』撃沈。同艦に第一戦隊司令官宇垣中将が『大和』と運命を共にする』

 

 確かにあの時、将和は『宇垣』と呟いていた。それは薫も確認している。

 

(全く……薫さんが三好司令に首ったけになるから……)

 

 当初は薫もウーノと共に将和の呟いた言葉を調べていたが薫が将和とくっついた事で一抜けに等しい事だったのだ。

 まぁウーノもウーノで自身に訪れる未来に今は何も気付いていないのであった。

 それはさておき、将和とスカリエッティ一行は横須賀の地球防衛軍艦隊司令部に到着すると先に将和から案内されたのである。

 

「土星沖海戦……ご苦労だったな」

「俺は命令しかしてませんよ。戦ったのは乗組員達です」

「だがその乗組員もお前の命令で動いているのだ。謙遜も良いが自身の影響を考える事だな」

「はっ、精進します」

「話がずれたが……第一艦隊は第二艦隊が創設されるまでは土星の衛星タイタンで引き続き駐留してもらう」

「……第三艦隊の創設まででは無く……ですか?」

 

 将和の指摘に藤堂と芹沢は目を見開いた。目の前の男はまだもう一個艦隊の創設を訴えてきたのだ。そしてそれを聞いた正信は大爆笑をした。

 

「ハッハッハッハッハッハ。お前はまだ足りんと言うか?」

「まぁそうですな。せめて空母艦隊でも……と思います」

「ほぅ、空母艦隊か……」

 

 将和の言葉に正信は興味を得たように身を乗り出す。それは芹沢もであった。

 

「えぇまぁ……今の第一艦隊は残った艦艇でかき集められた混成艦隊ですし……それに空母艦隊は必要でしょう」

「フム……では貴様ならどう編成をする?」

「……宜しいので?」

「あくまでもお前の考えだ」

 

 そして将和は正信に言われて空母艦隊の案をタブレットに記入して正信に渡す。

 

 第一航空艦隊

 

 第二航空戦隊

 『蒼龍』(コスモタイガー2×36 雷撃機×36 100式空間偵察機×3)

 『飛龍』(同上)

 第三航空戦隊

 『ワスプ』(同上)

 『レンジャー』(同上)

 第四航空戦隊

 『イラストリアス』(同上)

 『ヴィクトリアス』(同上)

 第一護衛隊

 『松』以下10隻

 第二護衛隊

 『樫』以下10隻

 

「現在の戦力で編成出来うる空母艦隊です」

「フム……妥当な線だな……」

 

 将和の言葉に芹沢は頷く。

 

「……良く分かった。取り敢えずは一週間の休暇だ」

「一週間もですか?」

「暫くは地球には帰れんだろう。その為の処置だな」

 

 正信はそう言って話を締め括るのである。そしてスカリエッティ達が呼ばれた。

 

「実は君達には改めて辞令を通知する」

 

 そう言って正信は通知書をトーレ達に配付する。

 

「ウーノ・スカリエッティ。本日付で戦艦『伊勢』通信長に任命する」

「トーレ・スカリエッティ。本日付で戦艦『伊勢』戦闘班長に任命とする」

「クアットロ・スカリエッティ。本日付で戦艦『伊勢』副技術長に任命する」

「セッテ・スカリエッティ。本日付で戦艦『伊勢』砲雷長に任命する」

「こいつはまた……」

「なに、彼女達には十分な素質があるからだ」

 

 将和の言葉に正信はニヤリと笑う。

 

「あぁ、戸籍はちゃんと親子としているから何の問題は無い」

(私的濫用に近いが……黙っとこ……)

 

 そう思う将和である。知らぬが仏であるのだ。

 

「てかそれなら南部達は……」

「あぁ。新造される艦艇の方に異動してもらう。人事不足なのは仕方ない事だ」

 

 まぁ彼等も『ヤマト』が無いので仕方ないかもしれない。だが、将和としては彼等を引き留めはしたかったので後にそれを実行するがそれは先の話である。

 

「なに、君達なら十分やれる。それに後ろには息子がいるしな」

「あまり過大評価はちょっと……」

(過大評価では無いと思うがなぁ……)

 

 将和の小声に藤堂はそう思うのである。そして一旦は司令部での用事は終わったと思う将和であったがウーノに呼び止められた。

 

「どうした?」

「……御相談があります」

「相談?」

「はい……司令があの時仰った『宇垣』についてです」

「ッ………」

 

 ウーノの言葉に将和の表情が少しだけ変わった。無論、その様子をウーノは見逃さなかった。

 

「………………はぁ………」

 

 そのウーノの視線に将和は観念したかのように溜め息を吐いた。

 

「……この事を知っているのは?」

「新見情報参謀くらいです」

「………分かった。薫……いや、アイツにはまだ早いか。取り敢えずウーノだけには喋っておこうか。呉に戻ったら艦長室に来てくれ」

「分かりました、ありがとうございます」

 

 そして一行は呉に戻り将和が艦長室でウーノが来るので片付けをしているとノックをされた。

 

「ウーノです」

「おぅ、開いてるよ」

 

 ガチャリと扉を開けてウーノが入ってくる。将和は椅子を出してウーノを座らせ自身も椅子に座る。

 

「さて……何処から話そうかな……」

「三好司令が話しやすいところからでも大丈夫です」

「いや……そうすると全部話す必要になるからな……良し、最初から話すか」

 

 将和はコップにコーヒーを入れてウーノに渡す。砂糖とミルクは入れていない。どうせ眠れなくなるのだ、それならコーヒーだけで良い。

 

「さてウーノ。君はタイムスリップを知っているか?」

「タイムスリップ……確か人が時を越えるというのは聞いた事は……まさかッ」

「そう、そのまさかだ」

 

 目を見開くウーノに将和は頷きゆっくりと口を開く。

 

「俺はかつて……タイムスリップをした経験を持つ人だ。昔、この地球にある日本の平成という時代から俺は過去……約100年以上前の明治という日本にタイムスリップをしたんだ」

「平成……この日本の年号ですね。平成、昭和、大正、明治と記憶があります」

「博識だなウーノ、まぁその通りだ。俺は約100年以上前の時代の時を越えた……」

 

 そして将和は語り出す。己が経験したかつての出来事を……。その話は夜も更け時刻は0200を指していた。

 

「とまぁ……これが俺が経験した出来事だ」

「……俄には信じられませんが……確かにあの時、『宇垣』と呟いたのも納得出来ます」

「あの時はなぁ……俺には『ヤマト』が『大和』に見えた。そしてその隣には宇垣が笑っていてそのまま超巨大戦艦に向かっていった……」

 

 今でも思い出すあの時の事を……。どうして宇垣が現れてあの行動を移したのか、もしかしたらテレサが将和の事に気付いて『大和』に関連する人物として宇垣を現れさせたのかもしれないがテレサは『ヤマト』と永遠の旅に出たので答えは永遠に謎であった。

 

「さて、此処からが本題だ」

「本題……ですか?」

「俺が魔法を知っている事だよ」

「ッ……それは確かに本題ですね」

「……何で魔法を知っているか……それはなウーノ、君達は元よりこの世界が創作物語の世界だからだよ」

「創作……物語……?」

 

 将和の言葉にウーノは目をパチクリとさせた。今、目の前にいる男は何と言ったのだろうか?

 

「アニメ……は分かるか?」

「はい、それは……まさか三好司令……」

「勘づいたか? 俺がタイムスリップ前の平成の世界……そのアニメの中に君達や『ヤマト』が登場するアニメ作品があるんだよ」

「…………………」

 

 ウーノは目眩を覚えた。じゃあ何か? スカリエッティや妹達はアニメの中で戦わされてスカリエッティが復讐する理由もアニメの展開で作られたのか?

 まぁスカリエッティなら「そいつは面白い!!」とか言いそうではあるが……。

 

「……私達は一体……何者なんですか?」

 

 ウーノはそれしか言えなかった。自分達が存在する意義は何なのか?

 

「ウーノはウーノだよ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

 将和はそう言って残り少ないコーヒーを飲み干して再度入れる。

 

「俺はこの世界を平行世界と思っているからな」

「平行……世界……? パラレルワールドというものですか?」

「あぁ。そもそも君達はアニメの中では脱獄をする展開は少なくとも俺がタイムスリップするまではなかった。もしかしたらタイムスリップ後にはあったかもしれないがな」

 

 将和はそう説明をする。だが、続編でもスカリエッティらが脱獄する話は無かった。だからこそ将和は平行世界と位置づけたのである。

 

「パラレルワールドというのは作品の中でもポピュラーなモノになっているからな。それこそ……此処で君達と俺が出会っているのも奇跡だしな」

「はぁ……」

「ま、要約すればだが……俺が魔法を知っていたのは君達のアニメ作品を見ていたから。だから俺は驚く事はしなかったというわけよ」

「……納得は分かりませんが話の内容は理解しました。ですが質問があります」

「何かな?」

「三好司令がこの後の……この世界の展開は知っているのですか?」

「……そう来たかぁ……」

 

 ウーノの言葉に将和は苦笑する。『ヤマト』を知る者としては確かにこの後の展開は知っていたのだ。

 

「この世界……『ヤマト』がいる世界と『ヤマト』がいない世界に分かれるんだよ」

「『ヤマト』が……?」

「そう。何せ『ヤマト』という戦艦が主人公だからな。そして今、『ヤマト』はいない。『ヤマト』がいない世界はね……………………映画だけで終わっているんだ」

「……それじゃあ……」

「今後の展開は予測は付かない……というわけさ」

「……そうなんですね……だからこそかも……」

「ん?」

「いえ何も………(もしかしたら博士が脱獄しようと言ったのはそういった何かしらの事が結び付いた……からかしら?)」

 

 将和の言葉にそう思うウーノであった。少なくとも脱獄しようと言い出す前までスカリエッティは何も行動はしていなかった。だからこそウーノの脳内では点と点が線で繋がった気がしたのだ。

 

「これは……博士にも報告しても宜しいのですか?」

「構わないよ。どうせスカさん達がこの世界にいる時点で未来は予測付かないからな」

 

 アッハッハッハと笑う将和である。

 

「分かりました。今日は夜中まですみません」

「良いよ良いよ。また聞きたい事があったら来てくれて構わないし」

 

 その日はこれで終わりとするのであった。

 

 

 

 

 

 

「ちょっとウーノ!? 夜中に将和の部屋から出てきたのってどういう事よ!!」

「い、いやそれは……(見られてた……)」

 

 バッチリと薫に将和の艦長室から出ていくのを見られたウーノである。

 

 

 

 

 

 




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