『三好inヤマト』改三リメイク   作:零戦

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第二十話

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!!」

「オイショッ!!」

 

 戦艦『伊勢』の格闘場(戦闘時は簡易遺体安置所にもなる)で将和とトーレが格闘の錬成をしていた。宇宙空間での戦闘が主である地球防衛軍だが万が一に備えての格闘錬成もあったりする。

 白色彗星戦役時でも『デスラー』艦に白兵戦で突撃したり都市帝国にも突撃しているのだから必要なのは必要である。

 

「よし、今日は此処までだ」

「あいよ。あー無理、疲れたぁ……」

 

 なお、指導教官はトーレであるがトーレ自身もかつてはミッドで殴り合いの乱戦をしていたので納得の役割である。

 

「トーレ~、また頼むよ」

「それは構わないが、少しは体力をな……」

「それは三十路にはキツイ相談だな……」

 

 トーレの言葉に将和はガックリと項垂れるのであった。

 その後、トーレはシャワー室で汗を拭い食堂に赴く。最近、一仕事を終えた後は食堂で甘い物を取るのが日課になってきているトーレである。(なお、他のウーノ達も共通しておりセッテもよく食堂でパフェを食べたりしている)

 

「フム……今日は……」

 

 トーレがメニュー表を見ていた時、視界の隅に二人の女性が見えた。ウーノと薫だった。二人は宇宙軍は元より地球でも大人気のマゼランパフェを食べていた。

 

「ム、ウーノと薫じゃないか」

「あらトーレ」

「空いてないでしょ? 此方に来なさいよ」

「済まないな」

 

 トーレはマゼランパフェを頼み程なくパフェが到着しトレイを持って二人の席に歩み寄りウーノの隣に座る。

 

「それで……今日は二人してどうしたのだ?」

「それよトーレッ」

 

 トーレの言葉に薫が強く反応してズイッと身を乗り出す。

 

「ウーノったら昨日の夜中……艦長室から出てきたのよ!!」

「ブッ」

「ちょ薫、それは誤解だって何度も……」

「じゃあ何の目的で行ってたのよ」

「そ、それは……」

『何かの用事だったのだろ?』

『……三好司令の正体を聞いたのよ。それに今の時点で薫にはまだ早いと思うの……』

 

 念話で理由を聞いたトーレだが返してきたウーノの返答に些か対処に困った。トーレもある程度はウーノから将和の正体を知っていたが全てを知っているわけではなかった。

 だからこそ、だからこそトーレは聞きたい好奇心に負けてしまったのである。

 

「フム……それは私も聞きたいな」

「ちょ、トーレ!?」

「ほら、これで2対1よ。どうする?」

 

 思わぬ味方を得た薫はクスリと笑う。此処までは誰も予想はしていなかっただろう。

 だがそこへウーノに味方する者が現れた。

 

「新見情報参謀、大山技術参謀から波動エンジンの調子を見てほしいとの事です」

 

 現れたのは砲雷長のセッテだった。セッテもトレイにはマゼランパフェが置かれていた。ただし数は三つである。

 

「んもぅ。トチローったらまた何かしたのかしら……ウーノ、また後で聞くからね!!」

 

 薫はそう言って食堂を後にするのである。食堂から出た薫を見てウーノが深い溜め息を吐いた。

 

「ほんと勘弁してよトーレ……」

「ハハハ、済まない。だが私も気になっていたからつい……な?」

「トーレ、その好奇心……セッテが来なかったら後悔していたわよ」

「後悔……?」

「まぁいいわ。セッテも聞くかしら?」

「いや……私は特に興味が無い」

 

 セッテはそう言って別の席に座るのであった。一応はウーノが怒っているのを感じたのだろう。だがウーノはセッテの言葉を無視した。

 

「良いわ、聞きたいのなら聞かせてあげるわ」

「あ、私の……というか私は別に聞く気は……」

 

 ウーノはトーレのマゼランパフェを奪い食べ出すがそれを気にせずウーノは語り出すのであった。そしてその話題の中心である将和はというと……。

 

「ブェックシュン!! ブェックシュン!! ……誰か噂でもしとんかな……」

 

 将和は艦長室でそう呟いた。そして時計を見ると時刻は1300を指していた。

 

「……そろそろかな」

「失礼します」

「ん、開いてるぞー」

 

 ノックする音が聞こえ将和が許可するとガチャリと扉が開いた。入ってきたのは元『ヤマト』飛行隊の山本だった。

 

「お久しぶりです」

「あぁ、あの時以来だな」

 

 将和の言葉に山本は頷き敬礼をする。

 

「山本玲大尉、本日付で戦艦『伊勢』飛行隊隊長に任命されました」

「ん。宜しく頼むよ」

 

 将和はそう言うが山本の表情は以前よりかは無であった。流石の将和も山本の表情には気付いていた。というより篠原や沢村から内密の相談があったから元々気付いていたのだ。

 

「山本、何かあったのか?」

「いえ……」

 

 将和は問うが山本はそう答えなかった。その様子に将和は溜め息を吐いて閃いた。

 

「よし、なら久しぶりに空戦をしようか」

「えっ……?」

「来い、飛行場に行くぞ」

「あっちょ、ちょっと……」

 

 善は急げとばかりに将和は山本の手を引いてタイタンの地上飛行場に向かうのである。将和も相談は受けていたがやはり一回は飛んでみないと分からなかった。

 

「ほら、飛行服だ」

「ど、どうも……」

 

 飛行場に着いた将和は基地司令に空戦許可を貰いパイロット待機所から飛行服やヘルメット等を借りて山本に渡しそのまま格納庫に向かう。格納庫にはコスモタイガー2が勢揃いしていたが手前にあった2機に乗る事にした。

 

「山本はそれを使え。俺は此方を使う」

「は、はい」

 

 そして二人は乗り込んで2機はあっという間に離陸するのである。

 

「さて……山本から仕掛けていいぞ」

『わ、分かりました』

 

 山本はそう言って高位を取ると仕掛けてきた。無論、将和もそれを交わして空戦を展開するのである。

 

「………………」

 

 三回の空戦をしたが三回とも将和の勝ちだった。だがコスモタイガー2から降りてきた将和の表情は無表情だった。

 同じくコスモタイガー2から降りてきた山本も無表情だったが将和は山本に歩み寄り……胸ぐらを掴んだ。

 

「おい……何だあの腕は……?」

「……………………」

「黙りか?」

「……………………」

(これは思ったよりも重症か……)

 

 黙る山本に将和は溜め息を吐いた。山本の容態は将和が思っていた以上だったのだ。

 

「服を着替えたら『伊勢』の食堂に来い」

 

 そう言って将和はその場を後にするのである。その後、服を着替えて『伊勢』に戻り食堂に行くと入口に顔を暗くしたトーレと少し気分が晴れていたウーノが出ようとしていた。

 

「よぅ」

「あ、お疲れ様です」

「あ、あぁ……」

「??」

 

 トーレの表情が暗かった事に将和は不審を覚えたが入れ替わりに山本が来たので頭の片隅に入れておくのである。

 

「俺の奢りだ、食え」

「……ありがとうございます」

 

 将和はマゼランパフェを二つ注文してトレイに載せてテーブルで待っていた山本に一つを渡す。

 

「……意外ですね」

「んぁ?」

「三好司令も意外と甘い物は好きなんですね」

「まぁな。あまり食べ過ぎると太るから日頃はそんなに食わんけどな」

 

 苦笑する山本に将和はそう言いながらパフェを食べる。

 

「それで……何があった?」

「…………………」

「操縦桿を握ると『ヤマト』で死んだ奴等を思い出す……か?」

「ッ」

 

 将和の言葉に山本はハッとして将和を見る。

 

「何で分かるか……そりゃ俺もガミラス戦役で経験しているからだ。後、篠原や沢村から相談を受けていた。お前の事でな」

「三好司令も……」

「ガミラス戦役は波動エンジンがあったからそこまでは酷くない……と思っているだろうが航空戦はそうではない。地球とガミラスはお前が思っている以上の死闘を繰り広げていた」

 

 パフェを食べながら将和は語る。

 

「昨日まで一緒に飛んでいた同期が次の日には未帰還となって帰ってこない。年下のパイロットは敵のビームに焼かれて撃墜され、その時の絶叫は今でも忘れない。結婚する約束をした上司のパイロットは機体が被弾炎上し、そのまま敵『デストリア』級に体当たりをした。体当たりする間際、上司の最期の言葉が「済まない」だった……パイロットは一歩外に出れば宇宙空間だ。宇宙空間は死だ、だがその宇宙空間を飛行するのもまたパイロットの役目だろう」

「……………………」

 

 将和の言葉に山本は俯くがやがてはポツリ、ポツリと口を開いた。

 

「思い出すんです……皆があの時……都市帝国に突入した時、撃墜されていく光景を……そして宇宙空間に脱出して酸素がいつ無くなるかの不安が……」

「………………」

「頭では分かっています……けど、握れば……私が宇宙空間に出されて彷徨った事も思い出して……いつ酸素が無くなるかも分からない……あの時を……」

 

 気付けば山本は涙を流していた。そんな山本に将和は残り少ないパフェを食べて席から立ち上がり山本の頭をポンポンと撫でる。

 

「よく頑張ったな」

「ッ……」

「まぁいきなりとは言わん。少しずつ克服していけばいい(まさかとは思っていたが……PTSDの類いか……)」

 

 そう言う将和だか内心ではどうするか悩んでいた。

 

(だがこればっかりは山本自身で解決する必要があるからなぁ……俺がやれるのは支援だけだな)

 

「ッ………」

 

 だがそんな事は裏腹に山本は涙を袖で拭う。

 

「……ありがとうございます。頑張ってみたいと思います」

「おぅ、いつでも相談に乗るぞ」

「はいッ」

 

 そして山本は勢いよくパフェを食べ出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 




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