「ワープアウト完了しました。現在、冥王星沖約300宇宙キロです」
「ん」
『タイタン』を出撃した地球防衛軍の第一・第二・第三の各艦隊と第一航空艦隊は冥王星沖にワープアウトしてきた。四個艦隊の陣容は以下の通りであった。
第一艦隊
司令官 ラウルス・カールセン少将
旗艦『ヘルゴラント』
戦艦
『ヘルゴラント』
『ロイヤル・オーク』
『ナッサウ』
巡洋艦
『カンバーランド』
『アキリーズ』
『パース』
『吉野』
『高砂』
第一宙雷戦隊
『ブラック・プリンス』
『Z31』以下16隻
第二艦隊
司令官 三好将和少将
旗艦『伊勢』
戦艦
『伊勢』(コスモタイガー2×16)
『薩摩』
『山城』
巡洋艦
『高雄』
『愛宕』
『妙高』
『那智』
『足柄』
『羽黒』
第二宙雷戦隊
『能代』
『吹雪』以下16隻
第一航空戦隊
『日向』(コスモタイガー2×18 雷撃機×18)
『サラトガ』(同上)
第三艦隊
司令官 ヘンリー・パエッタ少将
旗艦『メリーランド』
戦艦
『メリーランド』
『オクラホマ』
巡洋艦
『ノーザンプトン』
『ウィチタ』
『クインシー』
第三宙雷戦隊
『オマハ』
『フレッチャー』以下12隻
第一航空艦隊
司令官 山口少将
旗艦『飛龍』
空母
『蒼龍』(コスモタイガー2×36 雷撃機×36 100式空間偵察機×3)
『飛龍』(同上)
第三航空戦隊
『ワスプ』(同上)
『レンジャー』(同上)
第四航空戦隊
『イラストリアス』(同上)
『ヴィクトリアス』(同上)
巡洋艦
『プリンツ・オイゲン』
『ニュルンベルク』
第四宙雷戦隊
『タウン』
『トライバル』以下16隻
第一護衛隊
『松』以下10隻
第二護衛隊
『樫』以下10隻
第三護衛隊
『撫子』以下6隻
「全艦隊に通達。前衛は第二艦隊、中間を第一艦隊、後衛は第三艦隊と第一航空艦隊の手筈通りに行い第十一番惑星へ向かう」
「了解」
「しかし……我々を先陣に切らせるとはな……」
将和の言葉に戦闘班長のトーレが呟く。その言葉に将和は苦笑する。
「なぁに、俺達は前線にいる方が性に合ってるからな」
「ハハハ、それは違いないな」
斯くして四個艦隊はそのままで進撃する。そしてそれは哨戒していた潜宙艦に発見されるのである。
「何!? 地球艦隊だと!?」
「はい。戦艦だけでも9隻を確認したと……」
第十一番惑星ーーではなくシリウス恒星系で残存ガトランティス艦隊を纏めていた帝国支配庁長官のラーゼラーはやはりと思った。
(おのれ……しかし第十一番惑星から撤退をしていて良かった……)
当初は再度の地球侵攻計画を練っていたラーゼラーら残存ガトランティス艦隊だったが本拠地であるアンドロメダ星雲からの緊急電を受信したのである。
「何!? 暗黒星団帝国が!?」
「はい、我がアンドロメダ星雲との輸送航路を妨害してくるようになりました」
アンドロメダ星雲を制圧したガトランティス帝国だがそれでも二重銀河にある暗黒星団帝国と紛争は続いておりズォーダーも地球攻略次第、暗黒星団帝国と戦う腹であった。
だがズォーダーは『ヤマト』とテレサに破れガトランティスも地に落ち戦闘したアンドロメダ星雲でも再び内乱が起こっている有り様であった。流石にその中で地球再侵攻をと言っている暇はなかったのである。
その為の第十一番惑星からの撤退だったが……功を制したのは言うまでもない。
(何れはこのシリウスとプロキオンからも撤退せねば……)
今、両宙域に駐留する残存艦隊をアンドロメダ星雲に帰還させるのがラーゼラーの急務であった。それはさておき、第十一番惑星の攻略に向かった将和ら防衛軍艦隊だがもぬけの殻だった事に些かの拍子抜けだった。
(奴等に何かがあったのか……?)
将和はそう思う。なお、敵が逃げた事に第一艦隊ではガトランティスを侮る者もいたが問答無用でカールセンの雷を喰らっているのは言うまでもない。
それは置いておき……防衛軍としては第十一番惑星を無傷で取り返したのだから良しとするのである。
「問題は駐留する艦隊と空間騎兵隊だな……」
「暫くはパトロール艦隊と一個中隊規模ですな。まだ冥王星基地も復興しておりません故……」
地球防衛軍司令部で正信は芹沢らと会議をしていた。
「それと徴兵の件も議会では拒否られましたからな」
「……となるとガミロイドの量産だろう」
ガミラスとの技術協定の中にガミロイドの技術提供もあったのだ。
「ガミロイド……地球で言うとアースロイドか。ガミラスの技術で運用か……惨めなものだな」
「芹沢……」
「申し訳ありません」
芹沢は直ぐに正信に頭を下げる。藤堂も重苦しい表情だったが正信はニカッと笑う。
「おいおい大丈夫だよ芹沢。心配なら今夜飲みに行くか? 久しぶりにキャバクラでも行ってバニーガールを見るか?」
「三好長官!?」
ニヤニヤと笑う正信に芹沢が顔を真っ赤にしながら怒るのであるが正信はハッハッハと笑う。
「まぁそれだけ怒れるのであれば大丈夫だな」
「本当にもう……」
肩から息をする芹沢であった。
「ですが……問題は山積みですな」
「防衛圏内の再構築も課題だな……」
「民間企業等は開拓に移行したいと言ってきています」
「馬鹿かアイツらは……また内惑星戦争やガミラス戦役の悲劇でも繰り返すつもりか」
正信は悪態をつく。民間企業の惑星開拓に少なからずの市民の悲劇は付き物だった。内惑星戦争しかりガミラス戦役しかりである。
「今度そんな事を言ってきたらワシのところに連れてこい。奴等の理由くらいは聞いてやる」
(あーあ……担当者も心労で倒れるな……)
正信の言葉に芹沢はそう思う。何せ正信は防衛軍司令長官をする前は元日本国総理である。今は行政区長官でもある藤堂に引き継ぎをしているが正信の首を縦に振る事はまず無いだろう。
(まぁこれで奴等の声も下火になれば良いが……)
コッソリと溜め息を吐く芹沢であった。そしてガミラスはというと……。
「そうか。地球とは技術協定は結べたか」
「はい。地球との関係も一先ずは一歩前進したと言えます」
惑星『ビーメラ4』の総統府でタランはデスラーに報告をする。仮の首都に定めてはいるがデスラーも自然が多いので避暑地には良いかもしれないと考えていたりする。
「だが問題は……」
「ボラー連邦ですな。奴等、ガルマン星を取られた事によっぽど腹を立てたようです」
ガミラスは電撃作戦を以てガルマン星を攻略し奴隷となっていたガルマン人を解放した。そしてデスラーは圧倒的人気を以て『大ガルマン・ガミラス帝星』の樹立を宣言しガルマン星のクレーター内に首都を建設中であった。
デスラーも首都の建設が終了次第、ガルマン・ガミラス星に移動してボラー連邦と全面戦争に移行する予定であった。
「ガルマン星の守備にはディッツ大将とヒステンバーガー中将の二個艦隊に任せる。ガミラス人の避難船団には警務艦隊を当てよう」
「分かりました。直ちに」
タランは頷き退出する。デスラーは椅子から立ち上がり『あのグラス』(分かる人には分かるグラス)を取り出して酒を注ぐ。
「……スターシア……」
ガミラス星は滅んでしまったがその隣ーー双子星ーーにあるイスカンダル星も老い逝く星であるがそこにはまだイスカンダル人でありイスカンダルの王家の血を受け継ぐ女王スターシアと地球人でありスターシアと結婚した古代守がまだ住んでいたのだ。
そうだ、スターシアに移住する星が見つかった事を報告しなければならない。デスラーはタランを呼び出してイスカンダルとの直接回線を入れた。
程なくして出たのはやはりイスカンダルのスターシアであった。
「……久しぶりだねスターシア……」
『デスラー……』
「心配しないでほしい。今日は君に報告する事が出来たのだよ」
『何でしょう、改まって……?』
「移住する星が漸く見つかったのでね。その報告に通信を入れたまでだよ」
デスラーの言葉にスターシアの表情が和らいだ。
『そう……それはおめでとうというべきなのかしらねデスラー』
「いや君からその気持ちを貰えるだけで十分だよ」
『デスラー』
そこへ画面に入ってきたのは古代守だった。守の腕にはスヤスヤと眠る二人の愛の証である赤子がいた。
「古代守か……」
『デスラー。君にも見せたくてね、スターシアとの子どもだよ』
スヤスヤと眠る赤子にデスラーは珍しく笑みを浮かべる。そうか、君は幸せなのだな……。
「元気に立派に育てくれ古代」
『勿論だ。そうだデスラー。つい先ほどなんだがガミラス星に艦艇が入っていったのだが……』
「何……?」
『てっきりガミラス艦艇かと思ったのだが……見覚えが無い艦艇だったから写真に収めている』
守はそう言ってスターシアに赤子を預けて通信機械を操作してデスラーに写真を送る。
「こ、これは……」
写真にはデスラーが見た事も無い艦艇が映っていたのだ。円盤型の艦艇であるからガトランティス艦隊かと思ったが彼等のカラーリングは白と薄緑でありこれは濃い青とオレンジのカラーリングであった。
「……守、ありがとう。スターシア、私はこれから其方に向かう」
『デスラー?』
「もしかしたら……もしかしたらコイツらは……」
一旦、デスラーは口を閉口してから再度口を開いた。
「……我等の地下資源を狙っているのかもしれない」
新たな戦乱が巻き起ころうとしていたのである。
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